昭和30年(1955年)――。
街頭のテレビには、大阪の人々が集まって大相撲を熱心に見ております。
あれから二年半が経過し、喜美子はもうすぐ十八歳。
「ええ秋晴れや」
そう言いつつ、布団を叩いております。
大久保の後を無事に引き継ぎ、荒木荘を一人で切り盛りするようになりました。
髪型も、おさげからシニヨンに。ちょっと大人っぽくなりましたね。
壁に貼られた百合子の絵をみて、それから【旅のお供】に手を合わせる。そんな朝。
「今日こそ、今日こそ!」
あの室町時代のかけらは、今ではお守りのような存在なのだそうです。
助平連呼される圭介さん
さて、荒木荘の朝。
さだの身支度を手伝う喜美子です。
「そらあかんわ、確かに喜美子ちゃんがなんとかせな」
「うちがやっぱり……」
「それもきみちゃんの仕事やで? 大久保さんはやってたな〜」
喜美子の意地と誇りを刺激する、そんなさだは、肩にペタペタと湿布を貼られています。
「おはようございます」
「今来たらあかん、助平!」
ここでさだ、助平呼ばわり一回目。助平か。昭和感があってええなぁ。
圭介は喜美子に、講義が早く終わるから弁当いらんかったと詫びます。なんでも授業で覚えることが増えて、頭がいっぱいで失念しちゃったとか。
ここでさだ、圭介にこういいます。
「あ、来たらあかん言うてるやろ、助平!」
「来年には決めんと……」
「見んといてや、助平!」
「見まへん!」
溝端淳平さんが、三度助平呼ばわりされる朝ドラって何やねん……。
喜美子は、湿布を貼ったらご飯を用意すると言います。
小児内科か、外科か。圭介は迷っているようです。
妹さんのことを考えたら、動機的には前者でしょうけれども。外科は、やっぱり、目指せるならば目指したいところではあるんでしょう。
さだの荒木商事は、大手下着メーカーに吸収されました。
関西大手の女性下着の根底に、荒木さだがいるというのもええ話ですね。そんなさだは、下着デザイナー育成をしているそうです。
そのせいで、試作品のブラジャー洗濯は喜美子がしております。洗濯機を必要経費として認められたおかげで、洗濯は随分楽になったとか。
ローラー式洗濯機がちゃんと出る。これは本気です。
洗濯の場面は、干すだけでも絵にはなる。洗濯板ゴシゴシもありがちですよね。
それを敢えて、当時のローラー式をわざわざ出すあたりに、気合を感じます。
それに家事の効率化はよいことだと、示す意味もあります。
シャドウワークの軽視は、もう決別したんやね。
下宿代滞納、あきまへんで!
そんな喜美子の挑むべき課題とは?
ターゲットロックオンです。
「来やった…! 今日こそ、今日こそ!」
目標は雄太郎です。
そろそろと帰ってきた雄太郎を、喜美子が待ち受けて追いかけます。
「雄太郎さん! ちょっとお話があります!」
ここから逃げる雄太郎、追いかける喜美子のパントマイム状態に。ほぼ動作だけでおもしろがらせるわけでして、かなり難易度が高いと思います。
演じる側も演出する側も、わかっていないとできない動きでは……すごいことになってきた!
雄太郎はドタバタと、部屋に逃げ込む。
そして変装して一人目のお兄さんが出てくる。またかいな!
お兄さんでええですと貴美子に言われ、お兄さんを呼び出すと見せかけて、これです。
「もう何をバタバタしてんの〜おらんよ〜」
「ほなお姉さんでええです」
喜美子は受けながらも、容赦ない。これもレベルが高いなぁ〜。
ケラケラと笑いをにじませつつ、厳しさのある演技もする。
よほどセンスがないと、息があっていないとできない。しかも作為がない。アドリブかのようでいて、自然です。
「お姉さん違う!」
「ほな誰やねん! 今日こそお話します!」
はい、話とは?
下宿代滞納でした。貴美子は、下宿経営について説明します。雄太郎は抵抗します。
「聞いた!」
「聞いてない!」
喜美子は反論します。
聞いたということは、忘れないこと。
「こっちからこっちへ出ていくのは聞いたとは言いません! 泣いてもあかん!」
帳面を見せて、やりくりを説明する喜美子。
喜美子の給金もここから出ているそうです。
きみちゃん……若いくせにリアリティのない能弁だの演説ぶるだの、そんな指摘があるようやけど、理解せん奴もおるんですね。
彼女は口から生まれてきたんやろ?
幼少期から演説スキルあったし、理詰めだし、お父ちゃんにも直子にもそれを炸裂させるし。
口喧嘩したらあかん。そういう関西の女や。
雄太郎は片方の耳を塞いでいます。
入った言葉が出ていかんようにしているんだって。
はい、ここで衝撃の事実が判明。なんと半年も滞納です。
こらあかん。雄太郎が顔芸をしていますが、そんな顔してもきみちゃんには通じません。
雄太郎は泣きつく。泣き落としや。
「助けてやああ!」
「助けてきたやん!」
内職のお金が、どんだけ雄太郎の下宿代に消えたか。
ストッキングはお代も本数も減って来た。ハタキや封筒作りはそんなにもらえないそうで。
「日雇いでもええから、働いてください!」
そう頭を下げる喜美子です。
「はあ〜やっと言えた。ほな茶淹れますか」
映画俳優に日雇いて……そう嘆く雄太郎。
出演は『大阪ここにあり』だけだそうです。続編の『大阪そこにあり』は、コケて撮影されていないそうです。あかん……。
「大阪どこいった! 僕の夢は!」
「夢は大事。せやけどお金あっての夢ですよ」
「厳しいぃ〜」
ほんまにきみちゃんは容赦ない。ここ数年の朝ドラでもぶっちぎって厳しいかもしれない。
『なつぞら』のなつにせよ。『半分、青い。』の鈴愛にせよ。ここまで強くなかったというか。
きみちゃん、退路を全部塞ぐ容赦なさがあるやろ。
人情で泣き落とすしかない。そういう意味では、雄太郎は正しいような気がする。
「厳しくせんとな」
げえっ、ここでちや子まで登場!
ちや子は、厳しくせんと大久保さんから怒られるのはきみちゃんだと言います。辞めてからも孫を連れて時々来ているそうです。
「僕がおる限り認めてもらえんな」
雄太郎はそうシュンとしてしまう。
ここでちや子は、喜美子に学校案内を渡します。
進学を目指しているんだとか。雄太郎が意外そうにすると、ちや子は話してあると言います。容赦ない。
喜美子はこれやで。
「こっちからこっちの人や」
右で聞いて左から抜けるもんな〜。って、キッツぅ!
大久保を総大将として、本作の大阪の女性陣は容赦なく反論してきます。
これも関西やろなぁ。
信楽はそうでもないでしょ?
陽子はそこまできつくありませんよね。
照子様はきついというより、ずれているし。
とはいえ、喜美子もまだ案内を見る程度なんだそうです。
どこにするか? 何をするのか?
まだ決まっていない。美術系かすら決めていない。
そもそもお金も溜まってない。
だからこその下宿代滞納は悪! 許せないわな。
※続きは次ページへ
>匿名様
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました。
今後もご愛顧よろしくお願いしますm(_ _)m
溝端淳平さん、です。