優は、茜の家にとどまりたい。
めいちゃんのお誕生日でもある。
なつは、その懇願に負けてお泊り許可を出してしまうのでした。
子供には一緒にいてくれる人が一番だから
イッキュウさんが帰宅すると、なつは食卓に座り込んで考え込んでいます。
「何もなくて。今、ラーメンでも作るから」
なつは慌ててそう言います。
イッキュウさんは、事情を知ると優を迎えに行こうと言い出します。下山も帰宅が早かったって。
そうそう、下山も今はマコプロですね。マコプロは勤務体系もフレキシブルであるのでしょう。
「それだけ優は、茜さんのことが好きなんだよ」
子供は、一緒にいてくれた人を好きになる。
生まれてから、母である自分よりも側にいたのは茜だった。
そうなつは思ってしまうのでしょう。
戦災孤児であったなつの言葉です。柴田家とのことを思い出すと、何とも言えません。千遥のように、いじめられた悲劇とは違います。
なつぞら67話 感想あらすじ視聴率(6/17)ずしりと重い芯からの悲しさ優は、茜に預けられなくなると聞いてしまった。
それまで、できるだけ茜と長くいたいんだ。そう思ってしまう。
「わかるのよ、私には。子供には、一緒にいてくれる人が一番だから。一番好きなのよ」
なつは悲しげにそう言うしかできないのです。
このあと、夫妻はラーメンを啜ります。
食べながら、メンマをなつのどんぶりに入れるイッキュウさんの演技が絶品だと思いました。なつの驚き方も自然ですよね。
これぞイッキュウさんだ。
壁ドンはできない。ハグも不器用。唐突な愛情表現をしてしまう。
中川大志さんは、一体どれだけ役の特性をつかんでいるのか。
ただただ、驚かされます。
親には忘れられない子の思い出がある
その夜――。
夫妻が寝ていると、茜から電話があったようです。
「ああ、すみません、すぐ迎えに行きます、はい!」
二人は茜の家に駆けつけます。優は泣き止まなかったそうです。
下山は朝になってから電話しようかとも思ったそうですが、結局、夜中に呼び出したと。
「優ちゃん、ママに会えてよかったね」
茜がそう言います。
さぁ、帰ろう。なつは優を背負い、家に戻るのでした。
ナレーションが語ります。
なつはこの夜を忘れない。
優のぬくもりを、なつは一生忘れることはないでしょう――。
この父のナレーションが、親子愛を感じさせます。彼にもそんな日があったことを彷彿とさせます。
本作の父は、絵の中の人物。写真すら空襲で焼けた可能性は高い。
アニメになって、祭りに向かうところが出てきた程度です。
劇が始まった時には亡くなっていて、ナレーターとして見守るばかりではあります。
ただ、咲太郎の天ぷらといい、こうした思い出語りといい、存在感と愛がそこにはシッカリとある。
なつぞら54話 感想あらすじ視聴率(6/1)仕事は裏方で作られている劇が始まる前に亡くなっていて、妻子から「結婚相手としては低スペ」と小馬鹿にされる気の毒なヒロイン父もおりました。
あれはいったい何だったんだ。
愛というのは、ちょっとした描写で表現できるはずなのですよ。
『魔界番長』に挑みたいんだ
なつは山川社長と佐藤部長に呼び出され、新作の作画監督を依頼されます。
困惑するなつ。原画担当のアニメーターに戻りたい。そう訴えます。保育園にも、6時には迎えに行きたい、と。
「今更そんなことを言われても……」
がっつりとあてにされていて、佐藤部長は、熱心に語り出します。
「原作のイメージを崩さずに、原画をさらによくできる。いいアニメーターなんだ!」
佐藤部長は出番が少ないとはいえ、漫画とアニメが好きでたまらない、よい意味でのオタクオーラが出ていて素晴らしいですよね。
原作があるとここで判明。
それはなんと『魔界番長』でした。
※モデルはこれですね『デビルマン』だ
番長といえば、どうしたって魔物ではなく、ヒグマと戦った伝説のある彼を思い出しますが。
なつぞら19話 感想あらすじ視聴率(4/22)女がダメなのかって聞いてんのさ!これも、時代感があります。今ではもう遠い昔になりつつある、番長がいましたね。エンタメ作品のモチーフにもなりました。
女だとスケバン(※スケ=女、バン=番長の略)だよ。
悪事も、現代とは比較にならないと言いますか。
飲酒喫煙くらいでは話題にすらならない時代です。
ついでに言いますと、妖怪やオカルトブームもあった。それは朝ドラでも取り上げられた、彼が契機とされております。
手塚治虫氏の『どろろ』も、その対抗路線なんてされたものです。
ともあれ、ここは佐藤部長のあらすじ説明を聞いてみよう!
『魔界番長』あらすじ
ある番長に、魔物が取り憑いてしまう。
番長は恋愛に関しては硬派というかウブで、好きな女の子がいた。
しかし魔物が、その子を好きになってしまうのだ!
人類の敵なのに、人類を愛してしまった魔物番長。
彼は魔界を裏切って戦う!
「君にぴったりだろ!」
佐藤はそうプッシュします。
なつが番長にアタックされた(※これも死語ですね・昔は恋愛アプローチをこう言いました)ことを考えると、わかるっちゃそう。佐藤は知らないでしょうけど。
「やってくれたら昇給も約束する!」
おっ、いいですね。
やっぱり精神的なアプローチだけでなくて、ニンジンがあってこそ労働者はがんばれるんだ。やりがい搾取はないんだよ。
とはいえ、なつは複雑な顔ではあります。
※続きは次ページへ
ももっちのモデル、保田道代さんはその後スタジオジブリの色彩設計として、スタジオジブリのほぼ全作品に関わることになります。
宮崎駿がジブリ内でほぼ唯一逆らえない人物として保田道代さんをあげており、彼女の鶴の一声でスタジオジブリがデジタルペイントに移行したと言われています。
機械によって仕事が奪われ、新しい仕事に挑戦し、そして機会の良さに誰よりも早く気付くというのは趣深いものがありますね。
機械化で単純作業(トレース、色塗り)が淘汰されるようになり、
よりクリエイティブな仕事(色彩)が重点化され、人材もそちらに移動する。
現在のAI技術に通じる視点ですね。
いつも当時の雰囲気の物、色々とスタッフが頑張っているのを見るのが楽しいです。
武者さんがモモッチの衣装について述べていたので衣装つながりで前から気づいていたことコメントします。
もしかしたら気づいているかも知れませんが、武者さんは男性だから触れにくい下着について。
ちゃんと女優さん達が
シミーズを着ているんです!
下着が分かる薄い服を着ていた時のなつや光子さんや他の人だけでなく、
あまり分からないセーターを着ている時もシミーズらしいのを着ていて、気を抜かず当時を再現しているところが、ここからも分かり感心します。
半分、青いと下山さんのスケッチで見つけた時などもですが、
ドラマの内容も昭和感のある懐かしい物をみるのも、また、遊び心の発見があったりで何倍も楽しめます。
ヒヨコーラーは気付かなかったので明日再放送で確認してみますね!
ありがとうございます(^^)
あさイチで言っていたのですが、メンマは中川さんのアドリブとの事です。
イッキュウさんがしそうな感じで、良かったです。
イッキュウさんのような不器用な人実際いるので、リアルで、私もスゴイ役者さんだなあと思います。
なつ宅の台所にある家庭用湯沸し器。この頃普及するようになった製品です。昭和50年代頃までよく見かけたタイプ。自宅でも友人宅でも。懐かしいです。
それから、イッキュウさんがなつに分けていたメンマ。この時代ですから、「桃屋の味付けメンマ」でしょうか。「インスタントラーメンに桃屋のメンマを入れて…」という食べ方もこの時代よくある食べ方の一つだったと思います。
気が付きましたか?みなさん!
東洋動画の休憩室に置いてある瓶コーラの自販機、
『HIYO COLA』って書いてあるんです。
『ひよっこ』へのオマージュでしょうか?
美術スタッフさんの遊びゴコロ、楽しいですね。