荒木荘で三年目を迎えた喜美子――。
圭介への失恋や。
草間宗一郎との再会など。
幾多の経験を経た喜美子は、ジョージ富士川が特別講師を務める美術学校に、週三日通うことを決めました。
荒木荘の仕事と学問の両立です。
荒木荘の皆も大喜びの中、貴美子は新たな道を見出しつつあります。ちや子は大変なようではありますが。
そしてその夜のこと、信楽のジョージ(※アカン方)から電話がかかってきました。
なんと、お母ちゃんが倒れたというのです。
【朗報?】お母ちゃん、大したことなかった【虚報?】
喜美子はいそいそと荷造りし、旅のお供にも祈りつつ、信楽へ旅立つ準備をしています。
大久保も見送りに駆けつけたと、さだが呼んで来ます。
さだも大久保も気を揉んでいます。
何でも倒れたことだけで、電話では具体的な状態を言わないのだとか。
詫びる喜美子に、大久保はこう言います。
「こっちのことはええさかいに、はよ」
雄太郎はデイリー大阪に電話中でした。
ちや子が会社にもいない。荒木荘にも電話がない。これまで大事件でも連絡してきたのに、帰って来いひんなんて初めてだそうです。
視聴者としても、ヒラさんショック後のちや子は気になる。
気になるものの、喜美子にも汽車の時間はあります。
さだも大久保も、ともかく喜美子を第一に考えるわけです。人情やなぁ〜。
やりくり上手の喜美子は、大根の皮で作ったおかずのことを気にしておりますが、こう返されるのです。
「大根もちや子も気にせんでええ!」
そう送り出される中、荒木荘の面々は気にしています。
「お母さん、大したことないとええんやんけど……」
さて、そのお母ちゃんであるマツは、信楽でお料理中です。
健康体やん! ピンピンしとるやん!
あれ? 何かおかしいぞ?
アイエエエ信作ナンデ!?
そんなマツの一方で、喜美子が着くからとジョーは布団を敷いている。あっ!
マツは喜美子の好物である肉じゃがを作りたいと言うわけですが、
「肉の入ってない肉じゃが作ってどうすんねん! いいから倒れんねん! いいから、いいから! はよここへ!」
お玉を持ったままのマツを、強引に布団に入れます。
なんでや、お玉いらんやろ。そこを突っ込んだら負けやで。
そこへ三女・百合子も帰宅します。
喜美子はまだ帰ってきていないと、この妹はワクワクしているようですが。
さて、そんな喜美子が信楽の道を歩いて行きますと、女学生三人組がキャーキャー言いながら誰かを待っております。
これな……この女生徒同年代のおっちゃんおばちゃんはな、今時の若いもん云々言うかもしれんけどな。こういう割とチャラい青春も送ってた人もおんねんで。
そして彼女らの待ち受ける坂道を、自転車が走ってきます。
「きゃー! 信様ぁー!」
信作……か?
通り過ぎればいいのに、ニヒルな顔を作って自転車を止めます。
「信様信作様うっさいのぉ。気色悪いから様付けんと言っとんど!」
「信様ぁー、これ受け取ってください!」
「用済んだら失せろこのぉー」
そう言いながら、鼻の下をやたらとこする。
そして女学生が去ったあと、こうだ。
「もうちょっと渋めのほうがええんかいなぁ」
はい、これを喜美子は引いた顔で見ていた。
家政婦は見た状態や……。
「喜美子ぉ! ええ〜、な、なんで帰ってきたん! あっ、あっ、違うねん! あの、なんかずっと付きまとってる!」
いや、それなら自転車止めんでええやん。
信作に一体何があったのか?
なんでも、可愛がってくれた伊賀の祖母が二ヶ月前に亡くなり、同時に過去の俺をも葬ったそうです。
「話せば長うなる……」
「ほな、今度聞くな」
「待てー!」
信作がはしゃいでいる背景、その長い話は気になる。
伊賀の祖母と甲賀の孫、一体何が? アイエエエ、ナンデ!? 信作ナンデ? ニンジャ関係アル?
まぁ、気になるといえばそうですが、メインプロットには関係ないようですので。
雄太郎といい、信作と言い、このメインプロットに絡まない奴らが無駄に濃いぞ!
アカン方の妹とエエ方の妹
川原家の前には、オート三輪があります。
「どや! 動態保存してんの借りてきたで!」
そう言いたいんやろなぁ。
これは大変なことやと思うよ。プロットにも関係あるのでしょうが。
そしてそこには、直子がおる。あかん、直子がおるだけであかん!
「姉ちゃん? お帰り!」
「直子か。あんたでかなったなあ」
ついに本役、桜庭ななみさん。
出てきた瞬間からふてぶてしさが出とる。すごい役作りだ!
直子は、喜美子が休みを取ったと誤解しております。直子はお母さんが倒れたとは知りません。しかもジョーとは口もきかない仲らしい。
「ほんまに倒れたんけ?」
「倒れたから帰ってきたんよ!」
戦国時代だったら、喜美子は何かを察知しそうではある。
しかし、劇中は昭和なので。
喜美子はここで家の敷居を跨ぐと。
そこには百合子がいます。
「百合子ぉー、かわいらしゅうなって!」
これは……直子は「でかなった」なのに、この差は一体……。
・妹(アカン方、直子)
・妹(エエ方、百合子)
こうなりつつあるのでは?
百合子は、直子はまた居残りなのかと聞いてきます。
勉強できひんから居残り常連らしい。ここで直子、妹を蹴る。
「やめえ、何しとんねん!」
直子、想像以上にあかん妹になっとった。
子役の頃から、終始一貫してあかん性格で、ええと思う。
そんなことより喜美子は、お母ちゃんが気になります。奥に向かおうとすると、ジョーが道を塞ぐ。
咳払いしつつ、目線だけで何かを訴える。昭和のあかんおっちゃんや。
直子の父を見る目線が、ゴミを見るようで。セリフがないのに吹き出しました。
どういう演技や、演出や、指導や! ええんちゃう、最高ちゃう!
三姉妹をちゃぶ台に座らせるジョー。これぞ昭和父の沽券。(笑)とつけたくなる雰囲気や。
喜美子はしおらしく、急いでいたのでお土産なく手ぶらだと詫びます。
せやせや、551蓬莱の豚まんあたりがないとな。いやいや、土産でなくて。
【悲報】直子、ジョーを見ると目が腐る
「お母ちゃんはだいじょうぶなん?」
「座れ。いつまで突っ立っとんねん」
ここで直子、ようやく座る。
しかも片膝立てて、父の方は見ない。
「パンツ見えんで、ちゃんと座りぃ」
喜美子、妹のパンツを気にする。
本作はクレバーやと思う。
乳バンド、ブラジャー、エロエロ、そしてパンツ。そういうぎょっとするような単語を、色気も恥じらいもなく、ズバリと女の口から言い切る。
パンツそのものはただの布や。
そこで恥じらいがあればこそ、エロとして成立する。
『嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい』
なんてタイトルもある。あれは、嫌な顔があればこそ成立する。
「パンツや! どや!」
と、ドドーンと見せつけられたら、
「お、おう……」
と反応して、それはもうかえって萌えない。
そういう堂々たるパンツ宣言で、パンツを履く側に取り戻す。そういうクレバーな作品やと思う!
はい、そんなパンツはさておきまして。ジョーは、三人娘が揃ったと沽券を見せようとするわけですが、直子は顔を背けている。
「顔あげえ! 顔あげえというのは、こっち見ぃこっちゃ!」
「見たら、目、腐るさけ」
「親の顔見たら目ぇ腐るのか!」
直子、完全に反抗期や。
ジョーの下着と一緒に洗わないで欲しいというレベルやない。ベリーハードモードの父への反抗期や。
斬新だ。
朝ドラで、ここまで全力でデッドボールを投げつける娘は、そうそうおらん。
『なつぞら』の柴田剛男も、結構娘からきついことを言われてはいた。それどころじゃない!
直子、強い!
武力が姉妹で高かった!
何でしょう、この喜美子が関羽なら、直子は張飛だった状態? 両者強いけど、関羽の方がまだ話が通じる感。
※続きは次ページへ
>しろばにあ様
ほんとそう思います。しなやかに強いって感じですね。
ときどき毒々しい感じにもなりますが……。
本、ポチりました♪
関西の庶民は逞しいんですよね。
「戦乱と民衆」(磯田道史他)を読んでいるとギョッとするような、よく言えばエネルギッシュなエピソードが山ほどあって唸らされます。