明日帰ると言う喜美子。
マツはそんな娘に、はよ寝るように言います。
「お父ちゃん転がってるけど、気にしなや」
ここで喜美子は、こう切り出します。
「やっぱり言うとく」
喜美子の決意とは?
喜美子は、お正月に帰った時に言っておこうかと切り出します。それか、やっぱり明日にしよか、言い渋る喜美子。
マツはかえって好奇心が刺激されてしまいます。
そして、ここから先が脚本と演出が冴え渡るのですが。
マツが把握する情報はこんなところでして。
・嫌なことでなくてうれしい
・うれしくてニヤニヤしてしまうほど
・母ちゃんにはわかってほしい
・もう18やし
・ジョージ富士川いう……パリの学校を出た人
・父と同じ名前や
・来年の春
お水飲まして!
そう興奮するマツ。そして勘違いします。
来年の春……結婚か、と。
そんな母に、喜美子はこう言います。
「立ち話もなんやし、座ろか」
写真もある。そう言われて、あかん。マツ、完全に誤解してます。
お母ちゃんの常識と娘の常識はちゃう、お父ちゃんは無理
ここで、ジョーも起きてきます。
マツは、静かに聞いたげてな、怒らんといて……っと前置き。
喜美子は、ジョーカスは酔うてるし……と嫌そうではある。
「酔うてへんわ! なんやねん」
父を前にして本題を切り出せない喜美子は、草間宗一郎に再会してご飯を食べたことを語ります。
仕事で東京から大阪に来ていたって。
年賀状のやり取りはしていたそうです。そうそう、11月ですし、そこなんだな。
昨年のNHK大阪朝ドラでは、親友だろうと大恩人だろうと、ぱったりと消息が断絶していた。
企業を経営しておきながら、年賀状すらやりとりしていないのかとびっくりしたものです。ま、放送事故やろな。
話はそれだけかと急かすジョー。
「酔うてるし、怒ってる」
「こういう顔や、もう」
そう言いつつ、聞いてやると急かします。
北村一輝さんのまつげバシバシしたあの顔を、怒っている顔と表現する本作。半端ないな!
水を飲んで、話せばわかる。マツがそう言います。
そんなマツがジョーカスと出会ったのも、18の時。母のほうが、ウキウキワクワクしております。
18で結婚考えるのは早くない。ええ人に会うたなら落ち着きたい。
女なら嫁になりたいのは当たり前のこと。
あかん。誤解が止まらない!
喜美子はムッとします。
「結婚ちゃうわ。落ち着きたいなんてつまらんこと考えたことない。大阪には一人で働く女がぎょうさんいる。いきいきとしてかっこいい!」
ここは『なつぞら』での富士子と夕見子との問答と似ているところではある。
ただし、夕見子は書物や知識由来。
それに対して喜美子は経験由来です。
ちや子に「お父ちゃんでなくて自分で決めろ」と言われた。さだの姿を見た。大久保のプロフェッショナル魂に刺激を受けた。
雄太郎だって、圭介だって、そして草間宗一郎だって。
ジョージ富士川だってそう。
男女双方から刺激を受けて、その境地にたどり着いたわけです。
「何をかぶれとんねん。たかが2、3年働いただけで」
それをジョージ、アカン方のジョージは全否定します。
喜美子はめげずに、エエ方のジョージ、つまりはジョージ富士川について語る。
「はあ、くだらん!」
「くだらんことないわ!」
喜美子は反論します。
来年の春お会いしましょうと言われた。サイン会に行って来た。彼が特別講師をやる学校に通うことにした。
週三日、働きながら通うことに決めた。
しかし、ジョーには通じない。
誰が誰の許しを得て勝手なことを言ってんのや! 誰の金や!
これに喜美子は返します。内職のお金、自分の金だ!と。
しかし、ジョーは論点をずらす。
「誰が学校行け言うた。大阪なんか行かんでええ。ここで暮らせ!」
「学校で何勉強するか聞かへんの? うちが何したいか聞いてくれへんの? うちが何やりたいか」
「お前、ここで暮らした言うて、お前、泣いてたやないか。大阪行きたない言うとったやないか!」
ジョー、紛れもないカスの理屈を持ち出しおった!
ずっと信楽で暮らしたい。
確かに15の喜美子はそう言いながら泣いていた。
「ここで暮らせるんや、よかったがな」
「あのころとはちゃうよ……もうあのころの喜美子とはちゃうよ、お父ちゃん。学校のことは……お正月帰ってきますし、また改めて願いいたします。うちは仕事があるんで明日大阪に戻らせてもらいます」
「子供が何ぬかしてんだ。何が仕事がある。笑わしてくれる! あかん言うたらあかん、何言うとんじゃあほ!」
ジョーカスのラスボス化がたまらん!
※続きは次ページへ
ほんま、めっちゃ腹立つわ!!
ジョーカスやなくて、ジョー屑や。