スカーレット32話 感想あらすじ視聴率(11/5)教育格差の本質よ

ジョーカス、アカン方のジョージ。さんざん、ひどいことを書いて来た。
胸が全ッ然、痛くならん!

『なつぞら』が比較対象として抜群だと思う。
照男と結婚させてしまおうと目論んだ、柴田泰樹の策謀すら甘かったし、マシだった。

◆ラスボスとしてのジョーカス

 

・論理無用!

・獲得経験値無視!

・「あかん言うたらあかん!」「アホ!」ビームで全ての攻撃を無効化!!

強すぎるやろ……。

「あかん言うたらあかん!」
という、関西弁のあかん用法を持ち出す本作、センスがすごいな。

何かあかんことが起きとる……!

翌朝、喜美子は早々に家を後にしました。そこに百合子が追いかけて来ます。

「お父ちゃんカンカンやで。またお酒増える」

うーん……怪しいなあ。
ジョーは怒りっぽく、酒で紛らわしている。よろしくない兆候ですよ。

百合子に対し喜美子は、お正月に帰ってくると詫びます。
その時はお土産買うてくる。二日はいるとフォローをするんですが。

脚本・演出・演技の三拍子が揃っていて気持ちがええほどなのは、ここで喜美子が異変を察知しているとわかるあたりだな。
戸田恵梨香さんが半端ない。父譲りの気の強さ、怒りっぽさ、戦国武将的な猜疑心が揃ってます。

喜美子は、百合子の向かう方向を気にしている。
学校はこっちじゃない。行先はどこか?

ここで百合子は疑いもなく、話してしまうのです。
病院にいって貧血の薬をもらう。夏バテ、だいぶようなったとはいえ、薬が必要。

姉として気遣い、学校に行って来いと喜美子は促します。
汽車を一本遅らせて、代わりに受け取って、そして母に渡してから大阪に戻ると。

ここで百合子はこう聞いて来ます。

「喜美子姉ちゃんは大人? うちは子どもや。喜美子姉ちゃんは子どもちゃうやんな。大人はあかんねん……」

ん?

・ジョーはピリピリしている

 

・酒に逃げている

 

・マツは貧血だ

 

・本人ではなく百合子が薬をもらう。しかも、大人はあかん

 

・肉じゃがの肉がないことといい、何かおかしいぞ……?

ここで直子が走ってきます。
どうやら百合子は、余計なことを言うなと口止めされてるとか。

「さっさと行かいさ!」

「病院に大人はあかん。どういうこと? どういう意味? 直子? 何? 何隠してんの? 隠してんの? 言うてえや!」

直子は姉の尋問を受け、苦い顔になります。

「余計なことやで、言うな言われていることやで……」

そしてここへ、はじけたあいつが自転車で登場します。
信作やで。

「朝から何怒ってんねん、このぉ〜」

鼻の下を擦りながら、また病院かと言ってくる。
それから異変を察知して、「試験がある」と逃げようとしますが……無理です。

喜美子が止めてこうきました。

「ちゃっちゃと言わんかい! 病院、大人はあかんてどういうこと?」

俺からなら叱られん。
そう前置きして、信作は言います。さすが喜美子、ガードの弱さを把握して時間を節約したぞ!

病院のツケが溜まっている。
支払いのツケ。大人がいくと、それを急かされてしまう。

でも、子供ならしゃあない。
逆に学校行かんと薬取りにくるなんて可哀想な子やし。

そう同情されて薬がもらえる。だから、百合子でないとあかん。

いろいろある。三年もおらんかったら。
俯く三姉妹。これはえらいこっちゃ!

見出した道を、ベリーハードモード環境でぶっ潰される――緋色の太閤記。

喜美子ぉ、がんばれぇ!!

喜美子、圧倒的な知略!

人間の知略は、何を基準とするんやろか?

『信長の野望 大志』では、豊臣秀吉の知略は97。
ただし、当時は彼の教養のなさは「あれどうなのよ?」と思われていたんですね。

秀吉は古典に親しむ少年時代を送れなかった。
他の大名が『源氏物語』や漢詩文トークを楽しみ、連歌会を楽しむ一方、それができないから「やーねー……」とされちゃう。

でも、そんなことこそ愚かしいと思いませんか?
現に秀吉は賢いんだから。

これが教育格差の悲劇、その本質だとは思う。喜美子を見ていると、やっぱりそんな秀吉と『太閤記』を思い出す。

あの物語には、真偽不明ながらも秀吉の機転が描かれています。

環境で身につける教養でなくて、その人が持つ本来の賢さ。
そこを見ていかんとあかん。

喜美子は紛れもなく賢い。
ここ数作でも、知略上位。97レベル。

会話の端端から異変を感じ取り、一番時間を節約できる信作を落としにかかる。
城攻めをする名将のような、迫力と機転を感じる。

これは喜美子だけのことでなく、脚本はじめスタッフ一丸となって、とてつもなく賢いのだと思います。
大変なことやと思う。

視聴者を信じているんやろなぁ。

ジョー、圧倒的なカス!

本作はよい意味で、ヒロインたちが教育由来の知識を駆使する『なつぞら』とうまい対比ができていると思う。

なつは、農業高校由来の知識で牛の難産を対処していた。
夕見子は、知的エリート。

彼女らの素晴らしさは、周囲の環境もあってのこと。

今日のジョーと比較しましょう。
娘の北大進学を誇らしいと思った。そんな父・柴田剛男と祖父・泰樹はいかに素晴らしいのか、改めて痛感できると思います。

駄目な環境を出してきて、心へしおる残酷な家庭を見せる。本作は容赦ないでえ!

『なつぞら』では散々、あんな男はいない、ファンタジーだとツッコミが入った。

一方、体温と酒臭い息すら想像できてしまう――そんな昭和クソ親父リアリティむんむんのジョーを見せたらええんか?

画面ごとぶん殴りたくなって、トラウマを刺激されて、プルプルしながら布巾を握りしめた視聴者さんは、結構多いと思うんですよ。

思えば『半分、青い。』と『なつぞら』には、リアルジョーカスめいたアンチ投稿があった。

「なんで地方出身の女が、都会で夢目指すんや。何かぶれとんねん。地方でおとなしく地元の男に嫁いで、コメでも育てとけや」

こういうアンチ意見、ありましたからね。

な?
リアルジョーカスやろ?

そういう意見に鏡を突きつけるようなNHK大阪。
知恵者を敵に回すとおそろしい。そういう境地に突っ込んできおったわ。

『なつぞら』も、半端なアンチ投稿は危険だと思えた。

『スカーレット』は、アンチが構えてきた理論に火をつけて「ええ緋色やなぁ」と笑うような、そういう恐ろしさを感じる。

舐めたらあかん。そういうすごい作品になってきたな!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

1 Comment

塩ラーメン好き。

ほんま、めっちゃ腹立つわ!!
ジョーカスやなくて、ジョー屑や。

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