偶然山王寺屋ではつ付きの女中をしているふゆと出会ったあさ。
再会を懐かしみます。
ふゆは山王寺屋の経営が苦しいことや、はつが手紙すら書けないことを話します。
しかし、山王寺屋の番頭が近くにいることに気づいて焦り、その場を去ろうとします。
あさはなんとか機転を利かせ、手紙を書くとふゆに託します。
紙ではなく端布に書いたことがポイントでしょうか。
「あさから預かった手紙があるだろう」
ふゆが山王寺屋に帰ると、「あさから預かった手紙があるだろう」と菊が問い詰めます。どうやら番頭が目撃していたようです。
菊の口調は明るく、笑顔すら浮かべていますが、これが怖いの何の。
菊の命令で使用人たちが逃げるふゆを取り囲み、手紙を奪おうとします。
ふゆは逃げ回り、手紙は枯れ井戸の底へ落ちました。
もしこれがうめなら機転を利かすこともできたかもしれません。
はつとあさ姉妹は嫁ぎ先だけではなく、お付き女中も交換していた可能性があるわけで、もしそうなっていたらどうか?と想像してしまいます。
ふゆはその顛末をはつに話します(これが大きな声で報告していて、誰か聞き耳立てていないか不安になりますが)。
はつはふゆから、あさが借金取り立てをしていたと聞いて、異変を感じ取り呟きます。
「外では今、何が起こってんのやろ……」
何も悪くない 褒められこそすれ
聡明で敏感。
なのに周囲の環境のせいで能力を発揮できないはつ。
世の中のことを何もわからないとつぶやくと同時に姑や夫のせいにはしません。
何にも疑問を持たずに生きてきた自分が悪いのだと責めるのです。
いやいや、いやいや……。
はつの何が悪いと言うのでしょう。
幼少期から劣等生扱いのあさと違って、琴も礼儀作法も何もかもできてきたはつ。
それを褒められこそすれ、駄目だと誰も言わなかったわけです。
はつは何も悪くない! 画面の外から慰めたくなります。
あさの奮闘ははつの心をざわつかせ、はつの苦境はあさの闘魂を駆り立てます。
何度も何度も借金取り立てに挑むあさ
あさは気張って生きていくことを姉妹おそろいのお守りに誓うと、宇奈山藩蔵屋敷に再度チャレンジします。
ラウンドツゥー、ファイッ!
時にフェイントで、時に四股パワーで。何度も何度も借金取り立てに挑みます。
借金取り立てに朝から挑むヒロイン、斬新です。
そのころ山王寺屋には徳川家の使者が来ていました。
惣兵衛は流石におかしいと危機感を覚えています
が、世代間の差でしょうか。
菊は相変わらずプライドだけ。惣兵衛の父・栄達は「大政奉還があったとはいえ、そう簡単に天下は変わらない」と言います。
そっか、大政奉還か!
今年の幕末大河ではスルーされたビッグイベントです。
後世からしますと、大政奉還なんて終わったらもう徳川は終わっていると思うわけです。
しかし、当時の人はこんな感覚だったのだろうなぁと。
人間というのは、起きたら取り返しのつかないことは「起こるわけがない」と思い込むことで精神的均衡を保つこともあります。そういう心理かもしれません。
蔵がすっからかんなんて
そこへはつがやって来ました。
以前、店に出ようとしたら蔵に監禁されたわけです。
意を決したのでしょう。
菊があさを侮辱した時もあさを庇い反論しますし、自分は家を守りたいのだと惣兵衛に訴えます。
しかし惣兵衛は無言ではつの願いに背を向けるのでした。
あさの戦いはラウンドスリーか――なんて思っていると、よのがお小言です。
どうやら近所で、加野屋の若奥さんはド変人扱いだと噂になっているとか。
蔵屋敷前で四股を踏んだりしていたら、確かにそうなるでしょう。
しかし、ここでキツく叱り飛ばすのではなく、よよよとわざとらしく泣き崩れるのがよいですね。お付き女中も新次郎も、両脇からすぐに支えます。
よのという人は蝶よ花よと育てられ、涙をこぼせば周囲が言うこと聞いてくれたのかもしれません。
そこへ突然、店の中に投石攻撃が。
異常なまでの不景気、世情不安となりますと、公務員や金融業に庶民の反発は向かうもの。
江戸の世も同じようです。
なんやあいつら、蔵の中に千両箱貯めておって――てなもんでしょう。
その蔵がすっからかんなんて、投石するような人は知るはずもないのです。
加子部屋へ 下っ端水夫たちの暮らす場所
今日の最後はあさのラウンドスリー。
パワーではなく粘る戦法にしたようです。
お勘定方が来るまで屋敷前で座り込むと宣言したところ、相手も根負けし、中で待つようにと言い渡します。
ところが、あさたちが滞在場所として案内されたのは、なんと加子部屋。
褌一丁の男までごろりと寝転がる男臭い場所でした。
歴史ドラマでもスポットがなかなか当たらない、下っ端の水夫たちです。
こういう脇役たちの生態が垣間見られるのも本作のおもしろさ。
さあ、この男臭い部屋であさはどう過ごすのでしょうか?
※大河ドラマも朝ドラもU-NEXTならスグ見れる!
スマホでもOKです。
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]
職場で無条件に現在の朝ドラを見た夜、録画で「あさが来た」を観ています。
役者さんの個性ある演技、人物の造形、さまざまな視点。大げさな演技ではなくても、笑えたり切なくなったり。今とあまりに違ってがく然とします…。
こちらのレビューとともに「あさが来た」、楽しく視聴していきたいです。