あさが来た 22話 感想あらすじ 明治政府の暗部は浮かび上がるか

十万両の要求を受け、加野屋は大パニック。
ショックで腰を抜かし正吉は寝込んでしまいます。

あさは、そんなバカバカしいことになぜ金を出さねばならんのか!と怒り心頭です。
戊辰戦争の大義も形無しですね。

雁助は一応、新しい時代のためには戦わなければいけない――とかなんとか言うものの、苦しく聞こえます(私の脳内では八重さんも「んだんだ、人の金使ってまで会津を攻めることはねえ!」と言っています)。

ここで一同、思います。

『他の店はどうするのか?』

二百年続いた家を潰すのは誰のせいだ

天王寺屋では、女中も暇を出したのか、はつがお茶を運んでいます。

菊、栄達、そして惣兵衛は今後を話し合いますが、金なんてあるわけない。

新政府には従って払った方がいいとは意見を言う惣兵衛ですが、菊は一蹴。
返す刀で「おまえが悪い、二百年続いた家を潰すことになった」と文句をネチネチ言うのです。

二百六十年続いた徳川幕府が潰れる時代なら、二百年もった商家が潰れてもおかしくないんですけどね。
菊の八つ当たりは、お茶を運んでいたはつにまで及びます。

こりゃアカン。
もはや天王寺屋の命運は……。

加野屋では、頼りにならない息子ではなく、嫁のあさに正吉が意見を求めます。

新政府なんかに一銭もお金なんて出したくない――としながらも、借金をしてでも払った方がよいのでは?と答えるあさ。
トンデモナイ状況ながら、切り抜けて新時代の朝を信じる姿が心強いですね。

しかもここで新次郎の言葉を引用するんです。

その精神には正吉もすっかり心酔。

嫁いで来てから間もないのにここまで信頼されていると主人公補正(さすがヒロイン様)になりそうですが、あさの場合、今までも「びゃっと筋を通」してきたので、嫌味がありません。

正吉はあさの意見を受け入れ、残金がいくらか数えるように依頼します。
積極的に新政府と結びつく路線を選ぶようです。

銀貨が使えなくなり大阪は大パニック

かくして、あさ夫妻の寝室は再び大福帳だらけに――。
新次郎にアドバイスを求めると、チャランポランなようで知識教養のある新次郎が、井原西鶴『日本永代蔵』の「長者丸」を語り出します。

ここで新次郎とあさが、コスプレ姿で長者丸寸劇をします。

こういう変なセンス、NHK大阪らしいです。
新次郎はあさに本を渡して出かけようとするのですが、本の中にあった言葉を引用したあさに「遊んでばかりではいけない」とたしなめられます。

十万両のピンチをどう乗り切るか思案中の加野屋に、さらなる試練が襲いかかります。

なんと大阪で流通していた銀貨が使えなくなるというのです。

江戸時代は江戸は金本位制、大阪は銀本位制だったのですが、新政府は統一してしまったわけですね(ただし、庶民の間では江戸でも銭と銀が流通してました)。

イキナリ「あんたらの持っている銀貨は使えませんぜ!」となったら、そりゃもう当然パニック。
手形を持って大勢の人々が押しかけてきます。

銀手形を預け、それを金手形にすればよいのですが、群衆は既に冷静に考えられなくなっています。

加野屋は、正吉が寝ているため、番頭の雁助が応対に出ます。

これがかえって群衆を怒らせてしまい、頼りない新次郎も幼い榮三郎も出すわけにはいきません。

そこで、あさが出ることに!
さあ底力をどう見せるのか!?

彼らの言う「公平な日本・日本人」はドコにある?

実は今日、全体から浮いたシーンがありました。

今週の五代パートです。

大久保一蔵(大久保利通)と差し向かいで呑む五代友厚は、新政府参与にスカウトされていました。
二人はもう薩摩の人間ではなく、日本人になったのだと語り笑い合います。

維新モノのテンプレとも言える会話ですが、残念ながらこういう表現は色褪せて胡散臭く見えてしまいます。

彼らの言う「日本人」の中に、幕府側の関係者や武士以外の人は含まれているのでしょうか?

明治時代、権力に近い立場や軍上層部は多くの薩長出身者によって占められました。

「なぜ明治政府の実力者には薩長が多いのか?」
「なぜそんなにすごいのか?」
なんてネタを時折見かけますが、能力ゆえの人事ではなく、出身者優遇の結果。

誰もが皆、新しい日本人になったワケでもなく、差別なき公平な世になったワケでもなく、これから藩閥政治へと舵が切られていくワケです。

さらに本作では、敗者側の不公平ではなく、身分による不公平も描かれました。

五代にせよ大久保にせよ、彼らは武士です。
武士は尊重する一方で、商人たちからは金を根こそぎ取っても平然としているわけです。

新日本、新日本人を作るための痛みだ、犠牲だ、仕方ないと言ったところで、金を請求された商人や銀手形を持って集まっていた群衆は納得するのでしょうか。

新しい時代の到来に目を輝かせる彼らに、維新で苦しむ人々の姿は見えているでしょうか。

その答えは、これから五代を通して描かれるのでしょう。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

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