あさが来た 21話 感想あらすじ 西郷どんがトンズラこいた難しい局面

宇奈山藩蔵屋敷に出向き加子部屋へ通されたあさ。
下っ端の水夫たちの荒くれ者たちがいる場所でも、怯むこともなく枕を出して寝てしまいます。

むしろ動揺しているのはお供の亀助。そして、あさから店に戻されたうめに事情を聞いた新次郎と正吉です。
あさはいつ帰ってくるか?
と、オロオロするほかありません。

そこへケロリとした顔で、しかも借金の一部を回収して無事戻って来たのでした。
かくして正吉に加野屋の一員として認められ、他の借金回収も認められます。

あさ夫妻、その家族、使用人までキャラクターが生きていて、雑談ひとつとっても楽しくなってきましたね。
ドラマの世界の中、いきいきと人物が動いています。

朝ドラは週ごとにミッション設定があることがあり、土曜日に解決されるパターンが多いものです。
前作『まれ』はその典型で、月曜日と土曜日さえ視聴すれば話が追えました。

ところが本作では、週の中ごろ水曜日の前半で、借金回収ミッションはあっさりと終わってしまいます。
いいですね。一筋縄ではいかない雰囲気が感じられます。

「徳川様の幕府が、のうなってしもうた……」

一方の山王寺屋は?

次から次へと使用人を解雇してしまったため、主人の栄達が薪割りをしています。

気遣うはつに向かって、「番頭あがりの苦労人だからこのくらい平気だ」と語る栄達。
強烈な菊のせいで影が薄い人物ですが、よい人ではあるようです。

そこへ惣兵衛がよろめきながら入ってきます。

「徳川様の幕府が、のうなってしもうた……」

ついにこの日が来ました。
大政奉還まではそう簡単に崩れないと言い合ってきた山王寺屋の人々。
これからどうなってしまうのでしょうか。

ここからは大阪の町人が見た歴史の転換点です。
慶応4年(1868年)、亀助は鳥羽伏見の戦いを知らせる瓦版を見て驚きます。

徳川慶喜が敗走――。
その一報に加野屋の人々が驚いていると、丁稚・弥七が慌てて異変を知らせに来ます。
あさたちが外へ出てみると、なんと大阪城から煙が上がっているではないですか!

朝からゾッとしました。
私が思い出したのは9.11です。

弾丸一発飛び交わなくても描ける激動

ツインタワービルに飛行機が突っ込んだあの瞬間。
街のシンボルである大きな建物が燃える絵は、時代が変わると人々に知らしめる悪夢の瞬間になります。

驚きながら城を見守るあさたち一人一人が、もう引き返せない転換点の向こう側に行く瞬間です。
ずっと同じように続くと思っていた人生が、そうではないと思い知らされる日。昨日と同じ明日は、もう来ることはないのです。

大阪城炎上の場面、ツイッター上ではなぜか徳川慶喜がひどいと言及される事態になっておりました。

念のために書いておきますが、徳川慶喜は出てきません。
視聴者の脳内で、嫌がる松平容保らを引き連れて、大阪城から江戸まで逃げる慶喜の姿がフラッシュバックするわけです。

先週の土方歳三の出番もそうでしたが、うまく史実とリンクさせる話や絵を作り、視聴者側に脳内補完させる仕組み作りが実にうまい。弾丸一発飛び交わなくても、戦争や激動の歴史を描くことはできるのです。

こういうのが見たかったんですよ!

正吉や栄達を含め、大阪の有力商人たちは、新政府から呼び出しを受け二条城まで向かいます。しばらくして、正吉は腰を抜かさんばかりにして、這々の体で帰宅するのでした。

十万両の調達に絶望感がただ募る

正吉が語るには、なんと十万両を調達しろと新政府から沙汰が降った、とのこと。

新選組の四百両がささやかな額に思えてきますね。
しかも借金ではなく、献金要求ですからね……。

十万両とは、千両箱で換算すると百箱とあさ。先日、蔵には千両箱なんて少ししか無いとビジュアルで見せているので、絶望感がわかりやすいです。

この莫大な金額で何をするか?
江戸より北へ攻め込むための軍資金だそうです。

ちなみにこのとき新政府が大阪の商人に求めた総額は、三百万両です。
それを皆で分けて加野屋は十万両になったわけです。山王寺屋も同様に要求があるでしょうから、もうひとたまりもないでしょう。

燃える大阪城を見て徳川慶喜を思い出した人がいたように、私は二年前の『八重の桜』で山本覚馬が「会津を攻めるな!」と叫んでいた姿が甦りました。故郷を攻め込まれるのもつらいことですが、金を根こそぎ取られるのも悲惨です。

西郷どんで戊辰戦争をカットした理由がここにあり

さらに新政府軍は行く先々で軍資金と食料を供出させています。
金目のものを求めて蔵ごと掠奪してもいます。

戊辰戦争では大勢の人がたいへんな目にあっているわけです。

そんな目に遭わされてから、たった十年そこいらで、薩長出身の県知事が赴任したときの県民感情を、西郷どん脚本家さんはお察し下さい。

というかですね。
西郷どんが、鳥羽伏見あたりから一気に戊辰戦争をカットした理由がここにありますね。

「いろんなところから金を絞りとっても! 相手が恭順すると言っていても! それでも戊辰戦争は必要です!」
と説得力を持って描けないという完全敗北宣言なのです。

そのくせ、得意げな顔をして「新しい日本を作る!」とか言われましても……。

大河では逃げ回った難しい場面を、朝ドラががっぷり四つ組み合う夜明け前。
大阪商人から見た激動の時代、楽しみにしています。

※大河ドラマも朝ドラもU-NEXTならスグ見れる!
スマホでもOKです。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]

 

1 Comment

こけにわ

まんぷくのレビューを続けながらのあさが来たのレビュー、ありがとうございます。もうまんぷくは見ていません。
朝は、気持ちを台無しにされたくない。
911の例えに感心しました。
そうでしたね。時代が動く時の混乱、
身近に感じました。その中で必死に生きるヒロインを見る。
それが、朝ドラであってほしい。
再放送ですから、これからのあさの活躍も、はつの踏ん張りも知っています。
それでも、とても楽しめています。

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