照子誘拐?
てるちゃんは草津の人攫いにさわられてまうん?
そんな緊迫感で終わり、本日を迎えます。
喜美子と信作が困惑する中、宗一郎が状況を聞きます。
照子はよく、機嫌を損ねてどこかへ行ってしまう。
けれども、今回は人攫いがいるのです……。
ポン煎餅についたったらあかんで
和歌子はこう子供たちに問いかけます。
「ぎょうさん、ぎょうさんポン煎餅やると言われても、行かへんわやろ? 知らへん人に言われてもいかへんやろ?」
対する子供たちの返事は?
「……いく」
「行くわ! 行くで!」
そんなもんやで。
一時期、誘拐犯の手口といえば食べ物が定番でした。それだけ日本は飢えていたわけですね。
読者さんの年齢によっては、祖父母ぐらいの世代も、父母も、お菓子につられるなと学校で指導されました。
時代がくだると、レアなおまけつきお菓子で釣るとか、手口が巧妙化していきます。
「僕はいかん」
信作は理知的やわ! さすがやで。しかし、喜美子はこう念押しだ。
「ポン煎餅やで?」
「いく……!」
いくんかーい!
それを聞いて照子の母・和歌子が慌てます。
「ほな……照子もまさか、草津の人攫いに! 十二歳の少女を山の中に連れて行く。そして、ああ!」
「捜してきます!」
宗一郎も、捜しに行くと言い出します。
手袋作戦続行中!
そんな照子は、午後になっても見つからない。
お巡りさんも出動して回っているというものの、見つからないのです。
ここで、あの赤い手袋が出てくる。
親切なお巡りさんは、落ちていたという赤い手袋を拾ったと言います。それを、きみちゃんとなおちゃんにあげると提案するのですが……。
背後には大野忠信。そしてそばには大野陽子。そういうことや。
けれども、大野夫妻は策を全部話していないので、ちょっと不自然な感じに。
「なんで? そんなのおかしいやん!」
「もともと買うた持ち主があげるて」
「誰?」
知らん人からはもらえないと言い切る喜美子。しっかりしています。
それだけではなく、厄介な子供の好奇心があります。
草津の人攫いが山の中に連れて行って、どうしたのかと聞いてしまうのです。これはつらい。
「ひどい目にあわされるから、気ぃつけやということや」
お巡りさんは丸めつつ、こう続けます。
「手袋は拾った人のものになるから、もろうてくれよ、きみちゃん!」
「ええの?」
ここで大野夫妻がよっしゃあ! 顔になる、と。
陽子が急かします。
「春になってまうわ! ええ加減もらいな!」
「わかりました、ありがとう!」
陽子と忠信、大喜びです。
苦労したなぁ。これも喜美子がしっかりしているということもあるんでしょう。
グイグイくる、そんな関西の親切心が炸裂していて、ええ場面でした。
喜美子は引っかかってはいたものの、妹の直子は素直に喜びます。
生まれながらの女王様気質かもしれへんね。
喜美子はジョーに報告したがるのですが、マツから「お父ちゃんには言わんで使ってええ」と言われ、やっと喜美子も大喜びです。
これで洗濯物をカツ子おばあちゃんに渡してくると、喜ぶのでした。
「ぬくいなあ!」
「ぬくいなぁ!」
「ええなあ!」
「百合子も、ええなぁ!」
姉妹はぬくい、ええと言い合い、赤い手袋をした手で頬を挟んで大喜びです。かわいいな、おい!
「お母ちゃんもほら!」
「ええなぁ〜!」
「ええなぁ〜!」
怒涛の「ええなぁ〜」連呼。
こういう関西弁と人情が出てきて、関西出身の出演者さんは里帰り気分かもしれませんね。
ひどい目の中身とは?
「てるちゃんも、手袋ちゃんとしてるやろか。はよ見つかるとええけど」
喜美子がどうしたって気になるのは、てるちゃんのことです。
喜美子は冬休みに入って、一人暮らしのおばあちゃんの洗濯を請け負っておりました。そうしてわずかながらのお小遣いを得ているのです。
「カツ子おばあちゃん!」
「あんじょう畳んでやっとくれよ」
こういう脇役まで、関西弁が綺麗なドラマです。
ここで喜美子は、おばあちゃんに「人攫いがあわせるひどい目」の中身を聞いています。
初回から思っとったけど、きみちゃん、めんどくさい性格やな。
納得できひんと、聞いて聞いて聞きまくるやろ。
カツ子おばあちゃんの返答が強烈でして。この頃ですと、ギリギリ江戸時代生まれもいる時代です。おばあちゃんは明治生まれかな。
そんなおばあちゃんの考えるひどい目とは?
見世物小屋に売られて、足で三味線を弾かされる。
できないと鞭で叩かれる――。
ええ落とし所やと思います。
もっと生々しいあれやこれやではない。
地元の人間ならば身代金を目当てにした方がいいと思うところですが、動機不明で地元出身者ではないようですからね。
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