ポンパドゥールスタイルです。
現在のものとは別物。
名前の由来は、ルイ15世の寵姫・ポンパドゥール夫人ですし。そういう当時の流行なのです。
サザエさんのヘアスタイル女性が目の前にいたら、うわキッツゥ……となりかねませんよね。
なので、ドラマでもぼかす。
ところがショーだけあって、ここでは再現しているのです。
どうしたNHK大阪……こんなに突っ走って体力もつか?
まだ一ヶ月経ってへんで。
※0:25あたりからご覧ください
そんな控え室でも、お茶を淹れる優しい喜美子。
こういうところはマツに似たのかな。
一方、ちや子はさだに取材中。さだは思わずシャウトします。
「ストリップと勘違いするアホがおんねん、困るわ!」
せやせや。
女の下着は生きるためのもんや。エロ目的だけやないんやで。
そんなさだの目的は、下着への関心を高めること。アメリカでは婦人がブラジャーをすることは常識となりました。
かくして、ショー開幕です!
「ブラジャーにご注目ください」
胸が豊かでなくても、ブラジャーでバストラインを美しく出すことができる。そう説明されます。
「大きなバストが好きなのは、人間の本能だ!」
という言説には注意せなあかんで。
というのも、大きなバストが美しいとされたのは、マリリン・モンローあたりからじゃないかと言われておりまして。
むしろ人類史ででかいバストに着目し始めたのは、ごく短期間です。
引目鉤鼻にせよ。浮世絵の美人にせよ。
そういうルールを理解できない現代人からすると意味不明ですよね。
大きな胸がともかくいいという考えは、現代特有のルールに反応しちゃっているだけかもしれない。ちょっと考えてみましょう。
ビーナス像だって、別にそこまで豊かじゃない。
むしろ大きいと、なんだかダサい、バランスが悪い、いかにも出産後っぽいよね〜……と西洋ですら思われておりました。
東アジアでも、大きな胸とは出産後と加齢の象徴という意識が強いのです。
和服を着る時は胸をなるべく潰します。その方が美しいという意識がありました。
ですので、ここのさだの指す「豊かなバスト」は現在と基準が違うと思われます。御留意ください。
さだがあくまで目指すのは、あのビーナス像のような健康的な肉体美です。無理やりボヨンボヨンさせてエロいな〜! と男を喜ばせるものではちょっとちゃうかと。
ともあれ、喜美子はうっとりするしかない世界。
照子様も嫉妬する最先端モードですものね。
ちや子はシャッターをパシャパシャ。
下着の皆さんがランウェイを練り歩きます。
拍手喝采を浴びるモデルたち。それを見て喜ぶ喜美子なのでした。
これも、現在から見るとおとなしいというか、サマーワンピースレベルの露出度ですよね。
ブラジャーでギョッとさせつつ、下着変遷まで見せる本作は、心の底からおそろしいと思います。
歌声喫茶で引き抜き談義やで
帰りに、あの歌声喫茶へ。
マスターのコーヒーの淹れ方がいいっ!
これはこだわってる。豆も厳選する。そういうええ喫茶店オーナーのオーラが出てはる。
昨年は、オッケーを連呼する軽薄な喫茶店オーナーがいたなぁ。あの人は、客の噂話に夢中で、コーヒーをこだわって淹れていた記憶がない。
あの喫茶店は内装も今にして思えば甘かったかもしれない。
というよりも、この喫茶が良すぎる。本気出してきたやろ。
ちや子はここでも早々に記事を書き上げております。
細かい。筆跡から万年筆のインクまで、ちゃんと昭和しとる。
ここでちや子は電話を借りて、かけ始めます。
オーナーはコーヒーを置きます。
「よう来てくれたね、へっへっへ、歌集もあるで」
「歌集?」
歌集はある。だって歌える喫茶だから。
それにしてもこのオーナー。
コーヒーを淹れる仕草は抜群のカッコ良さでこだわりがあるのに、口を開けると「へっへっへ」。なんちゅうええ関西の喫茶店オーナーや。これやで。
そのとき歌声が聞こえてきました。
誰かと思えば……雄太郎やないか!
真顔で当時のヒット曲を歌っています。完全に真顔です。
※春日八郎さん『赤いランプの終列車』
ナゼ雄太郎が歌っているのか。説明なし。歌声喫茶やからね。
にしても、こいつはなんなん……?
ちや子は慌てて喜美子に訴えかけます。
「大変や! 引き抜きや!」
「えっ、引き抜かれたんですか?」
「うちやない、きみちゃんや! えっ、雄太郎さん? 雄太郎さんやん! しかもうまいやん!」
ここで雄太郎に気づく意味あるんか?
ない。でも、この間がええんや……。まぁ、うまいし。
「ああそや! 引き抜かれたで! お給料今の五倍は出す言うてたで!」
げーっ!
雄太郎はともかく、五倍の給料で新聞社でお手伝いをするってこと?
ええ話やないですか。
もうこれは、喜美子が荒木荘怒りの撤退をしてもええかもしれん。とはいえ父親絡みの義理もあるし……さあどうなる!
にしても、ですよ。
引き抜き交渉で週跨ぎって、どういう世界観なんでしょう。
いいですね。
そして雄太郎は熱唱しとる。
地味どころじゃなかった……
誰や!
地味いうた奴!!
そう言いたくなるほど、恐ろしいコテコテの濃厚さが出てきました。
信楽はあれでも抑えとったんやね。
週前半の荒木荘だけでも濃かったのに、デイリー大阪が狂っとる。いや、もちろん褒めてます。
記者がツッコミどつき合いをしているわ。
社長まで夫婦茶碗で突っ込まれるわ。
あの場面はテンポが早くて、これは慣れ切ってなければ中々出せないと思う。
案の定、お笑いレジェンド投入でした。
下着ショーもええの。あれはクオリティが普通で、かつちゃんと高いからそれはそれでええの。
歌声喫茶が、混沌に突っ込んだ。
あそこに雄太郎がいる意味あります?
ないやろ。なんでええ声で歌っとんねん。
しかも、ちや子が一人ボケツッコミをしている。いろいろすごかった。
本作は女性脚本家かつ女性のCPの作品です。
陶芸がテーマ。
しっとりええ作品を偽装しとったやろ?
騙しおったやろ?
おばはんにせよおばちゃんにせよ、真面目でユーモアセンスがないというのはただの誤解です。
PTAがざます言葉でエンタメを取り締まる。
そういう姿勢をおちょくったスタンスを、いまだに引き継いでいる、進歩できない人たちの誤解ですわ。
上沼恵美子さんだけ集中して、お笑い審査に文句つけていたニュースも思い出しますね。
そんなことないやん。
上沼恵美子さんめっちゃおもろいやんか。
彼女のような、真面目に語っているスタンスで爆笑もののことをサラリと言う。
そういうおもろいおばちゃんらが、狙いに狙って笑いを取りにきた。そういう新しいパワーを感じます。
今朝も笑いました。
ヒラさんにも喫茶店オーナーにも、期待しとりますで!
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
スカーレット/公式サイト
この朝ドラ「スカーレット」は前作のスタッフを総入れ替えして挑んだBKの意欲作です。内田ゆきCP、中島由貴Dの「ユキユキコンビ」(イケイケコンビ?)の強力ラインが脚本水橋文美江と組んだタダもんじゃない朝ドラです!