スカーレット34話 感想あらすじ視聴率(11/7)手書きのお茶漬けレシピ

喜美子は笑顔で、夜の荒木荘に戻ります。

その胸中は?

アカン方のジョージは忘れて、緋色の決意を見届けましょう。

お恥ずかしい話ですけど……

その夜、喜美子は荒木荘の皆さんに身の上を語ります。

「お恥ずかしい話ですけど、そういうことです……ほんで、ほんで決めました」

学校は断念。学費で借金返済。信楽に帰らせてもらう。

これ、セリフひとつとっても悲しいなぁ。

何も恥ずかしいことはないはず。きみちゃんは何も悪くない。
ただ、ジョーという身内があかんからには、こう切り出さんといかんのです。諸悪の根源がぁ!

ジョー……絶対に許さない。カスゆえに喜美子の思いは関係ないのでしょう。
顔も見たくない。
※北村一輝さんは何も悪くないどころか、素晴らしい名演です

そんな喜美子は大阪へ向かう汽車の中で、荒木荘のことを思い浮かべていました。

鍋、布巾の場所。

ホウキはどれを使うのか。

手に取るように荒木荘のことが浮かんだ。

自分でも結構やってきたんちゃうかな。勝手にそう思えた――。

幻想的で美しい。
撮影、照明、大道具、小道具、音楽……全員がやり切った感がある、素晴らしい絵でした。

カーテンがどうなびくか。鍋がどう光るか。
考えに考えて、ただの台所を美しく撮影する。

そんな腕の見せ所やで!

『なつぞら』は豪華だった。
ドローン撮影した十勝の景色は美しかった。最高だった。

大阪ではああいう絵は撮影できんのよ。

NHK大阪は、そういう大自然と潤沢な資金に頼らずに、違いとよさをみせな(アカン)。そういうことやろなぁ。

家の仕事に終わりはあらへんで

大久保には認められないけど……。
そう漏らす喜美子に、その大久保はこう返します。

「認めるかいな。家の仕事に終わりはあらへんで。認める日なんか来るわけないわ」

すごい。
これまた超絶技巧。

戸田恵梨香さんも指摘していましたが、喜美子はわりと演説キャラなんですね。長広舌がある。
脇役は、そこに短い言葉で切り込みます。

大久保のこの言葉は、家事の本質です。
会社ならば、はい、プロジェクト終了っと! 進捗管理グループウェアに入力してはい、おしまい。

これがあるけれども、家事はそうじゃない。
果てしないだけ疲れ果てるということでもある。

会社から帰ってビールを飲んでいる側は、気づかないかもしれないけれど。
ビールを冷やす側は、終わりのないタスクをこなしているのです。

けれども、大久保は鬼じゃない。

「認める、認めんでいうたらあの時やん……」

さだも気になって促す。
あの時とは?

「大久保さんが作ったごはんは、大久保さんにしかできへんのちゃう」

喜美子がそう言った、その時から認めていたそうです。

「最初の日やんかー!」

さだが泣き笑っています。

大久保は、こういうこと=家事は誰にでもできると思われる。そう言い放った。
そうじゃない誇りがあるのに、気づかない。そういう世間に怒るどころか順応してしまった。

それなのに、喜美子は違うと気づいた。
その瞬間から、グッときていたのでしょう。ええなぁ〜。

喜美子の【旅のお供】――ああいう陶器のかけらをかざすと光るように、人間にも光る何かがある。
そこに気づくか、気づけないか。

ここが重要なんじゃないかな。

喜美子は感動しつつ、大久保さんから教わったことを、次の人に引き継ぎをすると言います。
けれども、さだはそれは大久保がやると告げます。

大久保も、荷物をまとめたと言い切ります。

「ここはきみちゃんがおらんかってもかまへん」

「かまへんかまへん」

本音やないんやろね。

「寂しまっしゃないか……」という気持ちはあるにせよ、そこを二人は隠している。

けれども、雄太郎はそうじゃないのか。
啜り泣きながら、雄太郎は席を立つ。

さだと大久保は喜美子を労ります。

「これからは信楽のお家のこと一生懸命やるんやで」

大久保、何よりの励ましの言葉です。

と、ここへギターを抱え、カツラをかぶった勇太郎が戻って来る。
ギター指導もちゃんとついてます。

「きみちゃんおらんでもかまへ〜ん♩」

「ええ~! 歌うんのん?」

「歌かいな」

視聴者が突っ込む前に、さだと大久保が突っ込んでいる。

「さみしいけれどもかまへん♫ きみちゃん去ってもかまへん♫ かまへ〜ん♪ さよなら言うてもかまへん♩ さよならいうてもかまへん♪」

猫には嫌な音なのか。
ギャー! とすごい声をあげております。ま、猫同士の喧嘩やろな。

しんみりしそうなところをギターでぶち壊す。
ええ話だけだと照れる――関西ストロングスタイルが炸裂するのでした。

芸名・信楽太郎で再起や

喫茶さえずりにも別れを告げる喜美子。
ちや子の顔が見たいのだとか。

しかし、ちや子は昨日も戻らなかった。
マスターは、雄太郎に目線で促します。こういうところはカッコええな!

なんでも新聞社を辞めて、喜美子と入れ違いで泥酔帰宅をしたそうです。

「辞めたった! 辞めたりました!」

グデングデンの酔態。
これは演じる水野美紀さんもきっとノリノリ、よっしゃ、役者魂込めたるで! そうなる場面やろなぁ。

何があったのか。
と言えば、ヒラさんの無断移籍がショックだった模様。

実家に帰る前に、さえずりでやけ食いをしたとか。
二日酔いのあとなのに、オムライスやステーキを食べまくったそうです。

本作は料理担当者が本気を出しておりますので、昭和の喫茶店メニューがほんまに美味しそうだから罪作りやで。
これをもりもり食べる演技をする、そんな水野さんが羨ましくなるわ!

ちなみに本作にも出て来る糠床は、『ごちそうさん』以来だそうです。思えば糠床がナレーションという、あれは意欲作だった。
そういう視聴者のニーズを見越して、本作公式サイトにはじゃんじゃん料理レシピと解説が出ております。必見やで。

雄太郎は、信楽なんて汽車ですぐ、言うとくよ、と伝言を買って出ます。

ここで、手紙を書くと言い出す喜美子。会えずじまいのちや子に、思いを書き残す喜美子です。

このあと、雄太郎はサンタ帽をかぶって見送ります。
映画俳優で売れっ子になったら、ジョーにオート三輪山ほど買うって。

オート三輪のようなもんを山にしてどないすんねんと思うものを、敢えてこう言う。関西やな。

きみちゃんはどうかと聞かれて、こう返すのです。

「ほな、妹にテレビジョン買うてもらおかな!」

「まかしときー!」

遠慮しないし、ドーンと引き受ける。
こういうノリがわからない関東もんが会話にいると揉めるかもしれません。

もし『なつぞら』のイッキュウさんがいたら、理詰でわけわからんことを突っ込みそうではありますが、パーっと流してこそ、そういうところはありますよね。

雄太郎は、芸名をつけてくれと言い出します。閃きで!喜美子は考えます。

「信楽太郎!」

「それはあかんわ」

これで本当に信楽太郎になっても、ええと思うけどなぁ。

「じゃあ戻るわ」

「ほなここで」

「気ぃつけてな。さえずりの姿は仮の姿……」

「わかってます、信楽太郎さん! 仕事頑張ってください。うちも頑張ります」

突っ込みながら、別れる二人。
雄太郎さんはええ存在感だったと思う。

キャラクター的には、圭介のような初恋といった要素はない。
女三人のように、ロールモデルになるわけでもない。

いてもいなくてもいいとは思うんですよ。

じゃあなんでいるのか?
それはある意味、屋根の上の三毛猫みたいなものかもしれない。

癒し! これやで。この圧倒的な癒し感。
無駄なことなんてない。そういう人だった。いや、また出てきてくれっ!

かくして貴美子は、大阪から、荒木荘から去ってゆきました――。

そうナレーションが語る。

辛いです。

心まで寒い朝や……。

自分で決めた道

ちや子が戻ったのは、それからしばらくあとのことでした。

がらんとした部屋に立ち尽くすちや子に、雄太郎は喜美子からの手紙を渡します。そこには……。
※続きは次ページへ

2 Comments

管理人

>あしもと様
ちや子さん、あんなに泣いてたら、茶漬けなんて食えないでしょ!
代わりにこっちで泣くから、ぐぉおおおおおおお(T_T)
って感じでした。
嗚呼、喜美子の境遇、決意を思うと心が痛い……。

あしもと

今日は大久保さんで泣き、雄太郎さんのギターで泣き(泣くとこですよね?笑い泣きです!)、ちや子さんで泣き、さらにこちらのレビューでも泣きました

本当に何人もの喜美子がいたし、今もいると思います。それが如何に罪深いことか。一見昭和の価値観を描いているようで、まんぷくの「支えるヒロイン」とどう違うのか。昭和の「フツウ」を男目線で美化してない、しかしちゃんと全員に陽を当てているのが分かるドラマですね。

ちなみにサイトのレシピも泣けますね、、登場人物への愛情があふれてます

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