スカーレット47話あらすじ感想(11/22)百合子がめっちゃ逞しく

昭和着せ替えゲーム【ミラクル喜美子】や!

川原家に戻った喜美子を母と妹が迎えます。

「お帰りなさい」

「早かったな、終わったん?」

「こんな格好あかん言われた! 二時間や! 二時間で戻れ!」

かくして、喜美子の着せ替えゲームが始まります。

制限時間あり。

課金なし。

センスが田舎。

『なつぞら』の亜矢美ワードローブと難易度の差がすごいぞ!

一張羅、お父ちゃんのもん、ちっちゃい。
悲しい単語が飛び交いつつ、奮闘する川原家の女たち。

そこへ助っ人・赤赤シャツの信作がジョーからの電話だと伝えに来ます。

百合子はドスの効いた声でこうだ。

「来たな……電話、うちに任して!」

ジョー、電話すら災難、敵襲来扱いや。
日本中のお父ちゃんを今朝も朝ドラHELLに叩き込むで。

信作、異変を察知し、援軍を呼びに行った模様。

ジャーン、ジャーン、ジャーン!

援軍・陽子参上!
服を落としながら、駆けつけてきました。

これで勝てる気がする!
目覚まし時計が残り時間を告げる中、陽子率いる援軍が大盛り上がりです。

「あかんあかんあかん!」

「あんたのサイズやん!」

「これやこれ!」

「いややもう!」

「言うたらなんだけどよ、貧乏くさい」

「隠しても隠しても貧乏はこぼれ出るな……」

全然ときめかない、キラキラ感がない着せ替えが続きます。
そして喜美子は無頓着。

『なつぞら』のアニメスタジオのみなさんは、クリエイターらしいオシャレさんが多かったようですが。

喜美子は言われるがまま。
絵付けデザインにセンスが全て吸収されたのか? 幼少期からそうだった? 貧しくてお洒落できないから? それとも徹底して無頓着? さあどっちだ?

「ごめんください」

ここで、どうやらおしゃれ最強の助っ人・有子が来たようです。勝ちが見えてきたぞ!

ジョー、あしらわれる

百合子は可愛らしい声で父の電話に応対中。

ちょっと比べてや。
あのドスの効いた声と、この声。

本作にもあった、女のハスキーボイスはおっちゃんだという叩きとか。

あるいは作りすぎアニメ声を嗜めたアニメの大御所が叩かれるとか。

覚えときぃ!
かわいいアニメ声は、高い声は作っとるんやで。
それに浮かれてウハウハしてもええ。せやけどな、それが地声と勘違いしてどないすんねん!

百合子はキャピキャピ声で、変わったことはないと誤魔化すわけですが、ジョーは喜美子を出せと言ってきたらしい。

ここで信作とオゥちゃんコンビが出てきた。

「もしもし、父ちゃん喜美子!……すんません、信作です。おじさんどうですか。東京いつ戻らはります? 親父も寂しがっとりますよ」

はい、ここで交代。

「もしもし喜美子ですぅ! ふははははは!」

ジョーのカス打線対応バッチリや。

・物真似ジョーク

・話を逸らす

・酒の話を持ち出す

・これで忘れるやろ

対応をバッチリ身につけた、ナイスバッテリー大野父子によるジョーカス完封ですわ。

喜美子は陽子に口紅を塗られつつ、こう言います。

「あと何分?」

「もうちょっとで終わるさけ、はい、完成」

これには着せ替えゲームプレイヤーもニッコリ。

「こう言うたらなんやけど、きちんとすると美しい子や〜」

うーん。これもな。
戸田恵梨香さんで、ヒロインだとわかっているから視聴者は美女だと思う。

けれども、現実社会では喜美子のような格好と言動だと、
【女捨ててる】
で終わりですやん。

マツは泣き出します。

「ほんま……ありがと……この子、絵付けばっかりで成人の集いにも出えへんかったんよ……」

「あんなんただの集まりやん」

げえーっ喜美子ぉ!
それ言うたらあかん!

信作にスーツを仕立てた陽子はたしなめます。大野一家はええ人たちやで、ほんまに。

親にすればそうじゃない。節目である。
この三年間、どれほど親が心配したことか。

「写真撮っといで、とびきりええ笑顔して、撮ってもらうんやで」

母がこんなに感激するとは思っていなかった喜美子です。
そうナレーションが説明するわけですが。

こうしてフォトセッションに挑みます。
喜美子の前にはデザイン画とは違う、ピンクのほんわかした色にされてしまっている火鉢。

こんなんおかしいやろ。喜美子はもっとシックなデザインにしたのに。
何かあったな?
揉めるな?
そう思ってしまう。

カメラマンがシャツのボタンとの間にネクタイを入れたカメラマンの言うまま、ポーズを取る喜美子。
こういうプロがぎこちない姿勢を取る演技がいいんですよね。

「マスコットガールらしさ出てますね」

周囲はそう盛り上がります。

撮影中は頓珍漢なことばかりさせられ、喜美子は不本意でした。
照子の顔、母の涙を思い出し、これも絵付けの仕事のいうつやと思ってこうなりました――。

ナレーションの説明とともに、新聞記事が出てきます。

ここで、ある人物がその記事を見る姿が映し出されます。

その顔は?
笑ってへんよぉ、むしろけわしいよぉ!

八郎は、絶対に喜美子と接近する重要人物や。これは間違いない。
それなのに、着飾った彼女が可愛いと思うどころか、怒っとる。

波乱の予感や。

ピンクと甘いもんが好きでぇ、声が高くてぇ〜(作りもんやで)

喜美子の着せ替えで盛り上がったようで、何やら不穏です。

そもそも喜美子のデザイン画と火鉢の色が全然ちゃうやん。

これはええ概念がある。

【ダサピンク現象】や。

◆「ダサピンク現象」から考える、女性が“本当に求めている”モノ

ここで注意したいのは、
【ピンクが好きな女=あかん】
ではないということです。

【女はピンクが好きなはずや! と思い込み、男性目線でようわからんピンクにすることがあかん】
ということです。

色の好みは人それぞれ。流行もある。似合うかどうかも個性がある。
そこを踏まえないで、全部ピンクにするのがあかんのです。

デザイナーの意見を無視して上層部の思い込みだけでゴリ押しするのがあかん。

そこを批判しても全然通じない人がいて、しかも勝手に怒り始めることはようわかった。

昨年のNHK大阪朝ドラは、役者の個性を無視してテンプレフォーマット衣装を使いがちでした。

ついでに言えば、無茶苦茶な補色も意味不明で。そう指摘したら、ドヤ顔でこういう人があらわれた。

「『なつぞら』にも補色衣装が出てきた。批判しないのはダブルスタンダードです」

補色は使い方としても一番難易度が高い。
だからこそ、適当に使えばダメ。
うまく使えばむしろ効果的なのです。そして『なつぞら』は高難易度補色をこなしていたわけですが……。

そこ、ちゃんと読み取ろうな。

ちょっと話がズレたようで、ここが言いたいところではあるんです。

ピンクが好きで、甘いものを食べて、キャピキャピしたアニメ声で喋る可愛い女の子。
胸が小さくて悩んでいて、うじうじしていて。

そういうテンプレ現象に陥ってませんか?
フィクションとノンフィクションの区別、ついてますか? あるいは二次元と三次元。

こういうテンプレによる決めつけの危うさは『なつぞら』の高山に出てきました。

彼は自分がかっこいいと思い、交際相手の夕見子も憧れている泰樹像を勝手に作ったわけです。
ジャズを聴いてウイスキーを飲んでいる、と。

そうでなくて、お饅頭を食べているとなつは苦笑していた。
挙げ句の果てに【抹殺パンチ】+【髭を剃れ宣言】を喰らう。

あの作品ではその愚かさと罠が描かれていたわけですが、本作はもう一歩、えげつない踏み込み方をします。

テンプレ通りに型はめてゆく愚かしさと。
型にはまった浅はかさを成敗される、いわば【抹殺パンチ】を受ける側がヒロインになりそうなこと。

気になりますなぁ。
八郎は公式サイトや紹介でも、変わっているとされています。

松下洸平さんは東京出身です。
ここも気になります。

東京都出身の佐藤隆太さんも、草間宗一郎というちょっと周囲とテンポが違う役でした。

関西の中の関東が、何かを変えるのかな?
対立ではない補完的なものを、本作のアプローチからは感じるのです。

ドラマの作り手、報道関係者、視聴者読者の脳天直撃の一撃!

来るで、備えな!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

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