スカーレット47話あらすじ感想(11/22)百合子がめっちゃ逞しく

喜美子の火鉢が採用された!

技術的に大量生産できんの?
ええの?

疑念はあるものの、敏春には考えがあるようです。

信楽初の女性絵付け師

喜美子の絵付けが採用されたことに、フカ先生、一番さんも二番さんも大喜び。お祝いをしてから、気合の入ったラジオ体操をします。

そこへ加山が入ってきて、喜美子は社長室に呼び出されるのでした。

信楽発の女性絵付け師――。

地方紙『滋賀毎報』の取材まで来るということになったというのです。

和歌子は「婦人絵付け師」ではないかと?言いますが、センスが古いんやね。
戦後は女性やね。

ちょっとズレたことを言う和歌子にバツが悪いのか、秀男は「もういっとけや」と追い払おうとします。

そのうえで、敏春を褒める。
記者を含めた編集局と敏春には縁故がある。そこを褒めるわけです。

絵付けしているところも写真撮影するってさ。

おもろいっちゃおもろいんですわ。この前は婿に任せろと言う妻と、それに不満がある夫だったわけですよ。

それが新聞記者という第三者がいる場では、逆転するんですなぁ。
女は無知であてにならない、先見性がないということ。これはポーズ、第三者がいる前だからってこともあるわけ。女が道化役になることで、おさまる場もあると。

そういうことを見抜けずに「私は武士の娘です!」が口癖の愚かな老年女性キャラクターを作りあげ、「ぶしむす」だのなんだの盛り上がって、ネットニュースにまでする。正直、世の中への洞察力が浅いんじゃないかと思います……。

それに、この絵もなかなか嫌なものがあるんです。何気ない昭和の一場面ですが。

加山は奥で暑そうにしているだけ。
技術屋は宣伝から切り離される。
のみならず、ただのおっちゃんはどれだけ凄かろうとスポットライトが当たらないのです。

喜美子はどうか。
この場面で立ちっぱなしです。取材対象であり宣材であっても、そこに敬意はありません。

ジョー、自身不在の家で策を練られる

川原家ではちゃぶ台を囲みつつ、この知らせを聞いています。

マツはしみじみとこう言います。

「新聞て悪いことせんでも載ることあるんやねぇ」

マツさん、あんた……ジョーが悪事を働いて新聞沙汰にならんか、ハラハラしとったやろ。あるいは掲載された?
喜美子は取材と撮影は日曜だと説明します。

ここで百合子はあることが気になっていた。

「お父ちゃんには言わんでええの」

まだ東京にいるジョーです。姉と母は考え込みます。

「やめとこか……」

「ええよ」

どっちや。百合子は気になる。
喜美子には苦い経験がありました。丸熊の忘年会に出たいと言った時のこと。

「女のくせにお前、そんなもん、絵付け以外のこと許したことあるか!」

そう怒り、ちゃぶ台返し……未遂でしたが、ジョーよ……これは彼なりの娘への心配かもしれへんなぁ。

無礼講のどんちゃん騒ぎって、かつては芸者を呼んでエロエロ大盛り上がりしたもんだからさ。
今でもコンパニオン接待がありますわな。

ジョーなりに、娘がそういうことをされたらあかん!
そうモヤモヤしていたのかもしれへん。けれども、そこをうっかり言うと突っ込まれてあかん。

昭和のおっさんは哀愁があるけれども、そこには社会構造の問題もあったんや。

◆‪【議会2万人のホンネ】セクハラひどすぎ!怒りの女性議員体験談 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン

けれども、女たちにはわからへん。
マツは不安になる。

「今から断れんの? 絵付けの仕事に入るんちゃう?」

ここで百合子がドスの効いた声でこう宣言します。

「お父さんには言わんでええ。言わへんかったらきっとわからへん。新聞もばれんように隠して、見せんかったらええ!」

なかなかの策士ぶりや。
母と姉が戸惑っていると、こう宣言します。

「直姉ちゃんもおらん今、うちがしっかりせんと! 任しとき、お父ちゃんのことは任しとき!」

天使ちゃん、エエ方の妹から頼れる妹へ。着実に強くなっていく百合子です。

これもなかなかえげつない話かもしれん。
娘は成長と共に、父への策を身につけるんや。それを女同士で見守っとるんや。世のお父ちゃんはそんなんなーんも知らんと、生きとるんやでぇ!

世のお父ちゃんの脳天を背後から殴り倒しに行く本作、極めて優秀です。

それが嫌だったら『なつぞら』の剛男を目指しましょう。
からかわれつつも、しっかりと対話できるオープンな父ですよ。

頓珍漢な取材

かくして取材当日の日曜日――。
喜美子は工房で、緊張しつつ記者のインタビューを受けています。

川原喜美子と名乗ったところ、いきなりこれやで。

「固い……」

ここで深野心仙の九番弟子だから「キュウちゃん」だと社長は言うわけです。

記者は首を傾げつつ、こうだ。

「ふかのしんせん?」

そのことに驚く社長。記者の無知に呆れているようです。

「あんた、記者が深野心仙知らんの?」

戦前には芸術賞を受賞したほどえらい先生なのに、知らんのかい! そうムッと来ています。

これも残酷かも。
和歌子が「婦人絵付け師」と言うことは古いと指摘できる。けれども、深野心仙が古いという指摘には反発する。そういう心理が窺えるんだなぁ。

敏春は、そこはカットしていいと言います。

信楽初の女性絵付け師、マスコットガールだと促すのです。

そやから愛称は必要になる。せやけとキュウちゃんいうのはなぁ。可愛らしくないと。

「ミッコーどうです? 喜美子のミッコー。ミッチーブームに乗っかって」

ダサさとオヤジくささに悶絶した方もおられるでしょう。
ミッチーブーム、現在の上皇后陛下のフィーバーですね。

 

そうそう、ミッチーブームと昨年の朝ドラは関係がないわけでもなくて。
あのモデル企業の社名は、上皇后ご実家の社名とそっくりなんですね。関係があるようで、無関係です。

はい、トリビアはこれまで。

喜美子は唖然としています。
何か違うとつぶやくと、社長は喜美子の【き】を入れるかと言うわけですが。

そういうことじゃない!
三年間学んで、やっと絵付けができるようになった。それなのに、なんでそんなんを、愛称云々を言われなあかんのや!

しかし、通じません。

敏春は「ホットケーキ食べはる?」とよくわからんことを聞いてくる。喜美子は存在そのものがよくわかっておりません。
そんなん、おやつは煎餅やお饅ですからね。

「好きな食べ物ホットケーキいうのはどうでしょう? 絵付けでホットケーキを食べるようになりたかった……」

「ええですねえ」

「かわいいかわいい!」

「やめてください! うちそんなんやったらやらへん、やりたくありません!」

喜美子、キレる。
目の前で自分以外のキャラクターが作られていく。気持ち悪い。

それにこの、
【若い女=スイーツ】
というイメージにもイライラして、火鉢ぶん投げたくなる視聴者もいるはずでしょう。

「なんでや! なんでうちが塩辛好きだとあかんねん! タピオカ? 知らんわ!」

こう苛立つとか。

あるいは、おっさんがちょっとホットケーキ食べただけで、ワイワイかわいいかわいいとはしゃぐ周囲に舌打ちしているとか。あのおっさん、日頃の言動全ッ然かわいくないやろ。

イメージ戦略やな。
男が甘いものを食べるのはおかしいなんて、それこそ歴史の観点からするとごく短い。

織田信長も豊臣秀吉も徳川家康も、大名たちは甘いものを食べて配って大盛り上がりだったのに、なんでやねん!
そういうイメージはぶち壊していきましょう。

照子の説得術

ここで照子が説得に来ます。

マスコットガールなんて柄に合わん。そういう喜美子の気持ちに理解を示すのです。
照子の説得戦略がなかなか巧みでして。

起:柄にない気持ちはわかる
→まずは幼なじみとしての理解から。

承:婦人警官になれなかったうちとしても、喜美子を応援してる
→実は跡継ぎとして好きなことができない自分の悲哀をアピールしているわけでもある。喜美子はちょっと罪悪感と自分が恵まれているという気持ちが生じるわけです。

転:敏春には説得できなかったと言おう
→お? わかってくれるのか? そういうフェイントやで。

結:うちの顔立ててくれるかいのう? うちの顔立ててください、お願いします!
→結局のところ、あれはフェイントや。こう言われて喜美子なら断れん。

うーん、うまいなぁ。
心理的に揺さぶりをかけて、情に訴えかける。関西の巧みさがある。豊臣秀吉的な戦術を感じる。

『なつぞら』の理詰夕見子。あの目で真剣に迫ってくるなつ。議論の結論に【抹殺パンチ】を打ち込む泰樹とは違うんだなあ。

東西の違いもある。
それだけでなく【内助の功】を学びつつある照子の凄みもある。

すごいシーンだった……。

喜美子は敏春たちにこう頭を下げます。

「お騒がせしてすみません、わがままいうて申し訳ありませんでした! 最後までしっかりやらせてください!」

ここで敏春は、小一時間、二時間ほどいただきたいと言います。
食事を奢るそうです。
そして……。

「申し訳ないけど、この格好でマスコットガールは……」

なんやて! 喜美子は自転車に乗ります。

「大変や、大変やぁああ!」
※続きは次ページへ

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