ジョーはこうだ。
喜美子に男ができる青天の霹靂事件勃発!
興奮して無駄に語彙力あげんの、やめなはれ。
マツが、男って言い方はどうなのかたしなめます。十代田八郎さんやで。
「ハレンチや!」
そしてこう続ける。
そもそもあいつらはいつからなのか? あいつは大阪から来た? 大阪にいた頃からなのか?
結婚の前にもうそんなん……って、おい!
カスを極めとるなぁ。
本作はそういうことを匂わせる。そこはいけないこと以来、ふまえております。
そしてそれは時にデリカシーがなくて、気持ち悪くて、最低で、愚かで、要するにアホやと見せてきます。
マツにそこを確認するためにも会って話すように促されるのですが、会って話したら【なし崩しになる】とゴネる。
結婚反対かと言われると、これや。
「まだ早い! 俺ん中ではまだ三歳や! お父たん、お父たんいうてる!」
カッス!
見事なまでにカッス!
そしてクラクラするほど圧倒的なカスや!
そうかと思えば、今度は帰宅が遅いことに心配になってくる。
どっか行ってもうた?
信楽から遠くへ行ってもうた?
せやから俺とお前ん時みたいに駆け落ちしたんやないかと。
熱情が燃え滾っとるかもしれん。駆け落ちしたらどうしよう!
そんなんさっさと思い至れや!
アホか……。
はい、突っ込みつつ『フレア』聞きましょか。
気色悪ぅ! いややいやや気持ち悪い!(豪速球)
ジョーは困惑しております。
一生許さへんとは言ってない。冷却期間が云々。
そして百合子が聞いてしまいました。父母の結婚について知ってしまいました。
「お父ちゃんとお母ちゃん、駆け落ちしたん? そんなん知らん、ほんまなん?」
マツが説明します。
ちょうど仕事うまくいってなくて、馬の骨わからん奴だと言われてて、駆け落ちをしたのだと。
おっ、丁稚方向で出入りしていたわけでもないんか。最低やな。
ここでジョー、カッコつけて言います。
若い頃は熱情燃え滾っていたってよ。
すると百合子が豪速球きましたわ。眉をしかめてジョーカスを断固拒否します。
「燃え滾るん? 気色悪ぅ! 気色悪ぅ! もう来んといて! いやいや、いやや、気持ち悪い!」
直子でもない。天使の百合子が嫌がることで、やるせなさ倍増や。
理由もろくに聞かない。ただただ、熱情があっただけで全否定。豪速球で全否定。
ジョーは若いころ熱情が燃え滾ったくらいで、ここまで全否定されんでもええやんと言いたげな困惑を見せておりますが……。
うん、百合子。せやな!
気色悪い。
北村一輝さんの美貌をぶっ壊している、凄まじい脚本&演出。
若い北村さんが熱情を持って愛してきたら、そんなんイケメンでええやん。
それすら全否定。おぉ、もう……。
※猫すら魅了する美男なのに……
最低、最悪、暑苦しい、臭そう、カスとさんざん書いてきたけど、胸が痛まない理由がわかったわ。
わざとやな! わざとやっとるんやな!
ええんちゃう、最高ちゃうか!
全国のお父さんの脳天になんちゅうもんを叩き込むのか。
本作を叩くときに、
「女は共感できるいうけどな、俺みたいなおっさんにはわからへんのよ」
というニュースがある。
哀しいですね。
その発言こそが、問題の極みというか、まさにそこを指摘されているのに――本作は、笑顔で「おっさんにはわからんでええよ♪」と打ち返している。
反省したんやろな。
昨年は娘がベタベタした顔で、
「結婚するならお父さんみたいな人ぉ〜❤︎」
「お父さん……そんなモデルより、私のヌード、描いて……❤︎」
「お父さんに可愛いって言われたいの……❤︎」
みたいなことを迫っていた。
アホかと。気色悪いエロ漫画広告バナーじみた世界観やったもんな。
あれはただの親子間のほのぼのした愛だという擁護もあったけど、ちゃうやろ。
妄想やんか。
#MeToo 時代にカスの極みやったから、反省したんやろな。
何度でも言う。
『なつぞら』の柴田家、泰樹や剛男は娘や孫から「大好き」と言われた。
一方で『スカーレット』は「いやや、いやや、気持ち悪い!」との豪速球拒絶。
どっちがええの?
前者がええと思うなら、努力せんといかんのよ。わかる?
でーんと座ってしょうもないことしているだけで、愛されるだなんて思い上がりも甚だしいで。
祝! 照子初産
そしてそこへ喜美子がやっと帰宅します。
事情を聞けば、照子の出産に立ち会っていたのでした。
腰をさすったり、お湯を沸かすのを手伝ったり。
感動した!
そうはしゃぐ喜美子は、ジョーの姿に気づきます。
「遅うなってしもて、すみません」
ここも『なつぞら』の柴田家の男たちを思い出しましょうね。
彼らならば、「いかったね~」とか「女の子かい?男の子かい?」といった具合で出産についてコメントするでしょう。
ジョーはどうかな?
喜美子は出産の経過を説明します。
無事生まれました。予定より早いけれど、あっという間だったって。えらい安産で、産婆さんもびっくりしたそうです。
おっ?
そつなく出産をこなしていますね。照子でなくて、スタッフが。
・腰をさすってお湯を沸かす
→喜美子の立ち位置ならば、妥当なお手伝い範囲だと思う。産婆さんということは、照子は自宅出産ですね。
・予定より早くなることはある
→照子の余裕ある態度からして、数日ではなくてかなり早いと推測できます。数日の差だけで異常扱いする設定はあかん(昨年の放送事故)。
・陣痛からあっという間!
→遅くなったとはいえ、陣痛にしては確かに短い部類。初産だとふまえると、そりゃ産婆さんも驚くほどではあります。とはいえ、ありえないわけでもない範囲。
・照子の母も若社長も泣いてた!
→生まれたのは女児。初孫を抱く祖母はもちろんのこと、結構しっかり泣いていた敏春はやっぱりええ夫です。こういうとき、立ち会わない男性は多かったものですし、ましてや女児だとガッカリということもある。敏春は男泣きするのですから、バッチリええ夫であり、ええ父ですよ! まあ、ジョーも長女誕生時の喜びが美しかったそうですけど。
父が気持ち悪くて部屋に引っ込んでいた百合子も、居間に出てきてはしゃいでおります。
「ほな」
「ほな」
ここで、送ってきた八郎が帰ろうとしますと、ジョーが咳払いをするのでした。
【悲報】ジョー、万策尽きても粘る
「あ〜がれや。なんやお前、あ、上がって欲しいちゃうか? 上がったらええんちゃうか?」
座布団を取ろうと百合子がパタパタすると、いらんと止められます。
パタパタする百合子ちゃんはかわいい。気が利いております。こういう子が、父は気持ち悪いと全否定するわけだ。
お言葉に甘えてと断り、八郎は丁寧に頭を下げて上がります。
ジョーは自分の隣に百合子が座るようにと言うわけですが……。
「うち、ここっちでええ」
「なんなんや」
「気色悪ぃ!」
ジョーはショックを受けております。
そして抗弁する。熱情があかんのか? 好きになったらあかんのか? 誰に求める権利はあれへん!
そして気づくのです。
ミッコー&ハッチーの存在に、自らの止める権利がないことを。あっ、ほんま……!
八郎は真剣な眼差しで見てくる。
と、そこへマツがお茶を運んできます。
お腹空いていないかと気遣うマツに、ジョーは生温い空気持ってくんなと苛立っております。大事な局面や、だと。
カッス!
清々しいほどのカス!
ジョーはもう勝てるわけない。
百合子がきっかけとなって、若い二人を止める権利はないと誘導される。マツになんだかんだ言ってますが、話す場から逃げ続けたのは誰やと……お前や!
ジョーは憎める父だとはいうけれども、弱すぎて、もう、かえって憎む気力すら湧いてこない。
愛でる気持ちしか湧いてこない。
どうしたもんだろう。
喜美子は、お父ちゃんが上がってくれというから、もうそれだけでほっとしたと言います。
「誰がそんなこと言うた!」
「言うた!」
ここまで来てしょーもない言い争い。
そしてジョーはちゃぶ台返しをしかける。これは逆ギレということですわ。すかさず喜美子が止める。
八郎も加勢する。
またひっくり返す。
止める。
同じことの繰り返しや。
何回やった? まあ最低でも三回はやりましたね。そしてこうだ。
「ははっ! もうええ。はあ〜あ。ほんまにもうええ。足も崩せ。顔も崩したらええ。もう崩れとるわ!」
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