信作は、結婚を祝福される。
喜美子は、昔から絵を描くことが好きだと噛み締める。
そんな幼なじみの夜が終わり、喜美子は照子を起こします。
四児のおかあちゃんに戻る時間やで。また新しい一日が始まります。
朝ドラこそ、新しい一日のお供です。
ホンネを出そう! ガールズトーク
喜美子は作品に向き合います。
昨夜、三人で語り合ったことが喜美子の心をざわつかせているのです。
一方、信作も思うところがありました。
脳裏には、こんな喜美子の言葉が思い浮かびます。
「信作が結婚を決めたということが大事や」
それを噛み締めつつ、百合子に電話します。
「うん、まあ、そういうことなんで。じゃあ……」
暗い声音で、そう語る信作。一方の電話を受けた百合子は、衝撃を受けた顔になって切ります。
百合子が部屋に戻ると、三津がスカートの上に布団を敷いています。アイロンかわりやね。
百合子は感謝しています。すっかり仲良しさんの二人。寝相が悪いと、くしゃくしゃになっていることもあるってよ。
くしゃくしゃだったら会社休もっかな――そう明るく言う百合子に、三津は買い物行ってきたと言いつつ、ハンドクリームを差し出します。
百合子は「ありがとう」と言いながら、手に擦り込みます。
脚本家の性別がどういうところに出るのか?
というと、この辺りだと思うのです。
アイロンはかけないでちょっと楽しちゃう。そして失敗もする。ハンドクリームで癒されちゃう!
こういう寝室の女性同士のやりとりに、リアリティがあります。
三津は陶芸をする。百合子は物を運ぶ。ハンドクリームは大事やでぇ!
同性のやりとりで、嫌なリアリティがあったのは昨年の放送事故。
飲食店員が美人だ、会社の女の容姿をゲヘゲヘと語り合う男ども。なんちゅう生々しいセクハラや!
そういうところでリアリティを出して何がしたかったん? あんなゲス台本渡され、演じる役者さんの気持ちになってみぃやぁ!
はい、そんなリアリティを念頭に置いて先に進みましょう。
ここで三津は、電話で何か言われたのかと心配しています。
「破談や……」
百合子がこう言い出す。明日「サニー」来て言われた。結婚のことや。
「あの感じやと破談やわ。うちとの結婚、取りやめにする気や」
おお、もぅ……。
百合子だけじゃない、三津はどうする?
いや、信作もな。何する気や?
こんなん、いっそジョーを魔界転生させて乗り込ませたいわ。
※エロイムエッサイム……ジョーカスよ、蘇れ……
司馬懿「まてあわてるな これは信作の罠だ」
そして翌日、。
「サニー」では、アベック(※昭和ぽく)を送りだし【本日休業】にする陽子がおります。
カランカラン……♪
レトロなドアベルがいい。そんな「サニー」。
※昭和やな
「店閉めたしな。二人でゆっくり話したらええわ」
そう宣言される奥には、夕陽を浴びて百合子が座っています。
信作がここで入ってきます。そして彼女の前に暗い顔で座ります。
その1「自分の醸し出す雰囲気の影響を、考えられない」
電話の時点でそうですが、そういうお通夜顔をして相手がどう思うのか。そこを把握できていない!
それでも悪意はないのです。だって、こんな所に呼び出すようなことをしたことを、まず謝るわけですから。
「あ〜、あんな」
こう切り出す。百合子は覚悟を決めています。
その2「自分の意思はあるし、間違っていない」
信作は、多数決の話を始めます。
昔から多数決になると、たいがい少ない方に手をあげる。ポン煎餅食べるか言われて、知らん人についていくかと言われると、猜疑心が無駄に強い信作は、ついていかんと言う。
けれども、みんながついていくと言い出すと、そっちに賛成してしまう。次郎なんかは多数派に回っていそうではありますね。
「そういうとこあんねん……」
流されやすいんやろなぁ。
その3「流されやすい」
信作は、思春期にブレイクしておりました。
あれも、周囲が青春に突入し、ワイワイと男女交際方面に向かうから、流れに飛び込んでみたのでしょう。
テレビか雑誌で見た、ニヒルな男のフリをするとモテる。
モテるっちゅうことは、なんやええことのようだ。よっしゃ、明るく前向きになるで!
それでああなっていたのですが、それは彼の本質ではなかったのです。
水かけ&ハンドバッグ殴打女たちとも、押されて付き合ったものの、何か違うとひっかかっていて……あの結果だよ!
なお、そのころ三津はサングラスをかけて、店の外に張り込んでいるのでした。
信作の辛気臭い告白は続きます。シン作だけに、シン気臭いんやな、ハハッ!
その4「めんどくさい&不器用やから」
信作は、語り始めます。
「ほな、あんとき。結婚を前提にお付き合うするしてくれるん、ほな多数決する、そう言うて。多数決で結婚することになったというか、いや、そんなんあかん思て。やっぱりそんな流れで結婚なんてあかんなあ、そう思うて! そう思い直して! ほやから悪いけど」
上目遣いになって、こう切り出す。
「……悪いけど、言うわ、はっきり!」
「結婚して下さい! 結婚して下さい! 三回言うたる、結婚して下さい! 百合子、かわいい。大事にしたい。大事にしたい。好きや! ほやからな、ゆっくり夫婦になろう、ゆっくりな!」
百合子、うつむいて泣き出す。大野夫妻は見守りつつ、ワタワタしております。
「ありがとう。ありがとう。うちも三回言う、ありがとう!」
はい、ここからあの例の、ハレルヤ連発になる。なんやこのBGM。笑てまうわこんなん。
大野夫妻は踊りそうな勢いで、駆けつけます。
「おめでとう、おめでとう、三回言うわ、おめでとう!」
「三回言うのは俺と百合子や!」
ここで信作、感謝どころか面倒くさいこだわりを発揮。
「大野家の三回やないか!」
忠信がそう言って丸めます。まぁ、めんどくさい我が子の扱いになれているのでしょう。
嫁と姑は対立する。そういう偏見はもうええから。百合子は、義理の両親から信作攻略をじっくり学んだ方がよろしいかと思います。めんどくさいからさ!
信作は乙女ゲーに呼ばれないからさ……
このあと百合子は、三津に結婚を報告します。
ぶん投げる、蹴り飛ばす、膝蹴りできる!
そう張り切る三津。
本作って女性同士の会話が、なかなか生々しいちゅうか。
喜美子と照子は「おう!」と声を掛け合うし、百合子と三津の会話は、わりと暴力的だし、マツと陽子も、おもしろいもんがある。
百合子は感極まっています。
「ありがとう!」
「えっ?」
「プロポーズされた!」
「ぎゃーーーー!!」
「わーーーーーーっ!!」
可愛いというより、むしろ野太い歓喜の声をあげる女子たち。この可愛げのなさ、むしろええんちゃうか!
とはいえ、信作にはダメ出しをしておかなあかん。
あかんよ、これはあかんよ!
※続きは次ページへ
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