スカーレット82話あらすじ感想(1/9)才能は無意識に人を傷つける

「かわはら工房」に忍び込む二人の弟子。

それに気づいた、松本三津が後を追いかけます。

「あかまつ」で迷走する信作

さて、その晩の「あかまつ」では。

百合子がカウンターで飲みながら、丸熊商品開発室の二人と手を合わせています。

そこへ信作がやってきて、なんとも言えない顔をします。
こういう顔ができるからこその林遣都さんだと痛感できます。困り顔がええなぁ。

なんやねん、わけわからんわ!
混沌としてきましたので、めんどくさい信作恋愛を考えてみたいと思います。

信作はめんどくさい
その1「認識がおかしい」

どうやら百合子は免許の話をしていたようですが、こう言います。

「免許の話でなんで手握りあわなかんの」

握ってへん。そう返されます。
信作よ……動揺して認識がおかしくなっとるんやろなぁ。

脚本家のミスではなくて、こういうことを敢えて言わせる人物設定にしているということは、大事なところだと思います。

信作は妹を返して欲しい、これはもう妹みたいなもんだと言い切り、ツケにしといてくださいと言い切り百合子を連れ去ります。

喜美子も家に泥棒が入った。
そう百合子に告げる信作です。

信作はめんどくさい
その2「自己認識すらおかしい」

ここ、恋愛として盛り上げるのであれば、ストレートに相手の男に絡んでもよいでしょうし。

妹ではなくて「俺が目をつけている女」という認識に向かってもよいではありませんか。

百合子にお説教コースに向かいつつ、「ああいうことしたらダメだぞ、めっ!」というのもありかもしれない。

信作は、そこのところがめんどくさいからさ……。

何度でも指摘します。
コイツが乙女ゲーにいたら、バグか、あかん男やぞ。

せやかてクリアすると、
「こんなん気持ちになったんは、初めてや……」
とか言い出しかねんから、百合子にはがんばって欲しい!

※あかん男を見抜くゲームで「暴力も浮気もないけど、性格がめんどくさかった」とビンタされる系やな……

仁義が通じるかどうか

百合子が帰宅しますと、喜美子は疲れたようにこう言います。

一冊のノートだけがとられた。警察も来た。マツが呼んで大事になったってよ。
そのマツは、武志を連れて「サニー」に行っているそうです。

まぁ、マツも大袈裟ではありますが、川原家は以前泥棒に入られておりますからね。百合子は、それで「あかまつ」に信にぃが呼びに来たのかと納得しております。

ここで八郎は、推理スキルを発揮しております。
弟子二人が入った。お金を取られていない。急に辞めさせられて腹も立ったんだろう。そういうことだと。

これは何気ないようで、八郎の持つ鋭さであるとは思います。
マツは慌てて警察を呼ぶわけですが、金が盗まれていないと把握した上で、怨恨がある弟子だと推理できている。

これも、前回の泥棒にあった時のジョーと比較すると面白いんですね。

状況証拠が積み上がっても、自分が雇った若者二人のせいだとは認めずに、喜美子に給料を前借りしに行きました。

喜美子が被害を受けるだけに、
「なんであの犯人問い詰めんねん、アホかっ!」
とイライラする気持ちも湧いてきそうではあった。けれども、これもアホなおっちゃんの情であり、仁義やろなぁ……という気もしたわけです。

一方で、師弟関係でありながら、情を切り捨て、真っ先に弟子の犯行だと断定し、疑念を向ける八郎。
愛情で籠絡する手は通じないタイプなのでしょう。

やはり、松下洸平さんは、早いとこ北村一輝さんと一緒にヤクザ映画に出んとあかん。
北村さんが古い仁義を大事にする任侠の兄貴分で、松下さんがそんなもんまるで通じないインテリヤクザ。IT技術でしのぎをする。そういうタイプでどや!

はい、そんな八郎ですが、割とサバサバしてるっちゅうか。
悪いのは自分とキッパリ言い、百合子が「悪いのはお義兄さんやない! 多数決せんでもとった人が悪い!」と慰めてもケロリとしているようにも見えます。

ここで、別の多数決をとると言い始める八郎。ジョーが元気なとき、離れの部屋についてこう言っていたそうです。

「鍵なんかつけんでええ!」

「離れに鍵なんかいらん!」

これもさ、みんな笑っているわけです。
本作のうまいところは、亡くなってもジョーは胸の中で生きているとわかるところです。視聴者も、あのジョーを思い出してニヤニヤしちゃう。そういうところが優しくはあるんですが。

まぁ、それでも私はジョーは死んでもカスだと主張していきますんで。

ジョーーーーォオオオオ!
お前、泥棒に入られてえらい目にあった、そういう経験からなんも学んでへんのやな!

でも、これも前述したジョーの情け深さだとは思う。
日本は治安がいい。泥棒なんか入らへん。せやろか?
実はこれも、田舎あるあるちゅうか。人情の罠ちゅうか。

田舎の閉鎖的なところですと、
【鍵をかけている=泥棒入ると思っとんのか? あ? 何疑うとんの?】
と近所からあらぬ疑いをかけられたりする。

わけがわからないし、それはあかんということでパトカーが回って施錠を呼びかけたり、自治体放送で注意喚起もしておりますけれども。

昨今多い、善意を装った詐欺だって、引っかかる側が愚かだと言い切れば楽でしょうけれども。
ずーっと幼い頃から、人を疑うなと言い聞かされて育ってきたら、やむを得ないところもあるんじゃないかと、私は最近思うのです。

※騙す方が悪い。それはそうやけども……

まぁ、いい意味で八郎はそういう情は通じない人なので。

「よし、鍵つけるで!」

ここは多数決をとって、サクッとと鍵をつけることを決めます。

ただ、八郎は解決脳ですばらしいと、素直には思えないんですよね。

鍵をつける。
ほんで、鍵を家長たる八郎権限だけで管理するようになったら、喜美子たちが入れなくなる可能性もあるわけです。

なんだか嫌な予感がする。

めんどくさい恋愛に周囲も困っとる

信作は武志をおんぶして寝かしつけております。
マツはそこへ、布団を敷いたと告げるわけです。信作と百合子で、武志を寝かしつけるってよ。

ここでマツの脳裏に浮かぶ、「サニー」での会話。

「ゆりちゃんやったら大歓迎!」

「信作は結構その気……」

「もちろんゆりちゃんがどう思っているかやけど」

そう深刻な顔で語っていた、大野夫妻。お、おぅ、せやな。

「信作くんと百合子?」

マツは気づいていない。
まぁ、この人の鈍感さは今始まったことやないやろ。ジョーはよくこのマツと駆け落ちしたというか、押せ押せやったんやろなぁ。

大野夫妻は敏感ですから、気が気でないのでしょう。
息子のめんどくさい性格を知っているからこそ、もうゆりちゃんしかない、後がない、そういう切迫感がある。

信作の上向きデビューに、周囲は驚いておりましたけれども、陽子はヤキモキしていましたもんね。
我が子をよく見とるんやろなぁ。うーん、親心の描写がうまい。

ほんで、親が我が子の恋愛に突っ込むのは野暮ですし、ましてや信作は三十路です。それでもコイツの場合、背中を押さないと垣根を乗り越えられないんでしょう。

八郎と喜美子の場合、喜美子が演じる側もビックリするほど大胆な言動をするとは言われとった。

そういう垣根を乗り越える性格でないと、八郎や信作の本音に迫れないんでしょうね。
なので、周囲が押す気を出してきていると。

さて、その信作ですが。
武志を寝かしつけた百合子に、こうです。

「子ども好き?」

「うん、好き。結婚はせんでも子供は欲しいなぁ」

「そら時代の最先端いく考え方やな」

「ええ人いはらへんもん」

「いはらへんかったって、誰と手ぇ合わせてんの」

百合子はハンドル持つ話で手を合わせたと返すと、信作はこう言います。

「他の男に触らせんな。俺の手ぇもちっちゃいで。ほらな」

「ふっ大っきいねん」

「ほうか。いくわ、おやすみ」

「うんおやすみ、ありがとうな」

信作はめんどくさい
その3「距離感の取り方がおかしい」

あのさ、二人きりになってさ、なんでこんな距離の取り方すんねん。おかしいやろ!

猜疑心が強い、距離感の取り方がおかしい。
自己認識含めて、もろもろの認識がズレまくっとるので、こういうわけのわからん迷走をする。

信作と百合子の恋愛への感想は、視聴者も困惑していると感じます。

「あと一歩?」

「もう少し?」

うん、いやもうこれは、信作は百合子しかおらんし、くっつくゴールは決まっとんのよ。

でも、めんどくさいから。
普通の恋愛セオリーだとあかんから。

二人まとめて【求愛しないと出られない部屋】に閉じ込めるとか。そういう何かせんとあかんとは思う。
大野家も川原家も、がんばってください!

ちなみに、主人公二人で半年間かけてそのズレた恋愛をやらかしたのが、『半分、青い。』な。
どうこじれても、鈴愛と律よりはマシだから……。いや、あれはあれで素敵でしたし、あれを許した側はすごいと思う。

なんやこのノート!

工房では、喜美子と八郎が泥棒を語り合っています。
警察は、弟子の実家に連絡すると言った。被害届を出すほどのことでもない。なんもないことになってもうた。

それはあかんかったのか?
そう語り合います。

ノート一冊だけ。あのノート、戻って来おへんな。
今頃、ノート広げて「なんやこれ!」言うてんちゃう。

結局そう言われるのは、何のノートなのか?

そこへ、ガラリと戸を開けてあいつが入ってきます。

「ハァハァハァ……なんやこのノート! どういうことですかっ」

松永三津や!
取り返してきおったんかワレ!

犯行現場を目撃した三津は、釉薬の調合ノートだと感づいて追跡、取り戻したらしい。

犯人は弟子でした。
弟子だからとったんじゃなくて「もらって当然だ」と言っていたそうです。

そこでひるんだけれども、また追いかけて取り戻した。

喜美子たちから怪我せんかったかと聞かれると、「はい大丈夫です」とケロリとしている三津ですが、すぐに言い直します。
※続きは次ページへ

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