スカーレット116話あらすじ感想(2/18)人のつながりが巻き起こすスリル

酔った喜美子は、ハチさん、ハチさんいうて泣いてた――。

アンリの言葉を喜美子本人はどう受け止めるのか。とりあえず、彼女は静かに洗濯物を取り込んでいます。

そこへ熊谷夫妻がやって来ます。

照子は無農薬野菜、そして敏春はなんかええもんを抱えておるようです。

窯業研究所で、竜也に親切にしている武志にお礼をしたいってよ。喜美子はバナナのお裾分けで十分と言いますが、敏春は律儀ですね。

照子が説明します。

なんでも、実家の旅館を頼って取り寄せた高級牛肉だそうで、100グラムあたりの価格を照子が明かそうとすると、すかさず止める敏春。

そこへアンリが起きて縁側まで出てくる。洗濯物があるけど、クリーニング屋さんは来はらへんのかといい出しまして……。

ここで敏春が、自分と家内だと照子を紹介します。アンリがここに住まわせてもろてるというと、照子はこうです。

「ずるいずるい、そんなん知らんかった、ずるい!」

照子は新婚当初の頃よりも、今が子ども時代に近くなってきました。

喜美子と暮らしたい、ってそうか……そら、そうか。

そこは姫君同士

喜美子は武志に電話をして、アルバイトのあと遅くてもええから寄って行けと告げます。

ええ肉もろたで。そう誘います。小池アンリもいると付け加えるのですが、はたしてどうなることやら。

そのアンリは、丸熊陶業いうたらタイルで有名な大きい所と照子に言います。

照子はタイルだけではないとやんわり。短いセリフですが、感慨深いものがある。

絵付け火鉢で一世を風靡した先代社長。

深野神仙は古い、これからはに女性絵付け師だと喜美子を「マスコットガールミッコー」にした敏春。

お抱えによる八郎ブランドも確立しかけたものの、今はそういうアート路線は縮小したのか、主力はタイルになってしまっている。そのタイルも、このあと下り坂です。

信楽焼、日本の陶器、がんばれ!

本作のテーマが「陶芸」というだけで「年寄り向けで地味や」という叩きが出たあたりにも、なんだかそういう悲哀を感じるで。

地味でもない。むしろ、そういう偏見に切り込まなあかん。スティーブ・ジョブスも信楽焼持ってたのにな!

「そこの奥さんなんやろ? お手伝いさんとはちゃうよな」

照子はそう煽られる。

ピキッ。お茶碗並べてと頼むと、アンリはこうです。

「箸より重いもん持ったことない」

ならば、すかさずとばかりに「箸を出して」と照子が言うと、アンリは素直に従います。

このシーンを「ほれ、やっぱり女の敵は女や! 陰険やな!」みたいに盛り上げたい論調あるかもしれんけど。

この二人はお嬢様同士ですからね。上流階級の争いでもあると。

それに、本作特異な生々しさがある。アンリの方が照子より上だとわかるのが、無神経というか悪気なく、悪意があるかすらわからない。そう思えるところなんですね。

アンリのお姫様ぶりと比べると、あの照子すらちょっと霞む。なかなか面白い構図が見えてきます。そういえば、マツも言動や所作の端々に、隠しきれないお嬢様ぽさが滲んどったなぁ。

あ、そうか!

ジョーとマツにあった、身分を超えた恋愛のようなものが、喜美子とアンリにもでてきているのかもしれない。

女優なのに芝居が下手やなぁ

ここで喜美子が、武志は誘ったけど来ないとぼやきます。
ほな何人?
と、人数分の食器を用意するから、そこが大事なのです。

照子はここで、親世代の集まっているところなんかへ来ぃひんと語ります。めぐ美と竜也も来ないってよ。おばあちゃんと蟹を食べに行くって。

だったら蟹がいいのかと喜美子がずれたことをいうと、蟹ではなくおばあちゃんがいいと照子。おばあちゃんはきついことを言わないから。そらそうよ、孫はかわいいもんな。

するとアンリが、照子にもお子さんがいるのか?と聞いてきます。

女3、男1。長女は結婚し、妊娠したと喜美子に告げると……。

「えーっ、照子おばあちゃん!」

「おばあちゃんはやめて!」

そう言い合う二人。
これは女同士で親しいから許されるかもしれんな。

昨年あたり、自分が「おじいちゃん」になる男が、「おばあちゃんになりたくないだろ」というゲス目線を妻に向けていて意味がわかりませんでした……。

あっ、ダブルスタンダード攻撃の予防しときますわ。過去作品に触れないで欲しいというツッコミもあるようですが、その過去作品が好きな方がダブルスタンダードだと言ってくるので、予防措置でもあるのです。えろうすんません!

というか、過去作品との比較がないレビューって味気ないでしょ――という編集さんからも要望もありますんで、その辺、よろしゅう頼んます。

アンリは、照子においしいワインを勧めて来ます。照子はうちも酒を持参したらよかったとワクワクしとる。

「喜美子、飲まんから」

ここでアンリがめちゃめちゃ飲むでえ、と指摘し、照子ショック!

「いつの間に飲兵衛になった?」

喜美子は飲兵衛やない。あんなん飲んだの初めてや、たいしたことない、と言いますが……。

まぁ、予兆はあったんちゃうか。ちや子たちと、中華料理店で紹興酒3杯飲んで気持ちよさそうだったしな。朝ドラヒロインが飲酒エンジョイか。ジョーカス酒乱で危険性も描いたし、ほんまに優秀なドラマやで。

ここで、泣いていたと聞いた照子が問い詰め、喜美子はシラを切ろうと記憶がないとするのですが。

アンリがこう言い、その場が凍りつきます。

「たいしたことあったで。ハチさん、ハチさん言うてたやん」

「嘘やろ!」

そんなしょうもないこと言わん、想像つかへん! そう否定する喜美子ですが、アンリは女優経験を生かしたという触れ込みで真似をします。

「ハチさぁん、ハチさぁぁん!」

なんやこの、わざとらしい粘りつくような声で愛する男の名前を呼ぶ、くっさい演技は……。いくら肩書きあったところで、こんなくっさいお芝居はあかんやろ。

照子がこう喜美子にささやきます。

「あれで女優?」

なんかこれは……NHK大阪全力でなんかやらかしおって! プロの女優による大根演技、それに戸惑うプロの女優。全員芸達者で笑うしかない。

朝からこんなん流してええの?
ええよぉ!

おっちゃん二人組も来たでぇ

ここで信作登場!
ケースで瓶ビール持参、百合子のケーキもある。百合子のケーキは毎回上手です、すごいな。

「ビール持ってきたで〜、百合子が作ったケーキもなぁ、どっこいしょ〜!」

おっ、年齢を感じるええ演技やな。林遣都さんの魅力が止まらんわ。

そして背後からはハチさんです。

「十代田さん!」

「お久しぶりです」

大野家に泊まってんねん。なんでだ?と喜美子が驚いていると、うちに泊まってんねんと信作は返します。呼び出したら、有給取って会いにきたそうです。

ここで、小池アンリに二人が紹介されます。

こちらは幼なじみで、妹の旦那でもある大野信作さん。そのあと、八郎が名乗ろうとするわけですが。

「あの、十代田いいます。十代田……」

「あー! あがって、あがって!」

照子がカットインして、アンリに八郎(ハチさん)の名前を聞かせないようにしている。

「ええ肉入ったんでいただきましょ!」

「すき焼き! ええやんけ!」

小池さんでなくて小池ちゃんでええからとアンリ。

「栓抜き! 栓抜き!」

「ケーキどないしましょか?」

「冷蔵庫入れときますか」

はしゃぐ信作。戸惑いのある八郎。ここでケーキをめぐって喜美子と八郎がやりとりをしていると……。

八郎は、なまじ家のことを知っているから、不自然でこれまた切ない。

事情を知る照子と信作が見守る中で、アンリはどうするのか?

これは気になります。

「よーしええよ、乾杯しようか!」

「これなんの会?」

「ええ肉を囲む会!」

「どうでもええ会!」

「どうでもええ会に、乾杯!」

喜美子が一人で暮らす川原家がパアッと華やかになる。

これはどうでもええことやない。美味しいものには人を集める力もある。どうでもええというけれど、集まった人の顔ぶれを見ればそうではないと思える。そんな生々しさがあります。

人と人の交流やつながりが、何かを生み出す。おばちゃんとおっさんがすき焼き囲んで飲んでいるだけ。武志や竜也からすればどうでもええもん。そういうものに何かがあると本作は伝えてきます。

ファミリーレストランでお茶飲んでいるだけ。居酒屋で騒いでいるだけ。そういうおばちゃんやおっちゃんたちかて、そういう時間を過ごしているのかもしれへんのよ。
※続きは次ページへ

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