スカーレット126話あらすじ感想(2/29)実は記憶に……ございます!

「最初の女や。好きになった最初、一人目!」

ハイ、ここで、あの信作絡みで使われるBGM「ハレルヤハレルヤ♪」が響き始めると。そしてこう、なんだかくっさいことを言い出す。腕を広げ、抱擁の構えを見せております。なんやこいつ……。

「来いよ」

「ふふっ、気色悪いぃ……」

「来いっ! マスターの胸に飛び込んでこい!」

迫り方が気持ち悪い林遣都さん(滋賀県枠)という新境地に到達。こんなにほっこりキュンキュンせんイケメン枠、画期的や! 気色悪いカスマスター最高や!

「おいで砲」なんて最初からいらんかったんや!

長くて、特別な一日

はい、ここで来客があって一時中断しまして。

日が暮れて、有馬温泉から大野一家が帰ってきました。桃と桜はすっかり楽しんできたようです。よかったね。

「お土産ぎょうさん買うて来たでぇ〜」

昭和だけに、温泉まんじゅうかな? そう期待しときますわ。

「のんびりさしてもろたわ〜」

「ただいま〜」

そう入ってきた祖父母に、桃と桜はシーッと合図します。

そこにいたのは、信作の肩によりかかって眠る百合子。

こうして信作と百合子の長い一日は、終わったのでした――。

スピンオフを本編に入れること

そもそもスピンオフってなんやろなぁ?

アメコミ映画まで話を伸ばすとややこしくなるので、朝ドラで考えるとして。

脇役のわちゃわちゃした時間を描く。ファンサービスのようにも思えるわけですが、今週のスピンオフには、いろんな動機推理が出ております。

働き方改革? 休ませる? 後進の育成?

そういうこともあるのでしょうけれども、それだけではなく通底するテーマを描く上であえて入れる必要性も感じました。

スピンオフは、放送時間が変わる。絶対に見るとは思えないものではあります。

わちゃわちゃしてゆる〜いとは言われるものの、ここで入れる必要性はあったのだと私は思いたい。

信作にせよ、喜美子にせよ、八郎にせよ。ちょっと人とは違うかもしれない。個性的な夫婦。

複数そういうカップルがあって、全部が破滅しかねないとなったら、これはもう差別につながりかねないことは、考えてゆきたいところです。

舞台が甲賀だし、ちょうどいい例えなので出しますけれども。

『甲賀忍法帖』な。漫画やアニメだと『バジリスク』。

※滋賀県舞台やで

ああいう忍者物を信じてしまい……

「伊賀と甲賀は敵同士やな!」

「伊賀と甲賀の夫婦? ありえへん、バッドエンドしかないわ」

というように誤解をしている人がいたら、洒落にならんもんがあるわけやないですか。実際にはそんなことがない。あってたまるか! ちなみに大野信作は父方が甲賀、母方が伊賀のようですね。

フィクションの影響は過小評価できません。ですので、ちょっと変わった信作くんでも百合子ちゃんが受け止めて、幸せだと描く意義はあると思うのです。

このあたり、極めてわかりにくい話で、作り手もしゃあないと思うところはあるんでしょうね。

彼らの記憶システム

信作がそこまで変やろか? まぁ、マイペースではあるけど。

そう思いますよね。ただ、今日の回ではハッキリと信作の個性が見えておりました。

信作は「記憶にございません!」を連呼して、百合子の質問を全部はぐらかして開き直っていました。

それが今日、全部出てきた。

しかも正解。

なんやねん? おかしない? そう混乱しませんでしたか?

信作は何も嘘を言ってません。全部聞いてはいた。ただ、聞いた上で脳内の【ゴミ箱】に突っ込んだのです。

それが百合子と喧嘩して、これはあかんと考え、わちゃわちゃ忙しい中で【ゴミ箱】から引っ張りだして、きっちり用意しておいた。

そんなん嘘や、できてたまるかい!

なんて思いますかね。
それがそうでもないと近年研究が進んでおり、これをきっちり映像化した一例として、BBCの『SHERLOCK』があります。

タイトルロールのシャーロックも、そういう脳の使い方をする。彼の周囲にも、そういう人物はいます。

シーズン3の3話で対峙する敵・マグヌセンは抜群の使い方ができました。

※新聞王のアイツです

あそこまで精密な使い方はなかなかできませんが、意識次第では信作のように使えます。

彼以外でも、本作ならば喜美子や八郎もできている。彼らは釉薬配合を脳から引き出して読み上げられる。気前よく、釉薬ノートを三津にあげてしまうほどです。

ここが問題ではあるのですが。

『SHERLOCK』のような推理ものならばともかくとして、朝ドラにこういう人物を出すと気味悪がられ、意味不明になりかねません。

『半分、青い。』の律は気持ち悪いと罵倒されていましたし。

『なつぞら』の夕見子やイッキュウさんも変人だの上から目線と言われるし。泰樹は【抹殺】パンチだし。

まぁ、変人になる。

ですので、信作に対する百合子の「怖い!」という反応も、理解できます。信作は探偵でもなんでもない、ただのおっちゃんですから。

シャーロックも、ジョン相手に初めて推理を披露した際に褒められて、意外そうな反応でした。

「推理すごいやん!」

「えっほんま? 今までキモいって反応ばっかりやで……」

褒められるよりも「キモいから避けとこ」という反応。その同じことの繰り返しよ……。

でも、気持ち悪いと言わずに、ちょっと理解してもええんちゃうか。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
スカーレット/公式サイト

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA