スカーレット122話あらすじ感想(2/25)昭和おっちゃん 地獄の極み

「サニー」にやって来たのは、熊谷敏春さんです。

わー!
もうこの時点で盛り上がるわ。

敏春は信作マスターに驚いております。ほんのり仏頂面で「今日だけや」と返すマスターです。

こんなマスターでええんか?

敏春は京都の出張帰り。そこで信作が「朝帰りや!」という昭和のおっさんジョークを放ちます。うーん、セリフから圧倒的な加齢臭を感じるで。

「いつものでええですか?」

「ホットで」

そう百合子とのやりとりが入るわけです。無駄に理屈っぽい信作がこう来ました。

「ホット(3文字)。いつもの(4文字)。ホットいうた方がはやない?」

めんどくせぇ……。

百合子が「濃い目のホット(7文字)」だと反論します。

やはり百合子は信作対策バッチリやな。百合子がいれようとすると、信作が練習にならへんと言い出す。お客さんにいれるコーヒーで練習せんといて! そう止められます。

「一番最初のお客さんになってください!」

真剣に、いや~なお願いをする信作。敏春がお愛想を返すと、俺がいれた方がおいしいと勝手に暴走しそうな信作。

「マスターやめてください!」

キッパリはっきり、ちょっとムッとしつつマスターをいなし、百合子がコーヒーをいれます。

はい、そんなわけで今朝も三谷昌登さんの脚本です。このオープニングクレジットの時点で卑怯や。

主役の喜美子すら(回想)。というか(回想)ではない人物が4人しかいない。しかも、信作と因縁のある女性大集合になりつつある。

毎朝、朝ドラの限界突破に挑んでへん? これは『エール』にもプレッシャーかかるわ。もうこうなったら、朝から真剣にインパールするくらいしか、勝ち目がない……。まぁ、主人公は前線の兵士ではないし(※それは『ひよっこ』の宗男)、後方の慰問団だから、そこはなんとか!

※こういうのをですね

よし子さん……そんな女性もおったなぁ

はい、そんなオープニングを経まして。

敏春、バナナを食べとる。持参しとったんか、飲食店に持ち込みってええんか! ツッコミどころが多すぎて、戸惑うわけですが、本田大輔さんの演技が光っております。

バナナを口に入れたまま喋る。これはかなり大変だと思う。基礎的なことをごまかさない誠意を感じます。

・くちゃくちゃと噛んでいるところは見せん、当然や!

 

・でもセリフを綺麗に読む

 

・そのうえで、コミカルな演技をして、セリフをきちんと読む

ここで敏春は、たまたま京都で信作君のことをよう知ってる人に会ったと切り出します。

女の人? 女の人? 百合子は興味津々です。あかん……。

敏春は、これいうたらわかるというキーワードを出して来ます。

「お見合い大作戦」だ!

あったなぁ……なんやそういう、あかん記憶が。当時の百合子はまだ中学生で。喜美子と八郎は、まだ意識が芽生える前夜で。「サニー」はまだ「大野雑貨店」で。

布団と戯れる八郎、見舞いに来た喜美子。本作の不思議なところって、時間の流れを感じるところでして。

演じる側は同年齢だし、放送期間も半年。それなのに、あのころは若かったと回想シーンを見ていると思えてくるのです。自分が知らない時代のことを、まるで体験したように思える。そんなドラマの魔法を感じるわけです。

そんな感慨をぶち壊す「お見合い大作戦」の忌まわしき記憶。そう、彼女はよし子……。

敏春はこう告げます。

「西村いいます。僕の友人。で、奥さんがよし子さん」

「よし子さん……」

信作は危険を察知し、コーヒーを敏春に差し出す。慣れていないのか、雑な動きです。

ほんまに敏春が1人目の客でよかったんちゃうか。信作は、まだ一杯目すら飲んでいない敏春に「おかわりでもどうですか!」と言ってしまう。動揺しすぎや。

百合子はごまかされない。13番目の女・よし子さん❤︎ そこはお見通しよ。

そう、彼女はエントリーナンバー1番でした。企画運営側の信作が目当てで、次郎はじめ他の参加者が激怒した、あの失敗をきっかけにアプローチしてきた側ですわ。

そしてオチは「あかまつ」で。

「7:3、8:2、9:1――ようわからん好き嫌い問答」を経て決裂したと。

「あっ! けど、よし子さん言うてはりましたよ。あん時、信作さんに出会おうてなかったら、今の幸せはないんです。信作さんのおかげですう、て」

百合子はお見通し。信作に出会って傷ついて、もっと幸せになってやると思った。そういうことやろなぁ。ほんで心当たりあるんやろなぁ。そうバレとります。

そんなよし子さんは、今は京都の老舗和菓子屋、結構有名なお店の女将だそうです。名前だけでも聞いたことがあるような店だそうです。

今度一緒に行ってみる?

そう百合子に言われて、タジタジ(※昭和っぽいな)の信作です。自分のコーヒーを手にして、カウンターから出てテーブルに座り、読書してごまかそうとする。

13人が幸せになってればええ。そういうまとめ方をされそうなわけです。

信作はモテるプレイボーイ扱いをされることもありましたが。正確に言えば交際が長続きせん、顔がいいだけのクズだったのでしょう……。

百合子はここでこう言い出す。

よし子さんの他にもいる、信作被害者のことを。信作は歳やから覚えてへんとごまかそうとするのです。

これを聞いて、一瞬カウンターから立ち上がりかけた敏春が、前のめりで座り直すところが最高。信作も思わず突っ込む。本田大輔さんの魅力がよう出とるわ!

正面切って笑いを取るというよりも、バナナの食べ方、そしてこの座り直すあたりがいいですよね。真面目なおっちゃんがやらかすところが、おもしろいなぁ。

一周回って、2020年代はこういう笑いが来る。そんな予感がするで!

長谷川博己さんもこういう演技がお上手そうではあるのですが、それを昨年は使いこなせていなかったからな。今年で逆転や!

信作、その襲撃被害歴

百合子は覚えております。百合子をおとりにして誤魔化した智子さんとか。そうそう、ハンドバッグ殴打の智子さんとその友人な。

なんでも……。

信作、14人目以降の襲撃被害歴

 

・お酒

・お水

・ビール

・靴

・靴

・カバン

・自転車

ぶっかけられたり、しばかれたり……おう、信作よ。戦国時代なら、連歌会あたりで襲われとるで。

これはもう、襲撃されるところに期待感しかない。やはり、林遣都さんには滋賀県民の宝・石田三成を演じてもらわんとな。ほんで、細川忠興(※あの細川藤孝の嫡男です)あたりに襲撃させるしかない!

※襲撃される滋賀県民枠で

自転車って何?
そんな視聴者と同じ思いで敏春が尋ねると、自転車で背後からドーンとやられたそうです。ほんまに危険やんか!

敏春はそこで、時代とともに女性が強くなっているのがわかると言います。

時代背景的には、女子プロレスもヒール人気がガーッと出てきた頃ですね。それまでのアイドルのような可愛らしい路線から、毒々しく、激しいレスラーが出てきた時期かな。そういう流れも感じるで。

そのうえで一番強いのは、こんな話を受け流し、コーヒーをいれてくれる女性だと百合子を褒めるわけです。敏春は社長やなぁ、話術がうまい。

百合子も、信作がそういうこと言うてたやんと言うと、こう返してきました。

「記憶にございません!」

「記憶にございません!」ではあかん

お? 誰かの真似やろ。そう盛り上がる敏春。「ロッキード事件」での小佐野賢治の発言ですね。昭和51年(1976年)の流行語大賞にもなりました。

事件ナントカいう……そういうセリフもありましたが、その答えは「ロッキード事件」です。

2019年には、こっちの三谷氏、三谷幸喜氏の映画タイトルにもなりましたね。

※ズバリ『記憶にございません』

笑えるようで、ほんまにうまい。朝ドラの三谷氏のセンスが光ると思いますよ。そうそう、信作世代は政治をネタにおちょくっていたものです。庶民まで真似する。

「エンタメに政治を持ち込むな!」

「政治の話をするのはダサいし〜」

「ただ楽しい、政治みたいな難しいことを抜きにしてやるのがトレンディ〜」

そういう感覚は、彼らの下の世代が刷り込まれたもので、伝統でも常識でもありません。

そんなんお前……江戸時代かて庶民は瓦版で政治批判しとったし、「演歌」かてそもそも「演説の歌」、政治主張をするためのもんやろ。エンタメに難しいもんを持ち込むないうんは、ただの現実逃避やで。かつ2020年代には時代遅れになることは考えていかなあかんよ。

誰の真似かといいつつ、元ネタをわかっている。だからこそ、百合子は法廷モードで、こう突っ込み始めます。
※続きは次ページへ

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