わろてんか100話あらすじ感想(1/31)オナゴだけでやらせてもらいまっ!

時は昭和9年(1934年)、ところは大阪。

亡夫の遺志を継ぎ、お笑い興業元「北村笑店」女社長として力強く歩む北村てんは、次なる課題に取り組んでおりました。

それは女芸人のスターを養成すること。
周囲の助けを得ながら、リリコに白羽の矢を立て、今まさに実行しようとしております。

 

栞様の会社がめちゃめちゃデカくなっとる!

本日はいの一番、突如、巨大化した伊能の会社がデーンと映りました。

【仕事しとったんかワレ!】
思わずそう叫び掛けました。だって今までそんなシーンが全然なかったから。

なんたって阪急経営者の小林一三がモデルですからね。本来でしたら、鉄道、そしておそらく二番目に有名な宝塚歌劇団があるはずですが、劇中ではディレートされており、完全に薄っぺらくキャラ設定し直している。
鶏肉と卵を取り払った親子丼並に、中身がなくなってます。
もしかして「宝塚に関しては、他局の昼ドラ『越路吹雪物語』をご覧ください」とか?

にしてもその後の展開が急でして。
もしかして私自身が「三日ぐらいドラマを見てなかったかな???」と不安さえ抱くほど、てんとリリコは毎日伊能の会社に来ていて、リリコの契約解除を依頼していたそうです。

伊能はあっさり折れます。
条件は、撮影中の映画を全うすることと、漫才師として成功したらもう一本映画に出演することだそうで。

別にそのまま手放してもええんとちゃうの?
リリコ、もうかなりの年齢のはずです。ベテラン女優一人が抜けただけで潰れるレベルの会社ではないでしょう。
逆に、芸人になった彼女を女優に戻したところで、一体何を盛り上げたいのかよくわからないほどで……。
その映画、当たります?

まぁ、なんぼ言っても彼女は人気女優なワケです。
それを引き抜くのに、頭を下げるだけって簡単すぎやしませんか。
そんなところまで藤吉に似せなくてもいいわけで、マトモな社長というか社会人なら、違約金の話ぐらいして欲しいんだなぁ。

 

なぜ本社で打ち合わせしないんだろう

一方、重役の風太は、漫才大会があるとかなんとかで、てんに協力しようとしません。
万丈目も突如キャラが変わって、ネチネチといじめる系の嫌な奴になってしまいました。

男に相手にされないてんは、万々亭でトキと作戦会議。流行歌漫才だの、美男美女だの言い出します。

えぇと……これでいいのかなぁ。
てんは経営者であり、社長ですよね。それが本社で打ち合わせしないで喫茶店で作戦会議っていろいろ間違ってません? 歌子さんに相談するとかなら、まだ少しだけわかるんですが。

キースとアサリもなんだか偉そうに文句言ってきます。

キースが漫才師の顔について言うのは、多分、
「そんなこと言うけど、キースを演じる大野拓朗さんってイケメンでしょ♥」
という意図でもあるんでしょうか。そういう楽屋ネタの顔いじり、見ていて辛いです。それともただの考え過ぎ?(´・ω・`)

そもそも風太、万丈目、キース、アサリ……の態度はそれでよいのでしょうか。

てんは社長ですよね。しかも稀代の女興行師。
立派に見せたいなら、周囲のリアクションが悪すぎる気がします。

 

本日も文化祭の準備日和どすなぁ

女だからってバカにしているかのような風鳥亭の男たち。
そんな場面を敢えてことさらに見せる狙いは何なのか。

もしかして書いている側は、
「男って、女というだけでバカにするんですよ~。女性の皆さんわかるでしょ、あるあるですよね~」
という狙いだったりして?
今回のケースは、そんなことの前に【社長への悪態が酷すぎる】という時点でアウトではないでしょうか。あまりに社会常識に欠けすぎている気がします。

そして、せっかくのナイスキャラ歌子までも怒鳴って男どもを追い出す、という愚行に出てしまいまして……。

なんというか、文化祭で準備中の女子が、
「ちょっと~男子ぃ~、真面目にやりなさいよ~! できないんだったら、出てって!」
みたいな?

結局、風鳥亭での対立って、稚拙すぎて、
【文化祭の屋台でインスタ映えするクレープを売りたい女子 VS ボリューム満点ホットドッグを売りたい男子グループ】
程度の対立に落とし込まれちゃってるんですよね。

 

今度、タイミング良く現れたのは楓

ここでてんは、女流作家オーディションを開始します。

【女性だったら女性の感性がわかります】

【女性作家を雇えばいい】
そんなスタンスなのでしょう。

もちろん、いいんです、女性を雇うこと自体は。
でも、本作の場合、今まで男性しか枠がなかったところに女性枠を作るのとは違って見えるのが問題でして。
それをおざなりに面接しちゃうから、なんだか違和感が漂う。なぜ、女だけなの?と。

そこで例によってタイミングよく、楓が登場します。
本作はゲストキャラを使い捨ててばかりですが(弟の葬式にすら来ない藤吉の姉、団真&お夕、乙女組等)、楓みたいに消えたと思ったら復活するキャラが一番気の毒かもしれません。

しかも楓は、自分の才能を売り込みたいというより、
「おてんちゃんを手伝いたくて」
と、アピールに力点が置かれているようで。

こんなセリフが出てしまうと、途端に縁故採用っぽくなるといいましょうか。
ここで反対に、てんが
「昔の縁もありますが、そんなものは脇に置いて。実力で取ってください!」
くらい言えれば、また違った味も出てくるもんですけど。

それに新聞記者だからって面白いネタや文章が書けると思ったら大間違い。
いくらエンタメ系のネタを扱っていたとしても、エンタメそのものを作るのとは全く作業が異なります。

脚本家さんの周囲にも、紙媒体のライターさんやら編集さんやらいるでしょうに、なぜ、そんな初歩的なことを確認しておかないんでしょう。まぁ、楓に素晴らしい才能があったということで納得しますけど。

 

トーキーに切り替えたせいで弁士が怒ってますとの丁寧な説明

てんとトキは、履歴書の束を万丈目に見せながら「作家の卵を雇いました」宣言。
そしてそのまま文芸部を作ると言い出します。

これには、忙しいと文句タラタラだった万丈目もなぜか喜ぶという。
漫才大会を前にして、そんな余裕がドコにあったのか。

吉本に作家セクションである文芸部を置くのは英断だと思います。
ただ……軽いんですよね。
まぁ、フットワークが軽いと、良い方向に受け止めておきましょう(´・ω・`)

栞はてんを、電話で励まします。
どんな酷い脚本が投げつけられても、自分に求められたキザ演技をこなす高橋一生さん。プロの鑑です。本当に偉いと思います。
けれども、スカした高橋さんを出せばいいと思っているスタッフは、反省して欲しい。

この場面で、栞の部下の苦虫オジサンが丁寧に以下の情報を説明してくれます。

・社長は寄席狂い
・いきなり社長がトーキーに切り替えたせいで、弁士が困っている

おっ、伏線だな? 弁士があとから出てくるんやな。
皮肉ばかりいってサーセン。でも、ねっとりとしたセリフでどうにも鼻についたものでして。

 

弁士のデモって、おい、おい、おいおいおい

キースとアサリも漫才大会に危機感を持つ会話をしています。
これもリリコのコンビが勝つ伏線だなぁ。

一方のリリコも漫才大会に出る気満々で、あとは相方だけです。
どうやって探すのでしょう。
面接でもするのでしょうか?

リリコは女優の仕事があるからと席を立ちます。

万々亭を出て狭い路地を急ぐリリコ。

そのとき、トーキー映画のせいで失職した弁士がデモをしていました。

おいwwwwwwwwwwwwwwwww

さすがにドン引きせずにはいられませんて、これは。
いや、ここが今日の笑いポイントでしたね、ごめんなさい。

私も、今どき、【wwwwwwwwwwwwwwwww】←こんな草を生やしたくはなかったです。

が、こればかりはもう許してください。

なんせ、さっき栞の会社で弁士の話をしていたかと思ったら、突然、万々亭の裏で、ほとんど人通りもないようなとこで、弁士がデモをやっている、という。
さすがに、これは視聴者をバカにしてますよね。

「キャッ!」
曲がり角でリリコは、眼鏡を掛けた四郎という男にぶつかりました。
あぁ、今度の偶然は、この方を相方にするのですね。

もう、いいよ、いいよ、いいですよ。
ぶつかった男女が運命の相手。
新鮮で斬新で、そしてビューティーでマーベラスで、スプレンディードでアマルフィでニコラス・ケイジな設定ですね。

まさか朝ドラで、中学生の書いたWeb連載小説を読めるとは思いませんでしたorz

 

今日のマトメ「安易すぎる女性ならでは感」

なんだか全体的に「女性ならではの仕事」の描写が、広告代理店が適当に考えて炎上する広告レベルだと思いました。

というのもですね……。
・女子だけで仕事するから男は追い出す
・女子だけで仕事するから、場所はお洒落なカフェ(北村笑店に会議室はないのだろうか)
・女子にアピールするから、スタッフ全員とりあえず女性にすればいいという安直な描写
・女子にアピールするなら美男美女、キラキラを強調するのがいいという展開
・突然男尊女卑的になる男キャラ
という、ドラマの中での設定。
性別逆転しないと差別的だってことに気づかなかったのでしょうか?

やってみましょう。
・男子だけで仕事するから女は追い出す
・男子だけで仕事するから、場所はキャバレーや料亭
・男子にアピールするから、スタッフ全員とりあえず男にすればいいという安直な描写
・男子にアピールするなら美女、セクシーさを強調するのがいいという展開
・突然女尊男卑的になる女キャラ
普通ダメでしょ、こんなの。
女性を前面に出すために男を完全排除する、そんなのはチャンチャラおかしいのです。

これがまだ『べっぴんさん』のような、妊産婦向けの商品開発ならいい。でも、そうじゃないですよね。

今に始まったことじゃないんですけど、今日はこんなやり方で面白いものできるわけやないやろ、という感じが凄まじいレベルでした。

女性のクリエイターが男性より劣るようなことはありません。
ただし、
「私は女。女ならではの感性を生かしました。女の子ならキラキラしたもの、恋愛大好きですよね! 女性のみなさんは全員私の作品に共感して胸キュンできるはず!」
と、そういうことだけ強調している女性クリエイターは、地雷率高いです。生まれながらの性別ばかりアピールしているわけですから。

本作がダメな理由って、まさにそこじゃないかと思います。

実際、お笑いが好き、歴史が好き、立志伝を長いスパンで描いてみたい、みたいなことを本作の制作者は言っておりませんよね。

笑わせたいとか、胸キュン動画とか、そういう
「女の子ならドキッとするでしょ♥」
みたいな、浅いところをアピールしてくるわけでして。高橋一生さんの使い方なんてまさにそれです。

スイーツなドキドキ胸キュン路線をやるのなら、立志伝系は外しましょうよ。
何故ここ数年立志伝系が多いNHK大阪で、こういう安易なノリの朝ドラを作ってしまったのか。

しかも、よりにもよって吉本興行で。
疑問は膨らむばかりで、もはや破裂しそうなレベルです。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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