男女の漫才コンビとして、おてんちゃんが売り出そうとしているリリコとシロー。
しかし……
「シローを喋らせない、しゃべくらない漫才はどうですやろ!」
と提案したところ、プライドを傷つけられたシローは、怒り、その提案を拒絶します。
一体どうなってしまうのでしょう。
もくじ
シローの心は置き去りなのね
シローは、てんと風太に辞めますときっぱり。
「喋らない漫才」どころか、リリコとコンビを解消すると言い出します。
てんは「リリコさんは悪くない」とフォロー。
もう一度考えてくれと言うてんですが、シローの決意は固く……北村笑店もやめると言います。
これにはさすがにおてんちゃんも堪えたようですが、まぁ、完全に自分のせいだからなぁ。反省しておくれやす(´・ω・`)
リリコとシローの顔でも饅頭を作っていたのに、と残念そうな隼也。売り出す気まんまんだったのですね。
にっちもさっちもいかなくなったてんは、シローを紹介してくれた栞に謝ります。
今日もスカしたアドバイスをする栞ですが、なんだかズレているんですよね……。
新しいことをすると圧力や摩擦がかかると言い出す栞。自分もトーキー映画に切り替えることで、金がかかって反対されているとのこと。それでもやる、と言うわけです。
トーキー映画への切り替えは、テクノロジーの問題です。そこにあるのは、おそらくや予算とか、あるいは観客に受け入れられるか?といった時代の流れの見極め。
しかし、シローの場合は、彼自身のモチベーションというか気持ちというか、心の中のデリケートな問題でありまして。
予算のせいで反対する栞の部下と、プライドを傷つけられて反発したシローを同列で考えてしまう、そのデリカシーのなさこそがそもそもの原因では?と思ってしまいました。
栞様、結局、映画を売り出したい?
栞に励まされたてんは
「社長の極意を忘れていました!」
と言い出して、やる気を取り戻します。
栞に相談しなければ社長の極意すら忘れてしまう、というのは吉本せいさんに失礼でしょう。
もちろん人間ですから弱気になることがあってもいいですし、誰かに相談するのも良いとは思うのです。
ただ、その場合、確固たる信念というか経営哲学を持っていて、それでも自身の選択にあと少しの勇気が欲しいときと申しましょうか。
だからこそ経営者というのは、よく孤独と言われるワケで。
おてんちゃんの決意が、とてもじゃないけど見えて来ないのです、文化祭的><;
ここで栞は、リリコとシローを売り出して映画を撮るつもりだから辞めるなと、企画書まで持って来ます。
むむっ。まさかそれが本音じゃないですよね?
リリコ、一生懸命に見えるのかなぁ?
辞めると決意したシロ―はマンマンで別れの挨拶。そこへ、てんがやって来ます。
リリコも含めてまだ説得するようです。
「まだしゃべくらない漫才の魅力を伝えていない」
そう言うと、説明を始めるてん。
「最初は女子が男を言い負かすのが痛快だと思っていた」
だそうで。
ここら辺がとてもわかりづらかったのですが、脚本家さんは「女が男をやっつけていて痛快でしょう!」という前提がおありだったのですかね?
いや、その後のシローに向ける言葉が少し変わってきます。
「でも、思い合う気持ちがあるからそうじゃない! 言葉に詰まったシローに対して一生懸命考えるリリコが面白い! これ以上にいいコンビはいない!」
うーーーーーーーーーん!
何なんでしょう。
何か言ってるようで、何も意味のあるコトを言ってないような。
舞台の上でシローが言葉に詰まったとき、リリコが一生懸命考える様子なんてありましたっけ?
淀みのないスラスラとした言葉でフォローして、シローはただアワアワしていただけ。そこでさらにリリコがフォローして、という構図にしか見えませんでした。
このリリコのフォローが、いわゆる「ツッコミ」かと思うのですが、今後は、そのツッコミを一生懸命な姿にすることで笑わせる?
うぅむ。
たびたび宮川大助・花子さんを引き合いに出して申し訳ないのですが、花子さんまで一生懸命な姿になったらとてもじゃないけど笑えないと思います。
男女のコンビは、夫婦(カップル)の信頼に基づいた「あんた、アホかいな」という掛け合い(夫婦ゲンカではなく)が傍から見ていて面白いのであって、リリコとシローも目指すとしたらそこだったのでは?
まぁ、当時がそういう一生懸命なツッコミがウケるのでしたら、それはもう仕方ないのですが。
なんかシックリ来ないなぁ(´・ω・`)
また「数式のない答えだけの答案」のような
もしかして、ですけど……。
てん自身も脚本家も、
「しゃべくらない漫才」
の魅力を理解していない、あるいは本気で考えたことがないのでは? なんて思いました。
おそらくこれは本作の
「数式が書かれていない答えだけの答案」
状態の弊害です。
脚本家はずーっと、ヒットした芸がどうしてウケるのかを書いてこなかった。
落語家役がうまいときはそれに頼り切りだったし、キースとアサリの革新性すらやらなかったわけです。まぁ、難しいのはわかるんですけどね。
しかし、いざ、そんなシーンがやってくるときたから仕方ない。つか、自分でそういう流れにした。
となると、ここでやっと理由を考えて、どうにか答えをひねくり出さなければならず、その結果こんなわけのわからないものになったのではないでしょうか?
だいたい、てんの言うように思い合う気持ちとやらが、リリコとシローから伝わってなんて来ないんですよね。
だからこそ、リリコが行うシローの顔イジリもイジメに見えてしまうわけで、根本的な問題がそこにあるのではないでしょうか?
改善するとすれば、まず、舞台上では2人の間に信頼関係があるように見せることのように思えます。
原稿用紙のほとんどに赤字入ってませんか
楓はリリコとシロー用の漫才の脚本を持って来ます。
ここでいつもの「よい場面用BGM」が軽快に流れています。
リリコとシローは台本を読み始めました。
そして2人は北村笑店に戻り、もういっぺんやる!と宣言。
台本からまだ台詞は多いと、シローが削り始めます。
見ていると、原稿用紙のほとんどに赤字が入ってしまい、最終的にはほとんど後半台詞ないのでは?と思うほど。
この二人の芸は「お・た・の・し・みでございまぁす」と、ナレーションが煽り口調で言うのでした。
明日、披露するのかな?
なんか緊張してきましたよっと(´;ω;`)
今日のマトメ「お金儲けが重視されがち?」
本作は、吉本興業っぽい、露骨なお金儲けを極力省くかと思っておりました。
が、むしろ創作でマシマシにしている気がしてきました。
隼也はグッズを売り出す気まんまん。
楓も脚本を書いてきている。
そこまではまあよいとして、問題は栞様です。
いくら何でもリリコ里帰り作品の企画書まで作っているというのは、あまりに前のめりすぎでは?
「漫才師として売れるのを信じているからこそ今から作ってるんだよ」
という意味なのかもしれませんが、栞がてんを励ますときの台詞が、シローの心情について一切心を寄せることがないから、金儲けばっかり考えているようにも見えてゲンナリなのです。
これは栞だけの問題でなくて、ともかくシローを説得したいと思うてんからも感じてしまいまして。
もちろん女興行師の話ですからビジネス部分に大きくl時間を割いてほしいものです。が、今までロクに取り上げもせず、なぜ、こんなデリケートなシロー問題の場面で持ち出すのでしょう。
本作は、オープニングの曲から明るい色調、BGMまで、人情味豊かであたたかい世界を描こうとしてはいるのでしょう。
しかし、肝心の登場人物たちは冷淡、わがまま、かまってちゃんでスグ拗ねる。
ドウシテコウナッタ!
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史 風太(林正之助) 伊能栞(小林一三)
【参考】
NHK公式サイト
コメントを残す