わろてんか20話あらすじ感想(10/24)機転の生姜

明治43年(1910年)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインの藤岡てん。家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉と駆け落ちします。

しかし、藤吉の母・啄子は既に許嫁の楓を用意しており、てんは女中として働くことに。

 

問題を先送りにするだけでいいのか、藤吉!

あれほどてんが大事なはずの藤吉も、強く母親に逆らうことはありません。

藤吉にできるのは、母親を文楽人形のガブにたとえててんを笑わせることぐらい。
母・啄子は、一日で音を上げるだろうとほくそ笑みます。

ドラマだし、顔が松坂桃李なのでなんとなく許されています。
しかし、こういう「根本的な解決手段を講じず、お菓子やプレゼントを買ってあげたり、笑わせたりして、相手の機嫌を取ろうとする」というのを実生活でやり続けると修羅場まっしぐらなのでやめておきましょう。
この点を、いつか風太に力強く突っ込んで欲しいところ。

てんは、奉公人たちが悪臭漂う漬け物樽横で食事していることに驚きます。ケチな啄子が、奉公人が食べ過ぎないようにそうしているのでした。

また、てんは分厚い着物を何枚も洗濯する羽目になりました。

これらは吉本せいが実際に体験した逸話を基に描かれておりますね。
よろしければ吉本せいの生涯をマトメた記事をご参照ください。

わろてんかモデル吉本せいの生涯60年をスッキリ解説!ここに吉本興業の歴史始まる

 

史実のせいは「刻んだ生姜」をゴハンにかけていたが……

洗い物で血がにじんだ手を見て驚くてん。
しかし、てんは藤吉が一生懸命仕事を覚えようとしているのを見て、自分も頑張ろうと思います。

これって、不良少年が真面目に授業受けたら喜ばれるようなもので、本来であれば芽の出ない芸をさっさと捨て、もっと早くやっておくべきだったことです。
てん相手ならともかく、視聴者相手にこのくらいで評価を持ち直せるとは思わないで欲しいところ……。

店には、わざとらしいほど絵に描いたようなインド人もやって来ます。
おそらく伏線でしょう。

てんは機転を利かせ、奉公人の食事の場に生姜を吊すことで解決しました。
あの程度で本当に臭いが消えるのかな、とは思います。

史実のせいが提案したのは「刻んだ生姜を食事にかける」という手であり、それならばわかるのですが。
そもそも大量の生姜をどこから手に入れたのか、という疑問もあります。生姜のおかげで皆が大笑い、というのもなんだかちょっと苦しいような。

楓はそんなてんを憎々しげに見つめるのでした。

 

楓の立場もかなり辛いハズ……って考えちゃって

てんはトキという力強い援軍を実家から得ました。
それはよいのですが、そういえばりんにはお付き女中がいましたっけ? もしそうならばりんが気の毒に思えてきました。

トキは北村屋では無給労働になりますが、このぶん藤岡屋でお給料を出すのでしょうか。
藤岡屋も人手が減るでしょうに……しずの親心を表現したいのでしょうが、ちょっと無理があるかとは思いました。
トキ本人は好きな人物なのですが。

啄子と楓のみならず、嫁ぎ先の実家から戻って来ている頼子という姉まで出現。
どうやらおねだり好きであるらしく、てんが祖母のハツからもらったショールまで取り上げようとして、藤吉に止められています。

楓はイチャイチャする藤吉とてんを見て憎らしそうです。

啄子と楓をやたらと憎々しげに描き「まるでシンデレラ!」なんてナレーションまで入るわけですが、楓も可哀相ではあるんです。
おそらくや実家からは「本家筋に嫁に入るからには、骨になるまで絶対に戻って来るな!」と言われていることでしょう。
この時代はそういうものです。

だからこそ何がなんでも、藤吉と結婚しなければいけません。

それなのに横からてんが来たらそりゃあ腹も立つでしょう。

藤吉も「俺はおてんちゃんが好きや」だけではなく、相手の顔を立てるような断り方もあるでしょうにねえ。
てんも無邪気に笑っていないで、啄子や楓の背景に思いを馳せたらいいのになあ、と残念に思います。

啄子は、楓とてんで商い勝負をしてどちらがふさわしいか決める、と唐突に言い出しました。
どうせてんが負けると思ってもことでしょう。
それでも一分でも相手につけいる隙を与えたるのはどうかと思いますし、そんな思いつきの勝負で負けたからと楓を分家筋に返すことになるとしたら、かなりまずいと思うのですが……。

 

今回のマトメ

今日は、実際に吉本せいが体験したエピソードが入ってきました。

漬け物樽の件と洗濯の話です。
ただ残念ながら、アレンジとしてはあまりうまくいっていないと思いました。

昨日からどうしてもてん以上に気になるのが、楓です。
なにゆえ敵役であるハズの楓ポジションに、実物の吉本せいに近い人物を配置したのか。
これがよくわからなくなってきました。

ここで絶対戻るわけにはいかない、船場のごりょんさんを目指して踏ん張るという設定はこちらの方が断然近いわけでして。
どうしても楓を応援してしまいます。

てんはなんだかんだで藤吉やトキのサポートもあって、なんだか背水の陣で頑張るというふうに見えないのです。
あれだけてんにしずが甘いのであれば、なんだかんだで京都に戻ってもよいのではないだろうか?とも思えてしまいます。

吉本せいの物語は、背水の陣でも粘りに粘って、意地で立ち向かう点を魅力のバネとしてきていると思います。
彼女の場合、生まれ持った機転もあり、船場の女中時代や不遇の結婚時代に鍛えられた根性も大きな力となったはずです。

本作のてんには後者が欠けてしまうのではないか?と少々不安になってきました。

朝ドラとしてはそのほうがライトで爽やかだとは思いますが、欠けた部分をどう補うのか。
一視聴者ながら心配でなりません。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

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