半分、青い。66話 感想あらすじ視聴率(6/16)羽織の揺るがぬ創作論

1992年(平成4年)の夏は、楡野鈴愛はじめ、秋風塾の三名にとって正念場でした。

ユーコは、連載できるか。
鈴愛は、新人賞を通過できるか。
そしてボクテにとっては、苦い夏となるのです。

ボクテの裏切りで自作を盗作された挙げ句、他誌に掲載されてしまった鈴愛。
この三人の運命は?

【66話の視聴率は21.7%でした】

 

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新人賞はボクテだったのに、なんという運命の皮肉よ……

「何これ、この雑誌?」

鈴愛が戸惑っていると、ボクテはどこかへいなくなった、と菱本が告げに来ます。
そこへ、北野編集長から電話が入るのでした。

そういえば今日の羽織先生、袖に「糞」って書いてありませんかね。衣装担当者さあああん! ナイスすぎる♪

鈴愛とユーコが呼び出されたのは、ボクテが隠れるリラクゼーションルームでした。

羽織は、ガーベラ新人賞はボクテの『女光源氏によろしく』だったとか。
この運命の皮肉……。
当然だと羽織は言います。

デビューはユーコが早かったものの、実力ではボクテが一番だった。
絵、ストーリー、コマ割り。すべてが素晴らしかった、と。

ただ、パクった挙句『アモーレ』というチンケな雑誌で勝手にデビューしたからにはクビにして、ガーベラ新人賞も辞退させたとも伝えます。

金の卵も、ただの温泉卵だ!そう吐き捨てる羽織。
厳しいけれども、創作に対する厳格な態度だとは思います。

 

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パクられた鈴愛もクビとは!?

何が辛いって、このやりとりを本人も聞いているのですからきつい。

ユーコは、ボクテの実家から電話がしょっちゅうかかってきていて、魔が差しただけだとかばいます。

「だめだ! 一度やったら二度繰り返す。弱虫はそうなんだ! 西はまたうどんを食いに行く!」
羽織はきっぱりとそう言います。

ボクテは羽織だけではなく、自分の才能すらも信じきれずに裏切ったのだと。

「それと、楡野もクビだから!」

ぐはあっ、なぜそんなことに!
西郷どん』で主人公が島流しにされるよりショックだよ!(まあ、あれは史実ですが)

プロでネタの貸し借りはご法度。執筆活動を続けていれば、喉から手が出るほどアイデアが欲しくなることはある。そこで何も浮かばなくなったらジ・エンド!

「クビだ! クビだ! クビ、クビ!」

実に容赦がありませんなあ。
ここでボクテが隠れたテーブルから頭をあげぶつけてしまいます。

 

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ユーコのサバサバな性格は女子校育ちだから?

場面が切り替わり、秋風ハウスでボクテは鈴愛とユーコから治療を受けています。
鈴愛が氷をとるために立ったあと、ユーコは「痛い?」と聞きます。

「そっちじゃなくて」
そう呟くボクテ。心が痛いんです。

鈴愛が部屋に戻ると、ユーコはこれは連帯責任だから三人で謝ろうと提案します。
ユーコは自分の成功がボクテを焦らせたと感じているのでしょう。

うーん、ユーコの性格のよさ。お嬢様設定が生きていると思います。

ユーコって面白いんですよね。
お嬢様設定の割には、いつもボーイッシュで活動的な服を着ていて、性格もサバサバしていて、少女漫画にどっぷり浸かった甘ったるい女の子ではありません。
理知的で、冷静で、とても賢く、優しさも感じさせます。
個性が強いことは、常につけているヘアバンドからもわかります。

これは菱本にも言えることですが、女子校出身ぽいなあ、と思いますね。

女子校出身というと「お姉様」と呼び合うような、そういう箱入り娘を想像される方もおられますが。
まぁ、『花子とアン』はそうでも、昭和や平成では違うわけです。

女性的な性格というのは先天性よりもむしろ後天性であって、異性の目を意識して作られるものであったりします。
青春時代を女子校で過ごしたユーコや菱本は、そういう過程がないからサバサバ我が道をゆくマイペースな性格になったのではないでしょうか。

まあ、ユーコだけは『あしたのジョー』の西のうどんネタがわかっていないわけですが。

 

過ちは誰よりもわかっている

こうして三人は頭を下げます。

羽織は、ボクテは賢いから何を言いたいかすべて理解しているはずだと突き放します。
冷たいけど、羽織先生はものすごくボクテについて買っているなあと。彼も辛いんでしょうね。

ボクテは出て行きますとキッパリ。彼には、自分の過ちがわかっていたのです。

こんなによくしていただいたのに。
尊敬していたのに。
描く世界が好きだったのに。
すべてが遅すぎるボクテ。

彼はあることを頼みます。鈴愛だけは許してくれ、と。

ボクテが、羽織はともかく、我々視聴者に許されるとしたら……鈴愛についての解雇撤回を願うことですよね。
そこまで悪いやつじゃなかったのです。だからこそ、辛いのです。

凡人が思いつきで悪事を犯し、後悔する様というのは、胸を抉ります。裏切りに慣れきった根っからの悪人は、小唄を歌いながら悪事を平然とやらかすのです。

大河ならば、前者が『おんな城主直虎』における登場人物たちでした。凡人で、大英雄として名前を残すわけでもないから、小野政次らが道を踏み誤る時、視聴者の胸にグサグサと悲しみが刺さりました。

後者は、『真田丸』における真田昌幸ですね。ワクワクしながら謀略を駆使して人を殺す。もうレジャー感覚なんですよ。頭が良すぎて、謀略に慣れすぎていて、もうゴルフクラブを素振りする感覚で、武器を相手に振るうという。

「え〜〜」
「鈴愛の親切心につけこんだんです」
ここで羽織、ちゃらけた態度を改め、鈴愛の罪を述べます。

 

エロまがいの駄作にしてしまったのが許せないんだ!

作品は生き物。
生きるか死ぬか、どうにでもなる。
もしもボクテが『神様のメモ』を傑作にしたらよかった。しかし彼は、エロまがいの駄作にしてしまった。

鈴愛は、育ちかけていた芽を間違った人間に渡して、息を止めたようなものなのだ、と。

ああ、このへんもしみじみと刺さって来ますなぁ。

たまらずボクテが土下座をすると、「私のワールドに土下座はないからやめて」という羽織。そのコブに免じて許してやると続けます。

秋風ハウスに場面変わって。
ボクテは、とりあえず二丁目で出会った友達の元に泊まるといい、出て行きます。

ここで菱本が、友達に渡すようにとバターサンドを持たせるのも、心憎いです。

1992年、夏のなりかけに出て行ったボクテ。
その日、鈴愛はマーブルマシンで律と遊ぶ夢を見ました。

すると、菱本のノックで目が覚めます。
二日連続この目覚めですが、今度はバッドニュースならぬグッドニュース。

ボクテの辞退により、繰り上げて楡野鈴愛のデビューが決まったのです!

 

今日のマトメ「羽織の揺るがぬ創作論」

今日はまたすごいことになりましたね。
ボクテのやらかしたこと、鈴愛がデビュー決定と、物語としても大きく動くわけですけど。
なんだかセリフを聞いているうちに、羽織の創作論を聞いているうちに、ゾクゾクしてしまいました。

こんなことを書くとお前はアンチなのかと言われそうですが、敢えて言わせていただきます。

本作はかなり「傲慢」かつ「攻撃的」な作品です。
ナゼか?

脚本家さんが考える、創作の神との問答を脚本に入れ込んでいるからです。

この作品は決して自伝ではありませんが(ちなみに過去の朝ドラでは『春よ来い』という、脚本家の自伝的な作品がありました)、かなりパーソナルで、ある意味、自伝よりタチが悪いのです。

うっすらと、その意識はなくとも、こういう葛藤を脚本家がしているのだろうなぁという格闘の跡が見えてしまい、そのため生々しさがムワッとする。視聴者はそれを受け入れられるか否か。つまりは見る人を選んでいる作品だと思うのです。

しかも脚本家さんは、ツイッターにも書いてしまう。
これは、人によっては、許せないと思ってしまうでしょう。

ですが、同時に、カッコよくもある。

こうした脚本家さんの姿勢は、まるで総大将が家臣の制止を振り切って、馬で一直線に敵陣へと突っ込んでいくようなものです。
批判の矢は、まっすぐ総大将にだけ向かい、演者やスタッフには、なかなか届かない。

そういう危険極まりない総大将を、私たちは、ほぼ毎朝見ているのです。
暴れん坊の総大将は堂々と名乗りを上げながら突っ込んできて、その攻撃力は容赦なく、しかも的確。毎朝分析しようとすると本当に疲れてしまいます。

掟破りの朝ドラ。
常軌を逸した楽しさが面白くってたまりません。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
NHK公式サイト

 

4 Comments

匿名

前にも思ったのですが、失礼します。

>そしてボクテにとっては、苦いの夏となるのです。

苦い夏ならわかりますが、「の」はアリなんでしょうか?

>彼はあるとことを頼みます。鈴愛だけは許してくれ、と。

>うっすらと、その意識はなくとも、こういう葛藤を脚本家がしているのだろうあという格闘の跡が見えてしまい、

匿名

この先ボクテはどうなってしまうのかな?

案外、レディースコミック界の売れっ子作家になって、終盤近くあたりで再会したりして。

匿名

秋風先生の羽織っている糞カーディガン、だいぶ前の回で後ろにもカタカナで「クソッ」て書いてあるのを見ました(笑)!!
トヨエツが着るとかっこいいですけどなんちゅう服。ボンボン飾りついてるし。衣装さんノリノリで攻めてますよね。面白プリントTシャツとかじゃないところがまた洗練されたおふざけですね(笑)!

しおしお改め、七歳上

そういえば、ネットにいる
アンチの方々も、演出や音楽への言及はほとんどなく、全て脚本家先生が受け留めておられますよね?

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