明治43年(1910年)京都。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインの藤岡てん。家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとします。
しかし、姑=ごりょんさんの啄子は認めません。一方で、ライバルの楓はリタイアしました。
借金だらけの北村屋に不動産がやってきて
今週は不動産屋が店を売るように迫るところから始まります。
どうやら北村屋は経営が厳しいようで。
しかも跡継ぎがあの藤吉。もう死亡フラグが立ったということでしょうか。
啄子は不動産屋を追い返すと、塩を撒けとてんに命じます。
休息な近代化が進む商都大阪。地上げの波がここまで押し寄せていました。
啄子は、てんのせいで楓はいなくなるわ、不動産屋が来るわ、と八つ当たり。朝ドラの姑名物「まだあんたを認めたわけではない」という台詞を吐きます。
藤吉は啄子に帳簿をつきつけ、ナゼこんなに借金があるのかと言い出します。
そういう不都合な真実を全部見ないで家出して、何年も芸人やっていたのは誰や! とちょいとチクリと言いたくなりました……。
藤吉は、借金を帳消しするから、そのかわりてんを嫁として認めて欲しいと言います。
あー、これはあかんフラグだな。
先週も失敗してばかりなのに、なんでいきなり大きな目標を立てるのかなあ。
藤吉が張り切るのは、失敗の前振りです。
ヤリ手の番頭又八がライバルへ引き抜き!
険しい顔で仕事をする藤吉に、てんは「笑顔ですよ、笑顔」と。
ここで藤吉がしょうもない芸をして、てんを笑わせます。
てんの笑い方がぎこちないのと、藤吉のギャグが滑っているのが、見ていてちょっと辛い。
借金を返したい藤吉がやり始めたのは、大八車に米を乗せて道行く人に売り出すというもの。
先週まで挑んでいた米買い付けルートの開拓はどうしたのだろう。切り替えましたか。
道行く紳士に声を掛けて新規開拓目指そうとするのですが、これは絶対ダメだと見ていてわかるやり方なのが辛い。
てんも甲斐甲斐しく女中の仕事をこなしています。
そこへ驚きのニュース。
やり手の番頭又八が、ライバル米店の天野屋に引き抜かれてしまったのです。
出戻り娘に婿として入り、のれん分けをしてもらえるとか。
破格の好条件ではないですか!
藤吉が店を継ぐなら無理に粘る必要もない
番頭がここで抜けたらもうあかんと藤吉は焦りますが、沈みゆく船のような北村屋にいる理由もないでしょう。
天野屋としては嫁に出せない出戻り娘に結婚相手が見つかるし、又八としては店を持てるし、こんないい話はそうそうありませんわな。
又八が、箸にも棒にもかからない北村屋を見限らなかったのは、藤吉を追い出して婿に入れる望みがあったからかもしれません。
が、藤吉が跡を継ぐのならば、その可能性もなくなったわけです。
玄関先でこんな重大事をちゃっちゃと話し、申し訳なさそうな態度すら見せない又八。
その態度もどうかと思いますが、そもそもが信頼関係が築けていなかったのだと思います。
焦る藤吉ですが、啄子は慰労金と餞別まで渡して又八を送り出します。
藤吉はそんな母に「勝手すぎるわ!」と文句を言います。
いやいや、藤吉くん。
跡取り息子が芸人としてフラフラしていたのも、又八が北村屋を見限る一因だとは思わんのかね?
こうなると藤吉とてんを追い出し、又八を養子にして楓を嫁にするのが、北村屋再建にとっては最善のルートだったと思わなくはありません。
まあ、それだとドラマになりませんが。
借金の理由は藤吉の父 女遊びで傾いた
藤吉は、何故借金があるのか追及します。
追及したところで、返ってくるのはどうにもならない理由。
藤吉の父が女を囲ってこさえた借金でした。あーあー。
しかし先週も思ったのですが、いくら隠していても父親が派手に女遊びをしていたら、子にもある程度はわかる気がします。
藤吉は家族に無関心で鈍感だったのですかね。
啄子は、藤吉なら立て直せると信じていると言うのですが、大阪のようなエリアで彼の商売勘が、とても有効に働くとも思えない。
藤吉は何も言わずに耐えてきた啄子の姿に感じ入って、ここで踏ん張ると決意表明。
従業員相手に俺がこの店の主人だ、ついて来て欲しい宣言をします。
もし自分が従業員だったら
「屋台骨の番頭はんが抜けて、後に入るのがフラフラしとったアホボン? もうあかん><;」
と思ってしまうのが普通かなぁと……。
一軒一軒家を回り営業をする藤吉。
大口の見込みのありそうな人脈リストは、又八ごとどこかへ行ってしまったのでしょう。それにしたってもう少し効率よくできそうなものですが。
藤吉の芸人としての性根は抜けないようで。
米を売る途中、寄席の前を通ると心がざわついてしまいます。
万丈目吉蔵、歌子、キース。藤吉はかつての芸人仲間である連中に再会すると、いったん仕事をやめて、彼らと食事に行ってしまいます。
ここでキースは、「ええ儲け話」とやらを切りだします。
完全に藤吉が事態を悪化どころかとりかえしのつかないところまで持って行くフラグが立ったわ……。
今回のまとめ
今週も滑り出しから不穏です。
「女の争いに火がつき!」というナレーションがやたらと煽りますが、問題があるのは女だけというより男性陣かなぁと。
よその女に入れあげて家を傾けた藤吉の父。
家出してふらふらしていた上に商売勘ゼロの藤吉。
その藤吉にバカをやらせてしまう芸人仲間。
北村屋を傾けてとどめまで指しそうなのは、全員男性です。
「男の馬鹿さ加減に拍車がかかり! 事態はいっそう悪化するのであります! 男同士がワル企みしてしまうなんて、おおこわ!」
「男同士の浅知恵って嫌やわ~、くわばらくわばら!」
ってナレーションや台詞で言わないんですかね。まあ別にいいんですけど。
要するにてんを嫁にしたい藤吉が、しょうもない儲け話にうかうかと乗っかり、すってんころりんと転ぶのが今週なんでしょうね。
藤吉にもよい面があるのかな、と言い続けて5週目。
底が見えません。
『花のれん』(同じく吉本せいさんをモデルにした山崎豊子さんの直木賞作品)の読者さんたちは「藤吉、はよ退場せんかい!」って指折り数えていそうで、松坂桃李さんが不憫です。
彼が悪いわけじゃないので。
もっとテンポよく、お笑いを商売にする場面まで突っ走った方が良かったかもしれません。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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