わろてんか111話あらすじ感想(2/13)人気コンビを2つに分けたら2倍2倍♪

25周年記念を迎えたお笑い興行元「北村笑店」。

社長のてんの息子である隼也は、「マーチン・ショウ」を興業したいと張り切り、伊能栞の元で下働きをすることに。

一方、専務の風太は、漫才を東京でも広めるためにテコ入れ策を思いつきます。

 

キースとアサリを解散させるだと!?

風太はアサリとキースを呼び出し、コンビ解散と言い出します。
驚く二人。ここで「えええええ~っ!」という声と共に、ズッこける従業員とBGM♪

「どないしたん?」
てんだけトボけた顔しております。

これは第一回、儀兵衛がくしゃみをしただけで通行人全員がすっこけていた演出を思い出します。
思えばあのときから……。

『人気コンビをナゼ唐突に解散させるのか?』
これは劇中の人物だけでなく、視聴者も大いに気になるところでしょう。

風太としては、東京で漫才を売り出したい。
そこで、レビューに押されて漫才の火が東京でも消えないよう、人気のキースを送り込んで別の相方をつけ、アサリは大阪で別の相方を見つける――そんな計画です。

単純に2倍になるとおっしゃりますが、そう上手くいくもんでしょうか。

 

キース&アサリを東京 リリコ&シローを大阪じゃダメなの?

アサリはかつて何人もの相方を辞めさせております。
渡米したキースの帰国を待っていたとはいえ、かなり性格にムラッ気がありそう。

というか、芸人さんを300人も抱えているなら他にも売れっ子はいるはずで。
いなければ新たに育てりゃいいのに、なぜ、人気トップのコンビを解散させるのでしょう。
今で言えばダウンタウンを解散させるようなもんですよね?

本作は、キース、アサリ、リリコといった人物を、主人公夫妻の昔なじみにして、必要以上にウエットな関係にしたのが根本的な失敗だと思います。

彼らにスポットを当てすぎて、
・幼なじみ以外の芸人がほとんど出ない
・東西に分けられるほどのキャラが揃わない
そんな駄目さ加減が増しています。

そもそも、せっかく先週、看板の二枚目であるリリコ・アンド・シローを見いだしたのは何だったのでしょうか。
キースとアサリを東京に送り込み、リリコ・アンド・シローを大阪でプッシュすればよいのでは?

 

出演者による自画自賛が寒すぎて……冬

てんはこの提案に反対します。
アサリも断固反対ですが、ナゼかキースは断わらない。

てんは、マンマンでもコンビ解散について話し始めました。

ここで万丈目が、社史のことを語り出し、いかに北村笑店が斬新なことをしてきたか説明します。
「すごい!」
「こんな斬新な北村笑店ってあったんや!」
「ドラマにしたら面白そうやな~」
って、寒々しいにもほどがある(´・ω・`)

思えばカンタンなことです。

吉本の社史をまんまドラマにしていれば、それだけで十分に面白かった。
伊能栞さんも、ときどきスパイスのように登場するだけで輝いた。

今となってはもうタメ息しか出ません。

 

なぜ漫才以外のチョイスがないのか?

この自画自賛ハンパない会話は、要するに
「いつもやることが斬新な北村なんだから」
ということ。

リリコが、
「藤吉が生きていたら真っ先にコンビ解消したんちゃう?」
とも言います。

ちゃうやろ。そこはむしろ、
「斬新な北村なら、漫才だけにこだわらず、関東で人気ならばレビューにも力を入れる」
というのが正解でしょ?

「百年続く漫才」
という、藤吉の思いつきみたいなフレーズをやたらありがたがっていますけど、それは違うでしょう。

時代に即した笑いを追求するのが北村のモデルである吉本です。
戦争などの影響もあって、一時期は、笑いを一切やってなかった時期すらあった。

漫才が時代遅れになったら、とってかわるモノを考えてこそ、斬新!でありましょう。

 

異業種交流会の名刺交換じゃないんだから

隼也は、栞の元で修行中です。
むしろ栞が本業をやっていることに驚きました。

実際、不満そうな表情の重役が何度も映ります。
後に悪役として出す設定かもしれませんが、栞のいい加減な仕事ぶりを見ていると、むしろこの重役こそ正義に見えてしまう。

そもそも隼也が与えられた仕事も
「顧客の名前と住所を覚えるための宛名書き」
でした。

うーーーーーん。
なぜにこのドラマは「苦労=名前を覚える」なのか?
おてんちゃんも芸人300人の顔・名前・飲食物の好みを覚えておりましたが、興行師としての腕の見せ所は、芸人の発掘&売り出しやイベントの企画、番組の構成なワケで……。

そもそも名刺の名前と肩書が一致しても、顔を覚えてなければ意味がなさそうです。

異業種交流会で名刺交換だけして仕事とか起業した気になってる人を想像してしまいましたよ……(´・ω・`)

 

「立ち止まったらアカン」←方向性を間違ってもアカンで

てんは応接室で、栞と話します。

栞は、涼しげな表情でコンビを解散するべきだと主張。
はいはい、栞様の言うことはナンデモ正解ですな。

解散について揉めていたキースは、風太の提案に乗ることにしました。
不安がるアサリに対しては、お前は芸達者やからな、と励まします。

てんはてんで、立ち止まったらあかん、百年先の北村笑店のためにも進むと言い出します。
もちろんその通りですが、業界や会社を俯瞰して方向性を選ぶのが、経営者にとって最も大事な仕事なワケで。

それを誤ったら、本当に倒産ですからね。

実際にそうなるのが社会の現実であり、本物の民間企業だったら、今回の解散など絶対にありえないと思いますよ。
まぁ、このドラマは文化祭なので大丈夫なんでしょうけど(´・ω・`)

そしてキースとアサリのラストステージへ。
特に進歩のないまま、13分頃からネタを繰り広げて本日終了とあいなりました。

 

今日のマトメ「ドウシテコウナッタver∞」

本日は頭の中にドデカイ疑問符が浮かびっぱなしであった人が多いと思います。

このコンビ解散、最悪のパターンですよね。
事務所側の大人の事情で、人気コンビを突如解散して東西に振り分けるんですから。

新コンビを結成したら、「前のほうがよかったのに!」と強烈なアンチがついて、両者ともに沈むパターンですよ。
人気出始めのころならばともかく、人気があるのに解散は流石にない。
というか、そんな前例ってありましたっけ?

史実におけるこのコンビ解散はまったく違う流れで、吉本側も「なんでそんなことすんねん!」と思ったほどです。
アサリのモデルであるアチャコが中耳炎で入院した際に、エンタツはコンビを解散してしまい、もっと売れそうな相方を勝手に見つけてしまったんですね。

「アイツは汚い奴やなあ」
周囲は皆そう思うほどでした。

実際、この強引な解散は失敗でして。
エンタツは、結局アチャコとのコンビ時代ほどの人気を得ることはありません。

誠実で義理堅いアチャコは、戦時中に吉本が消滅しても、頑として立ち去ろうとせず、戦後復活を果たしました。
そのころはエンタツとの人気は逆転しており、エンタツは自分の浅はかさを悔やんでいた……そういうお話なのです。

ちなみに、リリコ・アンド・シローのモデルであるミス・ワカナと玉松一郎の場合、ミス・ワカナが若くして麻薬中毒で急死。
玉松は別の相方を見つけたものの、勢いと人気を取り戻すことはありませんでした……。

モデルとなったコンビを見ても、人気コンビの解散はハイリスクなのです。
なのに、なぜ、そんなバカな真似を?

意外性やら斬新やらだけを追求してこんなストーリーになったとしたら、あまりにファンタジー脳が過ぎる。
人気に陰り出て、伸びしろも期待できないので解散――ならば、まだ理解できなくもないんですけどね。

先週、リリコアンドシローで、コンビ結成の難しさ、人の心に寄り添うことを、必死になって描いていた矢先。

人気コンビを2つに分けたら2倍2倍って、高見山じゃないんだから(´・ω・`)

史実とか時代考証とか、そういうこと以前に、お笑いへの愛情不足。
それが、本作の根底に横たわる、絶望感の正体でありましょう。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史 風太(林正之助) 伊能栞(小林一三)

【参考】
NHK公式サイト

 

1 Comment

匿名

先週あれだけ引っ張って「新しいコンビを作るのは大変だ」と言っていたのに、もう「コンビ解散して新しいコンビを作れ」
これまでの、後ろ面極める→夫婦漫才→ドツキ漫才→しゃべくり漫才→…みたいに、それぞれが宗旨替えするのも、誰かの一言などあっという間
今回は冒頭の提示からその日のうちに解決
これでは感動もなにもないです

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