はつの許嫁「白蛇はん」こと惣兵衛に笑ってくれるように頼み、かえってひどい侮辱をされたあさ。
一方、はつの姑となる菊に初めて対面した今井家の母・梨江は、その癖のある性格に戸惑いを隠せません。
果たして、あの家に嫁いでよいのか?
心配する母親や、惣兵衛に対して怒りをぶちまけるあさを、はつはたしなめます。
「売り家と唐様で書く三代目」
あさの嫁ぎ先の加野屋でも、何かあった様子。
新次郎が訪ねて来ないと手紙で知らされ、あさはがっかりです。
ところが新次郎は、訪問できないかわりに手紙を送ってきました。
あさがワクワクしながら、はつと一緒に手紙を見ます。
と、その文字は「光源氏みたい」と形容されるほど達筆です。
「売り家と唐様(からよう)で書く三代目」なんて諺もありまして。
芸にばっかりかまけて商売をしないで潰してしまう、ダメなお坊ちゃまを揶揄した言葉です。字がうまい新次郎はそれを地でいきそうな感じもあります。
とはいえ、恋文をもらう側としては、達筆というのはうれしいわけです。
さて気になる中身はと言いますと、あさが達者かどうか、またこちらは変わりなく過ごしておりますというようなものです。
ごくごく短い手紙ながら、あさが元気かどうか気にしてくれているなんて、こんなに素敵な恋文にはお返事をしなくてはとはつが言います。
シンプルな文面に拍子抜けしていたあさですが、はつに恋文と言われてドキドキ。
ついでに廊下で姉妹のやりとりを聞いていた女中のふゆまで、ドキドキ。
うーん、いいですねえ。
このドラマは美形二人をフレームに入れれば十分画面が映えると意識していますね。
娘時代の明るい着物はおそらく今週のみでしょうが、衣装が華やかなぶんより映えます。しかもかわいらしい。
『アナ雪』型ダブルヒロインが主流になる?
放送当時、女児向け用品売り場に行くと、ドコかに必ず、アイスブルーのドレスを着たエルサと濃いパープルのケープ姿のアナ姉妹のグッズが置いてあります。
仲良し姉妹がここまで世間に受けるということを、ディズニーは世に知らしめました。
本作もその流れを汲むのでしょう。
女同士が対立する『シンデレラ』型ヒロインより、今後はこの『アナ雪』型ダブルヒロインが主流になるのでは?
好評だった『あまちゃん』も『花子とアン』も『アナ雪型』、不評の『まれ』と大河『花燃ゆ』はシンデレラ型ですね。
このパターン、そもそも複数ヒロインのキャラが立っていないと、成立しませんからね。
なんか女が複数いるなぁ、とボーッと見てしまう作品は、そこまで到達できません。
恋文を送ってきた新次郎の加野屋ですが、とんでもない事態になっていました。
シッカリ者の跡継ぎ長男・正太郎が肺病で臥せっていたのです。
新次郎は愕然とし、母・よのは泣き崩れ、父・正吉も口では助からないと決まったわけではないと言うものの、暗い表情です。
息子が亡くなることそのものも打撃ながら、跡継ぎがどうなるかもここでは重要。
見るからにシッカリ者の加野屋番頭・雁助と亀助もそこを気にしております。
跡継ぎは新次郎だと言う亀助に、雁助はあんな暢気なボン(お坊ちゃま)が跡を継いだら店が危うい、と辛辣な口調で断言します。
態度が悪いようにも思えますが、こりゃ雇い人としてはえらいこっちゃやで!
この番頭コンビがきびきびと働く場面も活気が出ていてよいですね。
「浴衣ごろ寝」だの「入浴」だのダラダラ見せ付ける暇があれば(『まんぷく』)、こういうもんを流してくれ〜い!
その新次郎は大変な中なのに、どこかへふらりと出かけてしまいます。
やけになったのでしょうか。
はつは静かに涙を流していた
今井家では、若い女中たちが新次郎の恋文にときめいています。
初々しい〜。
こういう恋のアプローチ、見たかったです。
いきなりパンチラ見せて彼氏の有無を聞く奴とか、最近の朝ドラで見たばっかりでしてね。
恋文に少女たちがざわめく中、一人浮かない顔なのがはつです。
返事を書きたいものの、筆跡が悪すぎるのを恥じて悩むあさは、はつにアドバイスをもらうつもりなのか話しかけます。
するとはつは、静かに涙を流していました。
惣兵衛ショックのあと、妹の許嫁である新次郎があんな素敵な恋文を送ってきたら、そりゃあ哀しくもなりますよね。
気丈に振る舞い、妹の天真爛漫さに笑顔を見せるはつ。
しかし嫁いだらその妹とも別れてしまうんですね。
ここではつ、
「新次郎さんがうちの許嫁ならよかったのに」
とかなり際どい本音を漏らします。
お姉ちゃんの分の幸せを奪ってしまったかも
こ、これはキツイ……。
先週、母・梨江の口からあさと視聴者には、姉妹間許嫁トレードが語られているわけです。
今後、あさは幸せになったらなったで
「お姉ちゃんの分の幸せを奪ってしまったかも」
と悩むわけです。
はつが幸せになるのであればまだしも、あの夫にあの姑ではそれも難しそうです。
随分と重たいものを背負わせましたな。
許嫁トレードで思い出したのですが、この
「本来、私の結婚相手は別の人だったはず!」
を『花燃ゆ』でもネタとして使っているんですよね。
まあ、こちらは勝手に楫取を姉に譲ってやったんだから、本来は私のものだとばかりに不倫するための言い訳に使われているわけですが……。
その点、『おんな城主 直虎』はそのへんうまく処理していたっけ。
それはさておきこの重たい爆弾、いつか炸裂する気がして不安です。
こうやってハラハラさせるのも、うまい伏線の張り方です。
あさはこの回の最後、祖父に恋文を書くことで相談します。
果たしてどんな恋文になるのでしょうか。
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↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]
※モデルとなった広岡浅子と五代友厚の史実をご覧になりたい方は以下の記事をご参照ください。
お二人とも、ドラマに負けず劣らずの波乱万丈な人生です!
また、各話におけるレビューも記事末に追記して参りますのでよろしければ併せてお楽しみください。
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