人助けしているつもりの偽善者
もう、指摘するのもうんざりしてきましたけれども……。
彼らが不味いダネイホンでスタートした理由ってこれですわ。
「味に文句を垂れる一般消費者はともかく、病院食を食うしかない奴ら相手に売りつければ、不味くてもエエやろ」
邪悪すぎませんか?
味がよくなるにせよ【砂糖は高いから使わない】とか、儲け主義バリバリのことを言っております。
そもそも、入院できる人ってそれなりの財産や家族がある場合でしょ。
わざとらしく映し出される、路上で苦しむ戦災者の口にダネイホンが入るはずがありません。
そのダネイホンだって、唾飛ばしながら、三角巾すらつけない連中がゴリゴリ作るだけ。
不衛生極まりないことは何度も指摘しました。
これで人助け?
金儲けの言い換えだけちゃうの?
発明? いいえ、ただの思いつきです
スモモはお土産でもらったから(通年収穫できないのに?)。
昆布は妻が食事準備中に思いついたから。
どの案も、萬平の脳みそから出て来ておりません。
ボタン連打の結果か、ただの思いつきにしか見えないのです。
萬平は机に座って何をしているんでしょうか?
『半分、青い。』と比較するのも気が引けますが、あの作品の発明根底には、萩尾律のエンジニアとしての研究、知識、理論、発想、熟考、経験がありました。
そのどれもが、萬平にはない!!
ただの思いつきやないか!
しかもその思いつきだって周囲の偶然頼りだ!!
あのですね、発明家が偶然や周囲の発言から思いつくというお話が生きてくるのは、それに裏打ちされた理論や学究あってのことなんですよ。
なんで前作ができていたことを、本作はできないと証明するんですか?
プレゼンできない社長って
前作とまた比べてしまってすみません。
弁舌が巧みというよりも、むしろ感受性重視の鈴愛ですら、発明品のプレゼンを一生懸命こなしておりました。
萬平は、それすらデキない疑惑が湧いてきました。
ダネイホンの味を改善したにも関わらず、その美点を説明することもなく、いきなり試食させます。
ジョブスみたいに、どこがミラクルかくらい説明できんのかいな!
独裁者社長は、反対意見を排除します
「良薬は口に苦し 諌言は耳に痛し」
そんな言葉があります。これは重要です
リーダーシップを語る上で、これは無視しちゃいけない。
リーダーが聞きたくないような反対意見を誰かが言ってきたらどうするか?
そんなもの聞きたくない、おまえは敵対するつもりなのか、と責めてしまってはいけません。
部下がどうしてそう思ったのか。
じっくり意見を聞いてこそ、よいアイデアが新たに出てくるもの。
それなのに、あの新ダネイホン試食会はどういうことでしょう?
厳しい意見を言うと宣言する鈴を、福子(まんぷく立花福子モデル→安藤仁子)が止めます。
こんなことをしておいて、よくも鈴のご機嫌取りをしています、と言い張るとは。
あの美味しくなったわけではないと手を挙げた三人にこそ、萬平は意見を聞くべきでした。
それなのに、このドラマでは社長の意見や大多数に従えない、空気の読めないバカとして描いたのです。
しかも世良に至っては「つまみ出せ」とまで言います。
はぁ~?
反対論者を追い出す、完全に独裁者の発想じゃないか!
ここで萬平なり福子が止めに入ればまだしも、それをしない。つまりは肯定しているようにも見える。
あれではもう二度と、従業員は反対意見を言えなくなることでしょう。
愚かでおぞましい独裁の完成です。
まぁ、そんな予兆はありました。
以前、従業員の自己紹介を、神部が「そんなもんエエ」とぶった切っておりました。
立花夫妻とその太鼓持ちである神部にとって、従業員なんか個性も何もない、ただの道具扱いってことですね。痛ましい。
血統自慢
「武士の娘の娘の婿!」だから何やねん!!
『ハリー・ポッター』のマグル(人間)を小馬鹿にするマルフォイか!
血統自慢って完全にアホですわ。
人が上に立つために大事なのは血統よりも器量です。そんなことは誰がどう見たって明白じゃないですか。
それにこれ、二重の意味で問題を感じます。
モデルの安藤百福氏の台湾ルーツ削除については、指摘するまでもないこと。
そんな彼の台湾人ルーツをブッ潰しておいて、日本の武士由来だと言い張るとは、盗っ人猛々しいとはこのことです。
スピリチュアル
はい、本日も咲による【幽霊召喚システム】が出てきました。
こんな神頼みめいたスピリチュアルが、全国展開最後の決め手になるって、ゾッとしません?
「我々は咲神の守護があるから負けないんだー!」
ってか? もうカルトじゃん、そんなもん。
一度や二度ならばまだしも、いちいち幽霊を出すつもりならもうダメすぎます。
ゾッとしません?
経営者一家が仏壇に手を合わせて、幽霊や神様の意見で経営方針を決める会社なんて……。
カルト教団を描いているのか?
このおそろしい、独裁スピリチュアル体制。それを美談扱いするこの神経。
これがカルト教団の洗脳過程を描くドラマならば秀逸だと思います。
立花夫妻の顔も不気味に見えてきました。
そしてこんなひどい体制こそ、本作チームが陥っている状況のような気がしました。本作は、こういう無能スピリチュアル独裁者が総大将で、戦略ミスをしているのではないでしょうか。
今日もそうとしか思えないほど、酷い出来でした。
まず演技指導。
何かを刻むと言うよりも、誰かをこれから刺しに行きそうな、酷い包丁の持ち方をする鈴。
『わろてんか』のおてんちゃんは、新人女優さんだしそんなものかと思いましたが、松坂慶子さんはベテランです。それなのに、家事のシーンの動きがいちいちおかしいのです。
もう彼女については、演技力ではなく、
『花燃ゆ』
『西郷どん』
ですら文句を言わない、そういう鷹揚さを買われての出演という気がしてきてなりません……。
そして、またノルマ消化じみた、夫婦の川の字ごろ寝場面。
何度やるんですか?
これだけじゃありません。
今日の最大間抜け&胸糞ポイント!
『東京の人は人情が薄いと、関西弁ではなく東京のイントネーションでくどくどと語る鈴』
アホちゃうか!
あんたはどこの出身やねん!
東京が冷たいから大阪に逃げて来たのかもしれんね。って思うなら関西弁ぐらいしゃべらんかい!
今作は関西弁イントネーションも酷いです。
立花夫妻以下、数少ない関西出身者を除いて、ほぼ全員が関西人をむっちゃいらつかせる【なんちゃって関西弁】を喋っております。
こんなんでよくもまあ、こんなアホみたい場面を入れたもんだと呆れ返ります。
だいたい、どのツラさげて、東京モンは人情が薄いとか言うのでしょう。血も涙もないブラック企業経営一族のくせに。
薄っぺらいセリフにも程があります。
東京制作の前作が、ダメな前作大阪朝ドラの不調を吹き飛ばした――そのバトンを受け取って、こんなザマです。
東京を貶めたら、大阪が持ち上がるとでも?
ドラマの出来が拙いだけではない。
どうしようもないほど何かが腐りきっている悪臭がプンプン漂って来ます。
大阪の人は、本作を見てどう思うのでしょう。
※スマホで『半分、青い。』や『八重の桜』
U-NEXTならスグ見れる!
↓
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『まんぷく感想』からお選びください
※まんぷくモデルである安藤百福の記事、ならびにラーメンの歴史もリンク先からどうぞ!
寝食を忘れ、生まれたばかりの息子に目もくれず、妻からの心配もはねのけてダネイホンに適する材料を模索していたと思うのですが、なぜこんなにあっさりと昆布を使って美味しくしちゃうんでしょうね。
あれだけ本気で材料探ししていたのに昆布に行き当たらなかったマンペイの無能さを描きたかったのでしょうか。
それなら納得ですが。
ゆうべここに来て、おふたりへの共感極まり涙。
足あと残そうとしましたが、なんだかひどいことばかり書いてしまいそうで消して。
なので久しぶりに読んでみました↓ もしや激変してるのかと心配したけどまだありました(笑)
https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/kijun/ (国内番組基準)
あらためてここのみなさんの知識の深さ、強さ、粋に惚れ惚れしてます。
評論の意義と価値も繰り返し再認識させていただいてます。
従業員は皆「兵隊上がり」、つまり軍隊経験者という話だった筈。
なら、食事作りは食事当番を決めて自分達でやってしまうのが自然だし、洗濯は各自でするのが自然。
軍隊生活で皆身につけている筈だし、またそのきつさもわかっている筈だから、「社長の義母に当然のように押し付ける」など、当時のモラル感からもあり得ない。
制作側は何もわかっちゃいない。ひどい作品。
戦後年数も経って、軍隊経験者が少なくなると、こんなとんでもない描写をされても指摘する人もいなくなってしまうのか。
鈴が、東京では倒れた妊婦に手を貸さない薄情な人たちがいる、と言ってましたが、福子と萬平はギクッとしなかったのでしょうか?大阪でも道端でうずくまって弱っている人たちの横を通って、可愛そう、とだけ言って通り過ぎた夫婦がいましたよね。
脚本担当が複数いる疑惑が消えません。一人で書いていたらこういう矛盾するセリフは出てこないと思うのですが。
今日は久しぶりに後半だけ視聴しましたが、試食会で少数派意見を切り捨てるところとか、咲幽霊が登場するところとか、心の中で「アホか‼︎」と叫んでしまいました。げんなり、うんざり。毎日レビューを書かれるのはどんなに苦痛かと想像しますが、お身体に気をつけて今後も頑張ってください。