まんぷく 88話 感想あらすじ視聴率(1/16)視聴率も顕著になってきた

編集さんから「こんなコメントを頂戴している」とのご報告をいただきました。

・『アリとキリギリス』の改変版はこの時期にはなかったのでは?

私もそう思います。
手を繋いで全員でゴールする運動会と同じで、ぬる〜い世代の教育が広まったという話を、時代考証無視して適当につっこんだ結果ではないでしょうか。

・めんたいこドラマのほうが出来がよい

そのドラマは知りませんでした。
なるほど、そういう先行作品があるんですね。それに及ばないとは……。

そういえば本作って、OPがひとつのバージョンしかないのでは?

普通は、クレジットが長くなる月曜日はロングバージョン、その他の日はちょっと短いショートバージョンが一般的です。

それが、ない。
これも時間稼ぎ?

【88話の視聴率は21.3%でした】

そんなリアリティは求めてないのよ

はい、そんなわけで本編ですが。
毎朝つらい……それしかありません。ブラック企業のもとで働いていた人たちのトラウマを刺激し続けている。

まずは、立花萬平の無責任経営トップぶり。

なんとリアリティのあることでしょうか。こんなとこでのリアル、誰が求めてんの? しかも狙いでそうなってるワケでなく、作ってる当人たちが気づかずにそういう方向へ進んでいる感がどうにもならない。

むしろ理想に燃える経営者が見たいんでは?

それが、なんなんでしょう、この無責任っぷり。

織田島の町工場で、深々と頭を下げ、自分の見通しが甘かったと謝罪する姿が見たいわけですよ。
それが、どこか逆切れ気味の上、イラついた態度。

セリフの中身を要約すると、
「俺の素晴らしい計画に金を出さない梅田銀行が悪ぃんだよ、俺を責めるんじゃねえよ」
というもの。

挙句の果てにこう言いおった。

「お前らだけが信用組合のお客様じゃないんです!」

いやいやいや。
さんざん織田島製作所は特別だと持ち上げて、俺に任せておけって言いくるめておいて、そりゃないでしょ。ここまで露骨な梯子外しもないわ。

身内の神部にまで、織田島には近づくなと警告する始末。
れ、冷血過ぎる!

長谷川博己さんの演技力が、
「なんでこの俺様が、薄汚ねえ町工場の連中になんか頭下げなくちゃいけねえんだよ」
という方向へ怒涛のごとく流れている。

謝れないの? 自分が悪かったって、認められないの?

ナゼ自ら前に出て騒動を治めないんだ!

こういうことを書くとですね。
アンチ様から、どんなリアクションが来るか想像はついてしまいます。

「私には萬平さんが真剣に謝っているように見えました! ものの見方って人それぞれですね!」
つまりは武者が性格ヒン曲がった奴だ――それに対して、私は素直だ、とね。

まぁ、私の性格がヒン曲がっていることは認めます。

ただ、萬平が尊大な人間に見えちゃうんだから仕方ない。あの話し方もイケないでしょ。

そういった私の感想にご賛同いただけなければこのサイトが廃れるだけで、逆に支持があれば継続する――レビューってそんなもんだと編集さんのお墨付きを得ているから今後も感じたままに書きます。

ちなみに『半分、青い。』の頃と比べてアクセスは微弱だそうで。
リピーター率も高く、方向性が間違っていないことを数字で実感しております。

さて、続けます。

梅田銀行からの融資ストップに激震する池田信用組合。
萬平はどのような施策をうち、そして責任を取るつもりでしょうか。

預金をおろすべく客が殺到したところで、
「為す術もありませんでした」
というナレーションが重なり、萬平と真一が呆然としているところで、こちらも口がアングリとしましたよ。

『あさが来た』では、銀本位制廃止で山王屋に客が押しかけ、大パニックになりました。
そこであさは、きっちりと啖呵を切って納めようとしておりました。

まぁ、あさには、あの土方歳三相手にだって負けない強さがありましたもんね。

あさが来た 25話 感想あらすじ 大阪から見た明治維新

史実はどうあれ、ここで萬平をどう描くか? ってのはドラマとして大きな問題でしょうに。
なぜ、こんなダメになった?

どうした、NHK大阪朝ドラ班!

人気作家原作風のビジネスドラマと言い切っているようですが、嘘でしょ?
カリスマ課長がどうこうする漫画原作ドラマといい、その手の話といい、こんなピンチの時に責任逃れして呆然としていたら、絶対人気が出ませんって。

ダブルスタンダードが酷い

そんな無責任男・萬平の頭をヨシヨシいい子する、夕食の場面も酷い。織田島家の人は食事も喉を通らないだろうに……。

差し押さえが迫っているのに、鈴に言わない福子は何でしょう。
悪事を止めないこと、その片棒を担ぐこと。それが福子のオシゴトですか?

もうバカみたいに
「萬平さぁんは大器晩成型ぁあ〜!」
って、何なの???

占い師頼りの鈴はバカにする。
しかし、大器晩成とかいうお告げや、咲の夢枕は、アホみたいに信じる。

THE ダブルスタンダード!
いっそのこと『だぶすた』にタイトルを変えても良いですね。

描きたい意図がどうであれば、周囲で犠牲になる人はサラッと流し、最終的に自分たちだけ楽しいことができればエエ。
というのは序盤から徹底していましたね。

・戦争であれだけ死人が出ても、自分たちの上に爆弾が落ちてこなければロハスライフをエンジョイ!
・復興支援なんてせず、ハンコ作りでボロ儲け!
・製塩事業では従業員を雑魚寝させ、飢えに耐えかね密漁させるほど薄給でコキを使う!
・被災者母子を救うと言って作ったダネイホンの値段をつり上げる!
・病人なら味なんて文句つけないと病院に押し売り!
・そして今度は自己満足のために町工場を振り回し、信用金庫を破綻させる!

二人の通った道は死屍累々です。
それで大器晩成って、どういうこと?

むしろコレは『モンスター上司』系ではないでしょうか。

このタイミングで非常に嘆かわしいニュースがかぶりました。

秋元康氏、NGT48山口真帆の暴行被害騒動を「憂慮」 運営AKS取締役らが会見|ニフティニュース

秋元康氏、憂慮だそうです。
っていうか、あなたがトップじゃなかったの……?
と、口ポカーン。

『あまちゃん』の太巻なら、ちゃんと責任を取っただろうなぁ。
責任を取らず、俺だって苦しいんだよアピールをするトップは見苦しい。

実情は知りませんが、リーダーにはリーダーの振る舞い、言動があると思うのです。

未だに続くセクハラへの誤解

今朝のゲンナリはまだまだ終わりません。
忠彦の裸体画関連シーンです。

そういえば、『半分、青い。』でも萩尾律をモデルにしたヌードスケッチをしようか、という話がありましたね。
女子校出身のユーコが鼻血まで垂らして、鈴愛もドキドキするものの、菱元の配慮もありお流れになるという。

半分、青い。45話 感想あらすじ視聴率(5/23)アラフォーオーバー破顔の選曲

本作って、前作と重なる描写があるものの、踏みとどまる範囲をことごとく間違えております。

今回のは、どう見たってアウト!
ユーモラスに終わった前作に対し、本作はもう画家とモデルへの職業差別が極まりました。

今朝、一応丸く収まったかに見えるのですが、誤解に満ち満ちていて洒落になっておりません。

本件が丸く収まるきっかけは、忠彦がことあるごとに「妻子を褒めてのろけていた」とモデルが話したからでした。
って、そういうことじゃない。

コレ、誤解あるあるでして。
『セクハラっていうのは、容姿をけなされたから女が怒るんだよな?だったら褒めりゃいいんだろ~』
って考え方が間違っているのです。

容姿を論じる時点で論外!

あのオバマ氏ですら、コレで失敗したと以前紹介しました。

まんぷく 66話 感想あらすじ視聴率(12/15)タカをブス扱いするやつ氏んで欲しい

この忠彦の話の中身だって、どこもほっこりきゅんきゅんできねえっす!
むしろどんだけゲスだよ、ってなモンで、彼の本性を列挙してみましょう。

・妻子を褒める中身が、学歴や外見というブランドだけ
・妻子の性格面、知性、そういう中身については褒めていない
・かわいい娘に悪い虫がついたら心配だとぉ? 娘の交際相手は自分で決めるという意識が根底にある証拠。自分の所有物扱いしているってことだ
・一応克子に支えられたというものの、それも理解ある家事育児マシーンってことですよね
・いや、むしろ支えたのは実家からの仕送りやろ! というツッコミ。克子が働きに出ていたなんてこともない。克子は働く福子をけなしておりましたね
・息子は言及せず。息子への愛情欠如という可能性もあるけれども、ニュアンス的には女だけをジャッジしたいクソメン精神性ゆえかと

要するに、忠彦は自分の所有物である妻子は上等なんだよ〜、と褒めただけです。
ゲスです。完全にゲス。

こういう所有物アピールは、気持ち悪くてハラスメントど真ん中で、妻子の憎悪を掻き立てているだけです。
昨日も紹介したこの記事から、本作スタッフが読むべき箇所をピックアップしておきますね。

#私が父親を嫌いになった理由 で声を挙げた女性たち 知られざる家庭内の性被害が明かされる

日本では家庭内で父親が娘や妻を所有物として支配する図式が長く続いてきました。

テレビのCMでも最近、父親が「いつか娘も嫁に行くのか。他の男にやりたくないなあ」と嘆くと、母方の祖父が「僕も君にやっただろ」と言う、といったものがありましたが、私は「いいかげんにしろ」と思いましたね。娘は父親の所有物なんでしょうか?

本当に「いいかげんにしろ」だよ、本作よぉ!

続きは次ページへ
立花萬平のモデル・安藤百福の生涯
立花福子のモデル・安藤仁子の生涯

5 Comments

管理人

>盾食う虫のライクライク様
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきましたー。
OP、2バージョンあったんですね。
確認取れ次第、対応させていただきますm(_ _)m

盾食う虫のライクライク

誤字脱字かもしれないのでご確認お願いします。

1ページ目 ダブルスタンダードが酷い

・妻子を褒める中身が、学歴や外見というブランドだけ
・妻子の性格面、知性、そういう中身については褒めていない
・かわいい娘に悪い虫がついたら心配だとぉ? 娘の交際相手は自分で決めるという意識が根底にある証拠。自分の所有物扱いしているってことだ
・妻子を褒める中身が、学歴や外見というブランドだけ
・一応克子に支えられたというものの、それも理解ある家事育児マシーンってことですよね
・いや、むしろ支えたのは実家からの仕送りやろ! というツッコミ。克子が働きに出ていたなんてこともない。克子は働く福子をけなしておりましたね
・息子は言及せず。息子への愛情欠如という可能性もあるけれども、ニュアンス的には女だけをジャッジしたいクソメン精神性ゆえかと

「・妻子を褒める中身が、学歴や外見というブランドだけ」を二回言っちゃってます。

もう一点、レビュー本文の内容についてです。

1ページ目 序文
そういえば本作って、OPがひとつのバージョンしかないのでは?
普通は、クレジットが長くなる月曜日はロングバージョン、その他の日はちょっと短いショートバージョンが一般的です。
それが、ない。
これも時間稼ぎ?

一応二パターンを用意しているようで、不定期にロングバージョンとショートバージョンを流しているようです。
本日はロングバージョンでした。
こちらも併せてご確認お願いします。

お手数おかけします。

通りすがり

潜伏さんの考証すごいですね!初めて知りましたし論文まであるなんてびっくりぽんです。
武者さんが日頃丁寧にご自身の見解や考証を纏められてるからこそ潜伏さんのようなハイレベルな方もサイトに来られるんだな、と感動しちゃいました。
まんぷくの制作陣が意図して今回のパターンを採用したのか、無知故にそのへんの考証も違和感も気がつかずにピュアに採用したのかは永遠の謎になりそうですが、新しい視点や歴史にアクセス出来て思わぬ収穫、と言う気分です 笑

羅蜜王

「アリとキリギリス」の結末はアリがキリギリスを見放すという
ストーリーが一般的と思っています。アリが食料を分け与えるといった結末を
教わったという方は少数派ではないかと思っています。もしくは時代の若い人で
手をつないで一緒にゴールしましょう、という教育を受けてきた方々、というのが
第一印象でした。(蛇足ですがEテレでたまに放送する「昔話法廷」のアリキリの回は考えさせられます)
実はこの部分でこの脚本は30代前後の人が書いているのではないかと勘ぐった次第です。
ここまできても今作の脚本は複数人で書いているように感じます。(あくまで感覚的なものですが)
来週からラーメン作りが始まるようですが、この部分から福田氏が担当するのではないかと勝手に想像しています(面白くない展開に、わずかの希望も含めました)。

潜伏中

いつも楽しく拝見しています。まんぷく本編は既に観ていませんが、こちらのレビューで更なる惨状を知り、どこまで酷さを更新するのかと呆れ果てています。
さて、ドラマと関係ないコメントで恐縮ですが、「アリとキリギリス」改変版のこと。
本来のイソップ物語では「アリとセミ」だったかと思いますが、アリがキリギリス(に相当する虫)に餌を分けてあげるバージョンは、戦国時代にイエズス会宣教師が初めてこの話を伝えた時から存在します。
その経緯についてはウェブ上にも幾つか資料があると思いますが(「アリとキリギリス 宣教師」等で検索すれば出て来ます)、こちらの論文に、その後の絵本等でどうなっていたかということも合わせて詳述されています。
kokusainihongaku_6_1_59.pdf

明治大学のサイトに掲載されたようです。
http://m-repo.lib.meiji.ac.jp › bitstream

上記論文にも少しだけ言及がありますが、ディズニーの初期短編映画(もちろん戦前です)にも「アリが餌を分けてやる代わりにキリギリスは楽器を演奏する」という脚色があるそうです。

というわけで、「アリとキリギリス」改変版の歴史は案外古いというお話でした。
余計なことでしたら申し訳ありません。

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