まんぷく 77話 感想あらすじ視聴率(12/28)お前はもう死んでいる

今年最後の放映日。
本作の本質を突く鋭いセリフがありました。
イッセー尾形さんから出ましたよ!

「バカじゃないのか」
これやで、これが真実やで!

【77話の視聴率は21.9%でした】

描写を端折るせいで説得力がゼロ

東が今更ドヤ顔で、
「奨学金は非課税なんだッ!」
と言い出したわけですが。うん、知ってた。

立花萬平(まんぷくモデル安藤百福)逮捕の理由って、
『本来は課税対象の給与である金まで、非課税である奨学金を装って従業員に渡していた――計画的な脱税である』
という容疑でしょ。ま、表向きはね。裏にはいろいろあったようですが。あとGHQが主導して、日本の税務署がしぶしぶ捕まえたわけではありません。GHQは、本件では無実ですよ。今後のチキンラーメン開発を考えますと、これはとても悪いアレンジです。

ドラマ内はともかく、史実ではそうなります。安藤百福が学業を身につけさせようと頑張った結果が、仇となったわけです。

このへんも、本作の悪いところです。
とにかく表現が稚拙で、視聴者に誤解を与えまくっている。

史実での安藤百福は、学校まで作って運営するほど教育に力を入れておりました。

学費が安い夜学に、ちょろっと数人だけ通わせたのではありません。
学校を作り、何十人もの奨学金給付対象者がおりました。その規模ゆえ、目を付けられたわけです。
本作の制作チームって、学歴は大好きなのに、学校やお勉強は嫌いなんですか? ふーん、ステータスシンボルだけがお好きなんですねえ。

それが、ドラマでは?
規模を縮小しすぎていて意味不明でしょ。

10万円(現在価値で800万円)だなんだのギャーギャー騒いでおりますが、史実と桁が違いすぎます。

1週間で起承転結させる駄作システムから脱せよ

史実からすればはした金。
こんな小者を見せしめにするなんてGHQも財務局もとことんマヌケ。本作に出ると誰も彼もがアホに見えるから恐ろしいです。

もしかして、あのヘンな広告のおかげでセレブ扱いとか、そういう意図はありませんよね?

本当は、ややこしいこうした事情もジックリ時間をかけてやれば、当時のGHQや財務局、さらに刑務所事情なども勉強できて、かなり見応えがあったはずです。
二度目逮捕の手榴弾事件なんか不要でしょ。

もう面倒臭いので、サクッと改善案を出してみましょうか。

◆一週間で起承転結する【駄作朝ドラシステム】を採用しない

安藤百福と安藤仁子の足跡をたどれば、ほのぼの家族モノにならないことは明白。
逮捕とビジネスという題材を扱う以上、週またぎしないのは無理があります。

完全に創作だった手榴弾事件は不要。
代わりに学校を作る展開にすればよかったのでは?

安藤百福の人生における見せ場は、何といってもチキンラーメンの開発です。

もう今さらですけど、年末辺りはチキンラーメンのアイデアに煮詰まっている場面で良かった気がします。

そして新年に向けて
『さあどうなる? 萬平は夢のラーメンを作れるのか? この続きは翌年! ヒントは福ちゃんが揚げていた天ぷらです』
みたいな引っ張り方じゃダメ?

理念をぶち上げ、ソッコーで翻す

今週の展開は、一週間引っ張る内容ではありませんでした。
それでもいつもよりは放送期間が短いんですね。

制作側も薄々それをわかっていたのか、数日分をまとめて撮影したとしか思えない、衣装もカメラワークも使い回し感に満ち満ちた室内で、しかもしょーもない会話ばっかり。

一日15分に無理矢理萬平の翻意をぶち込んだために、卑劣度も増しましたね。

開始直後
「この金は、従業員たちが必死で働いて、塩とダネイホンで儲けたものだ! 取られてたまるか!」

福子面会後
「でもまあ、福子に頼まれたしまあいっか、訴え取り下げます」

この間、特にロリメンこと従業員に申し訳ないという素振り、なし!!
な、な、な! なんすか、この方?

というか、そこまで従業員のことを言うなら、会社を売却した資金もナンボかは渡して然るべきじゃないんですか?
もうロリメンに同情したくなってしまう、悪徳経営者ぶりです。

 

うん、長谷川博己さん主演『モンスター上司』邦画版が見たくなってきたな。
明智光秀もいいけど、将来は是非松永久秀も視野に入れて欲しいところです。

あ、徳川慶喜を演じて、思い切りゲスに松平容保を見捨てて欲しいかも。
とにかく、もう、ハセヒロさんのことはむしろ好きなんですってば!

中身なんて関係ない! 誰が言ったか、それが問題だ!

本作のゲス特徴として、言動の中身よりも、発言者が誰であるか、そこばかり見ているというものあります。

鈴が釈放に反対していると疑った時。
「このケチ! そんなに金が惜しいのか、因業ババアが〜〜〜!!」

萬平が釈放に反対していると判明した時。
「さすが萬平さん! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!」

 

もう意味がわかりません。
とにかく論理とか理屈なんて1ミリも関係ない。

誰が言ったか?
それだけです。

この効果は東にも発揮されていて、どういうわけか萬平と福子にありがとうと言い出す始末。
はぁ……。
これがトレンディ業界人のごますりテクニックなの? イケてる行動なの?

もう、誰も彼もがどうしようもない萬平信者か、ごますり野郎に見えてゲンナリですわ(続きは次ページへ)。

立花福子のモデル・安藤仁子の生涯

9 Comments

南面の武士

目に余る手抜き、不愉快極まる悪ふざけ、いい加減な考証等、『まんぷく』の要素と極めてよく似ているのが2015年の『まれ』でした。

『まれ』の舞台は石川県の能登半島でしたが…

昨日(12月30日)、テレビ朝日系で、地方移住をテーマにした番組があり、その中で、石川県穴水市の僻地集落に移住したご夫婦の話がありました。
穴水という土地、地元の方々との関わり、ご主人が手掛ける輪島塗PR等…
ご夫婦はもう何年も前から移住生活の状況をwebで発信しておられました。
ひょっとしたら、『まれ』の構想の直接のソースは、このご夫婦の話だったのかも、と思ったところです。

そうだったとして、もし作品化を手掛けるのが、『だんだん』『あまちゃん』あるいは『半分、青い。』等のような制作姿勢の制作者だったなら、きっと良い作品になり、穴水市や輪島塗等も印象深いものになったのでしょうが、
実際は…
極めて残念な結果に終わりました。

あるいは、舞台となる場所や背景、出演者を入れ替えただけで、『あまちゃん』の完全コピー的な作品を目指して真剣に取り組んでいたなら、
○岩手県久慈市 → 石川県穴水市
○ウニ漁 → カキ漁
○三陸鉄道 → のと穴水鉄道
○AKB48 → 乃木坂46
etc.
リメイク、あるいはパロディ作品としても極めて秀逸なものになっていたかも知れません。

『まんぷく』的な作品を作ってしまう原因がどこから来るのか。
詳しいことはわかりませんけれども…
『まれ』が批判を浴びて、そういう制作手法は否定されたかに思えましたが、おそらくきちんとした総括・分析はされなかったのでしょう。朝ドラから消えたかに見えても、潜伏し、時折例えば『水族館ガール』等のような作品を生成しながら生き残り続け、2017年の『わろてんか』でついに…

人類は果たしてこういう作品を克服、根絶することはできないのか。
来るべき新しい時代には、こういう作品を克服することができますように。

高く、気高く、美しく

「めんたいこで人を幸せにした夫婦の物語」
2019年に映画化される『めんたいぴりり』のCMキャッチコピーです。

『めんたいぴりり』は、もともとTNC(テレビ西日本)制作の連続ドラマで、辛子明太子を日本で初めて製造・販売した福岡市の(株)ふくや創業者夫婦をモデルにした作品でした。好評で他局でも放映されたので、ご存知の方も少なくないでしょう。

私は、『まんぷく』はこの『めんたいぴりり』を安直にパクろうとした失敗作なのではないかとの疑いを持っています。

パクリだったとしても、あまりにお粗末極まる代物ですが。

Susuka

制作陣の胆が据わっていないドラマは、ダークな部分をぼかす方向に逃げがちだとは思っていました。本作で言うなら、台湾などの外地出身者の逆境とか。
ところが本作は、そもそもドラマとして成立していない。例えば単純に「台湾隠し」をしただけで、それ以外の描写をきちんとやっていたなら、史実を調べずに本作のみを見ている層からは普通に良作ドラマとして認知されたことでしょう。それが、安易なルーティン&時間稼ぎ&過剰な性的描写etcの繰り返しになってしまい、時代考証以外もすべて崩壊している。
もはや「台湾隠し」以前の問題ではないかと。ずっと前に書きましたが、本当の「プロパガンダ」は、こんな露骨な手抜きやら、すぐに見抜かれる小細工はしません。すぐに馬脚を現しただけ、まだましというものです。

匿名

ダーリン&クリエイターという言葉から、被災地をことごとくアレしてらっしゃるらしい某氏を連想して、ぞわっとしました。
それにしてもレビューもコメントもとっても勉強になります。中身の薄い本編と違い、気がついたら調べものしてしまってたり。そういう意味では価値ありますね。
明日のスペシャルレビュー、楽しみにしてます!

ヨメ

何でここまでGHQに睨まれるんだろう?と不思議でした。だって大した事してないじゃん?と思ってたので。
史実では、学校を作る等の大きな事をしていたからなんですね。レビューで学ばせていただいてます(^.^;

発明家

「奨学金が脱税とされて逮捕される」と「奨学金は非課税である」が矛盾するように見える謎、今までまったく理解できていませんでした。読ませていただいて、はじめて理解しました。ありがとうございます。萬平さんや東弁護士が国を訴えるとすれば「あれは確かに奨学金である。給料の一部を奨学金と称して渡したものではない」と証明する必要があるんですね。ドラマでそう説明してくれればいいのに、これでは国税局側に重大な瑕疵があり、罰金、追徴課税も消滅、釈放にならないのはおかしい、と誰もが思ったのではないでしょうか。

 萬平さんが過酷な重労働の中、それでも次々と湧き上がる新たなアイデアや使命感に苦しめられる、やはり生粋の発明家である、みたいな描写があればよかったですね。現実には、ちょっとおかしな話し相手にもめぐまれ、なんだかちょっと楽しそうな仕事をしているだけでした……。

Radar Controled Searchlight

そもそもこのドラマ、描く題材は「稀有のチキンラーメンという発明品を生み出す夫婦」。
別に難しい話でもあるまいし。『下町ロケット』シリーズの番組仕立て等を横目で見ながら(露骨に「パクり」等にまで及ばなくとも)作り上げることはできただろうに。
『わろてんか』の題材のほうがよほど難しい。果たしてあちらも大失敗に終わったけど。

三太夫

福子を始めマンペー側の人達が何度も
「釈放させてもらえる‥‥」って言ってましたよね。
「釈放してもらえる」じゃなきゃおかしいヨ

この脚本家日本語の勉強しなおしなヨ。

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