あさが来た 93話 当時の既婚女性の権利とは?

うめと雁助の場面を、デリカシーのない宮部、それとあさが目撃してしまいます。
朝ドラで立ち聞き覗き見は必要悪のような部分がありますが、二日連続で重要な場面を誰か覗き見するというのはいかがなものでしょうか。

宮部のデリカシーゼロの態度もなんだかなあ。
ここでうめはあやまって熱湯をこぼしてしまい、雁助がそのせいで火傷してしまいます。

宮部は九州に帰り、うめと雁助は火傷の処置で大慌て。
手当てするために顔と顔が近づいてちょっとドギマギしています。

雁助は、うめを連れて出たらあさに悪いと先ほどの発言を取り消してしまいます。うめはどこにもいかないかと念を押し、雁助も銀行発足までは残ると言うのですが……。

これからは頭取と呼ぶように

榮三郎は奉公人たちを集め、三年後の銀行開設を目指すと宣言します。
この場面で影の薄い榮三郎の嫁・さちが出てくるのですが、彼女は独身時代からずっと似たような明るいピンクの着物だけで、他の人と比べて可哀相な気がします。

役柄としては重要ではなくても、劇中では若奥さんであるはずです。
今のところ、榮三郎の嫁というより千代専属女中みたいになっていますし、損な役回りだなあと感じてしまうのでした。

雁助は、これからは旦さんではなく頭取と呼ぶようにと言います。
ここで榮三郎があさを促し、一言のはずがやけに長い挨拶となります。

最近この場面以外でも気になるのですが、BGM過剰気味では?
中身の薄い台詞を音楽で盛り上げて誤魔化しているようで、ちょっと興醒めです。

ここでは銀行業についてだけではなく、炭鉱業など他の業務の会社も立ち上げると発表されました。

人情で回収するNHK大阪の悪癖

新次郎は雁助を気遣い、一対一で面談。
銀行業についていけないようなら、お店を出してあげるから引退したら?と親身になって提案する新次郎です。

銭金が好きではなく、正吉に教え込まれた信用が好きではないかと図星をつかれて、雁助も軟化します。
雁助は若く見えるのですが、引退してもおかしくない六十くらいのはずなんですよね。よい身の引き時だと思います。

あさは新次郎に、炭坑の会社社長を引き受けるよう依頼します。

あさはなんでこういう大事なことを事後承諾で認めさせようとするんでしょうか。
社長を誰にするかで引っ張るつもりという意図はわかるのですが、それこそ「信用」をないがしろにしていませんか。

あさは新次郎が社長になるべき理由を語ります。
ただし、これまたどんなことでも人情で回収するNHK大阪の悪癖が出ている気がしてなりません。

以前もちょっと書いたのですが、当時の既婚女性は「無能力者」扱いされ、契約を結ぶなど、商売に必要とされる権利を一切持っていません。
現在でいうところの未成年扱いのようなものです。

独身女性、未亡人であればこれは違います。

明治の女性実業家は未亡人が多く、広岡浅子も炭坑に乗り込んだ際には未亡人だと周囲から誤解されていました。

そういった仕組みを描かなくともよい、「史実と違ってドラマだから」という逃げ道を用意して省いているのでしょうか。それはわかるのですが、今より女性の力が制限された時代に活躍したと描くのであれば、そうした障壁は説明して欲しいところでした。

そして今日の締めは、倒れ運ばれる五代友厚。
この場面、今まで執拗に体調を崩してフラフラする描写がなかったら、もっと劇的だったんだろうなぁ……。

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください

あさが来たモデル広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます

【参考】
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