なつぞら34話 感想あらすじ視聴率(5/9)それでもアナタの決断を応援したい

天陽の気持ちは

天陽はスキー板を削りながら、なつの絵を時々見ています。

彼の目が、絵を描きあげる視覚がとらえた、なつの顔。
映画に夢中になる顔を見て、彼女の本心すら見えてしまったのでしょう。

誰かの気持ちを読み取る、そんな才能を与えられた天陽。
倉田はそのことを理解していました。

けれど、かえって自分の気持ちはわからないのかもしれない。

鏡を使わなければ自分の顔を見られないように、彼は自分の心がわからないのかもしれません。

そのことを、スキーを削っているうちに理解できてしまったのかもしれない。
絵にせよ、スキー削りにせよ、「集中」が彼にとっての鏡かもしれません。

心に浮かぶ、なつの顔。
なつの夢中になっている顔。

これまた広瀬さんの魅力、演技力、表情、撮影技術あってのもの。
本作は高度なテクニックがみっしみしに詰まっていますね。

勝てばよかろうなのじゃああ!

そのころ、柴田家ではまたイジワル軍師・夕見子による哄笑タイム!

なんと、泰樹は新品のスキーを照男に買い与えたのです。

「それでは勝負にならぬではないか!」

自作の方がカッコいいという意見もありますが、それを知将・泰樹が一蹴します。

「勝てばいい」

やっぱりあんた、前世は真田昌幸だな?

そうそう、ここで説明でも。
当時の北海道でスキーといえば、クロスカントリーだべ。

スキーの歴史は紀元前2500年から! 狩猟具がやがて武具になり、そしてスポーツへ

ジャンプも盛んでして、『マッサン』主人公モデルが多大な貢献をしております。

【関連サイト】竹鶴シャンツェ

竹鶴政孝(マッサン)とリタ 史実の生涯を追う!ウィスキー作りに命を賭した夫婦の愛に感涙

スキーの歴史的にもそうで、アルペンスキーはかなりの後発なのです。

そして迎えた、当日の朝。
勝負の前に、照男は天陽を呼び出しました。

「何ですか?」

「なつのことをどう思っている? 好きか?」

なつよ、何だか妙な雲行きになってきたぞ――。

そう語られる中、次回へ!

姫の犯した罪と罰

アニメへのオマージュがこめられた、この作品。

今週の展開からは、この傑作映画を思い出します。

かぐや姫の物語』です。

日本の古典である『竹取物語』をもとにしたあの作品は、原典をそこまで改変しているわけではありません。
それでも斬新だったのは、原典にはないかぐや姫その人の、心の動きを丁寧に描いたところにありました。

かぐや姫には、結婚願望が一切ない。
だからこそ、美しく装おうともしないし、野生児のように振る舞いたい。

それを周囲は許さない。
育ての親も、それこそが幸せだと決めつけて、彼女を高貴な男の妻にしようとするのです。

求婚者は、よってたかって苦労をして自滅までする。
しかし、彼らがしたいのは別の求婚者へのマウンティングのみ。彼女がどう思うのか。それすらわかろうとしません。

かぐや姫は条件をつけて、なんとか断ろうとしているのに。
理解せぬまま、高慢な女だとすら思ってしまう。

かぐや姫は傷付き、失望し、月からの迎えによって地球を去ってしまうのです。

「姫の犯した罪と罰。」

このキャッチコピーが、おそろしいとすら思えて来ます。

姫の思いはどこにある?

あの物語の根底にあるもの。それは姫の気持ちでした。
本作もそうでしょう。

激動の展開を見せそうな今週。
天陽ですら恋心が芽生えそうなのに、なつはそうではありません。

なつがもしも天陽に恋心があるのならば、何らかの形で示されているはず。
しかし、彼女の心として一番はっきりと示されていること。それは、アニメへの憧れの気持ちです。

それを理解しているのが天陽。周囲にはそんな理解はありません。

なつの迷いは、恋愛感情ではなく、自分の夢です。
そして自分らしい生き方の模索にあります。

これは朝ドラとして、かなり画期的なことであると思います。

『カーネーション』という果敢な例外はあったものの、『あさが来た』ですら、史実以上に恋心が強調されていたものです。

『半分、青い。』の楡野鈴愛は、萩尾律からのプロポーズを断って、夢の実現を目指したからこそ、理解できない女として叩かれました。

一方で、****の*ちゃんは特に深く考えずに、プロポーズ一発で落ちる、チョロい……というか浅はかな女にしか見えなかったものですが。

そういうヒロインをめぐる中、なつは果敢な造形だと思います。

ありのままに生きてゆく

女性の持つ心の動きで、最もわかりやすいと世間が思っているもの。

それが恋愛感情なのでしょう。

「ただしイケメンに限る」

「あの女の行動は、相手がイケメンだったからほだされたのだろう」

「女はちやほやされたい、お姫様扱いされたいんだよ」

そういう手垢のついた偏見は、まだまだありまして。

ありのままに生きる――そんな自分らしさを目指した『アナと雪の女王』のエルサが、
「お姫様のくせに王子様を待っていないのかー!」
と罵倒されたりするものです。

まぁ、エルサはそもそも女王ではありますけどね。

エルサに朝ドラヒロインも続き始めた。
それが楡野鈴愛。そして奥原なつもそうなるのでしょう。

ディズニーのエルサと、ジブリのかぐや姫を比べると、ちょっと悲しい気持ちにもなりました。

エルサはハッピーエンド、自分らしさを制御しつつも、隠さずに生きることを目指しました。一方のかぐや姫は、居場所を立ち去るしかなかった。

自分のありのままの姿を発揮して、羽ばたけるヒロインは、日本ではまだ先のことかと思っていました。

しかし!
奥原なつは、そうなるかもしれません。

照男と天陽。

泰樹の夢と「雪月」の計画。

そこまで壊して踏み出すなつは、きっと心無いバッシングに、画面の内外から晒されることでしょう。

それでも、私はあなたの決断を応援したい!

そう強く願うのです。

受信料で宣伝をしてよいのか?

「開拓者の郷」のモデルになった菓子は、おなじみのこちらですね。

◆六花亭公式サイト

私も大好きです!!

作り手のロマンがぎっしり。どういう意図なのか。どんな工夫があるのか。
北海道の歴史。そういうものが詰まっています。

はい、ここから先はいつものダークフォースに堕落タイム。嫌いな方はここまで!

じゃ、スタート。

エビチャーハンの具材を洋風と言い切り、中国要素を抜きまくり、ともかくえらい、すごく金が儲かると言い張った。
****ヌードルなんてものもありました。

現在、あのモデル企業が放送終了直後にも関わらず、****出演者をCMに出しておりますが。
受信料って、いつから特定企業宣伝に流用されるようになりましたか?

****だけ叩き、『なつぞら』はいいのか?
ダブルスタンダードか?

そういうツッコミが来ると思い、ちょっと考えてみました。

『なつぞら』の場合、舞台の重要な要素を司るものでもあり、かつプロットに絡んでいます。
ルーツ隠蔽のような、悪質極まりない改変もありません。健康に悪い食べ物を、医者だって勧めているかのような、そういう描写もない。

それにあくまでサブプロットであり、前面的に出しているわけでもない。
実在の商品名とも、そこまで似ていない。気づく人は気がつく程度です。

一方で、****では「カップ」と「ヌードル」の間を一応区切るだけで、実在商品名に近い単語を連呼しました。

厳密に言えば、両者ともにグレーです。

ただ、『なつぞら』が雪にかかった砂埃程度であるとすれば、****はコールタールのようですね。

そのポイントを、まとめました。ここでやるなって話かもしれませんが。

・間を区切るだけで、実在商品名を連呼

・栄養満点という虚偽を描く

・台湾ルーツ、発明者すら偽装する

・ドラマ内にとどまらず、『ヒストリア』、『ザ・プロファイラー』といった歴史番組でも虚偽の内容を放送した

・朝ドラ出演者がモデル企業の宣伝をすることは過去にもあった。しかし、放送後ここまで時間をおかずに放映することは異常である

◆「あ~、****」 日清が“****家族”出演の令和っぽいTVCM「愛されて三世代篇」を放送開始~松坂慶子がハンドスピナーを回し、深川麻衣が「日清焼そば、だーいすき」 – ネタとぴ 

私の理想は、NHK大阪があと10年は朝ドラ作りをやめて、下半期は再放送枠にすることですね。
金の臭いしかしない駄作なんて、朝の空気を汚すだけです。

※スマホで『なつぞら』や『いだてん』
U-NEXTならスグ見れる!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!

【参考】なつぞら公式HP

 

4 Comments

904型

あのバター煎餅、実に美味しそうでした。
見た感じは、今でいうサブレーにも似ていましたね。食べたいなあ。

農家の産品をもとに、地元ならではの名産加工品を作る、というのは、まさに現在の「六次化」の取り組みそのもの。作中の時点から60年余を経て、農業も原点回帰の取り組みを進めているということでしょうか。

この六次化は、農協も含め様々な団体や個人が取り組んでいるのは周知のとおり。農協もそれぞれ特色を活かした取り組みをしていますが、私見ながら、小規模なところほど小回りも効いて、生産者側からの提案や消費者側の要望に素早く対応しているように思えます。もちろん危機感もあってのことでもあるでしょうが。
私自身も、割と近くに、県内で最小の農協があるのですが、その農協の特産品を活かした六次化商品が気に入っています。

羅蜜欧

天陽がスキーの板の裏を削っていた道具は「とくさ」でしたね。
紙ヤスリが無い時に使うんですけど、
植物の柔らかさが木の表面を優しく削るのでとても相性がいいんです。
小物をさりげなく出してくるセンスがイイですね。

匿名

残念ですが、あの作品はマスコミを味方にしてますから、批判なんてありません。逆に、『いだてん』は、もうヤバいレベルです。新聞のサブタイトルの見出しが色々と変わっていますので、圧力におちるのは、時間の問題の様な気がします。

ガブレンツ奮戦

そう言えば、最近、携帯電話のd社のCMも、以前から出演していた俳優H氏演じるキャラを、どういうわけか**さぁんに寄せたバージョンを作って流してますね。
あんなの見たって不快なだけなのに…

私は他社(CMをパクられた方)ユーザーだから関係ないけど。

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