なつは、仲の描いたパンダがかわいいと褒めています。
本物を見たのか?
と仲は驚きますが、絵に感激しているのです。
仲は、それならば自分でも描いてみればと勧めました。
書き損じは捨てられているので、持ち帰っても自由とのこと。
「護美箱」と、手書きの紙が書かれた木製のゴミ箱が昭和ですね。
【美】を【護(まも)】るという当て字です。
手書きで願いをこめた文字にする、そんな時代でした。
昭和って美しい時代ですねえ〜と、勝手に美化するのはやめておきましょうか。
実は、ゴミを捨てることへの罪悪感の薄さは、現在よりも当時のほうがないものでした。お花見直後なんてもう……。
動画の精鋭部隊は全員新人なんだ!
なつは動画課に入り込んでいます。
下山はセカンドアニメーターでした。
ファースト、つまり「本物のアニメーター」とは、仲と井戸原だけなんだとか。
下山以下6名のセカンドは、ファーストを助けている状況なのだそうです。
10,000枚を超える絵を二人でこなせるわけもないので、セカンドがつくわけです。
彼らも日本初の長編アニメを作るわけでして、全員がOJT状態。
新人が新人に教える――そんな混沌とした状態があるのです。
このあたりも、作業過程をきっちり見せてきて、いいと思いますよ!
そういえば、この二人が動画の審査をしていましたっけ?
そんな仲が太鼓判を押したほど、なつの動画センスはよいと示されます。
なつのそういう才能を、仲が見抜いていること。セリフと演技の積み重ねで、わかってきます。
センスがなければ、パンダを描いてみようなんて、言えないわけです。
仲は誠実で責任感が強い。気楽に勧めるとも思えません。
愛嬌のある下山より無愛想というか、難しいところがあるんだな。
そこをわかっていたのか、そんな仲を噴水に突き落とした咲太郎よ……。
目が暗いアニメーター・マコとは?
ここで堀内に、あの黒いオーラを身にまとった女性が突っかかっていきます。
「かような絵で通ると思っておられたのか?」
「指示通りに描いて何が悪いんだ! 線画を直せない!」
「原画にとらわれすぎておるのだ……それしきのこともわからぬとは。今一度捉え直すがよい」
あれはセカンドのマコちゃん。
そう下山が説明しますが、もう小野政次でいいんじゃないですかね。
彼以来の死んだ目だし、服が黒いし、嫌われ政次の一生オーラが漂っていますし、誤解されていそうだし、口調がイライラするし、何よりも面倒臭そうだし。
前世は小野政次ですね。
もう実質的に鶴ちゃんでいいよ。
※『おんな城主 直虎』に登場の小野政次(高橋一生さん)
それはさておき、出ました。
「指示がざっくりすぎてわけがわからねえ!」
演劇部顧問の倉田もそうだった、ああいう奴です!
『半分、青い。』の秋風羽織も同様でしたね。
創作という魂の饗宴の中で、私は、しばしば病を忘れる。私は思うのです。人間にとって創作とは、神の恵みではないか、と
なんか意味不明なことを言っていてこいつら気持ち悪いよ……近寄りたくないよ……意味わからないよ!
そうやって、のけ者にされかねない系統の人間です。
同じ系統の仲間を早く見つけるんだ、さもないと、周囲を巻き込んで爆発する。
それこそ、小野政次レベルのバッドエンドになりかねんぞ!
風車はよい下宿
なつは下宿先の風車絵に帰宅します。
と、そこに粋な和服姿の男性客二人がいました。
帰宅したなつに、
「大した客じゃないから」
と、おどけるのは女将の亜矢美。
「おいおいおい!」
年配の男性客はそう突っ込みますが、もう女将の手練手管にメロメロしていますよ!
なつに仕事場の様子を聞き、ご飯を食べて、お風呂に入っておいでと亜矢美は言います。
あれは女将の娘なのか? と男性客は興味津々。
兄もいるなんて知らなかったと気にしています。
こりゃ惚れているね。本気かどうか、どこまでわからないけれど。疑似恋愛くらいはしちゃっているね。
店にとっちゃいいカモじゃないか。
客は、兄は咲太郎だと知ってホッとしています。
「なんだ、さいちゃんか。落語家にならねーかな」
「師匠〜」
この会話から、落語家とその弟子だと判明します。
今年のNHKは落語推しなのかな?
上方落語は『わろてんか』およびそのモデル企業に蹂躙されておりますからね、関東はそうならないようにしないと。
ん?
それよりも、咲太郎ってやっぱり多才なんだな。落語家になってもやっていける。
そんな華と個性、頭の回転、ユーモアがあるんでしょう。
いろいろと自分の中にあるものを、無駄遣いしちゃいねえか、咲太郎よ……。
このあと、なつが蠅帳(はいちょう)を取って、夕食を食べ始めます。
結構品数が多くて、豪華なんです。プロの亜矢美ならば、味もバッチリでしょう。これはいい下宿だな〜!
手を合わせて食べ始めるなつ。いい子だね。
このあとの、落語家の話がなかなか面白い。
絵がうまいと、雀が動いて屏風から飛び出す――そんな話をしています。
なるほど、それもアニメだね!
絵が動く発想は、昔からあるとこんな短いセリフからわかるのです。
なつは、夢中になって作画の絵を写し、自分なりに練習をしています。
そして浴衣のまま居眠り……。
そのなつをそっと起こし、布団まで運ぶ咲太郎でした。
「狸か?」
その咲太郎が絵を見て呟くのですが、パンダということはわかりません。
そもそもパンダを知らないのでしょう。
私だけの、等身大着せ替え人形
さて、そんな住心地良い下宿の風車ですが。
ある意味よすぎる状態になります。
亜矢美がなつで着せ替えごっこを始めたようなものなんですわ。
自分が着られなくなったお洋服を、毎日かわいいなっちゃんに着せてウキウキワクワク状態。
こんな派手な服……そうなつは戸惑います。
初日のレモンイエローもなかなかインパクトがありましたが、新人だからと本気でなかったそうです。
えー!?
そう言いながら、なつをうっとりと眺める亜矢美。
「白粉塗っていないのに、ツルツルサラサラッ!」
こんなかわいいなっちゃんで着せ替えできるなんて、もうウッハウハだわ〜!
等身大着せ替え人形ちゃん、あーかわいい、ウハウハだ〜!
「靴は赤ね!」
ノリノリです。
もう、亜矢美の欲望があまりにストレートでいいっ!
※リアル着せ替えコーデゲームだもん❤︎
そんなことは我関せず、咲太郎は寝ております。
あ、こいつのコーデも亜矢美プロデュースの可能性もあるんですね。
寝ている咲太郎は、昭和のだらしねえランニングシャツ姿でした。
きっと息も酒臭いんでしょうねえ。
それにしても、このシチュエーション。衣装担当者もウハウハなんでしょうね。
大変ではあるけれども、よくもここまでレトロな衣装を集めたと思います。NHKのストックが豊富とはいえ簡単ではないいハズです。
本当に、NHK大阪とNHK東京は、どうしてこんなに違うんでしょう?
モダンガールを再現できる最高のチャンスなのに、リリコを竜王にしおった『わろてんか』。
前作****、教団幹部ルイージ*子の悪夢。
それとはレベルが違いすぎて目眩がしそう。
※続きは次ページへ
東映動画自体はその当時はもう大泉だった模様です。
西武線かな?
あ、そうそう、
小田急沿線か、京王線沿線という可能性もアリでしょうね。
なつとモモッチの会話「新宿から通ってる…」から、東洋動画は新宿以外の場所にあることがわかります。
でも、通勤中のシーンを描く必要はありませんから、そういうシーンは一切なし。『ひよっこ』と同じような感じです。
東洋動画の所在地は、山手線沿線か、中央線沿線か…もしどちらでもなかったら、この時代ですから交通機関は都電でしょう。
函館市でロケを敢行して、函館市電710形か800形を都電に見立ててなつの通勤シーンを描く、というのも悪くないですが…
しかし現行の、「余計なシーンはスッパリ省略」というほうが、簡潔・明瞭で好ましいと思います。
「マコのマは政次のマ~~」
何とも言い得て妙というか、
台詞を小野政次流に変換したレビューの表現、ぴったりハマってしまい、
ツボにもハマってしまい!!
初めの方の風車のシーンで、落語家師匠が語った、作品に魂がこもっていると自ら動き出す…という話、ドラマ作品についても当てはまります。
『べっぴんさん』再放送を見ていた頃、同作では登場人物各々のキャラも確立していたので、仮に無理な展開をさせようと想定しても、キャラ自体が自己修正してしまい、受け付けないなあという結論に至ったことを思い出しました。
「女の敵は女」がイヤで、勝手に思い込んで誤解していたのが『アナ雪』。女性二人が主役と聞いて、それが姉妹ということで一人っ子の私にはきょうだいの葛藤を想像するのも難しいし、姉妹が対立してというかさせられてどちらかの生き方を推奨するような話だと思い込んで、ビデオだけ買って(そのうち東京にこれをテーマにした場所ができるから予習)見てませんでした。冷静に考えればそんなストーリーだったらヒットするわけないんですけど。その後いつだったか、武者さんの何かのレビューで、『アナ雪』は二人が並び立つ話だと読んで、それで初めて見ました。
女性二人というと『直虎』で貫地谷さん演じるしのと直虎が直親のことで「すけこましー!」で意気投合したところが好きでした。というか、あれでいっぺんに好きになった。まさかあんな風に意気投合すると思っていなかったので、直虎に対してしのにきついことを言わせるのかな、言われても直虎には殺生だしそんなセリフをしのいうか貫地谷さんに言わせないで欲しいなと思いながら見守っていた先の意気投合だったから、印象に残っています。血に対する直虎と政次の話のすれ違いとか『直虎』は面白かったです。
女性二人というと貫地谷さんがらみで「ちりとてちん」のA子ちゃん、B子ちゃん。もう話もうろ覚えですけど結局二人はどうなりましたっけ?最後A子ちゃんが橋?を渡って去っていく後ろ姿が思い出されますが。
なつぞら、山口智子というか亜矢美さんが楽しそうで何よりです。私は山口智子が好きなので楽しんで見てますが、彼女のあの感じが苦手な人にはイヤだろうなあと思うとなんか余計笑ってしまいます。長文失礼しました。
「風車」の客の柳屋喬太郎さんは、岡田将生さんの前作「昭和元禄落語心中」で、落語指導と、岡田さん演じる主人公の運命を変える「死神」という噺を教えるメフィストフェレスのような役をされていました。今回の登場はそのくすぐりでもあったと思います。「ちりとてちん」の貫地谷しほりさん本格登場もあっての落語つながりだったのでしょうか。
上方落語ついては「わろてんか」のモデル企業よりも、そのライバル事務所の方が強いような気がします。鶴瓶さんもそっちの方の所属ですし。少なくとも、「蹂躙」という状態ではないのではないかと。