なつぞら68話 感想あらすじ視聴率(6/18)#HeforSheで何が悪い!

偉かったね、咲太郎

このあと、亜矢美が咲太郎を気遣います。

「昨日は寝てないんでしょ。偉かったね、咲太郎」

そう気遣う亜矢美。
こいつは、なつの不合格時、感情の赴くままに仲を噴水に突き落としました。

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そういう短気な江戸っ子っぷりを考えたら、前日の船橋のアパートで「千遥を返せ!」と川合の胸ぐらを掴むくらいしてもおかしくないでしょう。

それを耐え抜きました。
亜矢美の言う通りだと思います。

咲太郎は苦しい顔をしつつ、こう絞り出すのです。

「なつだけでも、守らないとな……千遥には、本当に、かわいそうなことをした……」

こ、こんなの、見ているこっちまで辛い!

岡田将生さんの演技が今日も完璧で、これ以上付け加えるものがないほどで、この顔だけでもこちらもグッときます。
素晴らしいです。

咲太郎は、とんでもねえ奴でした。
ふざけた江戸っ子で、余計なことばかりをしてきました。

それがこうも泣かせる、粋で、悲哀のある、そういう江戸っ子になるとは。
なんだかものすごいものを、見せられてしまっています。

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そしてキャラクターデザイン案

なつが大慌てで会社の玄関をくぐろうとしているとき、動画チームでは既にキャラクターデザイン会議が始まっていました。

牛若丸は、仲の案をベースにして、各人の提出したアイデアを加えて作る。
そう決定したと、井戸原が告げます。

そこへ、なつが飛び込んでくるわけです。

なつよ、千遥のために夢を捨てるな――。

父がそう語りかけるわけですが、明日は激動の水曜日です。
この会議は、きっとおそろしいものになることでしょう。

なつの常盤案を見て、あの嫌われ政次・マコがどう出るのか?
不穏です。

なつのために闘志満タンになったなつvs黒いマコ!
明日が今から楽しみです!

“究極のマネジメント能力”を身につける男

そういえば、ふと思い出したんですよ。
前作の朝ドラで、いつの間にか消えたこんなキャッチコピーがあったことを。

“究極のマネジメント能力”を身につけるヒロイン・*子
“発明家”として「世の中の役に立つこと」を理想に掲げ、邁進し続ける夫・**

あれは一体なんだったの?

「NHK大阪がやり損ねたので、こちらがやります!」
そういう状況になっておりませんか?

誰が、って?

“究極のマネジメント能力”を身につけるヒロイン兄・咲太郎
“アニメーター”として「子供の夢を描くこと」を理想に掲げ、邁進し続けるヒロイン・なつ

咲太郎は、“究極のマネジメント能力”を習得しつつあります。

1. 彼の夢は、亜矢美のためにショウビズの舞台を作ることだった

 

2. 赤い星座では、蘭子のマネージャーをしている

 

3. 何かをすることではなく、支えることがあっている。裏方が好き

 

4. 蘭子の芝居や吹き替えドラマを見て、声優という分野新規開拓に目覚めつつある

 

5. 年齢等の時点で不利だとレミ子を突き放さず、彼女でもできることを考えている

そして今日こそが、その能力が目覚める瞬間でもあったと思います。

迷走してきた朝ドラに決別を

咲太郎は、今日まさに、究極の支える男を見せつけました。

亜矢美の励まし方もよい。彼も、そこからいろいろと学んできたのでしょう。
そして、支えて励ます素晴らしさを身につけたと。

あのなつを完全復活に導く説得は、見事でした。

会社に行って、きっちり仕事をしなくちゃとか。それで金を稼がなくちゃとか。十勝の養父母に申し訳なくないのかとか。
そういう義務で押し付けることを、彼は一言も口にしません。

娘に大学の学費を誰が払っているのか! と、のたまった**さぁんだの。

「発明家でないお前はもう、死んでいる」と言い切った、北斗神拳伝承者*ちゃんだの。

そういう、抑えて、脅し、義務だと尻を叩くことを一切していないのです。

馬を鞭打って無理矢理水を飲ませるようなことを、彼はしない。

「あの水はおいしいよ。飲んでみよう」

そう導くようなもの。
咲太郎はまさしく『北風と太陽』の太陽なのです。

結果、モチベーションを引き出し、なつを復活させる。
これぞまさしく“究極のマネジメント能力”ではないでしょうか。

それでいて、なつを守りたいと義務感を漂わせるところは、彼は見せないのです。

なつが誤解したときは、マダムや亜矢美が間に入ります。
強がりもあるんです。支えているんだ、ありがたがれ。そうは言わないのです。

再放送の『ゲゲゲの女房』は、朝ドラの内助の功路線を復活させたと言われております。

◆山ちゃん会見も朝ドラも なぜか気になる「内助の功」 | メディア万華鏡 | 山田道子 | 毎日新聞「経済プレミア」 

朝ドラといえば、ヒロインの立身出世ものが多かった。
それを、サポートする側に光を当てたというわけです。改革であったと、みなされてはいるのですが。

どうでしょうね。

2013下半期『ごちそうさん』は、その部類に入るかもしれない……のですが、これが結構難しい。

あれはヒロインが実質的に強かった。これは朝ドラでは勿体無いぞ、乱世に行け!
そう思っていたら、森下佳子先生は、2017年大河『おんな城主 直虎』で最高にいけてる井伊直虎やかっこいいババア・寿桂尼でリベンジしましたので私は大満足でした。

2014年下半期『マッサン』は、確かにそう。

そのあとは、迷走ばかりでした。
内助の功と立身出世のはざまで、もがくヒロインが増えたものです。

2015年上半期『まれ』は、パティシェを目指すヒロインが、ナゼか姑の女将修行に突入するわ。

 

2015年下半期『あさが来た』において、ヒロインは家事育児ができないと悩みました。当時の上流階級女性は、そんなものは使用人任せが当たり前だったのに。

 

2016年上半期『とと姉ちゃん』は生涯独身の雑誌編集者です。それなのに、私は良妻賢母タイプなのに〜と悩むような、しょうもない描写が織り込まれました。

 

2016年下半期『べっぴんさん』では、温厚で特に母親と対立もみられないヒロインの娘が、「育児放棄しやがって!」といきなり思春期にグレ出す。

 

2017年下半期『わろてんか』にも同じ傾向がありました。

 

2018年下半期『****』は、内助の功というよりは、もうラーメン教団PVなので……。

内助の功路線は失敗にまみれ、終止符を打たれたといってもよいのではないでしょうか。

こんな歪みから抜け出し、周囲に頼りつつ、シングルマザーとして生きる『半分、青い。』の楡野鈴愛が、袋叩きにされたあたりで、その弊害があらわになりました。

ああいう悪質アンチが、シングルマザーを人間のクズだと平然と罵る。
アシックス式パタハラに「何が悪いんだ!」と言ってそう。
そこに媚びてどうするって話です。

◆育休明けに倉庫勤務「不当な配転」アシックス男性社員訴え – 毎日新聞

◆カネカ育休炎上、アシックスでもパタハラ告発「育休を取りたくても取れない」男性社員の悲鳴

支える男はカッコいい

ナゼ迷走したのか?
その原因を分析すると、見えてきます。

【女は夫や使用人に頼らず、家事育児を一人でこなすべきである】

そういう高度成長期の専業主婦をロールモデルにしながら、その一方で、朝ドラのお題目ともいえる女性進出を目指した結果でしょう。

ヒロインたちは無残にも引き裂かれ、ドラマの出来も迷走していた。
そう思えるのです。

2018年上半期『半分、青い。』から変化の兆しがありました。
あのドラマでは、男性も調理、家事、育児、支えること、見守ることを担っていたものです。
非常に画期的でした。それを止めないどころか、緻密に計算して見せてくるのが、本作だと思えるのです。

変わるべきなのは女だけなのか?
否、男も変わっていい――。

本作は迷走と失敗をふまえ、男の変革へ踏み出したように思えるのです。

【#HeforShe】こそ、2019年からのかっこいい姿なんだ!

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男が支えてもイケてるぜ。
見せてやるさ、男の持つ“究極のマネジメント能力”をよぉ!

パタハラをやらかしたカネカが、株価が下がるという社会的制裁を受ける2019年。
そういう時代と、本作はぴったりと重なります。

「男が支えなくちゃ!」

という義務感から一歩踏み出し、

「支える男は、カッコいいんだぜ」

そこまで到達しつつある。
本作は、勇気ある傑作になりつつあります。

◆カネカのパタハラ疑惑、大学生から“アウト“の声 「水面下で鬼の転職活動ですね!」

◆男性育休「義務化」は日本の男性をパパにするのか?

◆BBCニュース – 「有害な」男女のステレオタイプ描く広告、イギリスで禁止

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!

【参考】なつぞら公式HP

 

3 Comments

匿名

ここで、再放送の『ゲゲゲの女房』について言及するならば、この作品は内助の功の話ではなく、時勢に上手く乗れない人の描写や戦争の傷を描いていましたよ。某作と違い、真摯に向き合っていたことを忘れてはいけませんよ。

管理人

>匿名様
ご指摘ありがとうございます!
日付、修正いたしました。
今後もご愛顧よろしくお願いしますm(_ _)m

匿名

武者さん!コメントしたことはないですが、毎日毎日見にきています。
日付が1日ずれてる~!今日は18日です~(^-^;

私も家族も、なつぞらは「久々に面白い」で一致してるのですが
俯瞰的に観られなくて、なつの言動でムッとすることが時々あります。
武者さんのレビューで納得してます。ありがとうございます。

半分青いのレビューの時に比べ、今回は、より「空気読めない行動にムッとしてしまうタイプの視聴者の気持ちを代弁しつつ、俯瞰的に説明している」ところが、ホント素晴らしいと思いますし、なつを嫌わなくて済むので助かっています。ありがとうございます。

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