なつぞら103話 感想あらすじ視聴率(7/29)謀反の種は蒔かれたか?

坂場の猜疑心が回っているぞ

はい、ここから坂場のめんどくささ炸裂タイム。
猜疑心全開です。

こやつの言い分をまとめましょう。

・仲さんと井戸原さんに嫌われているから、もう長編には戻れません……
→人間関係の距離感がうまく取れないこと。猜疑心の強さのせいで、面倒くさいことになっています。

・仲さんに嫌われているのは確か……
→劇中の仲は、特に人格的に問題があるようには描かれていません。
坂場を嫌っているというよりも、中間管理職として大杉ら経営陣の意向を読み取り、それをもって坂場の傾向を警戒したとも解釈できます。

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視聴者はそれがわかる。
しかし、坂場にはできない。
坂場の価値観や視点と視聴者の間に、溝を敢えて作っているのかもしれないと、思えるのです。「共感」を求めているわけでもないと。

ついでに指摘すると、坂場はさっぱり忘れるわけではなく、執念深さや、相手もそうするのではないかという復讐関連の疑念にもとらわれている。そう思える箇所もあります。

「正月だし悩まないでいこう!」
という発想の転換ができない。そういうところもありますね。

・茜さんは戻れますが、なつさんも戻れない……
→なつまで巻き込むなーッ!
そう周囲から突っ込まれています。

仲がなつの才能を認めていること。
特に悪意がないことも、視聴者にはわかります。

面接でも高評価でしたし、マコのあとの女性アニメーター・エースとしても認識しているのです。

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しかし坂場にはそれができない。

さて、そんな彼は大丈夫なんでしょうか。
メンタルがかなり悪化していることが、伝わってきます。

忖度ゼロで、問題があった坂場。
そのリカバリに周囲は苦労しているものの、本人はマイペースで突き進んでいました。

それがどうにもおかしい。

・気持ちの切り替えができない

 

・強烈な猜疑心から陰謀論に突っ込みかけている

 

・神地より内面に溜め込む

 

・実は執着心が強い

 

・嫌なことを忘れられない傾向がある

彼の特徴が、全部マイナス面にふっきれています。
このままだと、かなり危険だと思えます。ただの愉快な変人才能枠ではない、生々しいものが出てきました。

正月だから楽しめ、忘れろ。そう言われてもできない。
そういう坂場の悲しさ前回です。

誰か、坂場を助けて!!

そこまで重症ではありませんが、『半分、青い。』での鈴愛漫画家引退直前の怖さを思い出しました。

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鈴愛は爆発型ですが、坂場は溜め込み型で、気がつけば溺れているタイプかも。
どちらも、周りが助けないといけないんですよ!

きみは否定すればいい、けど僕はしない……

ここで、なつが戻れないのはつきあっているからなのか?と、モモッチが言い始めます。

「噂ですけど……」

そう曖昧な坂場に、なつが苛立ちを見せます。

「無責任でしょ、ただの噂なら否定してください!」

「きみは否定すればいいよ……」

坂場がぎこちなく、そうボソリと返します。
めんどくせええええええ!

もしも、ズバリと言う坂場ならば、きっぱりと今まで通り否定するところです。
否定しないということは、なつが好きなんです。つきあいたいんです。

それを言えって!
と、そこを坂場には期待できないんですよね。

精神的などん底から、この噂の話でちょっと気分が盛り上がって、回復していることも伝わってきます。
坂場にはなつが必要なんです。
いつでもどこでもそうなんです。

「実際どうなの? つきあっているんでないの?」

「違います!」

「はい!」

そこから先、どうしてこうなるの。そういうことですが。

坂場は、つきあいたい。だから全否定はしない。
なつが否定したらそれまで。事実としてはつきあっていない。
なので、そこは否定する。
そういう面倒くさい彼なりのロジックがあるのでしょう。

いきなり気になる相手にパンチラをして、性癖についてこられるか確認する。
そういうのは****の**さぁんで十分です。

なつはモモッチが作画課で噂を流しているのかと、疑念を募らせます。

「最近は言ってない」

モモッチはケロリとそう言い切ります。
おいっ!
進展がなさすぎて、広める甲斐もないようです。

予算と期日を守ることが大事だなんて……いや、大事だろ!

神地は、不満タラタラです。

仲は動物アニメばっかりでつまらないって。
俺一人が頑張ってもどうしようもないって。

こいつも、只者じゃないぞ。

チーム内一番の新人であり、キャリアは短い。
それなのに、皆が尊敬するあの仲にも思い切りケチをつけている。

「『ヘンゼルとグレーテル』みたいなの作りたいけど、許されないからなぁ〜」

坂場も煽られています。

「あなたは今のテレビ漫画に満足していますか?」

パイオニアとは言うけれど、果たしてそうなのか?
そして悲壮感たっぷりに、こう来おった。

「予算と期日を守ることが大事だなんて……」

いや、なんでそこの坂場と神地、悲壮感を漂わせているんですか。
そこは社会人の基礎中の基礎でしょ!

なんでそんな基本的なことを守れと言われて、もうダメだ……終わった……みたいな顔になっているんだよ……。
理由はゆっくりと考えましょう。

亜矢美の悲恋とは

なつは晴れ着のまま、風車に帰宅します。
ここではムーランルージュ卒業生の同窓会状態です。

茂木も藤正親分も、なつの晴れ着姿に喜んでいます。

「嫁に行かないとはもったいない」
と、藤正が言えば。

「行く方がもったいない」
と、茂木が返す。

ちょっとセクハラぽいといえばそうですが、時代背景からすればこんなところでしょう。

ここで、そういう距離感がおかしいあいつの言葉を想像してみましょうか。

【坂場ならば】
「振袖姿が美しいことと、結婚するかどうか。そこは無関係ではありませんか」
とでも言ったでしょうね。

まぁ、坂場はともかくとして。
風車の中では、嫁に行かないもったいない女たちがいるぞと盛り上がっています。

茂木はなつの着替えを止めて、お酌させていますからね。
指名料を取る取らないでまた盛り上がります。

そして話題は雪次郎へ。

実家に帰ってもったいないと、松井は言います。
声優として、訛りもとれ、しかも当たり役まで得たわけですから。

島貫は、だからこそ未練なく辞めてえらいという見解です。
茂木は、角筈屋劇場に蘭子と立ってもらいたかったと、才能を惜しんでいます。

なつは、もともとあった菓子屋という夢のために戻ったのだから、残念ではないときっぱり言い切るのです。

このへんも作劇上の巧みさがありまして。

茂木と藤正を通して、女性の結婚の価値観がそこにはあります。

なつという美女が誰のものにもならないこと。
それを男目線で、どう考えるか。
そう語られました。

それがなつから、雪次郎の進路を通して答えが出ています。

【本人が決めたことならば、残念ではない。本人の選択次第】

これには、あの夕見子も納得することでしょう。

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ここで、松井と島貫は邪推タイムに突入。
蘭子とのスキャンダルがあったのではないかと言います。まぁ、当たらずとも遠からじってところ。

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すると、実は亜矢美もそうだったと、彼らが思い出すわけです。

藤正がここで、しみじみと言い出します。

「あれは美しい悲恋だ……悲恋がムーランルージュのスターにした。新宿で知らねえ者はいない……」

アップになる、亜矢美の名前入りのポスター。
なんだか気になりますね。咲太郎も意味ありげな笑みを浮かべています。

「遠い昔の思い出よ……」

亜矢美が、複雑ながらも粋な笑みを浮かべています。

なつよ、亜矢美の恋、今の君は何を思うのかなーー。
父がそう締める中、明日へ。

とりあえず亜矢美の悲恋という過去がクローズアップされるわけですが。

未来にも大きな問題が二つあります。

・なつと坂場の恋愛
・謀反の気配が濃厚じゃああああ!

今週もミッチミチです。

うつけ者と魔王は紙一重

亜矢美も気になりますが、今週は謀反を繰り広げそうな坂場&神地が飛ばしていますね。

前述の通り、神地は圧倒的に服装が個性的です。
トレンドとしては戦前あたりからのもので、当時敢えてあれをオシャレとして着用するタイプは、かなりのセンスかつ反抗心の持ち主です。

岐阜駅前の、黄金の信長像的な……。

織田信長は意外と優しい!? 本能寺の変まで生涯49年をスッキリ解説!年表付き

衣装が手抜きで、戦前戦後も同じスーツを通していた前作****とは違い、明確に、見た目からして神地は個性的だと見せてきます。
しかもあれは結構なお値段でしょう。

井戸原のスーツにベレー帽も、個性はありますよね。でも……。

「漫画やアニメといえばベレー帽? 手塚治虫先生的な。わかりやすいですよねぇ」

神地なら、そう突っ込むかもしれない。

今日の神地は、持ち前の反抗心がムクムクと明確に見えてきました。

仲にも容赦なくダメ出しするし。
動物ばっかりでつまんねえって、『百獣の王子サム』チームの前でそれを言うか! と、なりかねない発言です。

今日の神地を見て、来年の『麒麟がくる』が楽しみになりました。

染谷将太さんが織田信長と聞いた時は、不安感の方が強かったのですが、こんなにふてぶてしいところを見せつけられるとなると、俄然興味が湧いてきます。
うつけ者も魔王も、彼ならば期待できるっ!

前作****は「来年の大河、これでいいのか……」と不安感を増大させられたものですが、本作で取り返してきました。
今から非常に楽しみですね!!

神地は【魔王】でいいですね。
彼のモデルにも、そういうところがあるし……。

似ているようで違う二人

はい、そんな神地の本領発揮により、あのコンビの違いも見えてきました。
モデルとなった人物ではなく、あくまでドラマの中での違いです。

では、
【表裏比興】坂場vs【魔王】神地
の対比を見て参りましょう!

・服装

共通点:空気を読まない、TPOを無視する

 

坂場「どうでもいいです」→無頓着

神地「俺のセンスを見てくれよな!」→凝りに凝った個性を見せつける

・好きな相手へのアプローチ

共通点:距離感の取り方がおかしい

 

坂場「どうすればいいのかわかりません……」→相手や周囲がイライラする

神地「好きになったら、積極性をもっていかないとな!」→ハマれば最高です

・表情や喋り方

共通点:やっぱりTPOをわきまえない

 

坂場「……はぁ」→目線が合わない、表情に乏しい、一方的に話し続ける

神地「俺の話を聞けよな!」→不満が顔に出やすい、言い方に攻撃性が伴う

・ルールへの適応

共通点:低い

 

坂場「自由度がないのは困るんです……」→不満を溜め込んでしまう

神地「俺のアイデアが生きない、活かせないって最悪だよな!」→そうなれば反抗的。む・ほ・ん! む・ほ・ん!

・メンタル不健全時

共通点:強いようで弱い、敏感、繊細

 

坂場「……ああ……」→出家、ひきこもる、どこかへ消える

神地「是非もなし!」→言うまでもなく反抗的。む・ほ・ん! む・ほ・ん!

坂場が軍師で、神地が大将として戦えば、なんだかすごいことになりましょう。

ただ、繰り返しますが大杉にとっては最悪です。
仲や井戸原もか……こいつらは末恐ろしいのです。

クリエイターはめんどくさい だがそれがいい

こういうクリエイターの暗黒面も、本作は描いていて面白いものがあります。

今日しみじみと感じたのですが、前作****の目線は経営者にとって快適な威張れる環境追求でした。
あのドラマにおける**さぁんと近いのは、大杉なんですよね。

日本社会の不思議なところって、
【経営者目線の労働者】
が多いところです。
それが最大公約数のような気もします。

例えそんなものが通ったら大打撃だよな……という制度でも、経営者目線でナゼか賛成する。

消費税のインボイス制度もそうなるのかな?

◆全商連
これは経営者というよりお役所(税務署)と個人事業主の問題……というわけでもなく、クラウドワーカーとクリエイターが危急存亡の危機になりかねない制度です。個人とて、社会制度と無縁で生きられるわけではないと。

『半分、青い。』でもこのへん、引っかかっていました。

秋風という雇用側が鈴愛に対して、契約条件違反をした「メシアシ事件」。

半分、青い。37話あらすじ感想(5/14)羽織相手に真っ向勝負

あれを一般労働者がかばわないのであればまだしも、鈴愛と同業者の人まで叩いていて、なんだかなぁ……と不思議だったものです。
恩人なら理不尽を言われようと常識だの、なんだの……。

鈴愛の性格が悪いとも言われておりましたが、不法行為連発だった**さぁんの方が問題あり過ぎです。
それなのに、悪徳経営者慰撫ドラマ****では、しつこいまでに鈴愛バッシングをしていた層がコロリと大喜びだったのが不思議……もとい納得感がありました。

今日確信できました。
坂場と神地コンビ、そこになつまで参戦した一団は、鈴愛かそれ以上の反抗心を炸裂させることでしょう。

我の強いクリエイターを怒らせるとどうなるか。
めんどくささが炸裂しそうです。

なんせ今日は、悲壮感たっぷりにこう来ました。

「予算と期日を守れだなんて……」

社会人の基礎中の基礎です。
しかし、それを守れない。そういう奴もいます。鈴愛よりもある意味ダメでしょう。

常識を過剰に期待しないこと。
それも、めんどくさいクリエイター相手にはときに必要になるものです。

そこを楽しみにして、これからも見続けようと思います!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

※北海道ネタ盛り沢山のコーナーは武将ジャパンの『ゴールデンカムイ特集』へ!

【参考】なつぞら公式HP

 

7 Comments

こけにわ

失礼しました。笑)
あつがなついぜ様でしたね。
とにかく爽快でした。
ここのコメントも楽しみにしています。

あつがなついぜ!

ちなみに私は
「あつがなついぜ!」
です(笑

こけにわ

なつがあついぜ!様
運営様
ありがとうございました。
武者さん、応援しています。

あしもと

「ゲゲゲ」では、紛い物や子ども騙しのストーリー、かっこいいストーリーとして戦争を描くことを良しとしない水木しげるの姿が描かれます。

明るいだけではウソです、つまらんです、という意味の台詞も出てくる。

坂場と対談させてみたいと思いました。どんな話になるか、ワクワクします。

あしもと

「ゲゲゲ」のオープニングには紙芝居の前に集まる子ども達の資料映像がでるんですよ。

「ゲゲゲ」では、紙芝居からテレビや貸本、貸本から週刊誌漫画へ、子どもの娯楽の変遷が、「紙芝居や貸本で飯を食っていた人間」の実体験目線から生々しく描かれていました。

それを見てからなつぞらを見ると、漫画映画、テレビ時代に突き進む姿が描かれていて、感慨深いものがあるんですよねえ。

子どもを奪われ、貧乏に喘いでいた水木しげるをはじめとする貸本漫画家の受難の一方で、新時代に突き進むなつたちがいたわけですよね。

おもしろいです!

まめしば

何故か経営者目線の労働者が多い…これは、しつけの問題でしょう。
海外(主に欧米)が『自分にとって得か否か』を自分の頭で考え判断させる教育を施すのに対して(要は革命上等!な教育)、アジア圏は『目上の人にちゃんと従いましょう!』(論語の教え的な教育)と教え導きますからね。
とりわけ本邦は戦国時代の下克上マンセーな世の中に懲りたのか、比較的遅くまで流浪の民等の『まつろわぬ民』が生き残っていた為か、はたまた国民皆兵の名残か、『目上の人に!!』という縛りがキツイ気がします。

あつがなついぜ!

前回・前々回のコメント欄での、ある投稿者の他者への攻撃・嫌がらせは目に余るものでした。

このレビューは、そもそも『なつぞら』を楽しむ趣旨で運営されているもの。読者も『なつぞら』を探求して楽しみたいから読んでいます。
その空間に、番組への嫌悪丸出しで全否定し攻撃する投稿をするのは、それ自体筆者・読者への嫌がらせに他なりません。
テレビ番組にどんな感想を持とうと、それは当然自由です。ですが、『なつぞら』嫌いの人向けのサイト・投稿空間はいくらでもあるのですから、どうしても『なつぞら』が嫌なのなら、そこに投稿すれば良いはず。
それをせず、ここで筆者・読者をわざと不快にさせる投稿をする行為は、嫌がらせ以外の何物でもありません。

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