なつぞら124話 感想あらすじ視聴率(8/22)素晴らしき凸凹した世界

北海道開拓民は、道外の親戚縁者の関係を断ち切っていた人も多いもの。
泰樹世代は、日露戦争で戦死した兵士の遺族が苦労に直面した姿も見ているはずです。

第七師団はなぜゴールデンカムイで敵役なのか?屯田兵時代から続く過酷な環境

赤ん坊を生んで、牛舎や田畑のそばにおいて働く女を見ているのでしょう。

しかも、北海道にはヒグマもいるべさ……。
ヒグマ関連の検索を止めはしませんが、やらない方がよいとは思います。調べていて不眠になった経験者の忠告です。

三毛別羆事件には震えるしかない ヒグマに襲われ死者7名・重傷3名

なつは、そんなじいちゃんの開拓者魂をしっかりと感じているようです。

はい、ここでイッキュウさん。
そんなイッキュウさんは、やっぱりまだ概念が独特なところはあるんです。

「私のよりおいしい!」

そう褒められても、そうではなくてお義母さんの味を再現したいと強く主張します。

「なんも。坂場さんの味になればいいしょや」

そこまで言われて、うれしそうではあるのです。
義母を超えたと威張るどころか、こういう反応をしてこそ彼なのでした。

そしてここで、朝食完成!
牛乳豆腐を皆で食べています。

「う〜ん、なつかし〜」

しみじみと言うなつ。いいなぁ。なまらうまそうだべした。私も食べたい。

イッキュウさんは、乳製品だと驚いています。

「豆腐というより、あっさりとしたチーズ!」

うん、イッキュウさん。
見た目からの連想であって、牛乳で作った豆腐ではねえ。そういう発想はちょっとできないんだな。

雪月では毎朝が戦だった……

ここで、剛男がたんぽぽバターのことを思い出します。
冷蔵庫に入れなくちゃ!

富士子に忘れていたことを指摘されても、反発しないところがよいところ。
そもそも、こういう飲食物を妻に投げっぱなしの男性も多いわけですしね。

ここで、パッケージが出てきました。
なんともあたたかみと素朴さがある。

当時を再現したインテリアとも違和感がない。
もちろんIllustratorを使ってはいると思います。2019年ですから。そのことが悪いんではなくて、使っているとバレバレであることがよろしくない。

当時の色見本やデザインを踏まえつつ、作っているんですよね!
このパッケージひとつに、どれだけ労力がかかっていることやら。お疲れ様でした。

夕見子は、紙パック牛乳製造に全力疾走。
農協ではなく、もう完全にそちらに移ったそうですよ。

牛乳嫌いが牛乳パッケージ開発というのも、おもしろい話です。
まぁ、臭いや味のこともあるけれど、お腹が弱くて飲めない可能性も考えられますし。

これが夕見子の人生なんですね。乳酸菌で腸内環境を整えるといいんでないかい。

「いつかこっちでも買えるといいなあ」

なつがそう憧れています。
そうですね、そうなるといいですよね。私も欲しいくらいだわ。

そして……、ここでなんと夕見子の妊娠も伝えられます。

魂の双子姉妹は、出産まで重なりました。

なつはなんでもっと早く知らせてくれないのかと言いますが、最近判明したそうです。
東京で知らせることにしたんだって。今年の秋出産だそうで、姉妹の子も同い年になりますね。

そして案の定、雪月は修羅場であった――。
と、有働由美子アナウンサーになり切りたい、そんなシーンが流れ始めます。

【雪月三人衆】

総大将:とよババア

知将:妙子

勇将:雪之助(観戦のみ)

 

【雪月君臣】

影の薄い大将(フィクションでの上杉景勝のような):雪次郎

軍師:夕見子

【とよvs夕見子】の出勤前玄関攻防がすごいことに……。

「仕事に行くとな? 腹にいるのは跡取りではござらんか!」

「何を仰る、それがし、跡取りを生むと申したことはござらん!」

「男も女でもよい。跡取りは跡取りぞ! 雪次郎、何か申せ!」

「仕事をしてよいと申したので……」

ここで、妙子がすごい勢いで加勢しおったー!

「わしを斬り捨て、我が屍を乗り越えてから行かれよ!」

「よいぞっ、よい覚悟ぞ! かようなことならば店ごと潰せー!」

とよも暴走している。
雪之助が、もう男には止められんと試合放棄……。

嫁と姑どころではない、おそろしい何かが始まっているようじゃ。

どうなるんだよ、雪月!
でも、夕見子の暴走を受け止められるのも、とよ・妙子連合軍くらいしか思いつかないしなぁ。

夢の後継者たち

「夕見子は大丈夫?」

「大丈夫さ、はははっ!」

そう回想後に言われるわけですが、全然大丈夫な気がしねえべや。
これはもう、泰樹ジジイを参戦させないと解決しないんでないかい。もう親戚同士なんだし……。

ここで話を切り替えます。
照男夫妻にもできたそうです。なつが驚くと、照男ではなくて砂良が妊娠したと富士子は返します。

それはわかっているとなつ。これはよいやりとりだな。

砂良は来年一月の出産予定です。
なつ、夕見子、砂良の順番に子が生まれる。ちょっとしたベビーブームだとイッキュウさんがまとめます。

「牛ではよくあること」
と、さらに泰樹が言いおった。いや、牛は受胎の時期調整をするからでしょ!

そういえば、泰樹は牛舎があるからそうそう外出できないはずでは?

と、そんな疑問に答えるように彼から説明がなされます。

牧場はもう、照男と砂良、それに菊介のもの。
戸村父子のうち、名前が出るのは子・菊介のみ。腰痛があった悠吉は引退したのでしょう。世代交代だべな。

「照男は立派にわしの夢を継いでくれた」

牧場という夢は、照男。

バター作りという夢は、夕見子。

開拓という夢は、なつ。明美もそうかな? みんな受け継いでいますね。

じいちゃんはひ孫が増えるだけではなくて、夢も増えてゆきます。

いよいよ生まれるのか……

ここで、また来客です。

今度は咲太郎と光子夫妻でした。
咲太郎は紙袋をいっぱいに持っています。

柴田家に二人が驚くと、今朝着いたばかりだと説明されるのでした。

ここで光子は、柴田家から贈られたジャガイモに感謝を示します。
きっと世界一だって。そういうつながりがあるんですね。

「牛乳も」

すかさずそう指摘するじいちゃんです。

光子は「あなた」と呼びかけ、紙袋のことを指摘します。いい夫婦になってきましたね。

本作の女優の皆さん。メガネのフレームもそれらしいとよを先頭に、富士子、光子……ヒロインより年上の世代は、はじめよりもメイクが薄くなっているんですよね。

北海道酪農家の女のくせに、厚化粧だ云々叩き記事がありましたが。そういう単純なことでもないでしょうに。

実年齢より若い時代から始めて、加齢するとなると、最初はメイクを厚くしてだんだん薄くする。そういう加齢表現ってあるわけでして。
本作は、それをきちんとしています。髪型やファッションもそうですね。

咲太郎はこれかれもずっとルパンスーツだろうし、むしろルパン度があがるんでしょう。わざとそういうことをしていると。

手提げ袋の中身は、ベビー服はじめさまざまな用品でした。
ベビーベッドも注文済みなんだって。やるじゃないか、咲太郎! 商売も軌道に乗っているようですね。

「咲太郎の孫ができたようじゃ」

そう喜ぶ泰樹は、ヤキモチを妬かなくていいべと突っ込まれ、
「妬いてねえべ」
と即座に否定するのでした。お茶目なじいちゃんです。

話を聞いて、咲太郎は自分の家に泊まって欲しいと促します。自分ではなくて妻の家だとも言います。
妻の財産を自分のものだと言い切らない。これぞ夫婦円満の秘訣かも。

光子みたいな、豊かな化粧料持ちと結婚した夫が調子に乗ると、トラブルが起こると歴史的に証明されています。
家が立派ってことは、やっぱり彼女はお姫様なんですよ。

千姫は大坂城から脱出して幸せになれた?12年で終わった豊臣秀頼との夫婦生活

父もしみじみと、こう語ります。

こうやって、みんなお前のそばについているんだ。
安心して産めよ、なつ――。

そしてその夜、なつは激痛を訴えます。
隣で眠る富士子がなつの異変に気づきます。

「ううっ、母さん、痛い!」

「大丈夫? 大丈夫! イッキュウさん、陣痛来たみたい!」

襖を即座に開けて、イッキュウさんが顔を出します。

「えっ!」

「ううっ、痛い。この前と、全然違う……」

父も、ここでいつもより緊張感を滲ませてこう言うしかありません。

なつよ、いよいよ生まれるのか。
私の孫が――。

そうでう、お孫さんが生まれるんですよ、お父さん!

声優枠もおもしろい

牛乳豆腐を食べたいとか、こんな幸せなお産がいいとか、言いたいことはいろいろあるんですが。

未回収をまずは回収しましょう。明日も続きがあるんだし。

昨日ですが。

なつぞら123話 感想あらすじ視聴率(8/21)「子供を犠牲にしても?」で爆発だ

「おいっ、あのレジェンドスルーしやがって!」
と言われていたと思います。

そうそう! 田中裕子陛下に浮かれて忘れていました。

◆なつぞら:田中真弓がついに顔出し出演! 普通の元気なおばちゃん役「まんまで行けました」

声優枠も興味深い本作。

当事者が一番やられたくないことをしているんですよね。

・山寺宏一さんの豊臣遊声
→ミスを連発する声優・雪次郎、その出番を奪う

・高木渉さんの藤井ディレクター
→吹き替え声優の発音に、容赦ないダメ出し

・田中真弓さんの村川
→育児に直面する女性に対し、あまりに残酷なダメ出し

田中さんは、ワーキングマザーとして苦労なされてきた方です。

そんな彼女に、あえてこういう役を割り振る本作。
経験者ならではの激痛を見せつけ、かつ声優さんご自身の人生にも思いを馳せることができる。

すごい仕掛けがあると思います。

この世界に悪人はいるのか?

田中真弓さんが扮する村川。
彼女はああ言っているとはいえ、心底そう思っていないことは、年齢と性別からしても感じられます。何より、演じる側がそうですよね。

本作は、悪人と思える人はいない。
心底悪事を働いて、人を騙そうというものはいないように思えます。

戦争のせいで、兵士として戦った。

戦意高揚教育を教え子にしてしまった。

戦災孤児ゆえに、ギリギリの生活を送らざるを得なかった。

恩返しのために騙されて、借金を踏み倒しそうになった。

相手を思うあまりに、余計なことをしてしまう。きついことを言ってしまう。
主人公周辺すら、十分悪事をやらかしています。咲太郎がその筆頭かな?

わかりやすい障壁として出てきた、大清水十勝庁長にせよ。

山川社長にせよ。

そしてこの村川にせよ。

悪人じゃない。
社会のルールや、上の命令に即したことに従っているだけで、心の底から従っているわけじゃない。

無意識のうちに、従うことこそ善だと思っている。
それをひっくり返されると、彼らは驚きの顔を見せる。村川もそうなるのかもしれませんよ! だからこその、田中さんであると。

そういう人を叩きのめしたところで、言い負かしたところで、気分がスッキリするけれど、世の中よくはなりません。

今日のとよ&妙子連合軍だって、悪人だから夕見子を阻んでいるわけではありません。

彼らなりに心配だからこそ、善意があるゆえにぶつかっているのです。
悪党同士の勢力争いでもないし、善悪の対立でもないわけです。

バッドアスな主人公チームかもしれないし

見方を変えれば、主人公チームだって悪であると思えなくもありません。

蘭子ら赤い星座に反旗を翻した「虻田の乱」。
あれだって、虻田には虻田なりの信念がありました。そういう意味では、マコプロダクション集結組と同じではある。

東洋動画からすれば、自社エースを堂々と引き抜きにかかるマコ以下、とんでもねえ悪党って話にもなるわけでして。
仲や井戸原がどうそれに対抗するのか、気になるというところでもある。

態度や言動にせよ、マコ、イッキュウさん、神っち……なつ自身にしたって、空気を読まないキツさがありますよね。

十勝の泰樹と夕見子も、言動がなまらやばいべさ。【抹殺パンチ】だし。

夕見子のふてぶてしさは、妊娠しようと全開でした。
母になった途端に大きなお腹を撫でて、にっこり笑うものではねえべ。人間の本質は、いくつになろうと、何があろうとそうそう変わらないのです。

そういう意味でも、本作はおもしろい!

悪党がわかりやすい悪を身にまとっているわけではない。
出てきているのかすら判別できない。

主人公周辺は、癖が強くてマイペースで、厄介なものが多い。
けれども味方にすればとても素晴らしい人たち。

そういう凸凹した世界が、本当に見ていて飽きないのです。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】なつぞら公式HP

 

4 Comments

904型

「安藤サクラさんが『いだてん』出演へ」というニュース。

トンデモ某作に出演させ、キャリアに傷をつけてしまったことへのNHKの罪滅ぼしなのでしょうか。

匿名

しばらく見ることができなくて、録りためておいたのを見て今日追いつきました!まとめ見はなかなか大変でした。改めて思います、天洋っていったい何だったのか。。。全然うまく処理されていないので、プロポーズの週はもやもやしすぎて、続けて視聴したい気持ちが最低まで落ちました。しかし、結婚式の週では、北海道の人たちにうまくイッキュウさんがかみ合って面白く、また視聴するモチベーションが上がりました。やはり北海道は素晴らしいです。リアルタイムでこちらのレビューも見たかったです!朝ドラは長いスパンで起伏があるので、やはり毎日見ないとついていけなくなりますね。出産とその後の仕事復帰もどうなるか楽しみです!

まめしば

この役員さん、なんか聞き覚えのある声がするな。演技も凄く上手いし…。
「上流階級は乳母が育ててた。農民は共同保育。」という知識さえあれば、なつに理解を示してくれそうな所も絶妙!
と思っていたら、田中真弓さんでしたか!!
これは嬉しいサプライズです。

こけにわ

田中真弓さん!
待ってました。ありがとうございます。

以前、朝ドラに思い入れはない、とのレビューにガックリしましたが、最近は、
楽しく読んでいます。
誤字も人物取り違えも気になりません。
ドラマと合わせて楽しんでいます。

コメントのドラマ背景の細かい指摘も、楽しんでいます。鉄道に詳しい方、注目して見直してます。

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