本作も、ついにクランクアップを迎えました。お疲れ様でした!
◆「なつぞら」がSNSでクランクアップ報告 広瀬すず、キャスト&スタッフへ感謝を伝え「本当に家族が増えたなあ」
劇中のなつは、いよいよ東洋動画に復帰。
「なっちゃん、お帰り!」
「おめでとう!」
神っちはじめ、仕事仲間の祝福を受けます。
仲と井戸原に、なつはこう挨拶をしておりました。
「ご迷惑をおかけして……」
「迷惑だと思っていないよ」
きっぱりそう言い切ります。
優のような子供が育ち、アニメの視聴者になる。本来そうあるべきですよね。
優と名付けた娘はかわいいのかと井戸原に聞かれて、なつはこう言います。
「もう、思い出させないでください!」
やっぱりそれはそうなのです。
「今日から、またよろしくお願いします!」
なつはそう告げて、職場に復帰です。
職場の受け止め方
なつは新作ではなく、放映3年目に突入した『魔法少女アニー』班に復帰。
新作の作画監督の前に、古巣復帰して体力を戻す。
そういう仲の気遣いでした。
仲は優しい性格です。彼自身の家族を見てきたからこそ、出産の苦しみや体力低下を理解しているのです。
これは彼自身の妻子への思いもあるのでしょうが、年代的にそれだけとも言い切れません。
・戦争未亡人となった母の苦労を知っている
・弟妹の面倒を見なければならなかった
・あるいは兄が戦死して、兄嫁や甥や姪の面倒を見ていたのか?
そういう可能性もあるわけでして。
戦争の後遺症はそういうところにもあったのです。
それを全然感じさせない作風となると、作り手が歴史に向き合っていないということでもある。
仲は年代的に、彼と近いでしょう。
◆ソ連兵に撃たれた「ダムダム弾」の痛みは今も――宝田明85歳、戦争体験とゴジラに込めた平和への願い
そんな仲の気遣いのあと、なつと同年代のモモッチとも廊下で出くわしました。
「お久しぶり〜!」
モモッチは、なつがお母さんぽくなったと言います。
「たくましくなった」
前からたくましかったけれど、とも。
戦災孤児で酪農体験をこなしてきましたからね。なつはたくましいし、自己主張もしっかりとあるヒロインだと思います。
赤ん坊を抱いて微笑んで、うっとりしている聖母子像はあくまで理想ですからねぇ。
そこは、たくましくないと! 実際に、赤ん坊を抱いていると筋力もつくでしょう。
モモッチは、なつの復帰を喜びます。
仕上げとしてトレースしていても、動きが違う。そう励ますのです。
これは嬉しい言葉ですよね。同僚に認められ褒められるのは何より嬉しいかもしれません。
「なっちゃんは働く女の期待の星! しっかり頼むよ!」
モモッチはそう励ますのでした。
いいなぁ、女性同士のエンパワメント!
モモッチはちょっとイッキュウさんを気にしていたような、そんなニュアンスはありました。むしろ早かった。
でも、嫉妬しないし、対立もしない。そういうことがあってもいいしょ。
「なっちゃんお帰り〜!」
アニー班もなつを迎えます。
無事女の子を産んだと報告。荒井は復帰して大丈夫かと言うのでした。茜の頃はどうにも無理解なところがありましたが、彼なりにいろいろと勉強しているのでしょう。
「イッキュウさんの子守りなんて想像できない」
なつはそう言われます。
カチンコすら落としていたイッキュウさんですからね。でも、彼は頑張ればできるんです!
なつが原画として復帰する、3年目を迎えた『魔法少女アニー』。今や人気コンテンツです。
現在のプリキュアシリーズは年度ごとに変わるので、おもちゃを買う保護者側も悩ましいところですが、昔はそうではなかったんですね。
アニメーターはありえないことを本当にする
イッキュウさんは、育児と翻訳業をこなしています。
泣く優をあやし、彼は語りかけます。
「優ちゃんのママは頑張ってるよ。寂しくても我慢してね。優ちゃんのママはアニメーター。アニメーターは、ありえないことを本当のように描く人のことです」
彼らしいセンスが光ります。
なつとイッキュウさんの決断を、当時ではありえないという批判は当然あるのでしょう。
その答えとして、アニメーターという職業がある。
そう思えるのです。
そのなつは、中島が腕を上げたと褒めています。
「腕にタメを作るともっといいと思う。この調子で、もっとがんばって!」
なつは上司としてもいいなぁ。
支持に具体性があるんですよね。
自分が抜けて気合が入ったとか、この私の思う通りの絵を描いてこそだとか、そういうことは言わないのですよ。
技術的な指導は、中身がきっちりとあります。
ちゃんと褒めて伸ばす。
そんななつは、仕事中は優のことを忘れようとします。
けれど、無理。机の前にある、優のスケッチをどうしたって見てしまう。
これも文化の違いと言えばそうかもしれませんけど。
海外の映画やドラマだと、家族写真を机の上に置いている人物は多いものです。男性でもそう。
仕事中でも家族のことを考えてこそ。切り離せない。だからダメなんて言われません。
家庭を捨ててこそ、犠牲にしてこそモーレツ社員!
そんな考え方は、むしろ異常ではないでしょうか。
マコプロの挑戦
そのころ、マコ・プロダクション――略してマコプロに、イッキュウさんからの電話がありました。
マコは、生まれた女の子の顔を見に行きたいと喜んでいます。
仕事復帰はまだ難しいと聞かされ、納得しているのです。
『三代目カポネ』の進捗は、なかなか難しいようで。
なつぞら122話 感想あらすじ視聴率(8/20)昭和にこんな男おるわけない?ハハ~ン♪日本初の、大人向けアニメーション。
まだ馴染みがないとマコは不敵な笑みを浮かべます。
パイロット版を作っているそうです。
ここで、キャラクター人形やデザインが出てきますが、なんともワクワクさせられます。
そしてやっぱり、咲太郎とファッションセンスが似ているんだなぁ。
あいつ、なんらかの形で変な協力するんじゃない?
咲太郎には、成人以来、独特のファッションセンスがある。同じものを着たきりでもなく、加齢で濃密になっていく。亜矢美母ちゃん譲りかな? そこも含めて、目が離せません。
実はイッキュウさんが翻訳している作品とは、英米のミステリでした。
だからこそ、協力できそうだと持ちかけます。
当時だったら、『87分署シリーズ』のエド・マクベイン前夜ってところかな?
『87分署』の邦訳はもっとあとか。原作がこの時代かな。
純文学だけではなく、ペーパーバック(=パルプ)翻訳を手がけていたようです。
出版にせよ、当時は転換点ですね。
シャーロック・ホームズや金田一耕助といった名探偵ものブームは一段落ついて、刑事ものにミステリが転換していく時期と言えます。
日本の警察制度はフランスが元になっていて、階級はじめ制度が英米とは結構違います。
イッキュウさんはそのあたり大変だったんじゃないかな?
あ、だからか!
どうしたって、その辺突っ込まないと、刑事の階級だけでも誤訳をやらかします。
イッキュウさんがいれば、そこはバッチリのはず!
※続きは次ページへ
私の妹と母が保育師です。
何時の時代も苛酷な職場です。
命を預かるんですよね、
保育園落ちた、の時は、違う意味で辛い気持ちになりました。
(何人担当しているんだろう、
新人のトラブル多いだろうなあ、等。)
素晴らしい仕事なのに、報われないことがたくさん。
人が一人、大人になることには、
本当にたくさんの助けが必要なんだな、と思います。
優しくなりたい。皆に返せないけれど。
なつ、いっきゅうさん、おめでとう、
頑張って、って思います。
なつぞらは、いろいろ考えさせられます。
武者氏は、私と比べてジェンダー関係には非常に敏感。感じ方の違いですので決して善し悪しを言うものではありませんが、本作については違和感はないものの、それ以外ではちょっとそこまではな…と感じる面はあります。
ただ、今回記されていた、東京制作朝ドラの捉え方で差別主義者をスクリーニングするという話、なかなか面白いと思いました。
少し話は逸れますが。
私の勤める職場にも、日頃から、ドラマ作品について、隣国制作だというだけで内容にかかわらずこき下ろし、「こんな他国番組の視聴を強要するTV局は許せん」などと公言してきた者がいます。
「職場という公的な場で、くだらん私的見解の受容を強要するアンタは何なんだよ」と私はずっと思い続けていましたが。
今年の参院選前後の言動で、この者がゴリゴリの差別主義者であることを確信するに至りました。
その言動とは、正体を伏せて立候補したゴリゴリの差別主義者を支持することと、当選したことを面白がるもの。
以来私はこの者とは決して口をきかないことにしています。