なつぞら130話 感想あらすじ視聴率(8/29)少子化の足音が……

作画監督はもうやめようか

優とめいちゃんが、茜の家で遊ぶ場面へ。

これも、かわいいだけじゃない。
ままごとをしていて、お母さん役で仕切りたがるめいちゃんにムッときたのか、優がおもちゃを蹴り飛ばします。

めいちゃんは茜に甘え、優ではなくママと遊ぶとぐずります。優も甘えてくる。

「ママ、本当にちょっと具合が悪くて」

茜はそう言います。なんだか気になりますよね。
そこへ、なつが迎えにくるのです。

このあと茜は病院で検査を受け、二人目の妊娠だと判明。
なつはイッキュウさんに説明します。

3ヶ月目で、来春には生まれる。
つわりも重い。

◆つわりの時期はいつから?どんな感じなの?

もう預けられない。
そう語るなつは『キックジャガー』も終わったことだし、作画監督はやめると言うのです。

仕事もセーブしなくてはいけないかもしれない。
そんな母の言葉を、優はじっと聞いています。

なつは、そのことを茜に伝えました。
茜は、優と会えなくなる寂しさをしみじみと振り返ります。

二人目が生まれたらもっと賑やかになるとなつが言うと、茜は憂鬱そうでもあるのです。

「大変になる。親に頼るかもしれない……」

なつは、優を連れて帰ろうとします。
しかし、優は嫌がります。

茜は、明子の誕生日だからかも?と言い、今日は父の下山も帰宅が早いそうです。

「お邪魔しちゃだめ。わがまま言わないで帰ろう」

なつがなだめますが、いっしょにいたいと優は意地を張ります。

茜も、優がいてくれれば明子が喜ぶ、もう本当の姉妹みたいなものだと言うのですが……。

なつは困り果てます。
パパの夕食を作るために早く帰るよ、と促しても、優は聞き入れません。そういう家事分担になったんですね。

「いいよ! 茜さんと一緒にいる! 茜さんといっしょがいい!」

意固地になる優。
果たしてどうなるのでしょうか。

頼れない母の孤独

二人目ができても、喜べない。それどころか、大変。
茜の深刻な顔が、厳しい現実を語っていました。

本作は育児がリアルかつ大変で、複数の子を育てる困難が描かれています。

夫婦が二人以上を産まなければ人口は減るばかり。
それなのに、この時代にはもう二人目のハードルが高かった。

時期的にちょっと早い気もしますが、まさに人口ピークからの少子化動向が見てとれますね。
女性の意識どうこうの問題じゃない。

産まない人を責め立てる、産ませるように仕向けるよりも、二人目三人目を産みやすくすべきとはよく言われることではありますが。

現代も含めた少子化に対する、NHK東京、渾身の提言にすら思えてきます。

それに、今時の女が悪いってことでもないでしょう。
日本は、団塊ジュニア世代で人口が膨らむのが1970年代前半で、そこからはずっと減少に転じていく。これは当初から予想された動きであるとも指摘されています。

ただ、日本近代史における人口については、レビューでやるべきではないほど根深いものでして。
付け焼き刃の意識改革でどうこうできる話じゃありません。

◆東京新聞:乳児遺棄容疑で17歳2少女逮捕 荒川の河川敷:社会(TOKYO Web) 

こういう痛ましいニュースにせよ、母親を責める論調ばかり。

援助交際という言葉は、ずいぶん昔からブランドバッグ欲しさだのなんだの言われています。しかし、子供の貧困率が高まる中、生活費稼ぎの可能性も十分にあるわけです。

そういう未成年の貧しさにつけこみ、逃げ切った父親は出てこない。
母親だけが責められる。救われない。

こういう意識が浸透した社会で、誰が子育てをしたくなるのか?という話でもあります。

茜がいう親に頼るということにしたって。

「孫の相手ができるからいい!」という、そんな単純な話でもないんですって。

NHK東京は、すごい境地に踏み込んできているなぁ。

真田信尹「読まんでいい」タイム

なんだか久々に観察日記でも。
ご興味なければここでサヨナラをお願いします。

◆広瀬すず『なつぞら』公式SNSでの指差し笑いに批判続々「人を指さして嘲笑するって…」

この媒体とライター様のご芳名で思い出したんですけど。

◆『半分、青い。』正人の“彼女の正体”に飛ぶ推測、「北川悦吏子が彼女役!?」のブーイング

「女が10歳年上のカップルなんてありえない!」
という、意味不明なクレームを元に、ネットでの叩き投稿を繋げて記事にしていましたね。

人を指さして笑うよりも、どうなのかと個人的には思います。
そういうカップルにも失礼ではありませんか。そういう方は、別の朝ドラ俳優にもおられましたが。

そもそも、疑惑のある企業の宣伝ドラマを、二年連続受信料で作ったNHK大阪の打ち上げ花火っぷりに比べたら線香花火でしょうに。

◆吉本興業「闇営業監視人だった」元マネージャーが決意の告白

主演女優の態度しか叩けないのか。
単に数字が取れるのか。
自分よりずっと年下の女優の些細なことを叩いて、ずーっとSNSでそのことを投稿して、専用ハッシュタグで盛り上がって。
正義感をふりかざして主演女優を叩き続けるって……楽しいのかな?

「子役は神なのに主演は……」
というありがちな論調というのも、こういう見方ができます。

【見る側が、動物や子供の可愛らしさ程度しか自信を持って判断できない。しかも本人がそれに無自覚】

本作のある女優さんへの「トレンディドラマ時代と変わらない!」という評価だって、見る側の目がそこで止まっている可能性もあるわけで。

それと、子役って実は演技指導の力量が一番出やすいわけでもあります。子役の頑張りだけではなくて、そこの判断材料にもなりますよね。

「子役かわいいって褒めただけ! 演技指導は別に……」
というのは、ちょっと苦しい話でもあると。

まぁ、私もそこまで演技評論の自信はないし、放映後の受賞状況を待つのが最も客観的な判断となりましょうか。

ざっと見たところ、この媒体の朝ドラ叩き記事は、ミソジニーと憶測まみれではあります。フェミニズム批評で名高い北村紗衣氏(『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』)が記事を書いている媒体とは思えないほど。

媒体としての支持は結構上位で、見る目あるサブカル好きな女性に訴求するメディアには思えます。
主演女優のバストサイズだの、イケメンだの、そういう記事を量産するメディアよりは上。

「私は見る目がある女。演劇批評に詳しいの。社会問題も任せて!」

そういう読者層へのアピールを欠かさない姿勢はあって、実際に、面白い記事も多いのですが。

それでも、朝ドラは雑に叩けばそれなりに数字が出せるってことかな?

前述の北村氏は、批評とは探偵のようなものだと指摘しておりました。
しかし、この媒体の朝ドラ批評においては、犯人の痕跡を追う手法ではありませんね。野次馬の声をまとめて記事にするタブロイド紙の手法のようで。

ただし、興味深い現象ではあります。

この記事にあるアンチタグ(そのセンスから漂う、某大手掲示板住人ノリ臭がある意味たまらない)も、存在は知っておりました。

この媒体の朝ドラ記事ライターでも、それとなく指摘している方もいるようですが。NHK東京は、批判意見も承知の上でメディアコントロールをせず、泳がせているのでしょう。

人は反論させると、よく喋る。
作品専用のアンチタグなんて、情報収集のためには最適。

これをふまえて、彼らはどう動くのか?
そこに気づかず、地雷を踏みに行く媒体とライター、SNSアカウントは誰なのか?

人間の集団心理とは、それそのものがピクセルアートです。

人は、群で生きてきた。
薪に縛り付けた人に火を放って盛り上がることも、村八分も、群として生きていく上では大事だった。そうやって、相手があげた悲鳴をBGMに乾杯してこそ、結束力は上がります。

「もらい感情〜〜〜もらい価値観〜〜〜〜♪」
って、個人的にはよくわからないと思っていましたが。誰かからもらい、それに口を開けてパクパクごっくんすること。そういうことに安心感を得られるから好きでたまらない、その快楽に浸りたい人も世の中にはいるってことですね。

そしてその様子を記事にすれば、アクセスもそれなりに稼げる、と。
どこを切り取るかで、クライアントの期待にもいくらだって応えられます。

例えば、媒体名と朝ドラタイトルで検索をかけると、どういう傾向かバッチリわかります。

一ヶ月後、
「NHK大阪の新作朝ドラが大好評! NHK東京のふざけた前作とは180度違い、王道回帰で見ていて安心!」
という記事が流れるかもしれませんね。

しかし、群衆のキャンプファイヤーと、それなりに権威のある賞は、また別の話。

『半分、青い。』は、脚本も出演者も実績を残しています。
本作もそうなるのでは?
おそらく、関係者の皆さんはわかっているとは思います。

視聴者として、しょうもないハッシュタグ祭りの悪口で盛り上がるより、自分の目で作品と向き合う――。
その方が、はるかに有意義な時間になると思いますけど、違いますかね。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】なつぞら公式HP

 

4 Comments

くだらない中傷はやめようよ

>あの振る舞いは座長のやる事ではないですよ。
ー「うわ、抱っこ緊張する」と言う夫を「ガチガチすぎてウケる~」と笑う妻、という感じだろうか。(中略)ー
という他愛のないシーンだと解釈できるのに
細かな背景がわからない1本の動画の印象だけで簡単に非難の声を上げる人々の方がよっぽどどうかしている。

ガブレンツ奮戦

意味なき「主演女優叩き」をどうしても正当化したくてたまらない向きが存在するようですが、まあそんなものは放っとくとして。

「自分の目で作品と向き合う」という話。そのとおりだと思います。

これまで武将ジャパンさんのいくつかのドラマレビューを見てきました。
おかげでドラマを見るときの着眼点のようなものもわかってきました。

メディアで絶賛されているような作品でも、自分で納得がいかなければ、「メディアはメディア。自分は自分」として解することができるし、逆に、メディア上の評価が低い作品でも、自分の評価軸で合理的に納得できれば、気にせず楽しめる。

武者氏が途中で背を向けた『いだてん』も、私にとっては楽しめる作品です。おかげさまで。

『なつぞら』も、そろそろラスト一ヶ月あまり。
様々な観点での問題提起を試みてきた意欲作の結末を見届けたいです。

旅芸人

件の炎上動画ですが、広瀬すずさんは苟も座長ですからねえ。
あの振る舞いは座長のやる事ではないですよ。

まめしば

優ちゃんはいい子だなぁと感動し、同時に居たたまれなくなりました。
私の子供の頃なんて「やるなよ!絶対にやるなよ!」と言われた事を
・重要性が理解できずに好奇心を優先してやる。
・回りの反応が見たくてわざとやる。
・怒られた腹いせにわざとやる。
なんて事をしょっちゅうしていたクソガキでしたから。
(そうして痛い目にあってようやく″何故ダメなのかを理解し、納得し、自分の意思でやめようと決意してから″やめる)

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