なつぞら129話 感想あらすじ視聴率(8/28)生々しい子供の描写が刺さるんだ

優の機嫌がちょっと悪いまま、預けたある日のこと。茜からなつへ、優に熱があるとの電話が入ります。

「なるべく早く迎えに行きます!」

そう言いながら電話を切るなつを、荒井が見ています。

「はよ帰ったらええ、と言いたいところやけどな〜」

苦しそうだ……。
そう、今はプロジェクトスタート前なのですから。

助っ人は咲太郎

なつはマコプロに連絡します。
しかし、イッキュウさんは脚本家と打ち合わせ中でその場にいません。

「優ちゃんのこと?」

マコも心配そうですが、なんとかすると言って電話を切ります。
さぁ、どうなるのか?

「ただいまー」

その晩、なつはやっと帰宅すると……。

助っ人は咲太郎でした。
奥原きょうだいは、いわゆるサラリーマン以外の働き手が多いから何とかなっている状況に思えます。

咲太郎によると、優ちゃんはただの風邪だったようで、薬をもらって、飲ませたとのこと。
飲ませたら落ち着いたそうです。

咲太郎自身の子はいないと思いますが、本作の巧みなところは、その描き方なんです。

産めない妻を揶揄するとか。
過剰に羨ましがるとか。
なつやイッキュウさんに子作り関連でセクハラするとか。
ひとごと扱いするとか。

咲太郎はきっと兄として、なつや千遥の子守をしてきたんでしょう。
年齢的になつはそこまでではなくとも、千遥のオムツ交換やおんぶぐらいまでこなしていた可能性は考えられます。

彼の世代はそういう記憶と経験があります。
経済格差や環境を考慮する必要はあるとはいえ、実はそこまで育児と疎遠でもないのです。

そんな咲太郎は、やっぱり妹が心配なのです。

「いつもこんなに遅いのか?」

「これでも早い方……」

たちあげ前の『キックジャガー』は、見直しも多くて大変なのだとか。

そこに理解を示しつつ、優のことをちゃんと見ているのかと咲太郎は口にしてしまうのです。

出勤前からおかしいことを認識していたのに、茜に預けたじゃないかって。

そういうことがあっても、茜に預けるしかない。
辛い状況ではあります。

「優が病気でも、ついていることはできないのか?」

「できなくとも、そうするしかない……いちいちそんなこと言わないでよ! ごめん」

なつも、ここでは苛立ってしまう。
そりゃそうでしょう。
自分が一番わかっている。どれだけなつが、仕事場で我が子のことを考えているかは、ちゃんと描かれていますよね。

「優はかわいい。俺はいい……なつはかわいそうだ。こんなにかわいい優と、いつも一緒にいられないのか」

「お兄ちゃん……」

「お前はいい親だよ。余計なこと言って、すまなかった」

咲太郎は守りたい

咲太郎は目を細めます。

「本当にかわいいよな。生まれた頃の千遥に似てるよな」

「そう思う? お兄ちゃんも」

壁にはそんな千遥の写真。

きょうだいが離れてしまっても、こんなふうに繋がっているんですね。

「なつ、優のことは、俺もいっしょに守るからな」

「ごめんね、優、ごめんね……」

きょうだいはしみじみと語り合います。

咲太郎は偉い。
自分の仕事を邪魔したということは一切言わない。
母の資格がないと妹を責めることもない。

そもそも、妻の光子に投げていない。
お姫様である光子の方が、育児経験がある可能性は低いと思います。彼女の場合、弟妹の面倒を見ていたとはあまり思えないんですよね。

岡田将生さんは、咲太郎数々の問題行為に悩むこともあったそうですが。

なつぞら50話 感想あらすじ視聴率(5/28)難易度高シ 愛サレル問題児

補って余りある、滅多にいない最高の兄貴に変わりつつありますよね。はじめこそ、周囲にいたら鬱陶しい枠でしたが、今はむしろいてくれよ枠になりつつある。

人間は成長する。
大人になってからも成長できるんだ。

千遥の名前が出たことで、咲太郎も自分なりにセラピーをしていると感じました。

咲太郎暴走行為の数々(なつの面接妨害・仲を噴水に突き落とす・複数回の逮捕・借金まみれ等)の根底には、誰かを守り損ねたコンプレックスがありました。

なつにせよ。千遥にせよ。亜矢美にせよ。
守りたくて、そうできなくて、苦しんでいた。

そういう咲太郎が、姪っ子を守ると言い切ることは、彼自身の回復でもある。
誰かを救うことや守ることは、双方にとってよいことでもある。

そんな姿が見えてきました。

子供が風邪をひくなんて当たり前のことなんだ

「ただいまー」

咲太郎と入れ違いに、イッキュウさんが帰宅します。そこで咲太郎とすれ違ったそうです。

このへんが、イッキュウさんらしいっちゃそうですが。

自分不在のせいで、義兄にご迷惑をおかけしたと申し訳なさそうにはしないんですね。しかも、夕方マコから優の熱があったことを聞いているんです。

さすがになつもムッとしています。

「だったらどうして、すぐ連絡くれないの!」

「めいちゃんにうつすから、明日から自宅で仕事をすることにした」

そのために十分に打ち合わせをしてきたと、嬉しそうな顔になるイッキュウさん。

それで遅くなったんだな。
もう、先にそう言えばいいのに〜!

イッキュウさんは悪い人じゃない。ただ、順番がおかしいだけなんだ。

遅くなって悪いと言ってから、順番を説明すればいいのに、割と無茶苦茶なんですね。
これは慣れないと厳しいとは思います。

萩尾律はここまではっきりと描かれてはいませんでしたが、似たようなことがあったのかもしれない。
離婚に至ったより子には、この手のズレた言動をしていた可能性はあります。それにより子は耐えられなかったと。

夫婦不和や離婚となると、不倫や暴力といったクリティカルな問題を想像されることが多いのですが、性格のすれ違いだって十分にありえることだと思います。

半分、青い。128話 感想あらすじ視聴率(8/28)より子に憐憫の情もある

なつはここで、やっとずれたイッキュウさんの真意を理解し、感謝します。

「ごめんね、作画監督なんか引き受けなければよかったかな……」

「何言ってんだ、子供が風邪を引くなんて当たり前だろ。そんなことでいちいち動揺していたら、子供なんて育てられない! 二人で、優と三人でがんばろう!」

イッキュウさんはそう言い切ります。
いい言葉だなぁ。

子供は大人よりずっと風邪に弱いのです。すぐに発熱もする。

保育園にあがれば、集団感染もある。そのことを、親の躾だなんだの言うほうがおかしいのです。
※続きは次ページへ

2 Comments

まるいと

労働組合に所属していますが、組合に関する記述には同意します。同じ組合に所属していた母親が、なつの様子を見ながら「今なら育児休暇も整備されてるのにねえ」と言ってましたが、「なつは休みたいわけじゃないと思う」と返しました。社会モデルとしてとらえて制度改善を目指す動きも必要だとは思いますが、かえって個人での解決努力を軽んじられたり、「制度が整ってないから」と、とにかく一歩踏み出す勇気をそいでしまってるのじゃないかと感じることは多いです。「やってみたら何とかなる」世界もちゃんとある気がします。

ヤダヤダ姫

正直に言うと、ここ何回かは少し退屈になっています。
⚪一緒に見ていた小学生の娘が、「ゆみこちゃんも、生まれたんだよね。見たいなー」と言っていました。その他、イッキュウさんの親族についても、言い訳でも良いから言及があった方が自然なのにと思いました。
⚪子どもをあずける間際になってためらう描写が、個人的にはあまりリアルに感じられないです。「身軽になってやっぱりせいせいした。よし頑張るぞ!」という方のほうが多いのでは?昭和は違うのでしょうか。
⚪「半分、青い」の時も思いましたが、子役の都合での年齢飛ばしは仕方ないのでしょうかね。子育てというと、入園前のイヤイヤ期がやっぱり大変。きっとその頃は、思わぬイタズラでトラブルもいろいろあったろうなと思います。逆に4歳にもなれば多少の聞き分けもあり、ドラマで描かれたような落書きなんかは卒業してくれているような気もしましたが…

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