なつぞら142話 感想あらすじ視聴率(9/12)ソラとレイの物語が千遥にも届けよ

荒馬を乗りこなす【魔王】

さて、マコプロには、新人三名が見参しております。

石沢(ベテラン男性)、町田(新人男性)、立山(ベテラン女性)です。

これもバランスがいい。
東映動画初期の仕上げ課あたりと比べるとわかりますが、マコはベテラン女性の役割をきっちりと説明しています。

彼女は今日も説明がハキハキしている。

・仕上げはどうしたって外注に頼る

→見下しはないし、そこは割り切りがある。

 

・その外注との折衝は石沢と町田の役目。そこにリスペクトを!

→わかっているのかな、特に神っち、イッキュウさん……?

 

・立山のチェックは大変だ

→私もサポートする。地位は上でも、彼女を見下すことはない。

そして、締めくくりはこうだ。

「しっかり、締め切りを守りましょう!」

「はい!」

「返事だけは素晴らしい」

このやり取りからも、マコがクセの強い部下を見極めつつ、泳がせている。
そういう総大将になったことがわかります。

こうなると、【魔王】は焼き討ちできないし、【表裏比興】も従うしかない。
猛獣使いであり、松風レベルの暴れ馬を手なずけた、そういう境地に突っ込みつつある。

名馬の制御は難しいけれども、乗りこなせれば最高なのだ。

そしてざっくりと、一話目の打ち合わせへ。

神っちの失言「洪水は使える!」の意図もわかります。

なつぞら140話 感想あらすじ視聴率(9/10)圧巻の北海道開拓史

 

プロットの基礎として使えるという意味。彼は一言多くなければ、もっといいんだけどな。それができないだけなのよ。

父と母、妹、主人公のソラ。

洪水のあと、馬車で一家は旅立ちます。

 

そこで彼らが見かけたのは、川に流されている少年。少年のお友達のリスが、鳴く声にソラは気づいたのです。

 

ソラの機転と家族によって、救われた少年。彼の名はレイ。

 

ソラと暮らすレイ。

レイと暮らすソラ。

 

ソラとレイの目を通して、物語は動き始めます。

こうして、物語は動き始めるのです。

きみの記憶と想像力に不可能はない

なつは一話目を描き、イッキュウさんに見せています。

「家族の表情はいい。でも荷馬車が競馬場を走っているみたい」

出た、ダメ出しだ。
彼の場合、ダメ出しされないということが合格ということ。

イッキュウさんの理論はこうきた。

いろいろな石がある道を進むなら、様々な振動があるはずだ。その方がリアリティが出る。おろそかにしない。

「そこまで追求しだすと……」

なつもびっくりして言いながらも、ハッとしているのです。

東映動画では、そういうことを捨てて進んできたんでしょうね。そのことを思い出しつつある。

「子供も大人も楽しめる、本物。きみの記憶と想像力なら、できる。お願いします!」

そう言われ、なつは集中し始めるのです。

なつの記憶の中にある、泰樹と乗っていた馬車の景色が思い浮かんで来ます。

これを、マコさんが感慨深げ(あるいは、そんな調子で締め切り守れるのか? という疑念かも?)に見ているこの顔!
神っちや下山も、このやり取りを聞いから、自分の机に向かいます。

本作は、視聴率が伸びないといわれております。

まぁ、気持ちはわかります。ものすごく疲れるもんね。
このラストシーンにしたって、マコ、神っち、下山まで顔がすごい。

本作の演技は、集中する顔にものすごくこだわりがある。

広瀬すずさんのなつは言うまでもなく素晴らしい。

背景に映っているだけの、神っちの横顔。過剰なまでに集中していることが伝わってきて、見ているこちらまで圧倒されてしまう。
疲れるんだ……毎朝、脳みそ破裂しそう。

なつよ、どんなものができるのか、私も楽しみだ――。

これはナレーターと気持ちが一致するのですが、怖い気持ちもある。

OPにソラが出てくるのかな?
何があるのかな?

ラストスパートになってから、凄すぎて毎朝が疲れる。
結果的に、睡眠時間を長く取らないと身が持たなくなった。

何をしているんですか、本作は!

今朝も関ヶ原かッ!

今朝も、関ヶ原っぷりがすごかったな。

・親子は血縁じゃない、意思の問題だ!

→これ、再三指摘しておりますが。****教団モデル企業は、外戚政治がはびこっていて、ライバルの東洋水産から激しくダメ出しをされまくっております。

つまりは、東洋水産と同じ姿勢を見せてきおった! ということですね。

日本式親族経営は、ツッコミどころがある。
雪月のような着地をして全否定はしないけれども、メスを入れおったわ。

・原案はあくまで原案だぞ?

→これも、本作がかなりアグレッシブに突っ込んで来たこと。

「モデルと違う!」
というツッコミは、360度から広がっていてほぼ『ジョン・ウィック』キアヌ・リーブス状態だと思って、興味深く見ているんですが。

狙って外していますよね?
本サイトもなつのメインモデル以下の人物伝記は、あえて放棄していますが、それが幸いしたと言いますか。

「いつ、わしがモデルをそのまま使うと言いおった?」
という境地に突っ込んで来おったわ。

・いい男性はセクハラしないから

→信哉と明美。これだぞ。

・深夜作業神話はいらんのじゃあああ!

→いまだに、真面目な日本人をドヤ顔で語る風潮をぶった切りました。現実を見つめよう!

◆海外からも揶揄される貧しき長寿国ニッポン

◆「世界一真面目な労働者は日本人」と触れ回っては、いけない理由 (1/5)

もう、世界は気づいています。
日本式経営に学ぶつもりはない。

◆アップル・グーグル、ネット覇者の意欲は「社食」に宿る

スーツ着ねえ。足元スニーカー。遅刻する。残業しねえ。飲みニケーションしねえ!

そういう型にはまらない奴らを泳がせた方が、あっと驚く発明をするって。

ビジネス王者になれるって。

ついていかないと、そういう流れに!
マコプロは、こういう海外の最先端に迫るものがあります。

・男女が一緒に歩き、成長するんだぞ!

→【スパロウリズム】からそうだ。
なつとイッキュウは、同じ位置で歩んでいる。そして、それがソラとレイにまで及んで来た。素晴らしい!

「もらい感情ぅぅぅ〜」にドラカーリス。

・細かいところを追求するんじゃああ!

→本作は、かなり細かいところを追求しています。でも、それを別に自慢するわけでもない。いや、自慢したいけどね! そういう気持ちもあるけどね、わかる人がわかればよいんだろうね。

・見られて困る話をフィクションにしていいの?

→イッキュウさんは断っている。これも重要かもしれない。

なまじ、朝ドラが取り上げたことで、神話にヒビがはいったモデル。いましたよね……。

◆吉本興業「闇営業監視人だった」元マネージャーが決意の告白

収監されている人物は、その間、自宅で新商品開発に励むことはできない――というのが、世界的に認識された真理といってもよい。

が、この真理が通じない信徒がおられるようでして。やれやれ。

ドラマにしなければ、そんなこと、私だって気がつかなかったんだ……。
でも、まだここまでは前哨戦なんだよな。

彼らには届けたい声がある

ずっと指摘していますが、本作は『半分、青い。』の謎解きヒントとしても秀逸です。

あの作品において、北川悦吏子先生は、自分のルーツを見つめなおして入れ込んで来た。

岐阜のこと。
左耳のこと。

彼女自身の内側にありながら、ドラマでは描いてこなかったこと。それを、世界に投影した。

彼女だけの意思?
それともそうではない?

だからこそ、あの物語には消えぬ印象的な魅力が宿ったのだと思います。

「ふくろう商店街」のモデルとなった恵那市を訪ねて、私はそのことを感じました。
ドラマと同じ空気が、そこにはあったから。

鈴愛が、聴覚での距離感をうまくはかれずに、迷子になったように戸惑う場面も、見ていて心に響きました。

そういう、生きてきた誰かの声を反映させること。
それでこそ、物語が活きてくるはず。

しかし、信徒のやらかしたことは残酷でした。
お前の言うことなんか聞きたくない、自慢しやがって。左耳が聞こえないだと? うるさい、嘘つき、黙れ! そうやって朝から晩まで喚く。

信徒よ、むしろこちらから聞きたい。

口塞ぎが趣味ですか?
あなたの発言とは、全部マウンティング材料ですか?

確かに、その心理状態に、興味がそそられるところではある。

一方で、主人公のルーツを無茶苦茶にした朝ドラがありましたっけ。そのせいで、墓穴を掘った。

そうは言うけれども、本作だってモデルの経歴を切り刻んで組み合わせているって?

そういうところは確かにある。
そこに、誰かが別人の感情、人生、涙、血を注ぎ足している。

なつが千遥に届けたいと願うように、届けたい誰かに向けて、発信している創造者がいる。

妥協なく、わかりやすい一本道ルートの活躍でもなく――生きるうえでの心の動きや悲しみを描きたい人がいる。

イッキュウさんの語る本作の意義には、そんな声が背後にある。

『半分、青い。』以来、NHK東京の朝ドラには苦しみや悲しみも満ちていた。

空気を読めないこと。

突拍子もないことをしてしまうこと。

ルールを外れてしまうこと。

「あいつキモいよね」と悪口を言う。そんな人たちの存在を感じてしまうこと。

想像を通して、それをキャンバスにして、アイデアで、自分自身を描いて、それを受け取る人に届けようとしている。
そんな信念を感じるのです。

あと一ヶ月以内で終わると思うと、悲しいけれど、ほっとする。
くたくたになるんだ。
こんな強いボールを投げられる、こっちのことも考えてくれ。

でも来年、彼らがマウンドに登ったら?
私も受けて立ちたいと思っている。

北村紗衣氏の『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』以来、ドラマの作り手は犯罪者で、レビュアーは探偵や刑事という理論が引っかかっているんですが。

最終回、どうなるかわかってきた。
ドラマではなくて、私のこと。

ライヘンバッハの滝から落ちるんでしょうね。
いや、自分をホームズにたとえるなってことではあるけど。まあ、それも楽しみだ。

しばらく受け身をとって、滝の下に潜もう。

信尹「まだ読まんでいいタイムがあるのか……」

◆「まんぷく」安藤サクラが「なつぞら」劇中アニメで声の出演!朝ドラヒロイン異例の連続参加

なんということをなさるのか……!
これほどの残酷なことをしてッ!

「クソレビュアーめ、貴様の*ちゃんは出ない説は否定されたぞ、フハハハハ!」

って、まぁ、それは別にどうでもよいのよ。声だけやん。
イケイケでノリノリで売り出している最中だし、そこは諸事情もありましょう。

あんな直談判記事を出されて、スルーできるかって話でもありますし。
声にしたって、いいことでしょう。

むしろ朗報なのだ。
あんなベトベトした声しか出せないと、朝ドラファンに認識されたら不憫でなりません。
彼女は被害者だもの。そこは挽回の慈悲くらいあってもいいでしょう。

問題はッ!
毎朝(ではないか、夕方までか、やれやれだぜ……)マントラのように、本作を全否定ハッシュタグ投稿をしている、そんな前作信徒が引き裂かれてバグを起こすという懸念ですぞ!

おぉ、おお、おそろしや……ラーメン教に挑んで、どうしたいのですか、NHK東京の異教徒はッ!

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】なつぞら公式HP

 

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