なつぞら142話 感想あらすじ視聴率(9/12)ソラとレイの物語が千遥にも届けよ

なつが見せているのは、ソラの新デザインです。

おさげにしていて、赤いワンピース。どこかで見たような……。

この子の物語なら見たくなります

ここから先は、昨日のダメ出しタイムを振り返りつついきましょう。

なつぞら141話 感想あらすじ視聴率(9/11)フーテン亜矢美が超絶COOL!

神っち:おー、かわいいじゃない!

→彼のこういう言い方。脳内点数はほぼ満点です

 

モモッチ:かわいい、たくましさもある

→神っちを補足しつつ、褒めています

 

モモッチ:赤いのはナゼ?

→なつ「寒いから頬がリンゴみたいに赤くなる」。理由を引き出す、いい質問です

 

イッキュウさん:うん、この子の物語なら、見たくなります

→合格! 文句をつけないということは、よいこと!!

イッキュウさんが見たいこと。
それは、仰々しい活躍ではない、生きる力そのものです。

その言葉を聞いて、陽平も納得しています。

「それが必要なものなんだ……」

神っちも、よいものを作る、そして新しいものにすると決意を固めています。

優しいあの子の名前は

このあと、なつはそろそろ優を迎えに行きたいと言い出す。社長のマコは寛大に許します。

本作はいいなぁ。
子供に気をとられることは、仕事に対するヤル気がないとか、そういうことは絶対に言いません。

これこそが正しいと思う。
子供のことで気もそぞろになって集中できないと、時間も効率も無駄になりますもんね。

ただ、かじりついての深夜作業自慢とか、寝ていない自慢とか、24時間戦えるからってドヤ顔する時代は終わった。
いや、始まっていたことすら、人類史においてない。

そうだと勘違いしていた人。
その勘違いが抜けない人がいるだけのことです。

※いつまでリゲインCM気分なのでしょうか

ナポレオンだって、野口英世だって、昼寝なり息抜きはしていた。

ナポレオン1世2世3世4世の生涯をスッキリ整理!歴史に翻弄された皇帝たち

実は遊び人の野口英世と彼を支えた人々 偉業は一人にして成らず――

昭和のモーレツ社員だって、ルノアールでたばこプカプカしながらスポーツ新聞を読んでいたでしょ。
伝記作家の誤認か誇張を信じてどうするんだ、という話です。

なつはここで、こう返します。

それでも仕事をしたいから、戻ってくる。
マコはちょっと驚きつつ、認めます。

「それは構わないわ」

かくして、優は保育園からマコプロに来ることになりました。

優がいる中で、なつは一心不乱でカッコいいおじいちゃんを描いています。
どうしたって、泰樹を思わせるデザインです。

そしてここで、OPが始まって壮大な実験の成果が見えてきます。

そこで走る、赤いワンピースにおさげの女の子。
あの子の名前は?

そう、ソラです――。

鍛えてください、託します

そんなある日曜日。
坂場家に来客がありました。

信哉と明美です。

マコプロの話を聞きながら、明美は羨ましがっています。

イッキュウさんはしみじみと言います。
小さい会社だから、気心がしれているからこそ、やっていけるのだと。

「結婚しても好きなことができる環境を作るのが、一番難しそうだもん」

この明美のセリフからもはっきりと示されました。

マコプロのモデルは、スタジオジブリであって、そうではないのです。
女性の労働環境において一段上なのです。

それと同時に、朝ドラ最難易度に挑んだ証明でもある。

しつこすぎるくらいに指摘してきてはおりますが、朝ドラヒロインの板挟みはテンプレでした。

「仕事と家庭の間で悩まされるのぉ〜」

女性を応援しながら、ワーキングマザーの背中をガスガスと蹴り飛ばす――そういう悪しき因習がこびりついていた。
それも、もう、終わりだ。『半分、青い。』の【スパロウリズム】以来、誰かがそこに挑んできたぞ。

さて、その明美は東京に来ていました。
地方と東京では違う――このセリフも重いものがあります。

地方在住経験があればわかるかと思いますが。

地方ニュースでは、地元で起こった災害をトップで流し、被災者の苦闘が映される。

それが全国版になったら、あおり運転あたりがトップに出てくる。いや、それも大問題ですけれども。

災害は、地方の苦しみは、どこに行ったの?
これは近代以来の課題だとは思います。

二・二六事件の背景にだって、東北の貧困に中央が冷たかったことがありますし。

二・二六事件と五・一五事件の違いをまとめました~実行犯とその結果

『ゴールデンカムイ』の鶴見は、中央が北海道を放置気味にしていることを逆手に取っている。

第七師団はなぜゴールデンカムイで敵役なのか?屯田兵時代から続く過酷な環境

そんな明美は、信哉がデスクで助かっていると、しみじみと言うのです。

思い出すのは、げに憂鬱な、前作****教団のネトゲ廃人画伯。あいつと信哉は、対極にいます。

女はイケてる(と、本人は信じている)おっさんに性的目線で見られてこそウヒャハー!
という【ファイナルオヤジファンタジー】がありますが。週刊誌の見出しでよくあるやつですね。むしろそれは、逆です。

信哉は、明美に親しみはある。
なつの関係もあってか、実の妹のように見てはいる。

でも、そこにエロ目線はない。彼女の感性、聡明さに感心しているのです。

「ほんとうの妹みたいだ。甘やかさず、ビシビシ鍛える」

初の女性ディレクターにする――そんな信念を抱いて育てている。最高のおじさんになりつつあります。

ここで、秋風先生と鈴愛の関係でも。

半分、青い。78話 感想あらすじ視聴率(6/30)きみは逃げずに戦った

師匠のダメ出しがゆるんだとき、鈴愛は絶望した。
もう、見限られたと察知した。

女だからと鼻の下を伸ばしてデレデレする。そういう年上の男性は尊敬されない。

中身があって、理由があって、厳しい批判をして、かつ育成する。上司たるものそうでなければ。

ハラスメントでもない。下心丸出しでもない。

そういう姿に、辿りつかないと。
だからこそ、なつはこう言います。

「ノブさん、ビシッと鍛えてやって!」

なつは知っている。

家族。

柴田牧場のひとびと。

演劇部のひとびと。

東映動画のひとびと。

ここにいる、マコプロの仲間たち。

新たな家族。

周りの人々が、自分を鍛えてきてくれたこと。

空襲の夜――信哉は自分を救い、導いてくれた。あのときみたいに、明美をそうして欲しい。

そう委ねているのかもしれません。

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物語と実体験を重ねよう

明美は、なつたちが十勝の柴田家を訪問したことを尋ねてきます。

モデルというよりも、あくまで架空の話とすること。それでも、知っている人がみれば、モデルがわかってしまうのでは? そう問われます。

「そう思われていい。そういうリアリティがある。原案に、実体験を重ねる」

イッキュウさんがそう言います。
そうすることで、千遥にも物語が届いて、なつの話だと思うかも。

ぜひ見て欲しい――そう語られます。

ついにここまで来ました。
名前のクレジットを見るだけじゃない、物語そのものを妹に見せる。

なつぞら67話 感想あらすじ視聴率(6/17)ずしりと重い芯からの悲しさ

「どこかで見ているって、信じてる……」

そう信じるからこそ、素晴らしい物語にしたい!

「そうしなければ、きみと作る意味がない」

イッキュウさんは力強く、なつにそう言います。

彼は泰樹の話を聞き、その底にある悲しみまで感じ取りました。
人が結びつく、その優しさも。

「それこそが僕らの描くべき物語だ」

そうイッキュウさんは言います。

主人公は少女と少年

イッキュウさんは、プロットに一人のオリジナルキャラクターを加えると言います。

これですね。
オリジナルキャラクターとは、実は一番難易度が高い。

やりすぎると、【メアリー・スー】になる。

Mary Sue(メアリー・スー)とは、理想化されたオリジナルキャラクターを揶揄する語。(ウィキペディア「Mary Sue」より引用

その人物は、少年時代の泰樹でもあり、なつでもある。千遥でもある。

イッキュウさんは語ります。

家族とは、血縁的に本当の家族であるかではない。
それを望む心が、あるかどうか。

「それを描き、自分の物語とすることに、抵抗がある?」

なつは微笑みます。

「私の役目は、絵に魂を吹き込むこと。信じてついていくだけ。いい作品にしましょう!」

これは、ただの夫唱婦随ではないのです。

ここだけ切り取ると、そう思えるかもしれないけれど、なつのキャラクターデザインがなければ、イッキュウさんのプロットはできない。

イッキュウさんがプロットを作らなければ、なつは絵に魂を吹きこめない。

二人でひとつ。
二人で、大草原を舞台に新しい世界をつくる。そういう関係だ。

これも『真田丸』を思い出す。
真田昌幸の子は、兄と弟でひとつになっているところがあった。役割、魂。そういうものがある。

商品名に夫婦の名前を打ち込むとか。「さすが教祖の妻だ!」と大仰に褒めるとか。
そういうことじゃないんだ。
※続きは次ページへ

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