小さななっちゃんがやって来る
作品が面白いとなると、夕方まで大回転になる。
週刊マンガ誌の連載は漫画家地獄とされており、それはアニメも同じこと。
あ、ちらっと****ヌードルが映りましたね。
アップだったり、美味であると強調されなければ無害。むしろ小道具担当者さんの労力削減は喜ばしい。
本来、あの商品特性はこれなんですよね。
味や栄養なんかより、忙しい人が空腹を埋めるために、やむなくズズズッとすする。
◆林裕之&林葉子「少油生活のススメ」インスタント麺=「栄養豊富」喧伝への違和感…主な成分は脂質・食塩等
そんなある日、思わぬ来客がありました。
優がマコプロの庭で遊んでいると、少女がボールを拾います。
その姿を見て、マコは呼び止めます。
「ちょっと待って! もしかして、ここ、何を作っているか知ってる?」
「うん!」
少女は、ソラが大好きだと語り始めます。
「ああ、うれしい! そうだ、ちょっといらっしゃいよ」
マコは中へと招きます。
「みんな、この子、ソラのファンなんだって! モモッチ、セル画持ってきて!」
マコたちは、少女のことを聞いています。
家は遠いこと。
母と来ていること。
その母は、向こうの道で待っていること。
少女の名は、杉山千夏。
セル画をもらって大喜びをしております。
「ちっちゃな、なっちゃんじゃない」
モモッチはそう言います。
と、なつの目が何かを感じています。
広瀬すずさんは、無言の演技が抜群ですね。雄弁な目です。
「これからもソラを応援してね!」
優と応援すると誓い合い、お礼を言って千夏が去っていく。
そんな千夏を見送りに出て、なつはその名前を呼びます。
「千遥、千遥!」
呼ばれて、千夏の母はゆっくりと振り向く。
なつよ、ついに始まるそれからだ。
願っていたぞ――。
父がそう告げる中、来週へ続くぞ。
伏線はぬかりなく
さて、千夏ですが。
子役の再登板です。
◆「なつぞら」“小なつ”好演の粟野咲莉が再登場「跳び上がって喜び」千遥の娘・千夏役
この再登板は、大河と朝ドラのお約束ではあります。
ただ、個人的にはそこまで好きではありません。
特に意味もなく、子役で釣ろうという根性が丸わかりですと、どうにも白けてしまう。
じゃ、本作は?
そこを褒めたらダブルスタンダードでしょ?
うん、それはそうです。
なので、理由を説明します。
◆偶然に頼らない、本作の再会
はじめの千遥の消息発見にせよ。
年賀状や軍人に引き取られていたことから、信哉が辿りつけたと説明がありました。
トーストを食べながら曲がり角でぶつかった相手が、恋の相手だった、とか。
大都市大阪だろうとバカみたいに再会三昧とか。
そういうことを本作はしません。
◆なつが気づき、再会できる理由は?
これも一要素でもあれば無理なのです。
・なつが買い出し等でマコプロにいない
・マコがスタジオ内に部外者だからと入れなかった
→トップ判断での社屋に入れる判断ならば、セキュリティはクリアということでしょう
・名前に「夏」が入っていない
・見た目がまるで似ていない
最後の条件クリアのためならば、再登板は狙いすましてのこと。
文句のつけようがない。
下手にケチをつけた方が火傷します……。
そして振り返った千遥からも、多くの要素が確認できます。
・パーマヘア。彼女の本来の髪質は、ストレートだった
→それにコート。職業はなんとなく推察できます。華麗な接客業ですね?
・日曜昼に遠出している
→接客業にせよ、昼間は空く。夜間に働いていますね?
・どこか疲れた顔だ
→職場か? 家庭か? あなたは今の生活に不満があるのですね?
・あなたは姉を愛している
→娘の名前。アニメクレジットで姉の名前を確認してきたこと。そうですよね?
・あなたは、姉に救われたい
→距離を置いていたはずの姉。それなのに、リスクを冒してまでその側に来てしまった。あなたは疲れ、追い詰められている!
だからこそ、安らぎである姉の職場に来てしまった。
さあ、その内容は、来週に確認しましょうか。
アニメよ、ファンよ、原点回帰しろよ
それにしても……。
狙いに狙った本作は、アニメとドラマの原点回帰って話でもありますよね。
「こんな地味な話、見たくないよぉ」
ということは、さんざん言われてきてはいる。
神っちがこぼしたように、狙いすぎになりつつあると。
本作でも、背景に映り込むアニメグッズ。
タイアップ商法は、どんどん進化しておりますが、やりすぎておりませんか?
そのせいで、売り上げを失った事例でもどうぞ。
「あの子、変身少女アニメのファンでしょ? 誕生日にグッズを贈ったら喜ぶんじゃない?」
「それはありがたいけど。あの子は早生まれでしょ。買っても数ヶ月後には、リニューアルされるから。ゴミになるだけかも」
「あ……」
幼年向けは、まだマシかもしれない。
声優ビジネスにせよ、あのレジェンドが最近は嘆くほど。
◆富野由悠季「オタクだけが喜ぶ声はいらない」に声優ファン激怒 15年ぶり「ガンダム新作」のインタビューめぐり論争
擬人化も。
歴史人物のゲーム登場も。
「歴史人物名を画像検索したら……その結果が、求めていたものとは違うものに」
「城でも……」
「戦艦も……」
「日本刀も……」
こういうことを言おうものなら、表現の自由で反撃を受けるんですけどね。
わかっちゃいますけれども。
歴史サイトは、そういう方のことももちろん考えねばなりませんし。
その一方で、こっち方面にはあんまりそういう自由が発揮されないと。
「007は黒髪黒目設定。それが伝統だった。ブロンドのダニエル・クレイグ起用の時点で、原作を打ち破っているんだよ……」
◆『BOND 25』黒人女性がジェームズ・ボンドから007を継ぐとの報道 ─ ボンドガール改め「ボンドウーマン」、MeToo時代を意識か
「人魚にそもそも人種はないのでは……。原典の時点で、北欧でなくてマイノリティであるケルト系(※赤毛、緑の目。特に赤毛は伝統的に醜いとされてきた。だから『赤毛のアン』のアンは、黒髪にしたかった)の特徴を入れているんだしさぁ」
◆アリエル役は、黒人歌手のハレ・ベイリー。ディズニーが作る「新しいアリエル像」に、祝福のファンアートも
作り手も、これで一蹴できますし。
「じゃあ、日本市場はいらないです。中国を狙うぞ!」
そうなってからでは遅いんだ。
それどころか、アニメで見た現象を現実にまで適用する人々が出てくる。
「戦争を描く、あのレジェンドは戦争好きだよね!」
→あのレジェンドを怒らせると、反撃が半端ないぞ……。
「50キロを超える女はデブ!」
→いや、せめてBMI基準にしてよ。長身美女のファン・ビンビンを、50キロオーバーの「ぽっちゃり系」とコメントしているテレビを見たときは、血を吐くかと思いました……。
「貧乳が巨乳に嫉妬!」
→別に胸のサイズは、人格と一致しませんし。そもそも胸のサイズを言い募ることそのものが失礼で非常識ですよ。
「あの生意気女は、きっとメシマズ!」
→知識フル回転させておいしいご飯を作るかもしれないでしょ。マコさんみたいにさ。
「ババアどもが、今更アニメコラボの化粧品を買っているぞ!」
→そのババアが、元少女だったことすら理解できませんか? 人間は成長するんです。
そういうドン詰まりに、本作は突っ込んできました。
今日描かれた、視聴率に左右されない作品作りだって、そこは分けて考えないと!
新しいテーマに挑んできたからこその、苦戦なのか?
惰性を流しているだけなのに、それに作り手もファンも気付かず、自分たちは革新的だと言いたいのか?
ラストスパートに入った本作。
これからも元気よく、「孔明の罠」を仕掛けてくるんでしょうね。
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
千遥が肩に掛けていたバッグの縁がところどころ擦り切れていて、お金に苦労しているんだなぁ~と、伺えました。
武者さん、大絶賛ですね。
私もです!ただすごく良いドラマだからこそすごく残念だなと優ちゃんが産まれてからずっと思っているのが、イッキュウさんのご両親が出て来ない事です。
せめて優ちゃんという孫が産まれた時やソラが放送開始された時とかちらっとで良いから出ると良かったのにと残念です。
後もう一点他の方も指摘していたかもしれませんがずっと前の回で抹殺パンチの時の夕見子がなつに言った言葉、「うちの家族に話したっしょ⁈」とうちの家族って言ってしまった夕見子が後で、「なつの家族でもあるのに、ごめん」って謝る所があったらよかったなぁと、このドラマのファンなので、とてもこの2点が残念です。
>小原正靖様
ご指摘ありがとうございます!
修正いたしました。
今後もご愛顧よろしくおねがいしますm(_ _)m
仲さん 東映動画ではなく東洋動画では。