なつぞら145話 感想あらすじ視聴率(9/16)その後のシンデレラ

『大草原の少女ソラ』は、テレビの向こう側から現実へ飛び出し、別れていた姉妹を結びつけました。

千遥の娘・千夏がマコプロを訪れ、そしてなつが気付くのです。

「千遥だよね? 私がわかる?」

深く頷く千遥。

「お邪魔して、すみませんでした……」

「何言ってるの? うれしい。来てくれて、ありがとう」

再会した姉妹の物語が、こうして始まります。

なつぞら144話 感想あらすじ視聴率(9/14)千遥となつを繋ぐ千夏

ビタースウィートな再会

これぞ、本作の再会だと思う。

本作は信じていいかもしれない。
そう痛感したのは、剛男の復員場面です。

照男にせよ、夕見子にせよ。どこかぎこちなかった。
一番幼い明美は、気持ち悪さすら滲ませていました。まぁ、彼女からすれば知らないおっさんだもんね。

なつぞら1話 感想あらすじ視聴率(4/1)タンポポ食べるヒロインに期待♪

なつと咲太郎は、ストリップ小屋だった。

なつぞら29話 感想あらすじ視聴率(5/3)感動の再会はストリップ小屋で

BGMでじゃんじゃん盛り上げて、ハグをして、喜ぶ。
そういう単純なお約束とは違います。

※典型例。これはあえてそうしているコメディです

千遥は、どこがぎこちない声で、娘の千夏がファンだと説明します。家族で楽しんでいるのだと。
毎週どんなところで作っているのか、見たくなったそうです。

でも、そこまでするファンは、そんなに多くはないでしょう。マコもびっくりして感激していましたっけ。

「本当に千夏っていうの? こんにちは」

なつは感激し、千夏に挨拶をします。
名前から妹の愛を感じてしまう。千のなつ。そこまで姉のことを忘れなかったんですね。

ここで千遥は、やや焦り、釘をさします。娘には、あなたのことは何も話していないのだと。

再会しても素性すら言えない――そんな苦しみがそこにはあります。

なつはここで、様子を見に来たイッキュウさんと優を紹介します。

「私の夫と娘です。娘の名前は優、夫は一久です」

感動はするけれど、やっぱり悲しい。
千遥の夫はどこにいるのだろう?

この場面は、敬語が複雑に混じり合っています。距離感です。言葉遣いだけで、姉妹の間の溝がわかる。

清原果耶さんにも、圧倒されてしまう。
ちょっと暗いニュアンスのある顔が、すごく似合います。どこか寂しそうでもある。ただかわいいだけではなのです。

それを受けて一歩も引かない広瀬すずさんも、もちろん素晴らしい。

千遥は、イッキュウさんにも挨拶し、そして立ち去ろうとするのです。

「いつも拝見しています。ありがとうございました。失礼します」

「ちょっとまって! 今、どこにいるの? 教えてもらえない? お願い!」

「……神楽坂の、杉の子という料理屋です。もし、よかったら、お客様としていらしてください」

「行く、必ず行く! 兄を誘ってもいい?」

「あなたが誘いたい方なら、私は構いません。それじゃさようなら」

「さようなら……」

姉妹が別れると、イッキュウさんは状況を分析します。あ、出た、めんどくさいイッキュウさんだ。

いや、ここでのやりとりはそうでもないんですけど。
例えばの話、頭痛がするとこぼした時。心配して声をかけるよりも前に、即座にグラスと頭痛薬を持ってきそうな。そういうところはある。

「大丈夫か? なつ」

というルートにはいかない。そこは頭の隅にでもどうぞ。

「居場所を教えてくれたのか」

「うん、今でも昔のこと、隠しているみたい。ああ、でも、よかった、信じられない!」

「そうだよ、すごいことだ」

「ねえ、写真の人でしょ? ママの妹でしょ」

「そう、そうだよ。優の叔母さん。千夏ちゃんは優のいとこ」

ここで、優は気づいてしまう。
小道具にはこういう意味があるんですよね。

なつと咲太郎は、絵にせよ写真にせよ、家族を常に考えてきました。

これは重要なことだと思います。
海外、特に欧米の作品ですと、家族写真はデスクにあるもの。しかもヒントになりえるものですので、鑑賞するときは注意して見ましょう。

いくら家族愛を強調する作品でも、そういうディティールに欠けていたら説得力がないってことでもあります。

そして、なつも優に釘をさしました。

「でも、それは内緒」

うーん、悲しい。せっかくの再会や、いとこの初対面という場面であっても、素性を隠さねばならないとはつらいこと。
そしてこういうことは、心理的な負担にもなるのです。

私たちが奇跡を生むのだ

マコは、戻ってきたなつにどうかしたのかと聞きます。
戻るまでにちょっと時間がかかったのでしょう。心配そうな表情です。

「あの子のお母さん、私の妹でした」

ここで下山が、戦争で別れ会えなかったと説明します。

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そういうことを語ってきたなつは恵まれていたともわかる。千遥は違うのです。

陽平も、感極まった顔。

「やっと会えたのか!」

神っちは、彼独特のドヤ顔気味でこうだ。

「すげえ! ソラのおかげかよ!」

神っちは、決して悪い奴じゃないし、嫌いでもない。むしろ好きではあるのですが、癖は濃いし、ちょっと言動に尊大さがあるので、そこが合わない方もおられるかもしれません。

でも、神っちは正しい。

「この作品のおかげで会えた……絶対、いい作品にする!」

なつが感極まって告げるように、奇跡が一つ、既に起きているのだから。

マコは締めくくります。

「みんなでがんばって、この作品で、奇跡を生むわよ!」

マコは強いし、リーダーとして抜群の適性があるんですよね。
ここまで強いとは、私も思いませんでした。カッコいいなぁ。

今、会いたいと思う理由は

千遥は、杉の子に戻ります。

なかなかしゃれていて、立派な店ではある。
上品でセンスがいい。なんといっても神楽坂ですから。上品かつ裏路地の雰囲気がバッチリ出ている模様です。

母娘の服装にせよ、この店にせよ。
経済的には恵まれていると思います。

「さっきの人、お母さんのお友達?」

セル画を持って嬉しそうな千夏は、そう尋ねてきます。

「お母さんの子供の頃の友達」

「ソラを作ってるの? すごいね!」

千遥は、どこかさみしそうな顔で娘を見つめます。
それから二階の部屋で話があると伝えます。

二階の子供部屋は、狭いなりに千夏の暮らしがわかる工夫はあります。
おもちゃが多い。当時のものをよく再現している。

とはいえ、それが千夏にとってよいのか、どうか。そこは判断保留です。

親がほんとうに子供が好きだから、物を買ってあげてしまうのか?

かわいがってくれる親戚が多いのか?(※『半分、青い。』で三オバがいた花野ちゃん)

それとも、愛情を物量でしか示せないとか?

ここで場面は、咲太郎と光子が尋ねてきている坂場家へ。

「神楽坂……そんな近くにいたのか」

咲太郎はそう驚いている。

なつは、柴田家を去ったあと、そこに行ったのだと説明します。かつ、客としてならば来てもいいと。

「会いたい! 俺も行っていいのか?」

なつは、なつが誘う客ならばいいと許可を得ていると説明します。

でも、喜びだけでもない。

「ねえ、お兄ちゃん。どうして今になって、会ってくれるんだろう」

そこだよ……それですよ!

この場面で、イッキュウさんが優を遊ばせているところが背景にあるのもよいところです。
そうそう、子供はおとなしく座っちゃいない。こういうときは誰かか遊ばせないとね。

家族を作れなくてごめんね

答えは千遥が、千夏へと説明してくれます。

「もしかしたら、このままお父さんとお母さん、別々に暮らすかもしれない……」

背景に映されるのは、入学式の写真です。
親子三人が並んでいるほほえましい写真ではあるのですが。

これがもし、家族旅行のものならば?
なつとイッキュウさんと優ならば、当然あるでしょう。

リラックスした家庭での、スナップ写真であるのならば?

一枚でなくもっとあれば?

また状況が違うっちゃそうですけどね。
この父は、こういう行事だけにしか顔を出さない。そういうことは考えられる。

「お父さんは家に帰ってこない……」

写真の登場とセリフだけで、この父がゲスである可能性が浮上してきましたね。

千夏は、別離を薄々と察知しています。

「そのくらいわかるのね」

千遥はそうしみじみと語ります。

「そうなっても、お母さんと一緒にいられる?」

「どんなことがあっても、ずーっと、ずーっと、千夏と一緒にいる……だけどね、千夏。そうなったら、ここにいられなくなる。お店も辞めて、ここから離れる。知らない街で、お母さんと二人で暮らすことになる。それでもいい?」

「それでもいいよ! お母さんといっしょなら」

ここで我が子を抱きしめる千遥。

「ごめんね、お母さん、千夏にちゃんと家族を作ってあげられなくてごめんね……」

「大丈夫だよ。お母さん、私がいるでしょ」

「そうだね……」

月曜の朝から、なんてものを見せてくるんですか。

千遥の状況は?
あとで考えていきます。
※続きは次ページへ

1 Comment

こけにわ

千夏ちゃんが、千遥に、
大丈夫、私がいるよ、と言う場面は、
戦災孤児のなつと千遥のやりとりと同じですね。
孤児の千遥が、お母さん、と泣いていた時です。
千夏ちゃんはまさに小さななっちゃん。
すごい、と思いました。

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