これが草間流柔道です
このあと、陽子が柔道着を抱えて川原家へ。マツが仕立て直しをしていました。
「マツさんは器用やから助かるわ〜」
陽子が褒めます。
公式サイトを見ればわかるっちゃそうですが、マツは育ちがええんやね。お裁縫もきっちり習ってきたと。
やっぱり川原夫妻の馴れ初めが気になる。マツの実家とは絶縁関係ですが。
喜美子は早速柔道着を着ています。
「お母ちゃんこれでええの?」
「ええんちゃう」
喜美子はウキウキしながら、直子にもやるのかと尋ねますが。
「やらん。柔道なんかつまらん」
即答して、おやつ食べとる。
直子ちゃんもええ味出しとる。父母双方に似ていない気がします。性格は祖父母ゆずりですかねえ。
母・富子に連れられて、黒岩のガキ大将習うそうですよ。
「やったるでえー!」
そう喜美子とガキ大将が、睨み合っていてかわいい。
このあと、道場へ。
「僕が君たちに教えたいのは、勝つか負けるかではありません。柔道という武道を通し、本当のたくましさとは何か、優しさとは何か、本当に強い人間とはどういうことか。そして人を敬うことの大切さを教えます。これは草間流柔道です」
そう語る草間宗一郎。
佐藤隆太さんの誠意を生かした配役ですね。
終戦後は、GHQが武道教育を禁止しておりました。
太平洋戦争で発揮されてしまった、誤った武士道の根底に武道があるとみなされたからなのです。
まぁ、信楽の田舎やし、個人やし。ええんちゃう?
そこを考えて、草間流柔道は何なのか。
そこも考えたい。
柔道の達人である宗一郎が、暴漢に殴られるままだった。彼は本当に、心が傷ついてしまっていた。
その彼が心に栄養を取り戻す様が、見えてきました。
栄養があればこそ、周囲に気遣いができる。翻訳の仕事だけでは取り戻せない、何かを得たとわかるのです。
まずは道場掃除から。
宗一郎は子供たちに告げます。
「あのぉ〜」
ここへ、赤いコートの熊谷照子様が登場します。
喜美子は驚きます。
「照ちゃん、柔道やるの?」
「やったらあかん?」
でた。めんどくさい照ちゃんやで。
家の人か周囲に、どうしてあんなことをするのかと言われたのかもね。
「ううん、ほな一緒にやるか!」
「ええよお!」
「やるでぇ〜!」
「せ〜の!」
照子ちゃんも心の栄養を得たい。
信作へのアプローチということも当然あるのでしょうが、心の底から喜美子が好きなんでしょうね。
自分をお嬢様扱いしないで、本音をぶつけてくるから。
このお姫様には、そういう友達が必要だったんでしょう。
周囲は困惑し切っているかもしれない。けれども、照子はこれがブレイクスルーになるかもしれん。
ただのお姫様から、武力が高いお姫様になるかもしれへんね。
心と心がつながってあったまる、秋にふさわしいドラマです。
※当時の柔道は子供にとって憧れの競技でもありました
男の意地をどうしたらええんや問題
今朝は、なかなかクリティカルなところへ迫りました。
アプローチ的に、『なつぞら』と通じるものを感じる本作。
それは、男性向けにもメッセージがあるところです。
今日はジョーカスを通して、男の意地が持つ弊害を描いてきました。
アホらし。
ラジオでも手袋でも卵でも、つまらん意地張らんで買うたらええやん。
こう、アホらしさに着地させたあたり、NHK大阪の巧みさを感じます。
正面突破でなくて、アホでガス抜きをする。そこがうまい!
関西でないと、こういう表現はうまくいかないでしょう。
「なんでや! ウーマンリブばかり言うて、男はどないなんねん!」
そういうツッコミはあまたあるで。
今日もSNSでざっくりサクサクでとるわ。
これにはこれで終わりや。
「メンズリブ、あるで」
国際女性デーばかりやのうて、国際男性デーもあるで。
11月19日や。活動したってな。
じゃあなんでメンズリブが目立たないか?
そこはやっぱり、男の意地もある。
きみちゃんみたいに、女は、意地と誇りがあると力強く叫べばええ。
けど、男の場合は、意地と誇りという武器を下に置くことになるから、そこが辛い。今まで生きてきたことを否定しなくちゃいけないようで、難しいと思う。
そうなるくらいなら、男社会で槍を振り回す方が楽かも。
それでええのん?
本作は、そこに突っ込むつもりかな。
そう感じてしまう。そんな朝。実はこの点『なつぞら』の北海道は一歩先です。
開拓で意地を張ってたら、男女揃って凍死するか、ヒグマに喰われるからね!
男だ女だの言ってられなくて、そこを超越して共闘にまで向かっていたと。『なつぞら』は第二週で、怒りの解放とそれを支える周囲の姿を描きました。
第二週の幼少期には、テーマが反映されると思います。
女性向けである表のテーマは「女にも意地と誇りはあるんやでぇ〜!!」でしょう。
男性向けである裏のテーマは「男の意地と誇り、それでええの?」になるのかもしれません。
ジョーには辛いかもしれませんが、実は宗一郎が回答だと思うんです。
女である喜美子の意地と誇りに触発されて、それを伸ばすこと。
宗一郎だってはじめは女の子に柔道は……と思っていた。それをキッパリと捨てた。
本作では、喜美子だけでなく、喜美子周囲も育っていくのでしょう。
喜美子が暴れて、それが男の持っているあかん部分をどう壊していくか?
楽しみになってきます。
※男はそんなもんだからええ。それではあかん。そういう時代や
心の栄養を取り戻して
今朝は、宗一郎の覚醒も鮮やかでした。
信楽の土をポイ捨てし、慶乃川の作品にダメ出しをしていた喜美子。そんな彼女からは精神性を感じられず、宗一郎は怒った。けれども感受性のかけらを絵で発見してはいた。
それがあの「意地と誇り」発言で確信に至り、自分の中の精神性を伝えたくなったんでしょうね。
佐藤隆太さんがカッコいい!
それでもええけど、私は彼の心の中身も見たい。
満州にいて、「五族協和」の裏表を目にして、日本人とは何なのか考えることになった――そういう現実と向き合った、彼の柔道が気になるのです。
満州帰りという経歴も、興味深いのです。
朝ドラと満州は結構気になるところ。
『半分、青い。』の主人公祖父・楡野仙吉。
『なつぞら』の主人公父と義父・柴田剛男。
『エール』の主人公モデル・古関裕而とも関わりがある。
この中でも、満州鉄道という核心にいた草間宗一郎は、気になるわけです。
立派な皿を上司の家で見た大卒エリート。
これは本作チームの調査も大変なことになると思いますよ。
一番楽なのは、戦時中どこに配属されたのか? という点をぼかすシステム。
NHK大阪は二年連続手抜きをしましたが、今年は脱したようです。
NHK大阪にも意地と誇りはあるんじゃあ〜!! ってことかな。
朝ドラ主人公周辺の従軍状況をまとめたらおもしろそうだな〜、とは思います。
めんどくさいから流石にやらんけど。
宗一郎のことだけとっても、奥深いものを感じさせます。
最近の朝ドラは、なんだか難易度が上がっている気がする。
『半分、青い。』からそう思えてきた。
『なつぞら』は難易度が本当に高かった。
後半はスカスカという意見も目にしますが。むしろみっちりすぎて観る側がオーバーヒート起こしてリタイア状態だったんだと推測します。
北海道開拓史、アニメの歴史、そして問題提起がてんこもり。
食べても食べてもまだまだあるのに、出す側は笑顔でこう言う。
「なんもないさ〜」
そういう北海道的なボリューム感があった。
それと比較すると、本作はもっと怖いところがあるかもしれない。
NHK大阪らしいテンポで軽快さを出しつつ、実はみっちりとしたボリュームがあると思えるのです。
たとえるならば、大阪の箱寿司。
江戸前の感覚でいると、みっちり重たくて、掘っても掘ってもずっと続いている。そういう重さと味があるんだな。
※宗一郎もきっとこういう曲を聞いたのでしょう
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
スカーレット/公式サイト
ジョジョアニメ未払いの件について、一方的な問題ではないのでは?という意見が出ているみたいですね。発注書が来なかったから1年半請求できなかった、twitterに書く前に企業に問い合わせはしていないとか(普通の企業でも、来るべき書類が長い事来なかったら相手先に問い合わせしますよね?)1年半払わない方も問い合わせや請求しない方も、どっちもどっちな気がします。