今日もジョーは、リヤカーでガタガタと火鉢を運んでおります。
そんなジョーは郵便配達員を見かけて、驚き喜びを見せるのです。
それから保と博之にこう声を掛けます。
「おー、ご苦労さん。二人とも今日は席外してもらえるか。ご苦労さん、ご苦労さん!」
そう励まします。
恒例の酒飲みはやらないんですね。
初給与を仕送りする
ジョーはちゃぶ台で娘二人を前にして、重々しくこう言います。
直子、百合子をねぎらう。
姉抜きにしてよくやったと。
それでも、一番大変だったのは大阪で頑張る喜美子だった。そう言いつつ、これや。
「急いでたから汗が出て……」
目から汗が出とる。
問題は多いジョーですが、昭和のええおっちゃん人情派になりきってしもた。北村一輝さんは役の幅が広がりましたね。
イケメンは他にも大勢いる。俳優なら当然。
しかし昭和のええおっちゃんを演じられるとなれば、そう多くはないはずです。
マツも微笑み、そんな夫を見守っています。
お給料を全額もらえる。
約束だったとはいえ、そんな喜美子への感謝をする一家です。
「ありがとう喜美子」
「ありがとう、喜美子ねえちゃん!」
ここでも妹二人がおもろくて、直子はちょっとひねた態度を感じさせます。
マツは妹二人に手紙を見せます。
お父ちゃんお母ちゃん
初めてのお給金を送ります。少ないけど生活の足しにして下さい。
喜美子
短く、素朴な筆跡の中にも時代感が出ていますね。
小道具さん、いつも頑張ってます。現金書留で家に送るあたりもいい。口座振り込みではないと。
しかし、肝心のお給料は……わずか千円でした。
ジョーは、セリフは出さないものの、封筒を振って確認しております。
マツも戸惑っております。ジョーは給料交渉しなかったのかな。
動作だけでガッカリ感を出す、そんなお二人がええですね。
そのころの貴美子は?
「とやあー!」と脳内大久保相手に枕柔道をしているのでした。
あなたに口紅を
貴美子は今日もストッキングと奮闘中。そこへちや子が帰ってきます。
「ただいま、起きてたん?」
「ご飯温めます?」
「お願いします」
深夜のご飯で、喜美子とちや子の会話です。ちや子は薄給に同情しています。
「お給料千円。そら厳しいなあ」
喜美子も、全額仕送りしようと思いつつも、ちょっと抜いて買いたいものがあったとか。
下着ショーヘアメイクの事前練習で、道頓堀の先生からこう聞いた。
元気ないときでも、口紅塗るとええ。
「ほやから口紅一つ、買うてあげたかった」
「誰にぃ?」
そうちや子に聞かれて、喜美子はじっと相手を見つめます。
ちや子は慌てます。
「うち? うちに? えっ、なんで?」
ずっとお疲れのちや子を励ましたい。そう聞かされ、ちや子はペン立てとコーヒー無料券のことも気づいたのです。
気を遣わせたお礼を言います。
ここでちや子は、社の人間が引き抜かれて辞めてしまった経緯を語ります。ヘッドハンティングですね。
喜美子は、そりゃお給料がたくさんもらえるようならそうだろうと、相手に理解示すのです。
引継ぎも不十分。
引き抜きで社内雰囲気も悪化。
やっと最近、少し改善の兆しが出てきたくらいなのだとか。
ここで下着ショーの話に。
一緒に行こうと喜美子は言います。社に寄ってカメラを取るとちや子は断るのでした。
それにしても、女同士の口紅プレゼントってええですね。
そこには男の目はない。女が女として喜ぶための、そういう贈り物です。同性の絆がある。
相手が女性からでも、うれしいに決まっている。
友情もよいものです。
女同士はギスギスして友情が続かないというのは、偏見でしょう。
結婚で人間関係が変わってしまう。狭量な配偶者は婚前の交際すら分断する。そういう状況、意外と他人事じゃなかったりしますので。
デイリー大阪という混沌の新聞社
喜美子はお休みをもらい、ショーへ向かうことになります。
信楽のおばちゃんたちが見繕った、あのブラウスとスカート着用です。
「よそゆき? かいらしやん!」
ちや子も褒めます。関西弁のやさしい褒め言葉です。
関西弁、特に河内弁は罵倒に強いと思われがちですが、それだけではないのです。当たり前です。
喜美子はもう一回着替えると言い出します。似合う靴がないって。お洒落ですね。
ちや子がドタバタして、靴を差し出します。
「大きさもなんとかなるんちゃう?」
「なんとかなる!」
ペン立てコーヒー無料券のお礼やで。
ちや子はまだ行っていないから、帰りに行こうと誘います。
旅のお供も、会社に寄るから持って行こうって。ついに、あの陶器のかけらを見てもらう話が実現します。何やありそうですが……。
ちや子の社は、弱小で狭い。
デイリー大阪、戦後創刊の夕刊紙だそうです。
デイリー……大阪でデイリーといえばあれやな。
世間と他のスポーツ紙がW杯で盛り上がろうが、一切ブレることなく阪神を一面にし続ける。あの猛虎魂あふれる新聞がモデルなん?
そんな熱い新聞社編集局へとやってきます。
ここで、石原とタク坊という記者が争っております。
ちや子が客だと言っても止まらない。
「ゴミが……」
喜美子は思わず、床に丸めて投げ捨てられた紙を拾ってしまう。
「ゴミちゃいます! 芸能ニュースや」
「クソみたいな記事書きやがって!」
「売れるためには芸能も必要なんです!」
「ゴミ……」
「ゴミちゃいます!」
「ゴミや!」
あまりに濃い。本気か? 正気か? どないなっとんねん。
まぁ、大阪やし、芸能も大事だけど、独自の取材力で阪神記事さえ書いておけば売れるんちゃう?
ここで、ヒラさんこと平田社長にちや子が「旅のお供」を見せます。
演じるのは辻本茂雄さん。また出た、関西のお笑いから大物が来ました。
「価値があるようなないような……」
大学の先生にでも見てもらったほうがええ、と言い出します。
ちゃんとアカデミックな知識に敬意を払ってくれるかな。信じとるで。前年のあれは何かの間違いやったんや……。
このヒラさん、焼き物の知識は確かにある。
九谷焼、有田焼。湯飲みが複数机にあります。
「夫婦湯飲みの片割れな」
「そうそう、分かれた嫁はんが片割れを……いらんこと言わすな!」
ここで関西らしいボケツッコミの世界です。
このタイミング、ピタッとハマるのが大阪や。すごい。本作はものすごいものがある!
喜美子はここで、汚れた湯飲みを洗いたいと言い出します。職業病やね。
しかも、社内全員が頼み始める。
そんな社員たちを止めようとしていたちや子も結局は差し出す。喜美子は快諾。
雑然としていておもろい社だということは、よくわかりました。
『なつぞら』が朝ドラアベンジャーズ。朝ドラ主演女優ラッシュならば、こちらは関西名優とお笑い枠ラッシュをしていて、すごいことになっております。
おそろしいことになった。
切っても切っても、掘っても掘っても、関西の濃厚さが飛び出す。どういうこっちゃ……何が起きとるんや!
そんなに何かが溜まってたんか、NHK大阪朝ドラチーム。
どこが地味やねん!
下着ショーが喜美子を魅了する
さて、ショーです。
腰掛けている祖母に、これからは洋装やと孫が語りかけております。
ちや子は同僚を厚かましいと謝っています。
結局、掃除してきたのです。喜美子は、かけらを鑑定を頼んだお礼だとサバサバしております。
ここでさだがお出迎えです。
「来てくれたんや〜、かいらしかっこしてぇ!」
そしてメイクをする控え室。
ほんまにええね。ちゃんと当時の化粧とヘアスタイルを再現しとる。
サザエさんの髪型って、なんであんな形なのか不思議じゃないですか。
前髪をカールさせて、お団子というか春巻きというか、そういう形にする。この髪型は……。
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この朝ドラ「スカーレット」は前作のスタッフを総入れ替えして挑んだBKの意欲作です。内田ゆきCP、中島由貴Dの「ユキユキコンビ」(イケイケコンビ?)の強力ラインが脚本水橋文美江と組んだタダもんじゃない朝ドラです!