元号は大正から昭和に変わりまして。
大阪の興行元「北村笑店」は、絶好調です。
しかし、経営者の北村藤吉は中風で倒れてしまい、一事入院。
退院して仕事にやっと復帰を果たしました。
北村夫妻のこれからの歩みはどうなるのでしょうか。
ケンカップルは結婚しても喧嘩が続くのね
新婚のトキは、てんに夫婦喧嘩の相談をしてきます。
いや、もう、またぁ??? ケンカップルが結婚して、ウザい喧嘩夫妻になっただけじゃないですか。
ちなみに風太夫妻も長屋の住人になりました。
「東洋のマンチェスター」こと大阪は、モダンな洋風の建物が並ぶ街並みに変貌した、そういう背景があるんですが……ずーっと都市開発から取り残された長屋住まいっていうのもなァ。どうなんこれ。
藤吉とてんは東京に出張へ。
浅草でレビューを見て拍手します。
てんの拍手が、これまた初デートの女子高生みたいな初々しさ。かわいっちゃ、かわいいんですが……女興行師らしく目を光らすわけでも、心の底から面白がっているようにも見えないのがどうにも。
ここで関西人なら疼くのが……。
『レビュー言うたら、宝塚ちゃうんか?』
伊能栞の功績から宝塚関連を抹消してしまったために、こういう展開を見るたびに虚しくなってしまいます。はぁ(´・ω・`)
東京には負けてられへん!
一方、留守を守る風太はオラついています。
こんなん輩(ヤカラ)やんか。ヤル気を出させるためにハッパをかけるにしたって、なぜこうも怒鳴り散らすんでしょう。
そこへ、てんと藤吉が早めに帰って来ます。
「笑いの都は大阪や。東京には負けてられへん!」
むむー。ほんと申し訳ないんですが、本作を見ている限り、こんな大阪だと東京はおろか他の都市にも負けてしまうのではないでしょうか。
だって、ここで言い出すのが、
「新しいドツキ万歳考えたろ!」
って、鍋やらヤカンやら持ち出すんですからね。
流石に藤吉もドツキ万歳には限界があると言い出して。それはまず制作者自身に言って欲しいぐらいっす。
「四回叩いて四ッ橋~八回叩いて八つ橋~」
「うちがこの人をどつくとパット盛り上がるんですわ~パーンドッ、パーンドッ!」
なんてのが未だに脳裏にこびりついちゃって(´・ω・`)
アメリカが好っきゃなぁ
藤吉はここで「新しい漫才のためにアメリカに行く!」と宣言。てんもついて行くそうです。
伏線のため……ですよね。
おそらくやこのさき藤吉が倒れて、
「うちと一緒にアメリカ行きはる、そう約束したやろ」
とか泣かせるにかかる場面が見えてきます。
本作は啄子もキースも、やたらアメリカへ行きたがりますが、その意味や収穫があまり見えてこないのは私だけでしょうか。
キースが向こうで着想した芸とかそういう苦労のシーンでもあればわかるんですけどね。
ここで風太とトキによる妊娠報告。風太、やっぱりうるさい。しかもここで、
「はよ生まれや!」
と言うからもうアナタは(´・ω・`) 万が一、流産したらどうすんのよ。普通の父親だったら、極めてソフトに繊細に話しかけるところじゃないでしょうか。
ここは、風太が安産祈願のためにお守り大量に取り寄せるとか。
滋養にいい鯉を毎食食べさせようとするとか。
そういう「安産を願うあまり、やり過ぎて滑る夫」コントのほうがベタですけど、視聴者の心に入ってくるんじゃないですかね。
本当にこの脚本、社会常識がないというか。
社会経験のない中学生あたりが思いつきで書いているみたいです。
万丈目は物書きの道を選ぶようで
岩さんは奥歯が抜けて、そろそろ潮時だと言っています。
てんは止めようとしますが、怪力系の見世物は体力勝負だし、そこは労って花道用意してあげた方が……。
万丈目は、脱力系怪力見世物という、新機軸を思いつきます。
そこへ新聞記者になった楓がガラッと来ます。
この作品、本当にタイミング良く人が入ってきて話進めますね。かつては寺ギンがよくやっていました。
楓は、万丈目の投稿が面白かったから、連載を依頼したいと言い出します。
雑に伏線を小出しにしてきた、万丈目シナリオライター転職への流れが出来てきたわけです。
売れている夫婦万歳を引退するのかととまどう万丈目。歌子はそれでもいいと背中を押します。
人前で抱き合って感謝する二人(昭和初期なのに? 後にGHQが入ってきたとき、日本人がシャイすぎてよくないとか言っていたぐらいなのになぁ?)。
それでも、結構いい場面ではあるんですよね。
歌子が万丈目を投げ飛ばすオチさえなければ。安易な暴力での笑いはチョット……。
藤吉の母・啄子が帰国
ここで、啄子の手紙が届きます。世界一周の旅をしているはずです。
啄子の知り合いは何者なんでしょう。クリーニング屋を営んでいたような当時の日系移民って、経済的には苦しかったはずです。
その途中で、啄子が一時帰国するそうです。
啄子を出すなら、藤吉が倒れたことで北村笑店から渡航費用を工面して戻ってもらうとか、そういうやり方があるだろうに。
ドラマのコンセプトが
「お笑いでなくて、人間ドラマ、人情ものです」
みたいにおっしゃられてもですね。
人情ものとしても泣かせるところが滑ってますわ。
ここで、手紙を持った藤吉の様子がおかしい。やっぱり、倒れるんですね。
今日のマトメ「二度死ぬ言われても……」
本作の何が辛いかって、デリカシーに乏しいところだと思います。
先週ラストのラジオでの団吾も、
「興行元の社長が倒れて入院中なのに、その社長の名前を使って『死神』を演じる」
というギリギリのネタをやりましたよね。
熱演でなんとなく誤魔化されましたが。
そして今日の、妊婦相手に暴言を吐きまくるアホ風太を見ていて、月曜日からウンザリしました。
なんだか啄子も、倒れた息子のところに「サプラーイズ!」とか叫びながら戻って来るらしいですし。てんは真っ赤な着物で病院行くし。そもそも見舞いだって……。おぉ、もぅ!
今週も月曜から展開が酷いのが読めちゃって、どうしたもんじゃろう。
主要人物が倒れる大事な回に、ラジオと脇役結婚。
そして今度は退場する週に、漫才改革と脇役出産をからめるというぶっ込みぶり。ペース配分を考えて欲しいです。
風太&トキ夫妻の邪魔臭さが際立っているのは、さんざん結婚を引き伸ばした挙げ句、藤吉の一大事を横にグチャグチャなんかやっているからです。
もう少しタイミングさえ前倒しにしていれば、もっとマシだったのになぁ。
安来節も、記憶喪失の母子再会も、結局、要らんかったんや!(ゲスト出演者には申し訳ないですけど……)
どうでもいい話で時間を稼ぎ、藤吉の死を後の、ズラしたことで生じた歪み解消させるために圧縮しまくっているのが、先週と今週なんではないでしょうか。
そもそも藤吉は、なぜ二度倒れる流れになったのか。
最初に倒れて退場じゃなぜダメなの? このへんどうも理解できません。
「二度死ぬ」とか言うて格好つくのは、ジェームズ・ボンドくらいではないでしょうか。
著:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
NHK公式サイト
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