わろてんか36話あらすじ感想(11/11)事業計画を提示して

時は明治。
日本一の「ゲラ(笑い上戸)」娘ことヒロインのてんは家を捨て、船場の米屋・北村屋の長男藤吉のもとへと嫁ごうとするものの、姑の啄子からは認められません。

そうこうしているうちに、藤吉が詐欺に引っかかり北村屋は倒産。店も家を失います。
てん、藤吉、啄子が引っ越した先の長屋は、売れない芸人が集まる通称「芸人長屋」でした。

てんと藤吉は「寄席を探したい」と言い出し、寄席小屋の持ち主にかけあいます。
一度亀井に承諾されたものの、亀井は「三日以内に五百円(現在の五百万円)都合できなければ、寺ギンという男に売る」と言い出すのでした。

 

商人としてきました 五百円貸してください

その後、てんは無断でどこかへと出かけ、京都の実家に到着しました。

てんがやって来たという知らせを受け、驚く儀兵衛としず。てんに向かい「その程度の覚悟やったんか?」と言います。
てんは「今日は娘としてではなく、商人として来ました」と言うのでした。

ダメ出しするのは嫌なんですが、ここで一つ減点でしょうか……。

まず商談するのに睨み付けるような鋭い眼光。客人も通る正面玄関から入るのはどうなんでしょう。

お得意のニコニコ笑顔で、裏口から入り、揉手でもして、トキ相手だろうが誰であろうがアタマを下げ、すりつけんばかりに土下座して、とにかく頼みに頼み込む……そういうのがこの場合の商談であり、彼女の“本気”を表せるのではないでしょうか。

逆に言えば、寄席をやるための覚悟はその程度の緊張感なのか、ということになってしまいません?

儀兵衛としずに向かって、てんは言います。
「大阪の北村屋から参りました。てんと申します。どうか五百円を貸していただけまでんしょうか」

 

父の儀兵衛は呆れるばかり

てんに金の無心をされ、座ったまま動かぬ儀兵衛。
他人のくせに血迷ったようなことを言うな、と断ります。

まぁ、当然でしょう。
駆け落ちで勘当された身なのですから。
それを踏まえた上で、商人としてやって来たというてんは、どんなアイデアで切り抜けるのでしょうか。

「うちら二人で寄席をやりたいんです!」
って、ああああああぁぁぁぁ、うぅうううううううう、もおおおおおおおおッ!

亀井のときもそうでしたが、仮にも融資を頼むのですから、プレゼンとか企画とか、やる気以外の計画とかあるでしょおおおがあああああ!!

『おんな城主直虎』を見習って!
あっちはビジネスドラマじゃないけど見習って!
商人役の瀬戸方久はビジネスプランや儲かる話を必ず説明するし、菅田将暉さんの井伊万千代も天正時代版エクセル(表)を使って戦功(褒美)を計算していましたよ!!

儀兵衛はますます反感を抱き、てんを実家に送った藤吉に呆れました。

しかし、てんは藤吉に頼まれたのではなく、自分で勝手に来たと言います。
彼女の頑なな態度は、覚悟のほどを示したいのでしょうが、親の様子も気遣わず睨み付けるようで、いささか感じが悪いです。

 

卒業式で歌われるJ-POPの歌詞じゃないんだから

そこへ、裏口から入った藤吉がやって来ました。
朝、普通に起きてからてんの不在に気づいていたようですが、大阪から京都までの移動が不自然なほどに速くありません?

てんのことについて謝る藤吉。連れて帰ると言い出します。
大事な約束を破ってまで寄席小屋を手に入れても仕方ない、とてんを諭す藤吉。そういう二人だけでやるべきやりとりを、儀兵衛の前でまでやるあたり、本当に空気読めていないなあ、と感じます。

藤吉に諭され、「申し訳ありませんでした」と引き下がるてん。
しかしそこに祖母のハツがやって来て、「儲かる話ならええやないの」と言い出します。
タイミングが良すぎですが、まぁ、孫娘可愛さの祖母ということで、そこは良いでしょう。

ただ、次に藤吉から繰り出される言葉が、やっぱり弱いのです。
「儲かるかわかりませんが、たった一つだけ約束できます。てんと二人、手を携えてやればいつの日かお客さんも芸人さんも、幸せな気持ちになるええ寄席ができると信じています!」

ああ、もう、卒業式で歌われるJ-POPの歌詞じゃないんだから(´・ω・`)

 

なぜ本人たちにビジネスプランを語らせない?

とにかく本作はなぜ、本人たちに事業計画を語らせないのでしょう?
寄席の”経営”の話ですから、そこがキモなのでは?

あくまで例えばの話ですが、一冊の本が発売されるまでの流れを例に見てみますと……。

◆編集者が企画立案→編集部内で会議→取次の窓口で内定相談→想定部数の設定→印刷会社から見積もり→取材費などの予算組み立て→社内取締役や全体で会議→取次会社へ正式に申し込み→いざ編集作業へ

すべての出版社で同じ手順とは申しませんが、どこも概ね似たような流れでしょう。
一つのエンタメ作品を世に送り出すためには、事前の準備だけで、これだけ面倒な手順を踏まねばならないワケです(実際の編集作業が始まるのはここから先)。

逆に言えば、社内の上役や取引先に対して、自分の狙いやプランをすべて説明できなければ、チャンスさえ与えられないものでして。
それが普通のビジネスであり、寄席の経営にしたって、然るべき見積もり・アイデア・企画等は、出資者などの関係者だけでなく、視聴者にも提示すべきではないでしょうか。

藤吉は「幸せな気持ちになるええ寄席ができる」と言いますが、そのための具体的方策を語るのが商談であり、他者から融資を引きだすネタであります。今のままですと「幸せになるぞ~、幸せになるぞ~」だけで、怪しげな新興宗教と変わりません。

しかし、孫娘に甘い祖母のハツ。

「これ、足しにしとくれやす」
と、てんに金目の物を手渡すと、ここで儀兵衛も「五百円用意してやれ」とあっさり認めてしまうのでした。

 

点だけで繋ぎ、線や面にはならなそう

このあと、妹りんは許嫁を紹介します。
フラッといきなり家を捨て、自分に跡継ぎになることを押しつけた姉がやって来て、わけのわからない理由で五百円をぽんとせしめても、それでも微笑むりんと婿さん、ええ人やわ(´・ω・`)

さすがにてんも、儀兵衛に金の御礼を言います。
ソレは当然として、倒れたばかりの父親を少しは気遣った方が……。
顔色の悪さに気づいて!
しかも雪の花を見せるのをいい話にするのやめて!

京都の冬は寒いはず。病み上がりの儀兵衛さんは布団に入らないとマズイのでは?

しかし儀兵衛は「お前がいなくても妹夫妻がちゃんと家を継ぐから安心だよ」と言い出して、なんか「寄席で花を咲かせろ」と、ポエムみたいな励ましを言い出すんですよ……。
この脚本家さん、総集編で使われたらなんとなくいい話になるような場面を、ぶつ切りで出すことばっかりしていませんか?

点同士をつないで線や面にすることを考えていない――そういうスカスカの場面に、やたらと湿っぽい音楽(音楽自体はいいです)を被せて、誤魔化すという。
儀兵衛もてんも、自分や娘が笑うことばかりを気にしていますが、とりあえず視聴者が笑うことも脚本家さんには考えて欲しいものです。

こうしてラクラク五百円ゲットして寄席小屋もゲットぉ~~!
亀井も寺ギンに売ろうとしたことを忘れたように、にこやかに励まします。

というか、せっかくイイ味を出していた寺ギンさんの出番をもっと増やして欲しいなぁ。

バカップルのいる小屋の前にリリコも来て、上機嫌で挨拶します。
リリコはこんな小屋には出ない、東京に行くと言い出します。
リリコとしては藤吉と縁を切った方がいいと思うので、素直に応援したいです。

「そしていよいよ、二人の夢の寄席、開業でございますぅ~」
ナレーションが余韻を壊す、と言いたいところですが、そもそも余韻も何もありませんでした。

 

確かに史実の吉本せいも実家に借金しましたが

今日の展開は既視感があります。
『あさが来た』で、主人公・あさが実家に借金を頼みに行った回ですね。

あの場合、あさは新選組すら追い返し、維新の動乱の中、必死で店の建て直しをしていて。
そもそも頭も回るタイプですので、「商人として来た」と言われたら納得できました。

しかしてんの場合、商人スキルゼロ、レベルゼロ。
藤吉も似たり寄ったりですので「商談と言われてもな~」と思うしかありませんでした。
過去の朝ドラから、時代背景や設定を無視して切り貼りするのはどうしたものでしょうか。

史実の吉本せいも、寄席小屋を買う際に実家から借金をしたのは確かです。
ただし、彼女の場合は家の都合で嫁いだ先で苦労していました。本人の意志を無視して決めた縁談で、娘が理不尽な苦労をしていたら、親としても多少罪滅ぼしのように援助をしたとしても理解できます。

しかし本作は、親の忠告を無視して一方的に飛び出し、家の敷居をまたがないと言い張った上でのこのこと戻って来ているわけです。事情が違います。

史実:大阪船場出身の三女、実家はさほど裕福ではない米問屋、夫とは親の決めた縁談
ドラマ版:京都出身の惣領娘、実家は裕福な薬屋、夫とは親の反対を押し切っての恋愛結婚

このように改変していますが、現時点でドラマ版の改変がプラス要素になるどころか、マイナスにばかり作用しています。

むろん、ドラマですから、史実通りにやる必要はありません。
例えば『あさが来た』の姉・ハツは史実では夭折しているものの、ドラマでは長生きして妹・あさとコントラストを為していました。
ハツなしでの考えられないほどの存在感です。
とにかく、史実を変更してプラスになるのならば、よいのです。

しかし本作は改悪としか思えないことばかり。
うぅうううううううーーーーーん、どうしてこうなった?

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

【関連記事】
吉本せい 吉本興業の歴史

【参考】
NHK公式サイト

 

2 Comments

waratteiitomo1999

>朝どら大好きニャンコ様
「笑ってさえいれば」なんでもできる。
「元気があれば……」のアントニオ猪木状態で、
何の知恵もアイデアもなく、よって何の面白味もなく、毎日が辛いです(´・ω・`)

しかし著者と共に頑張って更新を続けて参りますので、
今後もよろしくお願いしますm(_ _)m

タイトルの話数、ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました!
編集部

朝どら大好きニャンコ

毎日楽しみにしています。いくつか朝ドラのレビューを読み比べていますが、こちらのレビューが一番自分の感想に近くて「うんうん」と頷いたり爆笑しながら読んでいます。
今日のエピソードにしても、どこが商人や! 具体例なプランも挙げず「頑張ります」だけで融資を頼むなんて商談と言えんやろと思っていましたら、その通りのことが書かれていてスッキリしました。
ところでタイトルの話数がいつの間にかズレてますよ。今日は第36話です。

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