スカーレット127話あらすじ感想(3/2)“カニ脳”は厄介やで

昭和58年(1983年)、8月――。

新しい関係を築こうと言ってから、数ヶ月が過ぎました。

時折三人で、食卓を囲むようになったそうで、その日のお昼はそうめんでした。

親の前で子どもに戻る瞬間

ここで、喜美子はこう言い出します。

「サニー」でそうめんを出すとか、何を言い出しとんねん。カフェでそうめんという提案で、武志はこう言い出します。

「流しそうめん!」

カフェで流しそうめん? どっから流すねん。そう突っ込まれ、竹を切って流すとかんとか言うわけですが。八郎も苦笑しています。

武志はすっかり子ども返りをしております。

「一本一本食うたる!」

「アホやなぁ……」

喜美子がそう見守っております。

武志は素直な子どもらしさを、両親が揃った前で見せるようになりました。家族の力を感じます。

喜美子はお金や時間に追われることなく、穏やかな幸せの中にいました――。

そう語られ、今週が始まります。信作&百合子のドタバタ劇場だった先週の後だけに、緊張感が高まる出だしです。

課長と部下がやって来る

喜美子がスイカを出すのを忘れたと言い、八郎と武志を見送ります。

「ほなまた」

「気ぃつけてな」

昭和のおっちゃんファッションを出している、そんな八郎を見送りまして。

電話を受ける喜美子。相手は信作からでした。

はい、ここで信作がやってきます。先週のかわいいマスター姿(せやろか?)から、役場のおっちゃんとしての登場です。

ワイシャツの下から透ける、このタンクトップがたまらん! これぞ、昭和のおっさんの極みやで。八郎どころではない。

今でこそ、透けないインナー選びを男性も気にする時代ですが当時は違いました。

おしぼりで顔を拭き、ヌードカレンダーを職場に飾り、OLの尻にムフフとして、スポーツ新聞のピンク紙面を電車で読む――昭和のおっさんは、インナーなんて気にしなかったものです。

男性用制汗剤? あぶらとりシート? メンズメイク? ありえへん! そういう時代よ。昭和って、ええなぁ……ほんまに?

はい、そんな昭和のサラリーマン課長は、喜美子不在の「かわはら工房」に入ります。「いはりません、帰りましょう」と部下が言っても、入って待っとこと言い切る課長です。よっ、課長、流石ぁ!

ここで部下の鳥居は、ほんまに頼むんですかと全くやる気を見せません。

「また聞くかお前!」

「ほやかて……」

信作ががんばっとる。
先週がなんやかんや言われておりましたが、こういう課長があのアホ行為をかましていたと思うと、たまらないものがあります。あれこそ、昭和おっちゃんの恥ずかしいところであり、特定視聴者層に投げつけられた豪速球デッドボールやね。朝ドラHELLや。

はい、ここから先がアートトークです。

◆課長と部下の美術鑑賞トーク

 

課長:自然釉ね。独特の色合いやで。

部下:焼き物はなんでもそうちゃいます?

課長:アホ! よう見てみぃ!

部下:地味やなぁ……よう高い値段で売れますね。

課長:なぁお前、そういうこと、絶対本人の前で言うなよ。

部下:現物見てもピンと来なくてもいいのですか? これのどこがいいのか言うてください。

課長:仕事や!

部下:仕事やったら、ええも悪いも考えんのですか?

課長:……。

部下:黒川先生の息子さんがよかった。賞をもらってこれから。

課長:黒川先生に断られた。ここに頼むしかない。

部下:こんなんいくらくらいするんですかね。

なんやこの地獄は……えらいところに突っ込んできたで!
記憶を刺激されるで!

昨年、「誰もがうまい」と豪語するカップラーメンに、散々突っ込みました。
人間の感覚・価値観は人それぞれです。【誰もが】いいなんて思うものは存在しえません。『ハリー・ポッター』に出てくる魔法の何かのように、触れた瞬間理想を再現するようなものでもなければ、ありえないのです。

信作の部下・鳥居はある意味、素直です。

「なんやええかどうかわからへんけど、課長の友達やんか。なら褒めとこ」

そう思わないだけでも、鳥居は悪い奴ではないと思う。それに、主人公の作品を評価すれば善人というわけでもありません。

あのジョーは、喜美子の作品に値段がつくまでわかっちゃいないところがあった。

大久保も、喜美子のペン立ては金にならんと内職をやらせました。

草間やジョージ富士川のような人物が、その創造性を認めるものの。

これが難しいところで、八郎ですら、喜美子の穴窯には理解ができなかったわけでして。

それに本作は、散々言われてきたわけではありませんか。

「なんや地味やな。『なつぞら』のアニメがカラフルなのに、陶芸なんてもんはジジババしか見ぃひんよ」

せやろか?
そう思っていたら穴窯大炎上をかましたわけで、先入観と価値観はおそろしいものです。

小池アンリのような、人生を豊かにすると言い切る人もいれば。鳥居のような「地味」で終わる人もいると。

ほんで、信作な。

信作は、喜美子が親友だからええと思っているわけでもない。本音をぶつけるだけに、心の底からええとは思っている。それを言語化できない。そういう悲しみがそこにはあるのです。

百合子相手にも「記憶にございません!」でゴリ押ししかけて失敗に突っ込みかけた信作やからね……。

黒川先生の息子さんのことも、気になるところ。喜美子は追いかける側から、追われる側になりました。

権威で過大評価されてへん?

若い世代からそう思われる側になったということです。

信楽ピーアール大作戦や!

「冷たいもの持ってきたで、飲みぃ」

はい、そんな川原喜美子先生がお茶を持ってきました。あのトークもバッチリ聞いとったでぇ。そういうところが怖いってば!

大野課長は、観光課の鳥居を紹介します。ここで語られるのが【信楽ピーアール大作戦】です。

なんや昔もあったなぁ。
【お見合い大作戦】。そう思い出しつつ、喜美子はボソッと言います。

「大作戦、好っきゃなぁ……」

なんやこの生々しさは!
なまじ広告代理店を経由しないだけに、もっさり感あふれる宣伝をしてしまう、地方自治体あるある状態は!

慣れていないため、宣伝素材で割とテキトーなポスターを作り、炎上するパターンよ……。令和でもあんねん。なんや無駄にトラウマを刺激せんといてぇや。

信楽ピーアール大作戦とは?

焼き物の街を売り物にして盛り上げよう!

観光客向け、一日陶芸教室をします!

喜美子は「サニー」にチラシが貼ってあったと言います。

ええんか、それで?
地元客しか来ない場所ちゃう?

まあいっか。外国人観光客も先週来とったし、関西のデパートや駅にも貼ってあるっちゅうことで理解しました。

信楽らしいかもしれない。
こういうことを言うと失礼かもしれませんが、甲賀って不器用ではありませんか?

忍者でピーアールをしている部分もありますよね。
これも県境を隔ててはいても近い、そんな伊賀と比べると、生真面目なんですよね。

伊賀はピンクの忍者装束を着ても平然とショーをできるのに、甲賀はなまじ時代考証を踏まえて真面目に忍んでしまう。そういうイメージがあるで!

※伊賀はノリノリやしなぁ……

聞けば、5件の工房のもとで教室をするものの、最後の神林さんにアクシデントが発生したようです。水道管が壊れて工房が水浸しになり、対応ができないとか。

協力する中に、永山が入っているのがうれしいところではあります。信楽二位の大手ではないものの、まだ陶芸を続けてはいるようです。

そこで会議をしまして、かわはら工房に頼むことになったというわけです。

喜美子は聞いてきます。

「いつ?」

「明日!」

明日て……そんなんお前。

「どうか引き受けてくれんやろか! お願いします!」

「わかりました。うちでよかったらやらせてもらいます。よろしゅうお願いします」

喜美子は即答しました。
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