スカーレット36話 感想あらすじ(11/9)喜美子のフォースが!

絵付け火鉢の世界――。

それが気になって眠れない、そんな喜美子。

三人が二枚の掛け布団で寝ている時点で、それはどうなのか。そう突っ込みたくなる川原家です。

娘の布団も買わずに、自分の酒を買う。そんなジョーのことはとりあえず忘れましょう。

三姉妹はいくつになってもそう

喜美子は、隣の直子も起きていることに気づきます。

直子は夢を見ていました。

空が明るい。
けど夕陽じゃない。
それは空襲。
誰もが逃げていくのに、一人残されてしまう。

「姉ちゃんが手ェ離したからや」

姉ちゃんが帰って来たから久しぶりに見た。そんな夢です。

空襲という非常事態だし、その当時は誰もが辛かったんだし、今さら蒸し返すな。
そう思ってしまうのは、戦争体験者ではないからかもしれない。

何年経とうが、炎の色や臭いや寂しさや不安がドッと蘇って来て、心の傷が開かれてたまらない思いをする。そういう人はいます。

『なつぞら』のなつたちのように、それを表現として昇華出来る人はごく一握り。
直子のように、鬱屈をぶつけるしかない人はぎょうさんおるのです。

喜美子は優しく声を掛けます。

「こっちおいで、手ェつないで寝よ」

「ずるい」

ここで百合子も起きました。

「百合子も手ェつないで寝よ。三人で手ェ繋いで寝よ」

「子供や」

直子はそう突っ込みます。

「ええやん、子どもでええやん。三人でいる時は子供でええよ。もっとくっつき。楽しいことも考えて寝え」

「楽しいことなんかない」

そうふくれる直子。
なら、好きなことは? そう促され、百合子が家庭科の先生が好きだと言います。

直子はない。
そこで百合子が、「食べ物だったらあるやん」と言います。

「ゆで卵? まだ好き?」

そこは認める直子。お、おう、ジョーの借金取りがゆで卵を食べ、そこを直子が取り返そうとして、宗一郎が一本背負いをした、あのゆで卵ですね。

思えば運命的なゆで卵でした。
姉にリクエストした絵も、ゆで卵だらけだったっけ。

「ほな、ゆで卵に囲まれている夢見ぃ」

やっと直子は笑います。

「これで怖い夢飛んでったわ。楽しいこと、好きなこと、ええこと考えながら寝なさい」

「顔にやけるで」

「ニヤニヤしながら寝なさい」

「おやすみなさい」

そう百合子に突っ込まれつつ、話をまとめる喜美子。
この三姉妹はそれぞれ性格の違いが際立っています。

百合子の素直さは、直子との対比もあるのかも。喜美子がいるとなんとなくその場がまとまるのも、ええと思います。

そして子どもっぽいと言えばその通りですが、これもリアルな姉妹に思えて来ます。

初めて出会った時の関係性が成長しても変わらない。
そういう描き方が本作にはあります。

この先なにがあっても、いくつになっても、姉妹旅行で旅館で布団を並べたらこういう会話をしていそうな。そんなリアリティが本作にはあるのです。

ここで、妹を寝かしつつも喜美子が眠れないところも姉らしさでしょうか。あの作業場で見た光景が、どうにも気になって仕方ないのです。

親方の絵付け。
そう心の昂まりをBGMでも表現します。

【モテたおっちゃん(自称?)】の青春がそこにある

さて、丸熊陶業では。

「ごくろーさーん!」

ピンクマフラーの照子が、猛烈にダッシュして、職人の横を通り過ぎてゆきます。

「きーみーこー! よかったーいたー、間に合うたー!」

八重子と緑の「今日も可愛らしなぁ」というお世辞はどうでもええから。お目当ての喜美子は冷静です。

「久しぶりにその顔見た!」

喜美子は、もう帰んで、とそっけない。
照子は学校から帰ってくると喜美子がいなくて、寂しかった模様。だからどういう執着心や。

それもそのはず、勤務時間は9時から4時。
なるべく楽にして欲しいと父に訴えたと、照子はちょっと自慢げではある。

しかし、喜美子は『余計なことしやがって顔』になって、こうだ。

「仕事は大変な方がおもろいでぇ」

照子ぉ!
喜美子に感謝して欲しかったんやろなぁ……。

ここで、信作の顔が覗き見をしております。
そして来おった。

回りつつ、背広を自慢しながら恥ずかしすぎる一人芝居。

「ついにお前らも、信様、信様、言う時が来たで! キャーキャー言う時が来たで! 見とけよ! 大将やってる? キャー信様かっこいい! 見てみぃええやろ! 背広や背広、英語で言うたらスーツ! キャー信様!」

あかん。突っ込みどころしかなくて、もう突っ込む気力すら湧いてこない。
見ているだけで恥ずかしさに身悶えする、おそろしい場面だった……。

NHK大阪は、若手俳優をどうするつもりなのか?

溝端淳平さんに、乳首だのエロエロ連呼させる。
そして林遣都さんには、これや。

割と毎朝、NHK大阪の正気を疑ってますわ。

「吉沢亮さんはじめ、若いイケメンをまっすぐカッコよく描くNHK東京。それに対して、NHK大阪は本気と違いを見せな(アカン)」

照子は、伊賀のお祖母ちゃんの死後、変わったと言います。
それでも友達はいない。らしいな。照子もいない。友達いない同士だそうです。

どういうことか気になりますが、メインプロットに無関係ですし、どうでもええと思います。

キャーキャー言うどころか、喜美子も照子も冷静。
買ってもらったスーツで、役場の仕事を頑張れ。それで終わります。

キャーキャー言うてた後輩も、
「そんなんあったねえ」
と微笑み、終わる。

信作は酔っ払った時にでも、モテ自慢をする。
そういう昭和の田舎リアリティが凝縮されております。

こういうおっちゃん、全国各地にいるんだろうなぁ。
鬱陶しいけれどもこの点では無害ですので、そこはおっちゃんの昔話を聞いて内心ツッコミましょう。

本作は有能。極めて有能。

おっちゃんのモテ自慢を、
「ったく、そうは言ってもあの信作みたいな痛い思い出でしょ。『スカーレット』でこの間見たわ」
と受け流せばいいと教えてくれる、本作は極めて使える!

さて、信作の乱入はさておき、絵付けの話に戻りましょう。

照子が、社長である父が揉めてばかりで、金銭面で折り合いがつかないとこぼします。
そこで信作が邪魔をする。謎の飴を食べろと勧めてくる。

「なんやこの飴?」

「すっぱい飴や、新発売!」

「まっず! 何これ、どうしたらええ?」

そして食べるとまずかった。信作よ、はしゃぎ方が幼い……。

「喜美子も舐めぇ!」

「もういい! 絵付けのこと知りたいねん!」

三人揃うと、男女間のあれやこれやとか、色気も何もかも吹っ飛んで、子ども時代に戻ってしまう。
信作はイケメンになったし、三角関係になるかと思った方もいるかもしれませんが、そんなことはありませんでした。

姉妹も幼なじみも子どもに戻ってしまう。そういうあたたかみがあります。

飴の意味はないけれども、こういう無意味な笑いに無駄な労力を注ぐ。
そういうNHK大阪の、よくわからん気合を感じます。

いい意味で、ここ数年で一番ふざけた朝ドラだと思います。
※続きは次ページへ

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