以前、申し上げましたように、私のレビュースタイルの手本は、ある意味でとても英国紳士的な、モータージャーナリストであるジェレミー・クラークソン氏です。
いいものはイイ。
悪いものはワルイ。
彼は実にシンプルなスタンスで、私も同様、一つ一つの作品に対して、その都度、思ったことを書いています。
今作『まんぷく』に対して辛辣スタンスなのは、朝ドラ『わろてんか』や大河『花燃ゆ』や『西郷どん』に対してマイナス評価しているのと同じ。
台湾ルーツを簒奪した段階で、もはや本作には絶望感を抱くだけでなく、序盤の展開からして口あんぐり状態になっているのです。
仮に
「本作を褒めないと、お前を嫌いになってやるからな!」
と言われ、そのようにホイホイ乗り換えても……それじゃレビュアー失格ですよね。
クラークソンを見習い、むしろ嫌われてもいいのです。
一つ気になったのは、本作に対する褒め言葉を見ていたときのことです。
「前作より、ともかくいい!」
「前作は酷かった! ひれ伏せ、コレが王道だ!」
みたいなものが多くて。
『まんぷく』が面白くて、毎朝パワーを貰っているというなら、それを同様に共感できる
【素敵な要素を具体的に】
書いていけばいいと思うんです。
ところがそれが見当たらない。
私は朝ドラも大河も、歴史作品に限らず世の中の映像すべてが大好きだからこそ、ツマラナイものはツマラナイと言うだけ。
それぞれに理由を掲げておりますので、その感じ方が違ったら、前述の通り、
「まんぷく、ここが最高!」
とか
「コイツとは気が合わない」
で良いではないですか。
それはさておき。
本作レビューを書きながら、マイク・シノダのラップを聴いていたら、こんな替え歌を思いついてしまいました。
これは10%のプロット読解
考証ツッコミスキル20%
毎朝集中する意志力15%
5%の楽しさ
ボコられる痛み50%(※褒めればアンチ、貶せばファンから殴られるのはいつものことさ)
そしてこのドラマを記録的駄作として覚える理由100%(※エスノセントリズム、台湾ルーツ簒奪)
結局、褒めようが、貶そうが。ファンあるいはアンチから、ボコられるのはレビュアーの定め。
ってなわけで、You ready?! Let’s go!
【8話の視聴率は21.3%でした】
ファミコン時代の村人かよ
「やっぱりあれは本当です」
「へっ?」
こんなやりとりのあと、結婚を前提とした告白が通る【まんぷくワールド】。
日米開戦を機に告るってのもさることながら、福子(まんぷく立花福子モデル→安藤仁子)に来ていたお見合いはどうなった?
お相手の人も、仲介してくれた人もいるし、今後、持ち上がるのかな。
ホテルのフロント係は記憶力も大事な要素なのに、こういう些細なシーンで世界観ってのは綻んでしまいます。
高級ホテルでしたら一年に一度しか来ないお客様でも、顔を覚えることすら要求されたりしますよ(まぁ、顧客カードを事前にチェックしとけばいいんですが)。
そしてこのあと、初デートです。
特に休日とも思えないのですが、仕事はサボり?
ここでも「わぁ〜〜〜」とぶりっ子アピールに余念がない福子ちゃん。
父を早く失った三人姉妹で、かつては咲が、今は福子が生活費を稼いでいると、語り始めます。
「ふふふ、楽観的やから!」
そう主張する福子。
ん〜、なんだかチョロいオーラが漂うなぁ。
せいぜい苦戦しそうなのは鈴搭載の【ブケムスメプログラム】ですけれども、これはバグ頻発と視聴者にはわかっているから安心です。
この会話で思い出したのは、ファミコン時代の村人っすね。
村人A「むらはずれに まものがすみついて こまっているんだ」
村人B「まものをたおすことができるソードは このうらてのいどに あるってよ」
なんで初対面の主人公になんでそんな攻略情報をペラペラ喋るのぉ?
って突っ込みたくなるアレ。
まぁ、そうしないと、クリアできませんからね。御都合主義の産物。
残念ながら、初デートでこんな8ビットRPG村人状態になる脚本に、素晴らしいと喝采を送ることはできないのです。
それをしたら、私は批評者として見る目がないということになってしまう。
立花は孤児で親戚を転々とさせられていた
ここで姉夫妻の貧乏画家についても話が飛び、ふと思いました。
忠彦の写生描写がおかしくない?
なぜ、いつも庭でだけ描くのでしょうか。スケッチ旅行とかせんのかな?
この忠彦がどういう画風かどうか、どんな仕事があるのかとか、画風は誰の影響を受けているのかとか。そういう情報は小出しにされません。
貧乏というわりには、一家揃って綺麗な服。ご実家からの援助にしてはおかしい。しかも戦時中ですしね。
こういうところの作り込みの甘さ、これが戦略ミスの証拠にも見えてきます。
看板ひとつとっても、縦横混在しております。
2人はラーメン屋へ移動。
屋台もしょっちゅう出てくるんですけど、この味のどこが好きかとか、何が気になるかとか、伏線が全く出てきません。
ラーメンを扱うアリバイ作りにしか見えないのです。
そして本日も福子は、口に物を含んだまま喋っていました。シンドイわ~。
今回は、麺をすすりながら、立花(まんぷくモデル→安藤百福)のルーツも語られました。
孤児で親戚を転々とさせられたそうです。辛い話ではありますが、これはこの時代ならば割と多い話。
そして【台湾ルーツ】の削除は、いよいよ揺るがなくなってきた。ここで出ないのなら、いつ登場させるのでしょうか?
営業スキルだけじゃなくセキュリティ意識も欠如
立花は、18歳で修理屋に勤め始め、25歳で独立。
しかし、売り込みができないと嘆きます。
技術者としては有能だけど、営業スキルがないんですね。
そもそも技術者としてやってはいかんことを、たくさんしている気がするのですが……今朝もこのあと、炸裂。
会社にノコノコと福子を連れて行くのです。
ここで福子が「ええんですか」と、ちょっとでもためらえば賢さが滲んだんですけれども。
悪いことは言わん。
IT系、特にセキュリティや管理者系のみんなはここから立ち去ってくれ。このあとの戦場には、私が向かう!
自身の会社へ彼女を連れてきた立花は、いちいち「わあ〜」と喜ぶ福子に、発明品の能書きを垂れます。
そこへ加地谷がやってきて、そういう関係だからって部外者の女を勝手に入れるなと怒るわけです。
まぁ、世良のこともあるし、当然でしょう。
このあと、反省もせず世の中役立つ仕事をしたいとアピールし、福子さんを
「スパイだなんて思ってないよ」
とフォローする立花。
ここの場面でも、福子は、「ご迷惑かけなかったか?」と気にしても良いのではないでしょうか。
福子はスパイではないけれども、口が軽くて、頭も良いとは到底思えず……。
彼は本当にエンジニアなんだろうか
そもそも加地谷が心狭いような描写になってるけど、おかしいのは立花でしょ!
・アイデアが命の発明者設定
・世良というライバルがいる
・素性がわからない、口が軽そうな福子
・共同経営者に無断
戦国時代なら、切腹まではいかんでも髷くらい切らされるわ!
現代の企業なら、入場カードキーを好きな女相手に使うようなもんだ。
セキュリティ研修のやり直しでっせ。
なぜ、こんなことを訥々と記すのか?というと、立花から
【発想を勝負にしているエンジニア魂】
があまり感じられないんですね。
好きな女の子だからって、ホイホイと発明を見せるなよ。その程度の思い入れなのか!!
あと、理系エンジニア魂があるわりには、物理的なこだわりとかまったく口から出てこない。どうにも作り込みが浅い。
言動の端々から、その人の持つものが見えてこないのです(前作の扇風機開発等は、開発者・律の理系ヲタクっぷりがちょうどよく出てて、商品開発の厳しい道程を納得させられたもんです)。
個人的には、そもそも朝ドラでシナリオが面白い作品のが割合としてはレアケースな気がしています。
過去作品を振り返っても現代ものだと特にそうですが、歴史物でもどうしても戦時中を挟むので、朝の番組なのにやたらと暗いか、考証不足でお気楽過ぎかのどちらかしかないイメージです。
なので朝ドラは「役者の演技を見るもの」という感覚でいたんですが…。
いや、そもそもこれは役者さんじゃなくて「役者以外の全てがおかしい」と言った方がいいかもしれない…。
製作がNHKの東京か、大阪かなどというのは視聴者からしたらどうでもいい事なのですが、総合的に見て「わろてんか」と「まんぷく」の酷さは度を越えています(笑)
べっぴんさんは、前半では戦争の理不尽さや苦しみを、後半では人の縁の大切さや親子の葛藤などを描こうという姿勢は強く感じた。
それが、例えば戦後の世相の描き方が、ごちそうさんと比べるとやや甘くて不満が残った、などのことはあるにしても、何を伝えたいのかはわかったし、話が進むにつれて面白くなった。
わろてんかでは、そういうことを一切合切放擲して、ただの能天気描写と悪ふざけばかり。NHK大阪は何をやりたかったのか、全然理解できない。
まんぷくは、その「正統な後継者」という感じ。TVがついてれば見るけど、わざわざ見るのは時間とエネルギーの無駄。
わろてんかはドラマとは言えないもので、他のどれとも比較にはならないかと思いましたが、べっぴんさんもひどかったです。
なので、べっぴんさん→ひよっこ→わろてんか→半分、青い。→まんぷく と来ると、大阪制作の
が目も当てられないです。
半青が別格に素晴らしいのとひよっこもとてもよかったので、比べるのもなんですが、あまりにひどすぎます。
過去の反省とか無いのでしょうかね?
いいものを作っているつもりなら、勘違いも甚だしい。呆れるばかりです。
わろてんかでは、小野アナのナレーションがひどくて、「小野アナが出る番組は今後一切見ない」と言い出す方もたくさんいたのに、今回なぜ子役さんかしら?老若男女たくさんの方々が観る朝ドラに、子役をヨイショなんていらないのに…。やはり話題作りでしょうか?
戦時中なのにお気楽なドラマに、お気楽なナレーションは、非常に苛つきます。
まれは酷かったけど、とと姉ちゃんは良かった。
まれ → あさが来た → とと姉ちゃん で、「一年たってNHK東京の朝ドラ制作スタッフらは復活した!」と感じたもの。
しかし、わろてんか → 半分、青い → まんぷく はねえ…(既述)
岐阜(の東濃地方)と東京だと、立地にもよりますがドアトゥドアで4時間あれば着くでしょう。出張があるので分かります。岐阜市とかだったらもっと早いですね。名古屋からすぐなので。
それにしても今回の朝ドラは酷い。どこも褒められる所がない(笑)
酷評されたとと姉ちゃんやまれでさえ主演の魅力で楽しめた私ですが、今回は見てて辛いです…(笑)
じゃあ見なきゃいいのに、って思うでしょうが、朝ドラは家族からしたら時計代わりなんですよねぇ…
マッサン → まれ → あさが来た → とと姉ちゃん のときは、「NHK東京の朝ドラ制作スタッフらは一時的におかしくなってしまったのか?」という感じだったけど、
わろてんか → 半分、青い → まんぷく と来ると、「NHK大阪の制作スタッフはおかしくなったまま。一年たって解消しないとは、救いようもない」となってしまう。
ひどいもんだ。
武者さま
下に本作には関係ないコメントを書いてしまってごめんなさい。
レビュー楽しみにしてます。
岐阜県民さん
情報ありがとうございます。
嫌な気持ちにさせてしまってごめんなさい。岐阜まで三時間くらいというのは調べてみてわかりました。でも晴さんにパジャマを手渡しした下りとか、最終回の律が東京で鈴愛の電話を受けてから岐阜に着くまでの下りとかが気になっちゃったんです。その気軽さが都内移動みたいにうつったので
大阪でより子さんとよりを戻そうと話した日は終電で岐阜に帰るくらい勤務地の名古屋まででも時間がかかってたのに、鈴愛たちは短い時間で移動できるんだな、と。
全てがわざとらしく見えて、1週間で脱落しました。特に松坂慶子さんの演技が見てられません。武家の娘のフレーズはギャグですよって言ってるのかな?とも思える程ヒドイです。安藤さくらさんの演技は初めて私は見ましたが、キャラが残念なので、もっと違う作品なら見られるのかなと思いました。
これからは武者様のレビューのみを楽しみにしております。
話の作り方が雑なのと、福子の魅力がイマイチ表現されていないなと私自身感じていた中で、何故立花が三年経ってから、急に福子が大好きになるのか???ですし、野呂は最初から福子が好きらしく、そこも???ですし、魅力を感じられない福子がなぜかモテモテ設定なので、置いてきぼりをくった感じです。
芦田さんのナレーションもその時代の暗さを吹き飛ばしていて、合ってないようにも思いました。
咲の結核も、最初のわざとらしさから、一瞬で結核でしょって私も思いました。今のところ、わろてんか並みに本当に雑ですね。
賢者さまのコメント、非常に的確でらっしゃいますね
全体的に作り物めいた調子で、自然なやりとりを繋げて物語を作るスタイルではないのが本作の特徴なのかと得心させられます
もちろん、スタイルが面白さを決定するわけではないんでしょうけども……
匿名希望子さん
前作の岐阜東京間の場面切り替えを、
ワープと表現されてますが、
検索してみてください。ど田舎ですが三時間かかりませんから。
岐阜県民にとって東京出張日帰りは余裕で当たり前です。
岐阜がどこにあ、知名度が低いんだなぁと改めて気付かせれます。(苦笑)
リニアが通ったら、それこそワープ並みに近くなりますね(笑)
レビュー楽しみにしてます!!
ピーターラビットの動画、
賢者様、素敵です。
替え歌も。歌ってみました♪
ドラマは脱落しましたけど、
楽しませて頂いています。
「根菜切断機」って少し言いづらいですよね。これは、単に滑舌の良い長谷川博己さんに言わせたいがためだけに登場したのではないか、そんなことさえ思ってしまいますw
どうも、このドラマを評価していらっしゃる方は歴史考証が雑なことは大したことじゃないと思われているようで・・・前作、「マグマ大使」の放映時期をめぐってはあれだけ燃え上がったのに、今回、国家総動員法も石油禁輸も生活物資の配給制もなにも存在しない昭和16年には何も言わないのが不思議です。言ってみれば、平成の暮らしを描くのに、バブル崩壊は無かったことにして、日本人は浮かれっぱなしでしたというのと同じなんですけどね。
とにかく、あの時代、衆人環視の場で若い男女が臆面もなくキャッキャやってたら「この非常時に何事だ!」と警官が飛んでくるか在郷軍人会のおっさんや国防婦人会のおばちゃんからとっちめられるのではないでしょうか?そこまではなくとも、周囲の人達は絶対怪訝な目で2人を見ているはずです。
それと、あのお洒落なオープンカフェでスイーツってのはいくらなんでもないでしょうよ。また引き合いに出して申し訳ないですが、「カーネーション」の糸子は、岸和田の喫茶「太鼓」(カフェから名前が変わった)で代用品のココア飲まされて、「こんなんココアちゃう!」と怒っていた頃ですよね。
立花さんとデートした日が休日なのかわからない、おかしい!とおっしゃいますが、その点は前作の方がよっぽど酷くなかったですか?
大事そうなところでパッと年単位で経過してたり、曜日や季節、時間経過がおかしかったり、分からなかったり、わろてんか並みのワープ術(岐阜東京間)をつかってて不思議に思っていました。
前作の鈴愛のキャラクター自体は面白く、アリだと思ってましたが、その点が気になってなかなか入り込めなくて…
その点、今回は時間の経過にも無理がなく、人となりを丁寧に描いている気がしたので好感を持っていたのですが。
史実と違う点がイライラするのでしょうか?
うーん、やはりこのドラマ、ツッコミどころが多すぎて、ツッコミどころを見つけるたびに首をかしげているとそのうち首を捻挫してしまいそうです。
根菜切断機・・・もしかすると海軍の船にある厨房あたりで需要があるんでしょうかねぇ・・・。
どう考えても、そんなものより優先するべきものがありますよねぇ・・・。