あさは石炭に興味津々で、新次郎に話を持ちかけた山屋に会いたいと言い出します。
正吉と新次郎は乗り気ではありません。
が、寄り合いで仕入れた「陸蒸気(おかじょうき=蒸気機関車のこと)」が走るようになる、そのためには石炭が必要だという知識を披露するあさ。
石を燃やすと走る鉄の車、つまりは鉄道を妄想するのですが、まったく想像すらつかないようです。
五代はん、だからもっと具体的に説明をしろと……。
縫ったのは女だが、美和ではない
新次郎が三味線に出かけていきます。
亀助は主人夫妻が大丈夫かとぶつくさ言います。
その横で弥七はネイルのお手入れに夢中。おまえは若手OLかっ! こういう脇役も面白いんですよね~。
あさは新次郎にくっついて三味線の集いに行き、三味線仲間で炭鉱の話を持ちかけた山屋に話を聞きます。
新次郎は興味ありませんが、あさはもう夢中。
そこへ美人のお師匠・美和がお茶を持ってやって来ます。彼女のことが気がかりではあります。
山屋は炭鉱の話を始め、それをあさたちは聞くことに。
あさは新次郎の着物の袖が気になるようです。
店であさが炭鉱について正吉に話すと、正吉は人手もないしやめましょうと一蹴。新次郎も同意します。
夫婦の意見が対立してなんとなくちょっと険悪になったところで、あさが新次郎に突如詰め寄り始めます。
新次郎の着物に、どう見てもあさの雑で大きい縫い目とは違う、別の女の縫い目があるではないか?
と、このときは食事中で、新次郎の横にいる弟の榮三郎が、険悪な空気を察してお膳をずりずり無言で引っ張って下げていくのがおもしろいです。
美和の縫い目でしょ?
そんな風に問い詰められた新次郎は弱り、目が泳ぎ出します。
そして衝撃の告白をします。
これを縫ったのは女。たしかに美和にも世話になっているが、しかし縫ったのは美和ではない。
しかも、です。これから一緒に会いに行こうと誘うのです。
振り向いた農婦を見て驚き
夫婦が訪れたのは、町外れの畑でした。
訝しむあさは振り向いた農婦を見て驚きます。
はつじゃないですか!
ほとんど動きがないのに、脚先だけちょっとキューッとなって動揺しているはつ。うつむき、どこか切ない表情です。
新次郎は「袖を縫った女が誰か問い詰められただけ」と言い訳してふら〜っと去ってしまいます。
今週やたらと出てきた縫い物にはこんな伏線が!
あさが近寄り話しかけると、こわばった顔のままはつは「あかん」と一言。
一瞬このまま会えないと言うのかとこちらも焦りますと、続けて加野屋の若旦那にあんな雑な縫い目の着物を着せてはいけないと、あさを諭します。
あさが「ほんまやな」と反省すると、険しかったはつの顔がふっと微笑みに変わります。
うぉおおお、ここの宮崎さんの演技!
本作は皆さん素晴らしい演技で、名場面ばかりですが、その中でひとつベストを選ぶとしたら暫定でこの姉妹再会、はつの微笑みを選びます。本当に素晴らしい!
「お姉ちゃんに笑顔を」という今週のサブタイトル……確かにこの笑顔は、なんとしてでももう一度見たくなりますね。
すっかり気が抜け、毒も抜けた菊
姉妹は久々に語り合います。
あさが姑・よのの脳天気さをこぼすと、はつは置物のように静かになった菊よりはマシだと語ります。
うーん、あの毒々しいお姑さん。
すっかり気が抜けてそんなことになっているんですか。
あの鬼姑の悪口を言わずに庇うはつ。健気です。
眉山一家は、惣兵衛が天秤棒かついで野菜を売り、はつが繕い物や農家の手伝いをして暮らしているそうです。
はつは繕い物の仕事を紹介してくれる新次郎の親切さをあさに語ります。
おおっ、新次郎お前……いい奴だなー。
昨日は旦那の新次郎と惣兵衛同士、今日は妻のあさとはつが語り合うんですね。
そこへ、はつに黒蛇はんと呼ばれた惣兵衛が帰ってくると、売り物のキュウリを折ってひょいと新次郎に渡して二人でかじるんですよ。
惣兵衛も変わったなぁ。
はつは貧乏は惨めだけど、忙しいと案外よいことだ。
両親には、「今でも家を守ろうと気張っている」と伝えてくれとあさに思いを託します。
一緒にお家を守ろうと誓った姉妹は、道は違えどこうして頑張っているんですね。
カップル好き視聴者を萌え殺しに来る名場面
帰り道、あさは新次郎に御礼を言います。
新次郎は無言で、すっとあさに手を差し出します。
その手を握って歩き出す夫妻。
青空を背景に歩く二人がなんともほのぼのとしていて、「あさ絵」でもこの題材が多く描かれたようです。
カップル好き視聴者を萌え殺しに来る名場面ですね!
このまま終われば今日はほぼよい話だけになるのですが、残り一分で五代友厚の寄合所の場面へ。
正吉とあさは、五代に「びっくりぽんなかっぱ」を作りましょうと言います。
正吉とあさがそろって肘を曲げた万歳みたいな変なポーズをするのが、なんともかわいい。
女性が着物で肘を出すのはマナー違反、はしたないとも言われますが、あさちゃんの場合はおてんばかわいいです。
あさはまだよいとして、なんて正吉までかわいいのかと困惑しました。
困惑したのは五代もです。
五代はんもこれをきっかけに「聞いている側がわからない、誤認するような言葉は使わない」ということを学んでください。
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文:武者震之助
絵:小久ヒロ
※レビューの過去記事は『あさが来た感想』からお選びください
※あさが来たモデルの広岡浅子と、五代友厚についてもリンク先に伝記がございます
【参考】
連続テレビ小説 あさが来た 完全版 ブルーレイBOX1 [Blu-ray]
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